12話
「今日も1日頑張るゾイ!」(DDD)
『申し訳ないがキチ大王はNG』
今日も朝から訓練、ここ最近は中々身体がよく動いてくれる。 何事も身体が資本というが全くもってその通りだと改めて実感している。 朝食を終えると昼になるまでひたすら模擬戦。 オレはしっかりと気合いを入れてミョルニルを構える。 今日の相手はザフィーラ(人型)だ。
「さて……二人とも準備はいいか?」
「以前問題ない」
「オレも大丈夫だおっぱいさん」
「……大丈夫ではないが大丈夫のようだな……」
今日は珍しく審判というなのタイムキーパー役としておっぱいさんがいる。 何でも後からフォワード陣の子たちがやって来て午前中のまとめでこの場所を使うとのこと。 確かにここは市街戦の再現とか出来るし、復習や練習の成果を出すにはちょうどいいしな。
「それでは……始めっ!!」
『……っ!』
さぁて、ザフィーラは肉弾戦主体の戦い方を取る。 わんこ状態だと魔法が主体になるけど人型の時でも魔法は使ってくる。 だが素手だ、こっちは獲物持ち、なら利用するべきはハンマーのリーチ! オレはミョルニルを長く持ち一気に接近し、脇腹目掛けてミョルニルを打ち込む。
「だぁぁぁ!!」
「ふっ!」
「っ!?」
か……固い……いや『堅い』!? 籠手を付けた手でガードされたけだすげぇ堅い! 打ち込んだオレの方がモロに衝撃を受けちまってる!!
「ゼヤァァッ!」
お返しと言わんばかりに空いた拳をオレに叩き込んでくる。 だがそれは防げるーー!?
「ーーガッ!?」
『マスター!!』
……気がつくとオレは後方にあるビルに直撃していた。 そして防いだはずの自分の腕が激しく痺れていることに気付く。
「……オイオイマジかよ……防いだ
ったく、腕の骨が折れてなくて助かったぜ。 サンキュなミョルニル、お前が咄嗟に防いでくれなきゃ違う方向向いてたぜ。
『全く……取り敢えず突撃するクセは何とかしてくださいよ』
「悪りぃわりぃ……よっこいしょっと」
オレは立ち上がりザフィーラを見つめる。 ザフィーラはオレが立ち上がる事を知っていたかのように未だ構えを解かずにオレを警戒してくれていた。
「ったく、何が守護獣だよ。 お前バリバリのファイターじゃねぇか」
『当たり前ですよ、向こうの方が戦歴は圧倒的に長いですし』
「なら……ドンドン新技試して行きますか!」
オレは魔力を高める。 それを見ているザフィーラはただ一言。
「……来い!」
「先ずは新技第一弾ーーーー」
「そこまで!」
……お? もしかしてもうそんな時間? 時間経つの早くない?
「どうやら今日はここまでのようだな」
「だなぁ、んだよぉ〜まだまだやりたかったのに」
「そう文句を言うな、すでに来ているようだ。 早い所出るぞ」
「おう」
あらあらほんとにみんな来てるわ。 フォワード陣になのはちゃんやヴィータちゃん隊長達、あと翔次君もいるやんけ。
「おっつおっつ、悪いな待たせちゃって」
「そんな事ないです、それにキリンさんの戦闘はとても参考になります!」
「お、ヨイショが上手いなスバルちゃん。 ならオレも君たちの見ておこっかな」
「はい、見ていてください!」
どうやら先にスターズ、スバルちゃんとティアナちゃんからやるみたいだ。 ……ところで翔次君や、さっきからむつかしい顔してどしたん?
「……」
「えぇ……本当にどうしたん?」
「なんかさっきから黙りっぱなんだよね……」
「う〜ん? ……うんこ漏れそうとか?」
「いや流石にそれはないでしょ……あとエリオとキャロがいる前でそういうこと言わないで」
「ティヒヒ、サーセン」
「もう……」
オレはフェイトちゃんの隣に立ち観戦する。 ……そういえば。
「そう言えばティアナちゃん、前にミスっちまったんだっけか」
オレはスターズとなのはちゃんの模擬戦を見ながらフェイトちゃんとティアナちゃんについて話す。
「うん、ちょっと無茶しちゃったみたい」
「にしては……元気ハツラツ……っつーか、意気揚々としてんな」
「あ、それはスバルさんのおかげだと思います」
そう言ったのはエリオきゅん、あとキャロちゃんも同意するように頷く。
「ここ最近お二人とも頑張っているみたいです」
「ずっと秘密の特訓? みたいなのをしてて、ちょっと差し入れしたりしました」
「あらそうなの、二人とも偉いねぇ」
「えへへ……」
「そんなことないですよ……」
『いやぁ〜どうもどうも』
「お前じゃねぇ、黙ってろ」
にしても特訓か……あ、そうだ。 そういえば翔次君も夜な夜なシコシコ(健全)してるよな? もしかして流行りなのか? オレは寝るときゃ寝るようにしてるから分からんけど。
「……んん?」
さっきから二人の動きみてるけど……なぁんかおかしいよなぉ?
「今日の二人はどうしたんだろ……?」
「……おいおいおいおい、何で二人して訓練通りのことをしてないんですかね……」(困惑)
あ〜あ〜……スバルちゃんは無駄に前出てるし、ティアナちゃんは精密さんを置き去りにしてるし……
「あれ……流石のなのはちゃんもキレるんじゃないか……?」
ここ数日間の猛特訓の末にティアナとスバルは新たな連携、『クロスシフトC』を編み出した。 今まではティアナが牽制及び精密射撃、スバルが陽動及び前線での戦闘を勤めていた。 そして時にエリオやキャロ達と連携をしながらフォーメーションを組んだりと様々な戦略を立てていた。 だがそれはそれぞれがガジェットを各個撃破出来ることが前提だった。 訓練通りならば問題ない、だが前回の任務で突如性能が上がったガジェット相手にいいように手玉に取られ、挙句に焦りと無茶の結果のミスショット。
(もうあんなことになるなんて……私は御免よ!)
故に生み出した『クロスシフトC』。 それはウイングロードを対象の周囲に生成し、スバルが正面から攻撃を行い、幻術で生み出した自分を囮にウイングロードを駆け上り『非殺傷設定』をオフにして銃の先端に小型の刃を作り攻撃する。 シューターは後方で戦わなければならないという常識というよりは当然の概念をぶち壊す奇襲戦法、それが『クロスシフトC』だった。
(今までスバルに任せていた前線の切り込み役、それを今度は私もやる! シューターとして勤めていた私が突然接近戦に出る、それだけで奇襲となる! これなら……二人でなのは隊長に届く!)
ティアナはウイングロードを駆け上りなのはの頭上からなのはを強襲する。 ソードオフを展開しなのは目掛けて突撃していく。
『(やった!)』
確信する成功、内心で思わず喜ぶ二人。
だが……
「レイジングハート、モードリリース」
静かに、しかし確実に逆鱗に触れてしまっていた。
「あ〜らら、ありゃ痛えぞぉ」
フェイトちゃんやちびっ子二人は唖然の表情をしている。 ヴィータや翔次君は渋そうな顔でいる。 ま、そらゃね?
「『非殺傷』の魔法を素手で受け止めたら血が出るなんて当たり前なんだよなぁ……」
あ〜あ〜あ〜あ〜、さっきまでイケイケモードだった二人も顔面蒼白ですよ。 そら(なのはちゃんがキレたら)そうよ。
「あ、ティアナちゃん撃たれた。 おぉ……流石の威力」(他人事)
スバルちゃんがなんか抗議してそうだけどなのはちゃんの有無を言わさないバインド拘束。 はえー容赦ないっすね。 あ、二発目もいくのか……(困惑)
「ティアアアアアアアアァァァァァァ!!」
スバルの絶叫がここまで届く。 その声を聞いてフェイトちゃん達は「やりスギィ!」って感じの顔をしている。
「……なぁフェイトちゃん、ライトニング達の模擬戦ってフェイトちゃん担当だっけ?」
「え、あ、うん。 そうだけど……」
「そっかぁ……」
「おいキリン、何するつもりだ」
渋そうな顔をしているヴィータちゃんに質問される。 そりゃ何するって決まってるでしょ。
「スバルちゃんとティアナちゃん、あのまま放置するのは可哀想だしょ? それに二人の模擬戦もあるし」
「……キリン」
「流石に今のなのはちゃんにそんな余裕なさそうだし、なのはちゃんって結構繊細だしね? それにこういうのはオレみたいなのが丁度いいでしょ?」
「……すまん、本来ならあたしらがやらないといけないのに」
およ、ヴィータちゃんから素直に頭を下げてくるなんて珍しいことあるもんだな。
「……ティアナはボクが回収しておこう」
「あ、オナシャス」
翔次君がティアナちゃんの元に向かってくれた、ありがたい。 ならオレもスバルちゃんのとこに行きますか。
「あ、あの!」
「……お?」
どうしたのエリオきゅん、キャロちゃん?
「お二人は……その……」
「ずっと……頑張ってて……」
…………なんやこの子達、優しいなぁ。 二人の擁護をしてやがる。 オレは二人の頭に手を置き二人を諭す。
「……大丈夫よ」
オレはニカっと笑って二人に言う。
「ちゃぁんと分かってるよ、だからキレたんだよ。 二人が頑張り屋さんだから……なのはちゃんはちょっと戸惑っちゃったんだ。 だから二人はさ、取り敢えず模擬戦に専念して、どうぞ」
昔ユーノ君にも言った気がすっけど。 子どもはさ、そんなに気を使わなくていいから。 自由に自分らしくしなさいって。
「じゃないと……オレがお仕置きしちゃうゾ」(野獣の眼光)
『は、はい!』
「……最後のボケはいらないよね?」(冷静かつ的確なツッコミ)
フェイトちゃんにツッコミを入れられた気がするけど無視してスバルちゃんのとこに行くゾ。(池沼)
こういうのはね、パパパッといくのがいい。 オレは速攻でなのはちゃんと未だバインドで拘束中のスバルちゃんの元に到着する。 うわっ、なのはちゃんめっちゃ無表情! ちょっとヒロインがしていい顔じゃないよ!?
「……キリン君」
お、おう……ちょっとドキッとするぞ今のなのはちゃん……ホラーだよちょっとした。
「この後さ、ちびっ子達の模擬戦あるからさ。 退場して、どうぞ」(腰低)
「……うん」
なのはちゃんは小さく返事をしてこの場から去る。 なのはちゃんはフェイトちゃんやヴィータちゃんに任せておけばええやろ。 問題は……
「スバルちゃんさぁ……」
「……」
本当はオレがやんややんや言ってもさぁ、あんまし意味ないしさぁ……確かに仲間だけど部下とか教え子って訳じゃあないしさぁ……。 でも流石に言わせてほしいからズバッといくぞ。
「オレに見せたかったのって『コレ』か?」
「……っ」
「そりゃ確かに成功すれば相手に大ダメージ、無力化して無事逮捕にこぎつける……っつーのが狙いなんだろうけどさ。 幾ら何でもありゃイカンでしょ?」
だってアレティアナちゃんの危険が無駄に大きいし。 もしオレがやられる立場だったら迷いなくティアナちゃんを『ヤレる』。 問答無用で攻撃を叩き込むよ?
「……みたいなさ、お説教はいいでしょ?」
「え……?」
「だってメリットデメリットとかはもう二人で話し合っているんでしょうし、それにオレは二人の上官でもなきゃ師匠でもないし。 そんな話しされたってキミも嫌でしょ?」
そう……そんな事はオレがやるよりも適任者がいるし。 後でヴィータちゃんとかに怒ってもらえればそれでいいし。 オレがするのはオレがやってもいいことだけだ。
「……なのはちゃんはさ、ああ見えて昔はおっちょこちょいだったのよ」
「……?」
なんのこっちゃい、って顔しているスバルちゃんを一先ず置いてオレは話を進める。
「チョロインだし、運動音痴だったし、料理すりゃ厨房がイカレるし……魔法は昔から得意だったけど変なところで気が抜けてるし……」
「…………」
「でもあの子は昔っから真っ直ぐなんだ。 キミらみたいにさ」
「……え?」
「とにかく真っ直ぐ! 躓いたり挫けても真っ直ぐ、ある意味で初志貫徹。 一度目標を定めれば絶対に信念を曲げない……そんな彼女だからフェイトちゃんと友達になれたし、ジュエルシードの事も解決出来たしオレ達も力を貸そうと思った」
「ジュエルシード……?」
……あ、ジュエルシードって虚数空間に落ちたから記録上は存在しないんだっけ? あ、これはスルーで。
「……あーだから分かるんだよ。 無茶するキミ達が、頑張る二人が。 だからこそ、大事なキミ達に怒ったんだ。 んなことしたら危ねえよって、自分がそういう目にあったことあるからって」
「…………でも私は……ティアは……」
「だからさ、いいんだよ別に」
「……?」
お、よく聞けよぉ〜? ここからがオレの言いたい事だから、前半は逆に聞き流していいからちゃんと聞けよ?
「怒られたっていい、反発したっていい、寧ろもっともっと喧嘩しろ! ベッドの上がもっともコミュニケーションを取れるというが、喧嘩はこの世でもっとも相手と想い合える手段だからな」
「ッ!!」
よし、言いたいことはいえたしオレの話は終わり!
『ベッドの上とか完璧に『S○X』じゃないですかやだー。 最後に下ネタをさり気なくぶち込んでいくとかマスターのスケベー』
うるせぇ! スバルちゃんが分かってないからいいの! んなことよりさっさとスバルちゃんのバインド解くぞ。 この子さっきから謎の緊縛プレイだったからね。
「フン! フン!」
「……キリンさん……」
「固いなぁ……どうしたのスバルちゃん?」
「キリンさんとなのはさんは喧嘩したことあるんですか?」
「ん無い! フン! フン!」
『いや無いのにあんな自信満々に言わないでくださいよ、スバル様が呆れてしまわれますよ?』
えぇ……いやちょっとバインド解く(物理)で忙しいんだけど……しょうがねぇなぁ(悟空)。
「オレは昔……っつてもそもそも20年くらいになるけど、フン! 孤児院で働いていてな、フン!」
「え、そうなんですか……ん?」
「そこのガキ共は3日の内に5回は喧嘩してやがる、フンヌ! いつもいつも喧嘩してる癖に喧嘩してる相手の事を一番理解してやがる、フンヌゥ!」
「…………」
「偶にガキ共とも喧嘩するんだけどさ、不思議と喧嘩してる時ってずっと相手の事ばっか考えるんだよ……フンヌゥア!! だからさっきのは……フンヌゥア!! オレの経験談ってわけ……フンナラバァッ!!」
「あの……キリンさん? 大丈夫ですか……?」
「ハァハァハァハァ……」
『あのぉ〜すいません、まぁ〜だ時間かかりそうですかね?』(NDK)
「翔次くーん! ちょっとなのはちゃんのバインド切ってぇ!!」(涙目)
なのはちゃんのバインド固すギィ!! カッチカチやぞ!?
「……どうしてお前はそう最後がカッコ悪くなるんだ……」
「うぇ〜ん、翔次君〜〜!! なのはちゃんがイジメるぅ〜!!(?)」
「……あのさぁ……」(呆れ)
「あ、あはは……」
オレはその後、のの字を書いていじけているところを無事フェイトちゃんに保護された。 その時フェイトちゃんにめちゃくちゃ慰められた(健全)。
申し訳ないが2次特有のなのはとの対決はNG。 だってあんなの意味ありませんし、別になのはの好感度上げても意味ないですし。 そもそもそんなのでなのはの好感度が上がるとは思えませんし。
だからってキリッと決めさせませんよ!
今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。