2話
「ふぅ……死ぬとこだった……」
「ゴメンねキリン……その……つい、ね?」
「ニョホホ、別にいいのよ。 気持ちは分からんでもないし」
一体何の会話だって? そらお前、さっき電車止めたでしょ? それで名前聞かれたから教えたでしょ? そしたら空からやってきたフェイトに突進されておっぱいに沈んでたのよ。 まるで意味が分からんだろう? オレにも分からん。
……おっと、「誰だ?」って聞きたそうな
「ちっ……うらやまけしからん……」
そんでこの男前は「朱澤 翔次」君。 オレの仲間にして転生者さ。
オレたちはそろそろ合流してもいいと思って、翔次君が一番いい合流地点がこの事件だって言うから来たのさ。 なぁんかガジェットっつう機械だかロボットだかが居たから助太刀したってわけ。 オレは子ども達に、翔次君はべっぴんさん達に。 んで何か爆弾があって電車を止めないといけなかったから物理的に電車を止めたのさ。 ちょっと靴が焦げたけどな。
「にしても……フェイトちゃん大っきくなったなぁ……」
オレはフェイトちゃんの全身を改めて見る。 背はオレより小さいが、それでもオレが最後に見た少女としてのフェイトちゃんと比べると遥かに大きい。 今はバリアジャケットを解いて制服みたいなのを着ているけど、スラッとした体型は綺麗だと素直に思うし。 昔ツインテールにしていたのに今は大人らしいロングヘアーだし。 ……あと女の身体だった時のオレより胸大っきいし……
「何か劇的なビフォーアフター見てるみたいだ」
「……そうかな? 私はキリンの方が変わったと思うよ?」
「そっかなぁ?」
今のオレは、このキリト君から貰った身体のまま、白髪を腰まで伸ばしていつものポニーテールのまんまだし。 服もダボっとした灰色のスウェットだし。 ズボンもチノパンだし。 しかもずっと旅してたから汚いし。 変わったって言えばせいぜい身体を鍛えたぐらいじゃないか?
「私はすっごく変わったと思うよ?」
「……まぁ10年はあってないしなぁ……」
「そうだね……フフッ」
そう、10年だ。 10年はあってない。 そう思うと何だか感慨深いと思っていると、フェイトちゃんは笑いながら涙を流していた。
「本当に嬉しい……涙が出るくらい……」
「何で泣くなよ? オレは嬉しくて……嬉しくて……アレ?」
急にオレの視界がボヤける。 目にゴミが入ったのかな? そう思って目を擦ると指が濡れていた。 ……もしかしてオレ、泣いてる?
「キリンも泣いてるよ」
「アレ? 変だな……嬉しくてたまらないのに……ハハッ」
「フフッ、キリンったら泣きながら笑ってるよ。 フフッ!」
「本当だオレ……泣いてる……ハハハッ!」
何が面白いのか分からないがオレ達は泣きながら笑い合う。 そうか、オレってばフェイトちゃんに会えて泣くくらい嬉しいのか。
「チッ! リア充しやがって……!」
あ、そうだそうだ。 いつまでもこうしていたらいけねぇな。 あの四人も置いてけぼりだし。 ……あれ? あれは……!
「おーい! キリン君ー! 翔次君ー!」
「なのはちゃん!」
「……おお、アレがヘリっぽい奴か」
なのはちゃんと……アレは何だ? ヘリ? オスプレイ? とにかくこっちに着陸し、なのはちゃんはこっちに来る。
「みんなお疲れ様」
『お疲れ様です!』
「初出動で疲れているだろうし、先にヘリに乗って休んでて。 移動中にキリン君達のこと説明してあげるから」
『はい!』
おぉ……なのはちゃんが何か隊長っぽいことしてる……。 何か感激してしまう。
「さて、久しぶりだねキリン君、翔次君」
「お久! なのはちゃんもデッカくなったねぇ」
「……む、久しぶり……だ」
お、翔次君ったら相変わらず変なとこでコミュ障だから縮こまったら。 まぁ確かになのはちゃんとはあんまり交流がなかったのは確かだけどさ。
「……やっぱり拳君はいないんだね」
「!」
……一番言いづれえことをなのはちゃんに言われるなんてな。
「拳君は……その……居なくなったって言うか……あぁつまり……」
「いいよ。 最後に会った時、そんな予感はしてたから」
「……あぁでも! 拳君は、ずっとなのはちゃんの事思ってた……よ!」
「……うん、ありがとう」
拳君は消えた、というよりは元に戻ったって言った方が正しい。 今までみんなと話せたのは彼が仕事のために姿を見せていただけなんだ。 そしてその仕事が終わった、いや『拳君自ら終わらせにいってしまった』。 もう拳君には会えないけど、それでも彼は見守ってくれていると信じたい。 そうでなきゃなのはちゃんが……
「さ、二人も乗って。 今から二人を機動六課まで連れて行くから」
「……あぁ」
まぁこれはなのはちゃんと拳君の問題だ。 今はとやかく言えねえ。 でもよ……
「さぁみんな帰るよ」
無理してなきゃいいけど……
帰りのヘリの中で改めて自己紹介しあった。 青い髪の子がスバルちゃん、オレンジヘアーはティアナちゃん、小さくて可愛いのがエリオ君とキャロちゃん。 この子達はなのはちゃんとフェイトちゃんが直接選んだんだって。 通りで強そうな訳よ。 そんなこんなで話をしていたら機動六課のトップの人から通信が来た。 モニターに出て来たのはなのはちゃん達と同い年くらいの女性。
『初めまして、なのはちゃんと一緒に見てたでー。 私は八神 はやて。 よろしくなー』
「おぉ……本場の関西弁だ……」
「作者がエセ関西弁だから本場かどうかは知らんがな」
「勝てるわけがない……本場の関西弁と関西クレーマーじゃ話にならねぇ……!」
『はは、二人ともなのはちゃん達から聞いてた通り面白いなぁ』
はやてちゃんはアレか? オレ達が海鳴を離れてから出会ったのかな? まぁ二人の友達ってんならきっといい奴に違いない。
『みんなはもう自己紹介とか済んだかぁ?』
「うん、もう終わったよ」
『そっか、ならこっちに戻って来たら色々お話とかしたいからお二人さんの案内よろしくなぁ』
「はいはーい」
『新人達もお疲れ様ー』
『はい!』
……なぁんかしっかり礼してる辺りちゃんとした子なんだなぁ……。 はやてちゃんからの通信が切れるまでキリッとしてたよ。
「にしても……」
「?」
オレはエリオ君に視線を移す。(野獣の眼光)
「……おいキリン、お前さっきからエリオの事をチラチラ見てたろ」
「そうだよ」(揺るがぬ意思)
「肯定するのか……」
「あの……どうかしました?」
エリオ君は自分の名前が出て来たからか少しオロオロしながら困惑している。 可愛いなぁ……
「可愛いなぁエリオ君……」(無意識)
『ファッ!?』
「え、えぇ……えええ!?」
……? 何でエリオ君そんなにびっくりしてんだ? 嫌でもその姿も可愛いなぁ……
「いやホント顔は凛々しいのにその小さな身体のせいで可愛く見えるし、あと背丈に合わない大きな槍を構えているとその小ちゃい身長が際立って見えて可愛いし、あと仕草とか声とか何もかもが可愛い……」(マジキチ)
「落ち着け変態!」
「ゴフォ!?」
おぉ……翔次君……何故鞘でオレを突く……ミゾオチがぁ……
「貴様、YESショタNoタッチが適応されると思うのか? その口に直接チャックを縫い付けてやろうか?」
「何でや! ちょっと口がガバガバだっただけで他には何もなかっただルルォ!?」
「見ろ! エリオどころかキャロまで怯えてフェイト・テスタロッサにしがみ付いているだろうが!」
翔次君の言う通りちびっ子達は怯えた目付きでフェイトちゃんにしがみ付いている。 ……何かちょっと小動物みたいで可愛い。
「キリンー? うちの子を変な目で見ないで」
「フェイトさん……」(尊敬の眼差し)
「だ、だってフェイトちゃん……エリオ君が可愛いから……」
「それは認めるけど」(即答)
「フェイトさん!?」
「私もそう思う……よ?」
「キャロまで!?」
エリオ君は可愛い! エリオ君は可愛い! だからちょっと邪な事を考えてもいいよね!? ね!?
「……これも転生者による世界線の崩壊のせいか……」(適当)
「あんな変態に絡まれてしまったがばっかりに……」
ボクはエリオに同情しながら外の景色を眺める。 もう外は一面海が広がっている。 アニメだと確か機動六課は海に面していたはず、ならもうすぐか……
「ねぇちょっと」
「……何だ?」
ボクに声をかけてきたのはティアナ。 ティアナは意外となのはシリーズで人気のあるキャラだ。 不動は高町とフェイト・テスタロッサだが、やはりvividからの大人びた雰囲気がさらにファンを増やしたそうな。 ……薄い本は多い方だ。
「あんたのその武器……一体何なの?」
「ちょっ、ティア、 助けてもらった人にその聞き方は失礼じゃ……」
「……それもそうね。 コホン、その剣、一体どういう装備なのか聞いてもいいかしら?」
「……大して変わってないよな?」
どうやらティアナはボクの刀、『斬魄刀』に興味があるようだ。 ……ティアナというキャラクターは自分の強さにコンプレックスを抱いている設定、故にガジェットを斬ったコレが気になるわけだ。 これ話して大丈夫か? 嫌でもどのみち話すだろうし、大して変わらんか。
「こいつは『斬魄刀』という種類の刀で……」
「刀……って確か両刃じゃない剣ですよね?」
「その通りだスバル。 両刃の剣とは違い刃が片方にだけある、だがその分刃を研ぎ澄ますことが出来る」
「……それでガジェットを叩っ斬ったってわけ? 意外と細いし結構な魔力を込めないと折れそうだけど……」
……魔力じゃないんだよなぁ、ボクの場合は。
「あぁその……ボクは魔法は使えん。 ……というより魔力自体ない」
「……はぁ!?」
「えぇ!?」
大きい声を出すな……いやそういう反応はするだろうが。 ティアナ達が大きな声を出すから他がこっちに来てしまったじゃあないか。
「どうしたの二人共?」
「し、翔次さんが……!」
「翔次君がどうかしたの?」
「ま、魔力を持ってないですって……!?」
『えぇ!?』
ティアナ達につられて驚くエリオとキャロ。 だが高町とフェイト・テスタロッサは驚くどころか「あぁやっぱり」なんて言っている。 流石に察していたか。
「お二人は気付いていたんですか!?」
「うん、何となくというか……」
「そういう予感はあったんだよね」
まぁそうだろうな。 ボクは魔力そのものを持てなくなっている。 仕方のないことだがな。
「代わりにボクには別の力があるが……まぁそれは向こうに着いてからだな」
「別の力……?」
「この世界だとほとんど意味をなさない力だがな」
「ふーん……」
い、いかん。 余計に喋り過ぎたか? ティアナの興味を引き過ぎたようだ。 ……まぁでも説明してやらばすぐに興味もなくなる……はず!
「翔次君……キミ……」
何だキリン? その目は何だ? 無性にムカつくぞ。
「ちゃんとみんなとお話出来るじゃん!」
「ボクをコミュ障みたいに言うな!!」
ボクは早いとこ目的地に到着することを願わざるを得なかった。
今回キリンと翔次の視点を分けてやってみました。 意外と面倒だった。(小並感)
あとエリオ君ごめんね?
次回はヴォルケン達の登場かな。
今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。