オレはオレの幸せに会いに行く   作:ほったいもいづんな

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お久しぶりです

2月中はちょっとメインの趣味である動画の方に力を入れていたのでこちらがおざなりになってました。

失踪はしませんよ!


43話 這い寄る不安

 43話

 

 

 

 

「……どうやらムラサキ・キリンはこちらに向かっているようです」

「予定通り、ありがとうウーノ。 引き続きガジェット達の操作をよろしく」

 

 そう言って通信を終えると、ジェイル・スカリエッティは静かに立ち上がり、迎撃の準備を始める。

 

「今からだから……まだ入り口のガジェットの軍団に阻まれている聖王教会と管理局の魔導師が苦戦しているからそれに合流する形になる……」

 

 スカリエッティは状況とこれからの展開を口ずさみながら右手に特殊な改造を施したグローブをはめる。 少し上機嫌に。

 

「そうなると……あぁウーノには申し訳ないがガジェット達は全部破壊されるだろうねぇ……いやいや仕方のない事だけどねぇ?」

 

 足取りは軽く、しかし足音が嫌なほど響いている。

 

「でもまぁ……ここで『キミ(キリン)』を完璧に倒せるんだ……! ローリに感謝しないといけないなぁ……!!」

 

 怪しく瞳が煌めく。 この世の欲望という名の闇が蠢いている瞳にスカリエッティはこの先にある……()()()()()を映していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘が続いている廃墟群。

 翔次とティアナのコンビは結界に閉じ込められていた。

 

「翔次、この結界は何なのよ?」

「連中の一人が張ってるだ……恐らく離れた所からこちらを観察しながらな」

「ちょっとぶった切ったりしないの?」

「……いや、いい」

 

 廃ビル一つ丸ごと結界に閉じ込められた状況、しかし翔次ならば結界なぞ容易く斬る事が出来る。 しかし翔次はそれをしない。

 むしろこの状況が好都合だからだ。

 

「『閉じ込められた』のは……ボクらだけじゃあない。 あいつらも……ボク達から逃れる事は出来ない!」

「……あんたにしてはクールな答えじゃない!」

 

 ナンバーズから見てみれば『袋の鼠』、しかし翔次とティアナから見てみれば『飛んで火に入る夏の虫』。 変にちょこまかされるよりは原作通り閉じ込められた状態の今がベスト。

 

 もちろん結界をすぐに斬り壊す事は可能だが、その度に何度も結界を再発生されるのは手間な上に、その隙を後ろから突かれるのはもっと手間だ。 スバルの一騎打ちの為にもここで戦い勝利するのが二人にとっての『最良の選択』なのだ。

 

「……舐めてんじゃねぇぞタコ」

「まぁ今回に関しては……あたしも同意見っスね!」

「私は別に……ただ殲滅するだけです」

 

 2対3……いや実質2対4な状況でそんな余裕な表情をされればカンに触るのも仕方ない。 普段は意外と冷静に状況を判断できるウェンディでさえ珍しくノーヴェに同調する。 隣にいるディードは冷静に冷淡に構えているが。

 

「気を付けろティアナ……分かってると思うが……」

「向こうの性能は以前よりも上がってる可能性が高いって話でしょ? 分かってるわよ」

 

 お互いに武器を構えながら臨戦態勢に入る。

 

「それだけじゃない。 ……いいか、向こうに転生者がいるという事は『ボクらの想像通りにはいかない』って事だ」

「……!」

 

 ナンバーズ達の動きに警戒しながらも、翔次が一番懸念している事をティアナにも伝える。

 原作であるアニメなら、ティアナ一人が奮起して三人の戦闘機人を制圧していたが、もしその事を転生者であるローリが教えているのなら? 当然『原作改変』が行われているはずなのだ。

 

「今までだったらボクの知識でどうにかなったが……今回からは違う。 いざという時あてにするなよ」

「…………」

 

 その言葉を聞き、ティアナは少し息を吐きながら呆れたように言う。

 

「いやよ」

「な、何でだよ……」

 

 呆れながらも、確固たる自信の元、言葉にする。

 

「『仲間』事をあてにしないとか出来るわけないでしょ?」

「……!」

 

 その言葉を聞き翔次はこの期に及んで自分がまた一人で勝手に考えていた事に気付く。

 そうして気づき、少し肩の力を抜く。

 

「……じゃあボクもあてにさせてもらうぞ、リーダー」

「応!」

 

 そして始まる。

 

「戦場でイチャコラしてんじゃねぇぞ!」

「デカい声を出すな……品がない」

 

 機械の拳と魂の刃がぶつかり合う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェイル・スカリエッティのアジト。

 ついに見付け出したはいいものの、そこには防衛の為のガジェットが当然のように配置されていた。

 

「はっ!」

 

 そこで奮闘しているのは聖王教会のシスターであるシャッハ。 シスターとは言うものの、実力は折り紙付き。 なのはやシグナムでさえ唸るほどの実力者。

 

「こうも量が多いとね……ふっ!」

 

 その隣で共に戦っているのは管理局査察官のヴェロッサ・アコース。 今回スカリエッティのアジトを発見した功労者であり、古代ベルカ式のレアスキルを保有するやり手の魔導師。

 

 二人ともガジェット一機に苦戦する事はないのだが、こうもひっきりなしに出てこられてはジリ貧にならざるを得ない。

 二人はなのは達のように広範囲に攻撃が行える訳ではないので苦戦を強いられていたが……

 

「ーーフォトン!」

 

 上空から一閃。 次の瞬間……

 

「「ランサー!!」」

 

 雷を纏う魔法弾が降りそそぎガジェット達を一掃する。

 

「この魔法は……!」

「来てくれたみたいだね……ふぅ」

 

 安堵する二人の前に勢いよく降り立つ男が一人。 その後に静かに滑らかに着地する女が一人。

 

 もちろん、キリンとフェイトである。

 

「おいっす! おまた!」

「救援に来ました、フェイト・テスタロッサです!」

「フェイトさん! ……それにあなたまで」

「キミが噂の客員魔導師かい?」

「ウホッ! いい男」

 

 賴き雷光が2つ、助太刀に参上した。

 すでに状況等は相互で把握済みなので早い所スカリエッティの捕縛に向かいたい所だが……

 

「えぇマジィ? こんなイケメンが六課にいたとか初耳なんですけどぉ!」

「おや、はやてやクロノから聞いていないのかい?」

「うぉマジかよ……こんなイケメンを紹介してくれないなんて……ぐぬぬ」

 

 この変態はイケメンでも問題なくいつものテンションで話しかける。 流石の域を超えている。

 

「むぅぅぅ……」

「あの……フェイトさん?」

 

 若干のジェラシーを発しているフェイトに困惑。 シスターシャッハはおそらくこのメンバーで一番苦労するだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スカリエッティのアジトから遠く離れた上空に浮かぶ「ゆりかご」。 すでになのはとヴィータは乗り込み、はやては二人をゆりかごに行かせるために周囲の飛行ガジェットの掃討を行っていた。

 

「でぇい! どんだけガジェットおんねんもー!」

 

 はやて自身広範囲魔法が誰よりも優れているとはいえ、流石に大量のガジェットを前に不満を漏らさずにはいられない。

 

「シグナムはリイン連れて騎士ゼストのとこ行くし、キリン君はフェイトちゃんの方に行くし……何だって私ボッチなん!?」

 

 一番偉いはずなのに、一番手間と作業が必要な事ばかりやらされるはやて。 もはや運命と呼ぶしかない不敏である。

 

 そんな彼女の前に次々と現れるガジェットは知ってかしらずか、はやての神経を逆撫でる。

 

「おーおー……そない相手して欲しいのなら相手したげるわボケェ!

 ディアボリックエミッション!」

 

 しかし彼女の働きがあるからこそ、六課の皆は自分の戦いに集中できるというもの。

 頑張れはやて。

 

 

 

 

 

 

 ゆりかご内では当然なのはとヴィータの二人が奮闘している。

 内部は当然のようにAMFが発動しており、ガジェットが発するそれよりも負担は大きい。

 しかし長年背中を預けてきた二人ならばそんな負担なぞ感じさせないコンビネーションを発揮させ、難なくゆりかご内を進んでいく。

 

 と、ここで一度進行を止める。

 

「っ……と。 分かれ道か」

 

 今までは二人とも同じ道を進んでいた。 しかし二人の目的は明確に分かれている。

 なのははヴィヴィオの救出。 ヴィータはゆりかごの機能停止。

 ここまでは同じ進行方向だったが、ここで明確に二手に分かれざるを得ない。

 

「お前なら分かってんだろ、この道がヴィヴィオに繋がる道……そしてこっちが……」

 

 ヴィータがアイゼンで道を指す。 そこからは異様なまでに感じる不気味な殺気。 なのはやヴィータは直接見たことはない、だが即座に理解できる。

 この殺気は転生者「ローリ」が放っているものだと。

 そしてそのローリがいると言うことは、ゆりかごのコアと融合した核とも呼べる器官がその先にあるのだと。

 

「ローリ……つまりこのバカデケェ船のコアがある。 これはあたしの仕事だ」

「でもヴィータちゃん……」

「でももだってもねぇ。 ローリをぶっ倒すのは別にあたしやキリンでも、誰でも出来る。 あのメタルな身体を捨ててコアと一体化したんならキリンを追い詰める程の力はないはずだ。 ……それに」

 

 ヴィータはデバイスを肩にかけ、安心させるようになのはに言う。

 

「あたしは『鉄槌の騎士』だ。 壊すと決めたら最後まで壊す事をやめねぇし、死なねぇ」

「……ヴィータちゃん」

「お前が行くのはこの道だ……」

 

 ヴィータが示す道、そしてその先にあるもの。

 

「この道の先にいるのは『ヴィヴィオ』だ」

 

 奪われてしまった少女『ヴィヴィオ』。

 

「そのヴィヴィオを助けられるのは……「娘」を助けられるのは『母親』であるお前にしか出来ないだろ?」

「!!」

 

 確かに、元々はスカリエッティがゆりかごの為に生み出した人造生命体。 しかし、彼女が「ママ」と呼ぶのは……なのはしかいない。 「(ヴィヴィオ)」にとっての家族は「母親(なのは)」しかいない。 だから、仮にヴィータが何とかしてヴィヴィオを救えたとしても、それはただ救っただけ。

 救った先にある未来を見せられるのはなのはしかいない。

 

「……うん!」

「ようやく納得したかワガママめ」

「む、アイス食べられたヴィータちゃん程じゃないと思います」

「へっ、言うじゃねぇか魔法少女」

 

 お互いに背を向ける。 そして一言。

 

「無理しちゃダメだよ」

「無理すんじゃねぇぞ」

 

 全く同じ心配をし、小さく笑う。

 

 そして発進した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所を戻しスカリエッティアジト前。

 ようやく落ち着いた所で、乗り込もうとした矢先の事であった。

 

「うっし、それじゃあ……このアジトぶっ壊すか」

「えぇ!?」

「それは困る。 ここにはスカリエッティのこれまでの事件の証拠や計画に関する情報が大量にある。 破壊されては困るなぁ」

「えぇ〜でもサクッとやった方がいいと思うけどなぁ〜……」

「キリン、ステイ」

「……(´・ω・`)」

 

 ようやく飼い主に大人しくさせられたわ犬。 しょんぼりしながら黙る事に。

 その間に中に侵入する算段を立て直すフェイト達であったが……

 

「ッ!!」

 

 一瞬、何かが光った。 スカリエッティのアジトの入り口、その奥の暗がりから何かが光った。

 それに気付いたキリンは皆の前に即座に立ち、その光を受け止める。

 

 次の瞬間、爆発が襲う。

 

「キリン!?」

「だ、大丈夫……だけどこれは!」

「け、気配は感じませんでしたよ!?」

「僕の魔力探知にも引っかからなかった……これは一体!?」

 

 間一髪、キリンは防御を構え尚且つ他に被害が行かぬように衝撃を魔力で防いでいた。

 そう、奇襲そのものは問題ではない。 問題なのはその奇襲の犯人である。

 

「……どぉーなってやがる」

 

 闇から現れたのは……『()()()()()()』であった。

 

 

 




正直前回と統合していい気がしないでもない。

ようやく舞台が揃ったんで戦い始めます。
前回も言ったような気がしないでもない。

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。
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