オレはオレの幸せに会いに行く   作:ほったいもいづんな

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三千文字くらい1日で書けるなら二日あれば投稿できるはずだよなぁ?
明らかに怠けているんだよなぁ!


8話 ホテル終結

8話

 

 

 

 

何度も打ち合うキリンとゼスト。 その最中紫の少女、「ルーテシア」と呼ばれた少女は紫の光を放ちながら魔法を展開していた。

 

「おいおい、あの幼女は何してんだぁ〜?」

「……あれはルーテシアの召喚魔法。 小型の虫だがガジェットに宿すことで遠隔操作が可能になる」

「なんだと!?」

 

ガジェットは本来自立したAIによって動いている。 だがその精度はあまり良くはなく、AMFがあるとはいえ集団で囲まれたり、強力な魔導師の前には敗北せざるを得ない。 だがそれらを誰かが操ったのなら、搭載された武器をフルに活用出来るのなら、例えSランク相当の魔導師と言えども楽にはいかなくなる。

 

「さぁ、どうする? 仲間の元に向かうか?」

「……」

 

何故ゼストがこれらを説明したのか? 1つは後に判明する事実だから今ここで話しておくのはなんの問題もないから。 2つめはキリンの動きを見る事が出来るから。 対人戦以外の動きも見れて、なおかつ他の魔導師の力量も見る事が出来る。 当然このままキリンが仲間の元に向かえばの話だが。 だがキリンはゼストを見据える。

 

「あんたをここで食い止めなきゃ、誰かが襲われる危険がある……」

「……」

「だからオレはあんたの前から消えない。 仲間のために!」

「いい判断だ」

「それに……」

 

キリンは確信めいた顔で続ける。

 

「オレは『仲間を信じてる』。 フォワードのみんな、隊長達、そして翔次君を!!」

 

今キリンに出来ること、それは仲間を信じることだ。 仲間を信じ目の前の敵に集中する。 一寸の隙もないその姿を見てゼストは嬉しそうに笑う。

 

「……お前はいい騎士になれる」

「やなこった、騎士なんて。 オレは今のちゃらんぽらんぐらいがちょうどいい」

「そうか……それは残念だ!!」

「ッ!!」

 

再び激突しあう男達。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォワード陣もまたガジェットと激突していた。 遠隔召喚によって目の前に現れたガジェット達はまるで挑発でもしているかのように登場した。 当然打って出たフォワード陣。 だがルーテシアの魔法の影響か、訓練時よりも苦戦を強いられる。 AMFが強化されているのもその原因の一つだろう。 ティアナの魔法弾はガジェットに弾かれ、スバルの拳やエリオの攻撃すらもまともなダメージにはならない。

 

(くっ……ひょいひょい避けるわ当たっても大したダメージはないわ……一体なんだってのよ!)

 

ティアナは苛立っていた。 せっかくのアピールチャンス、ここで全機撃墜出来れば自分の力を証明できる絶好のチャンス。 だというのにこのザマである。 訓練通りにいかないのは百も承知、だがここまで意味をなさないのはもはや普段の訓練の内容すら疑ってしまうほどだ。

 

(さっきまでモニターで見ていた隊長達は難なく倒していたのに……!!)

 

ティアナの苛立ち、それは焦りとも言える。 このまま手をこまねいていればじきに前線から戻ってきた隊長達がガジェットを総取りする、そうなれば自らの力を証明出来なくなる。 だがティアナの苛立ちはそれだけではない。

 

(せっかくあの二人がいないってのに……!)

 

つい数週間前にやってきたキリンと翔次。 無限の魔力を有するキリンと魔力を持たずにガジェットを両断できる翔次の存在がティアナの焦りをさらに加速させていた。

 

(……このままチンタラしてらんない!)

 

その焦りがティアナに行動の選択をさせてしまう。

 

「エリオは一度下がってキャロの支援! 私とスバルがやるわ!」

「あ、は、はい!」

 

エリオは何故自分が下げられたのかがよく分からなかった。 だがティアナに何か策があるのだろうと判断し素早くキャロを守るように立つ。

 

「スバル、『クロスシフトA』、やるわよ!」

「……おう!」

 

『クロスシフトA』、それは機動力のあるスバルが敵を集め囮になり、そこにティアナのカートリッジを使用した強烈な魔力弾を叩き込む作戦である。 決まれば素晴らしい作戦、だが失敗すれば欠陥品と呼ばれても仕方ない。 実際成功率は低い訳ではない、しかし成功した時のティアナと今の焦っているティアナは別物。 成功率は逆に低い。

 

(このままの現状じゃあ何も出来ない、そんなふざけた事を認めろっての? そんなのゴメンよ!)

 

ティアナの周囲に橙の魔法弾が出現し始める。

 

(ランスターの弾に、貫けないものなんてないって証明するのよ!)

 

ガジェットと同じ数、いやそれを上回る魔法弾。 確実に仕留めるための大量展開、だが当然全てティアナがコントロールしなければならないため一寸の操作ミスも許されない。

 

「でも……いけぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

迷う事なく全弾発射。 高められた魔力によって形成された弾はガジェットを砕く。 一機に対して二発、ダメ押しと言わんばかりに叩き込む。 瞬く間にガジェットを粉砕していく。 先ほどまでの苦戦が嘘のようにガジェットは次々と破壊され、数はもう片手で数えられるほどに。

 

(やった……!)

 

思わず喜ぶティアナ。 自らの力に偽りはない、そう証明出来ているのだと歓喜に震えてしまう。 だがそれは自らのコントロールをブレさせるに十分であった。

 

「っ!?」

 

魔力弾が二発、コントロールから外れてしまった。 だがそれだけなら別にいい、想定の範囲内。 問題なのは外れた弾が陽動になっている()()()()()()()()()()のだ。

 

「スバル避けて!!」

「ーーーーえ?」

 

避けられるはずがない。 ガジェット達の機敏な動きに対応出来るように高速で動かしていたのだ。 声をかけられたからといって、それで気付けたからといって、避けられるほどティアナの弾は悪くない。

 

誰もが被弾してしまう。 そう思った。

 

ーーだがそうはならない。

 

「っ!」

「っらぁ!」

「翔次さん! ヴィータ副隊長!」

 

二つの弾、一つはヴィータが弾き飛ばす。 そしてもう一つは始解した獄砕鳥の腹で翔次が受け止めていた。

 

「おぉぉ……っらぁ!」

 

受け止めた魔法弾を器用にガジェットに向けて打ち飛ばす。 バッターのように豪快に。 着弾したガジェットは粉砕される。 もしこれがスバルに直撃していたら同じように酷い有り様になっただろう。

 

「おらティアナ! 何してんだ!」

「ヴィータ副隊長……」

「無茶やった上に味方を撃つだぁ? 何やらかしてんだ!」

 

ティアナに向けて怒号を放つヴィータ。 まだガジェットが残っているというのにティアナを叱る。 恐らく今すぐにでも説教をしたいのだろう。

 

「違うんです! 今のは私が悪くて……本当ならーー」

「アホ! 一歩間違えたら味方が撃墜されるのに何ぬかしてんだ! もういい、あとはあたしらがやるから下がってろ!」

 

厳しいヴィータの言葉。 だがそれは何も間違ってなく、そしてヴィータが二人を大切に思ってるからこその叱咤激励。 ヴィータ自身も部下の行動に驚き少し動揺しているのもあるのかもしれない。 だが今のままのティアナを前線に立たせても危険度が増すだけ。 言われたティアナとスバルは大人しく下がる。

 

「おいショージ、あの変態はまだか?」

「そうだな……あいつがまだ来てないってことはそれだけ手こずっているか……あとは子どもがいるかだな」

「何にしてもまだ来ねーって前提で行くぞ!」

 

翔次、ヴィータがガジェットに攻撃を開始する。 後ろに下がっていたエリオとキャロも援護に回る。 だがスバルとティアナは肩を落としながらそれを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うだらぁ!」

「ゼォオぉぁぉ!!」

 

キリンとゼストの戦いはまだ続いていた。 お互いまだフルパワーを発揮している訳ではないが手を抜いている訳でもない。 ただただ拮抗しているのだ。

 

「くらえ、『ボルト・スクリュー』!」

 

キリンが放つ魔法弾。 稲妻をまといながら螺旋回転するクギのような弾。 ゼストはそれを槍の先端で受け止めて砕こうとする。 だがキリンは大きく振りかぶりながらその魔法弾に向かってミョルニルを打ち込む。

 

「ぶっ刺され!!」

「ッ!? 舐めるなぁ!!」

「何!?」

 

二人の武器に挟まれた魔法弾は、二つの衝撃に挟まれそのまま砕け散る。 そして槍の先端とミョルニルがぶつかる。 激しく飛び散る火花、凄まじい衝撃が辺りの森の木々を騒がす。

 

「やるな! まさか魔法弾を自らの打ち込んでくるとは!」

「おっさんこそ! まさか超高密度の『ボルト・スクリュー』を粉砕できるとはな!」

 

互いに武器に力を入れ合うのにお互いを讃え合う。 奇妙にして当然のやり取りが行われていた。 だがそこに水を差す者が……

 

「だがまだまだーーぐっ!?」

「何!? ……ルーテシア……」

 

キリンを蹴り飛ばす人型の存在。 そしてそのそばにいるルーテシア。 人型の存在は一目で人間ではないと判断できる。 四つの目、黒い身体、長い尾。 言葉を発する様子がなく、静かに構えている。

 

「いっちっち……」

『大丈夫ですかマスター?』

「ああ、大したことはない……でも何だありゃ?」

『恐らくはあの少女の召喚獣でしょう。 キャロさまのフリードのような主人を守る存在』

「つーことはアレか、2対1か」

 

キリンは立ち上がりながら乱入してきた召喚獣を見る。 その見た目は本当に人に近く、まるで忍者のような印象を受ける。 トレードマークは赤いマフラーだろうか、黒い身体によく映える。

 

「『ガリュー』が見つけてきた……だからもう帰ろう」

「……そうか、当初の目的も果たした。 ここは退散しよう」

 

どうやら黒い召喚獣は『ガリュー』という名前らしい。 そしてそのガリューがホテル内から何かを盗んできた。 そしてそれが目的のブツだったのでこのまま逃げるつもりなのだ。

 

「逃がすかよ……オウオウ」

「我々はあとは逃げるだけだ。 ……それよりも仲間の元に向かったほうがいいんじゃないか?」

「敵が正論を言うのか……」

 

確かにゼストの言う通り、深追いして罠にでも嵌められたらたまったものではない。 ここは大人しく仲間と合流し情報の共有が先決と考えキリンは構えを解く。

 

「さらばだ。 また合間見えることを期待しておく」

「…………」

 

ゼスト達は去っていった。 一瞬尾行するかどうか考えたが、仲間のことが心配になりやめた。

 

「……ちゃっちゃか合流しますか」

『マスター、どうかしました?』

「いや別に? ただ……」

 

キリンは空に飛び出し合流地点に向かう。

 

「このままじゃあいけねぇ、そう思っただけだよ」

 

ゼストは己の力を全て見せた訳でない。 そして途中乱入してきたガリューも未知数の実力。 そして敵に同じレベルの魔導師がいるのならば、自分はもっと強くならなければならない。 このままではみんなを、フェイトを守ることができないと思った。

 

『……え、ようやくですか? 遅すぎません?』(マジレス)

「うるせぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

ガジェットは全機撃退し終わり、その報告が中にいるはやて達にも伝わる。

 

「よっしよっし、取り敢えずはお疲れ様やな」

 

一先ずは安心、だがヴィータとキリンの報告を聞いてそんなに落ち着いてもいられなくなった。 ヴィータからは、ガジェットの強化とティアナの事を。 キリンからはキャロに似た召喚師と黒い槍使いの騎士の存在。 どちらも今後何とかしなくてはならないことである。

 

「ん〜まぁティアナの事はなのはちゃんに任せてもええんやけど〜問題はキリン君の報告にあった騎士やな」

 

スカリエッティに魔導師が強力している、それは管理局に裏切り者、ないしは内通者、または洗脳されている人間がいることを示している。 しかもキリンと接戦を繰り広げたと聞く、それほどの実力を持った魔導師が敵に回るのは非常にやっかいである。

 

「う〜ん、取り敢えず後で労ってあげますか!」

 

「よく頑張った」、そう言葉にするだけできっと慰めになる。 言葉の力をかつて教わったはやては疲れたみんなのための言葉を考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う〜ん、やはり素晴らしい……!」

 

どこかの研究所、キリンとゼストの戦いをモニターで見ながら感嘆の声を上げるのはガジェットを作り、今回の一連の事件の首謀者、『ジェイル・スカリエッティ』。 彼はキリンを見ながら狂った笑顔を浮かべる。

 

「無限の魔力、それだけならさほど興味も惹かれないが……引き出せる魔力量は半端ではない! 騎士ゼストとの戦いはルーテシアに被害がいかないように100万程度に収めていたが……私の考えが当たっていれば今の彼は500万はいくだろうね」

 

誰も聞いていない中、スカリエッティは自分の想像をひたすらに吐き出す。

 

「あぁ……あの肉体でそれほどまでの魔力を運用することが本当に可能なのだろうか? まるで彼は肉体と精神が分離しているみたいに肉体への負荷を考慮していない。 出来ることならその身体をとことん解析したいよ……」

 

スカリエッティは振り返り両手を広げる。

 

()()()()()()()()()()()()() ()()()()()

『…………』

 

スカリエッティが問いかける。 問いかけられた主は人間ではなかった。 人の形どころか生物の形もしていない。

 

その見た目は『()()()()()()()』のような、非常に小さな形をしている転生者であった。

 




ほら転生者が増えてしまったよ。 どうしてくれるん?

次回は淫獣出して、ティアナやって終わり! どうしてもフェイトの出番が少ない……少なくない?

今回も誤字脱字等のミスがありましたら、コメントにてお教えください。
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