あれから数時間。基本訓練から始まり、2回戦の相手である大洗戦を想定とした動きを重点的に練習していった。
「よーし、今日の訓練はここまで!次の2回戦、大洗戦まで気を抜くんじゃないぞー!」
アンチョビ姐さんの号令で今日の訓練が終了する。
皆が解散していく中、私を含め何人かがその場に残っていた。昼休みにクスクスから聞いた通り、これから作戦会議があるのだ。
残ったのは、アンチョビ姐さんとペパロニさんとカルパッチョさん。そして小隊長である1年生4人組。クスクス、ラザーニャ、テリーヌ、そして私 リコッタだ。
「諸君、今日もよく頑張ってくれた!お疲れのところ悪いんだが、もうちょっと付き合ってもらうぞー。カルパッチョ、ペパロニ、例のものを!」
副隊長の2人が近くのCV33の上に置いてあった板のような物を下ろして地面に立てた。
それはCV33の等身大パネルのようなものだった。
「なるほど、これを配置して敵を撹乱させる作戦ですか。」
隣に立っていたテリーヌが発言をした。
なるほど。確かに遠目からではすぐに偽物とはバレないだろう。
「うむ、その通りだ!そしてその隙に我々は別方向からの攻撃を行う。これを私はマカロニ作戦と命名した!」
作戦名は兎も角、機動力を重視としたアンツィオにはうってつけの作戦であろう。流石アンチョビ姐さんといったところである。
「うぉぉお!ドゥーチェすっげー!!」
「これなら大洗のやつら、絶対騙されるっすよ!」
どうやらクスクスやラザーニャも絶賛のようだ。
「明日からはこのマカロニ作戦を中心に訓練をしていく。小隊長である お前たちには他のメンバーへ細かい支持を出して、みんなを引っ張っていってほしい!目指せ悲願の2回戦突破...じゃなかった、優勝だっー!!」
それから私たちはマカロニ作戦の詳細や各車両の展開について等、細かく指導を受けていった。
ーーーーーーーーーー
「リコ、いま帰りか?途中まで一緒にどうだ?」
作戦会議が終わった後も私は戦車倉庫に残り、備品やパーツ等の確認を行っていた。
そして日も暮れ暗くなった頃に帰ろうとする私に声をかけたのは、他でもないアンチョビ姐さんだった。
もちろん断る理由も無く、私たちは校舎を出て帰り道を歩いていた。
「もうお前と出会ってから3年以上経つんだよなぁ。早いもんだ。」
「そうですねー。姐さんと一緒に戦車道やってるなんて、昔の私が聞いてもきっと信じませんよ。」
「まったくだ。あの問題児が今では我がチームの小隊長とは、人生わからないもんだなぁ。」
「あ、ひどい姐さん!そっちだって昔は三つ編みに丸眼鏡で完全に別人だったじゃないですかー!」
「ば..ばか!人を見かけで判断するなって言っただろ!それにあの格好は今でもたまに...いやなんでもない!」
それからも話題は尽きず、私たちは帰路の間に色んな話で盛り上がった。
最近読んだ少女漫画の話、学校の近くに美味しい喫茶店ができた話、姐さんのツインテールがウィッグではないかと噂が流れている話。
「じゃあ私はこっちだから。寄り道しないで帰るんだぞ、リコ」
「はい、姐さんも。じゃあ、また明日!」
「うん。また、あした」
何気ない会話。いつもと変わりない日常。
また明日、学校に行けばアンチョビ姐さんと会える当たり前。
だけど...「また、あした」 その約束が果たされる事は無かった。
それは、私にはちっとも笑えないことだった。
プロローグはここまで。
世界は再構築する。