私はクスクスをその場に残し、3年生の教室へ向かって走っていた。
アンチョビ姐さんのいるクラスへと向かって。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ...!!」
朝から少し感じていた違和感。冗談で言っているとは思えないクスクスの話。
むしろ冗談であってほしいと思っている。今なら学食1週間の奢りで許すから!
「アンチョビ姐さんっ!!」
教室の前に着き、勢いよく教室のドアを開ける。
部屋中を見回すが彼女は見当らない。
「ちょ..ちょっとアンタ、1年生でしょ?いきなり上級生のクラスにやってきて何事?」
近くにいた3年生の生徒が私に声を掛けてくる。
「あの...!アンチョビ姐さんは!安斎千代美さんはいませんか?!戦車道チームの隊長をやっていて、このクラスにいる筈なんですけど!!」
必死な私の問い掛けに驚きを隠せない彼女だったが、
「いや、安斎なんて生徒うちのクラスにはいないし、そもそも戦車道とかアンツィオでやってる奴いないでしょ。」
返ってきた言葉はクスクスの時と同じものであった。
ーーーーーーーーーー
次に私は戦車倉庫へ向かった。
毎日のように通っていた戦車倉庫。もしかしたらアンチョビ姐さんもそっちにいるのかもしれない。
新しい作戦の準備の為に、1人で準備をしているのかもしれない。
だがそこで待っていたのは、長い間放置され埃にまみれたCV33やセモベンテたちだった。
「そんな...なんで...?」
絶望し、その場に立ち尽くしていた私に誰かが声を掛けてきた。
「おいおいアンター、ここはアタシの昼寝場所なんすから立ち入り禁止ッスよー!」
聞き覚えのある声。その声の方、CV33の背後を覗くとそこには小さなテントが張ってあった。
そしてその中から出てきたのは、
「ペパロニさん!!」
見間違う筈もない。戦車道チームの副隊長であるペパロニだった。
「良かった!!ペパロニさん、何かおかしいんですよ!戦車道が無くなってアンチョビ姐さんまで見つからないんです!私もう、訳が分からなくて...」
良かった、希望が繋がった!そう思うと今までの焦りや不安が一気に溢れ出し、足腰の力が抜け落ちた私はその場に座り込んだ。
「いや..なんか感極まってるとこ悪いんだけど、アンタ誰?アンチョビ..姐さん、って誰さ?」
ーーーーーーーーーー
あれから何度もペパロニさんに問いただした。戦車道のこと、私のこと、そしてアンチョビ姐さんのこと。
しかし何度聞こうが返事はNO。何も知らないという。
終いにはしつこく聞き過ぎたせいも有り、彼女を怒らせてしまった。
流石にその場に留まることも出来ず、私はまたこうして校舎の廊下をトボトボ歩いているのだった。
そんな私に追い討ちのようにやってくる出来事。
廊下ですれ違ったのだ。アンツィオの制服を着て、当たり前のように歩いていたから一瞬分からなかったが、
2回戦突破の為、何度も見直した映像に写っていた少女。
ここに居てはいけない筈の少女。
「なんで貴女がここにいるの...?」
戦車道全国大会2回戦の相手、大洗女子学園戦車道チームの隊長。
「西住みほっ!!」
報告︰おそらく次の話からになると思いますが ペパロニ、そしてカルパッチョの本名が出てきます。
こちらは公式ではまだ発表されていない為、この作品でのオリジナルの本名になります。
その点ご了承お願いします。