西住みほ。戦車道 西住流の家元である西住しほの娘であり、黒森峰学園の戦車道チーム元副隊長。その後大洗女子学園へと転校。
そして、戦車道全国大会2回戦で私たちアンツィオ高校と対戦する相手チームの隊長である。
「なんでアナタがアンツィオにいるの?まさか隊長自らが偵察かしら!」
「ふぇ?!あの...私、この春からこの学校に転校してきたんですが。隊長って一体?」
春から転校?どういうこと?西住みほが転校したのは大洗女子学園の筈では...。
また記憶と現実が噛み合っていない。
「西住さん、どうしたの?お知り合いの方?」
「あ、軽辺さん。ううん、初対面だと思うんだけど..何処かでお会いしましたっけ?」
「カルパッチョさん...」
私たちに話し掛けて来たのは、紛れもないアンツィオ戦車道チームのもう1人の副隊長 カルパッチョさんだった。
「カルパッ...いえ、軽辺さん。私と以前会ったことはありませんか?」
「いいえ、貴女とはこれが初対面だと思いますけど。」
そうか。カルパッチョさんも私の事を知らないのか。
多少なりとも予想はしていたが、やはり辛いものがある。
「すいません変なことを聞いて。私の勘違いだったみたいです。西住さんも驚かせてしまってごめんなさい。」
「え、えぇ...」
私は深々と頭を下げ2人に謝罪し、その場を去った。
1度落ち着いて考えをまとめたかった。
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誰も居ない屋上に着いた瞬間、今までの疲れがドッと来たようで 私はその場に座り込んだ。
「もぉ~一体どうなってるのよ...。訳わかんない!」
などと叫んだところで状況は何も変わらない。
兎も角、今は現在置かれている状況を整理せねば。
先ず、戦車道チームのメンバーが私の事を覚えていないこと。正確にいえば、私が戦車道を始めた後に知り合ったメンバーが私を知らないのだ。
この世界ではペパロニさんやカルパッチョさんも私とは初対面の状態だった。
次に、現在のアンツィオ高校には戦車道が存在しないこと。
戦車道が存在していないのだから、戦車道で知り合う筈のメンバーとの接点も消えてしまったという事だろうか。
そして、大洗女子学園に転校している筈の西住みほがアンツィオに転校していること。先程の様子からカルパッチョさんとは友人関係になっているらしい。
お互い2年生ということで同じクラスなのだろうか。
最後に私が1番精神的にキテいる問題。
アンチョビ姐さんがアンツィオにいないということ。
つまりはこういう事だ。アンチョビ姐さんがアンツィオにいない→アンツィオの戦車道に人が集まらず廃れる→戦車道がないからカルパッチョさんやペパロニさん達、戦車道メンバーとも知り合わない。
「もーー何処にいるんだよ、姐さーん!!」
私の叫び声は唯々、空へと響き消えていくだけだった。
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放課後、私は2年生の教室へと向かった。
もう1度西住みほに会うためだ。
先程は焦りや混乱もあり殆ど話せなかったが、やはり現在の状況の中でも異質である彼女の存在について改めて確認しておきたかった。
しかし結果は、
「あら、西住さんならもう帰ったわよ。」
残念ながら空回りに終わってしまったようだ。教室にはカルパッチョさんしか残っていなかった。
「ねぇ貴女、お昼に会った子よね?やっぱり何処かで会ったことあるかしら?」
「いえ、あれは私の勘違いだったんです。...あの、勘違いついでにお伺いしたいんですが。アンチョビ姐さん、アンチョビさんのことご存知じゃないですか?」
私はダメ元で聞いてみた。少しでもいい。彼女の情報が欲しかった。
「アンチョビ...アンチョビ...うーん、聞いたことないかなぁ。それって本名?」
「本名は安斎、安斎千代美です。知らないですよね、やっぱり」
やっぱりダメか...。この学校にはアンチョビ姐さんを知る人はいないのだろうか。
「安斎千代美さんって戦車道の?知ってるわよ。」
一体この先どうすれば...。ん?いま、何と??
「安斎さんなら大洗女子学園の戦車道チームの隊長をやっているわ。私の友達にたかちゃんって子がいるんだけど、その子が一緒に戦車道をやっていて教えてくれたの。」
そうか。西住みほがアンツィオにいたのなら、その逆も有り得たんだ。
そうと決まれば、
「ありがとうございます!いま大洗の学園艦ってどの辺りにいるか知りませんか?私、どうしても安斎さんに会いたくて!」
「あら、それなら問題ないんじゃない。だって明後日の寄港先、大洗の学園艦も一緒に停泊予定なのよ。」
希望はまだ、繋がっていた。
カルパッチョの本名ですが、参考に色々ネットで調べていた結果、軽辺 日向(かるべ ひなた)という名前に決まりました。
ひなちゃんというあだ名と、軽辺っち→かるべっち→カルパッチョというちょっと強引ながらも納得のいく意見を使わせてもらいました。
ペパロニは...どうしようかなぁ(汗