ネタばれあり)CoCシナリオ【思草】の日記 作:mono93
【リーザ=ハーヴェイの日記】
0.
人間とは何だろう?
化け物とは何だろう?
偽りとは?
本物とは?
彼女との出会いと別れの後で私はずっとそんな事を考えていた。
・・・。
1.その後
あの事件以来、私はあの桜の下で花見をする様になった。
彼女と約束をしたパンを届けながら街ゆく人を眺めていた。
『今回は浅草を見てきました。雷門凄かったですよ。』
『後はそうですね、新作のアンパンの名前を考えていまして...』
彼女が眠る桜に向かって声を掛ける。
御土産に幾つかの写真と新作のアンパンを持ってきた。
記憶を頼りにあの時見た地図に付けられた歪な赤い丸を追っていた。
彼女の見たかったであろう光景。それをこの場所へと届ける。
もし彼女が一緒にいたのなら、あの日、外の景色を見た時の様にはしゃいでいただろうか?
2.きっかけ
皆の視線から逃げるように異国の地へ来た。
誰かに「自分さえ居なくなれば」と云われるのではないかと思って。
家族と思っている人にそう言われたらと思うと怖くて自分から言い出した。
それは結局のところ自分が皆を信用しきれなかったんだと思う。
『それなら桜ちゃんが、末っ子にナリマスカ?』
きっと深く考えた訳ではなかったけれど。
でもきっと、後悔から出た言葉なのだと思った。
手放してはいけないものを自ら手放した事に対しての後悔。
3.決心
『一緒に帝都を見たい』
『私の作ったパンを食べてみたい』
自分の記憶を知って尚もそう思ってくれた彼女の気持ちは紛れもなく本物だった。
だから私は決意をもって聞いた。
『何処か見てみたい場所はないか?』
『行ってみたい場所はないか?』
(―――そこにお墓を作って貴方を埋めるから。)
彼女は止めるしかなくて、それが意味する事は明白だった。
彼女の夢見る光景は決して誰が涙するものではなく、楽し気で賑やかでなければならない。
私は拳銃を握る手を強めながら、だけれど、せめて少しでも彼女の願いを叶えられるならばと願った。
4.『さくらアンパン』
記憶は偽られたものでも抱いた気持ちは本物だと思う。
それは偽りに囲まれた彼女自身の中で『本物』だったと思う。
だから大事にしたかった。
(自分が彼女だったらどうだっただろうか?)
ふとそんな疑問が頭をよぎる。
(もし仮に私の今までの記憶が偽りだったとして。)
(リーザ=ハーヴェイが化け物だったとしても。)
彼女と一緒に過ごしたいと思っていた事。
毎年彼女との約束を果たしたいと思う事。
彼女の憧れた光景を守っていきたいと思う事。
その気持ちは紛れもなく本物だと思う。
だから自然とその名前が決まった。
可愛くて、純粋で、この街に憧れた女の子。
街を笑顔で彩れる様に。彼女の期待に応えられる様に。