PMC装備で異世界に転勤になりました!? 作:フワフワクド
「起きて!フェルト起きて!」
優姫が腹を叩いて起こしてくるぅー。まだあと半日は寝れるのにぃ〜。
「街の近くだよ!」
その一言で完全に目が覚めた。久々の野菜、久々の風呂、新しいギルド。
あー、括りつけてる奴を尋問しなきゃいけないのか、街から少し離れた森の中でするか?
街の中でいっか
「フェルト!」
「分かってるって。全員車から降りて〜」
俺以外全員降りたのを確認し、手荷物を全て収納。そして最後に、括り付けた奴を降ろしてハンヴィーを収納する。
途中、拘束されてる奴が暴れたり喚いたりしたが、リサが何かしたのか突然大人しくなった。
「ここからは徒歩で移動するぞ、そいつはひきずって行こう」
「ご主人様?」
なんだ?リサからすごい殺気を放ってきてる気が...
振り返ると黒いオーラを放つニコニコ顔のリサが立っていた。片や優姫や、ライラはハイマキと戯れていた。
「俺が運ぶの?」
「当たり前でしょ?あなた以外に誰が運ぶのよ」
有無を言わせぬリサの威圧、ハッキリいって恐ろしいですぞ。
まぁ、先に尋問済ませてこいつの処分の仕方を考えるのも悪くないかな、荷物は軽い方がいいしな。
「リサ、外から中が見えないように結界を張れるか?あと音漏れ防止」
「...出来ない事はないわ。その子を尋問するの?」
「荷物は少ない方がいいからな」
「じゃ、頑張って」
リサのその一言で、目の前に薄い膜が出来た気がする。
音漏れ防止って事でこいつの口の縄をとっても問題ないな。さて、縄を解き、先の尖った細い鉄の串を用意する。
「縄は解いてやったんだ、俺の言う事には全て答えろ。嘘や知らないと答えたら、この棒を指先の爪の付け根から刺していく。傷を治すのは得意だろう?」
どんなものか想像したのか、明らかに顔を真っ青にして震えだしてしまった。
「なぜ俺たちを襲った」
「そ、それはリーダーが、あなた達はカネになるからって」
「賞金首って事か?」
「半分半分って言ったところ。あなた達がいた街の領主に直接依頼されたらしくて、報酬に目が眩んだと...」
そうか、ステインの野郎はオレ達と全面戦争がしたいらしいな。といっても、向こうが仕掛けてこない限り、こっちからは手を出すつもりはないがな。
「お前らは何処の組織の人間だ」
「それは...」
俺は鉄の棒を握り、彼女をうつ伏せにさせる。後ろ手で縛っている為、こうでもしないと手が分からない。
そして左手中指を真っ直ぐにして串を刺す。それも根元まで。
そうすると結界の中には彼女の悲鳴が響き渡る。思わず片方の耳を塞ぎ、片手で彼女の口を押さえる。
時間にして10秒程だったが、彼女はもう気絶しかけていた。
「いいか、もう一度聞く。お前達は何処に属している?」
「...ここから、1番近い街。プロヴァンスの。はぁ、冒険者ギルド...」
「証明できるものは?」
「......ネックレスにカードが付いてる」
俺は彼女の体勢を少し変えてネックレスを引っ張り出す。
そこにはこう記されていた。
カノン
Bランク冒険者
登録国 フレンチェ
得意武器 風魔法 短剣
クエスト受理数 548
クエスト成功数 512
緊急依頼参加数 6
不参加数 3
結構腕がいい冒険者らしいな。
「いいだろう、信用してやる。街には帰してやる、だがそこで俺たちの事を悪く言えばお前の命は無いと思え」
「あ、ああ」
「あと個人的に...」
カノンがビクッと震える。そして目を瞑り右手を握る。
「今夜、俺と...」
耳元でコソコソと呟く。
「あ...し、たい」
彼女は顔を少し赤らめ、小さな声で返答してくる。
「オーケー、串を抜くから我慢しろよ。気絶したら右手にも刺すからな」
引き抜く時には叫ばず声を出すまいと必死に歯を食いしばっていた。
無事串を引き抜き、カノンは自身で治療する。
俺はカノンを引き連れて結界の外に出る。ふとカノンを見ると恍惚とした表情を浮かべてたり...
当然出て行くと全員の目が向けられる訳で、カノンの顔つきに疑問を持ったのか、リサとライラが近づいてくる。
「フェルトさん?結界の中でいったいナニをしてたんですか?メスのフェロモンの匂いがします」
ライラが怖い、目が、目が笑ってないよ。そりゃ結界の中であった最後の一言ぐらいは悪かったと思うけどさ。
「尋問してただけだが...フェロモンに関してはハイマキ達だろ...」
てかフェロモンて...
「そんな事で騙されるバカはいないわよ?」
リサまでこう言いだすとは、知らないで突き通すしか道は無い!キリッ
「そんな事より、彼女の知っている事は全て聞き出した。だからそこの街、プロヴァンスに行くぞ」
「誤魔化せたつもりですか?」
うぐぅ、ライラ鋭い。そういうとこも好きだよ。
「ま、カノンの事は良いじゃん?」
リサはため息をついて優姫とハイマキの所に行ってしまった。ライラは突然顔を真っ赤にし、ガチガチになりながら腕にくっついてくる。そしてカノンを睨む。
カノンもカノンで少しニコッと笑って空いている腕にくっつく。そして俺の手を擦り付ける。どこに、とは言わなくても大丈夫だろう?
まぁ、ライラは気付かずにそのままガチガチ歩いていく。
ハイマキ含め無事街の中に入り、宿も取り終わったところだった。その頃にはライラは腕を離れ、リサや優姫と話しながら歩いていた。カノンは俺の一歩右後ろを歩き、ハイマキ達は俺達を囲っていた。
にしてもこの街の人間は危険察知能力低いのか?ハイマキ達を連れて入るって言っても、あ、そう。だけで済んだし、いったい何なんだこの街。
「ねぇ、フェルト?次はギルド?」
優姫がスカートを翻しながら後ろを振り向き、聞いてくる。しかもチラッと何か見えたぞ...
それにしてもギルドか...ここのギルドは賢いと良いんだがな。チンピラが絡んできたり、無能貴族が絡んできたりしなければ...
絡まれたら絡まれたで、それ相応の処分はするしな。
「そうだな、次はギルドに。それで手慣らしのクエスト受けて終わり」
優姫はりょーかいって言ってまたスカートを翻し、リサ、ライラと話し出した。
それから5,6分歩いているとギルドが見えてきた。ギルドの前には馬やら狼、可愛い系のモンスター?が繋がれていた。やはりこの街はモンスターokな街らしいな、ハイマキ達はここに置いていくか。
「ハイマキ?なんかあったらギルドの中に駆け込んでこい。ちょっかいかけられるまで大人しくしてろよ?街の外に行けれたらご褒美してやるからな。あと、仲間は守れ」
「ワン!」
おっけ!って事だと思う。
ハイマキ達を軽く撫でてからギルドの門に向かう。
女4人、男1人でギルドの門を潜る。
当然注目を集めるわけで、ライラ達が好奇の視線に晒されている。
ライラの腰に手をまわし抱き寄せる、そうすると反対側にはリサが来る。
リサが来るなんて珍しい事もあったもんだ...
優姫とカノンは他の連中には目もくれず、お喋りしながら俺の後ろを付いてきていた。
「今日はどういったご用でしょうか?」
「軽めのクエスト受けたいんだが、ランクはD,Cぐらいで。あと討伐系」
彼女は疑わしそうな、表情をする。表情はそうしてるがキッチリとクエスト依頼表を探している。
出してきたのは
ゴブリン5匹の討伐
4種フェアリー1匹の討伐
この2つだ。
フェアリーは5つに分かれているらしく
1種は知能が高く意思疎通が出来る為、人間と生活する事が可能。魔法が得意。
2種は知能は高いが本能に逆らわず生きている為、結構危険。こちらも魔法が使える。
3種はまんまモンスターである。
知能は低く、好戦的。サイズはフェアリーの中でも1番デカく、130〜150cmはある。その為武器を使う。
4種もモンスター扱いされている。これはゴブリン並の扱いをされる。身体が小さい為攻撃が当てにくく、すばしっこい。魔法と自作の武器を使う。
特種、こいつは主に魔法の手助けをしてくれる妖精だ。このフェアリーに好かれる人もいれば全く好かれない人もいる。目には見えず、声が頭に響くように聞こえるらしい。
その中でも4種を紹介されたのは少し、いや結構カチンとくる。ランク指定までしたのにE,Fランクを出されてくるとは全く思っていなかった。
「...舐めてんの?」
「いえ、そういう訳で...」
突然、ドッカーンってギルドの門が吹き飛んできた。ちなみにハイマキ達は攻撃食らった振りして俺の側までヨタヨタ歩いてきていた。
「おい!このギルドにフェルトって奴はいるか!」
ガタイのいい男が大剣を肩に担ぎながら入ってくる。後ろにはそいつの仲間らしき人物が6,7人いる、そいつらは片手剣やボウガン、槍などを構えていた。
「あれは?」
「このギルドのAランクパーティ『ランサー』です。もともと騎士のランス隊に居たらしいのですが上司とウマが合わず、騎士時代の仲間と冒険者になったと聞いています」
それでランサーか、なるほど。三菱の方思い浮かべちゃったわ、ついつい。
さて、そろそろうるさいんで黙らせに行きますか。
「お前は?」
「お前らが探している人物だ」
「そうか、やっと来たか。お前が俺たちのパーティを9割方崩壊させ、カノンまで奪っていった事に間違いはないな?」
「先に攻撃してきたのは俺たちじゃなかったがな」
そういうと俺は奴らに囲まれ、武器を突きつけられる。
俺は腕を組み、槍を召還する。
「槍、好きなんだろ?」
その言葉と共に彼らは一斉に攻撃を仕掛けてくる。
ボウガンとか、身体に当たってる武器を避ける事も弾く事も出来ない為、そのまま身体を貫通する。
おかしい、身体を貫通してるのに不思議と痛くない。血も流れない。
もしかしてこの槍、攻撃無効の効果とかついちゃってたりする?
『ついちゃってたりします。ですが条件があり、その条件とは攻撃が来る事が分かっていること、です。本能的に危険と察知しても発動するみたいです』
ありがとな。
『いえ...それほどでも...』
尻すぼみに声が小さくなっていく。
なんだろう、目に見えないがとてもニヤついているのが手に取るように分かるぞ...
さて、攻撃無効って事で...
もちろんこれを見ている彼らは目を白黒させ、硬直している。ギルド内にいた冒険者達も何事かと見ていたら、突然この様な事が起こったのである。
無理もあるだろう...
「はははッ...くく。笑わせてくれる、それで終わりか?」
彼らは顔を顰め、武器を俺の身体から引き抜き距離をとる。たった数メートルだが俺にとってはその間合いが無いに等しい、槍だと届かないが誰も槍しか使わないとは言っていない。
《Px4》を召喚し、そのまま片手撃ち。
殺すつもりはないから適当に撃ちまくっている。いくら9mmとはいえ当たると痛い、それに撃ちすぎて死なれたら困るので1人1発ずつ撃っていく。てか貫通した後の弾が怖い、流れ弾で他の人に当たってないといいが...
あれ、こんな光景どっかで見た様な?
気のせい?
「まぁいいや、早く依頼だして?」
受付嬢に振り返りニコッとする。
突然話しかけられた彼女は呆けた声を発し、数秒間停止した。
誤字脱字あれば報告お願いしますー
次話投稿もいつになるかは分かりませんX((