第1話
駒王学園の生徒である市川新二は人見知りであった。誰よりもひ弱で誰よりも影が薄い彼に話しかける生徒もおらず、周囲からは孤立していた。自分から話しかけようとするも無視されることが殆ど。しまいには
バシャン!!
「どうだ根暗! 少しは頭が冷えただろぉぉぉぉぉ~?」
「...」ポタ ポタ
根暗でクラスから孤立している。ましてや、やられてもやり返す勇気のない彼は格好のいじめの対象となっていたのであった。
今日もバケツ一杯の水をぶっかけられる。入学からこれで十数回目だ。
「あぁ? なんだその眼は...よぉ!」
それだけじゃない。蹴られ、殴られ、叩きつけられ、今日も彼はいじめっ子達のサンドバッグとして過ごしていくのであった。
「..っ.っ...っ」
こうやって一日が終わる。これさえ我慢できればいいんだ。彼はそんな淡い期待を寄せながら学校生活を送っているのであった。
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「なんだ...これ。」
市川新二には、人には言えない秘密がある。今から32年前に放送された特撮番組『ゼブラーマン』のコスプレをするのが趣味なのであった。
低視聴率で僅か7回で打ち切りとなった不人気番組であるが、彼は偶然この番組を見て大ファンとなってしまったのである。
それ以来夜中になると彼はゼブラーマンというヒーローのコスプレをして鏡でポーズをとったりするようになったのである。
『今日はいっそのこと公園辺りまでこのまま散歩(パトロール)』
それがいけなかった。この時、調子に乗ってコスプレをしたまま外出をしようなんて考えなければ殺人現場に居合わせることもなかっただろう。
「き...君...まさか...」
「あら、どうやら見られてしまったようね。まあいいわ。」
槍の様なもので貫かれた死体。制服から自分と同じ高校だということが解る。
そして目の前にいる女性。背中からはカラスの様な翼を生やしている。
「ひっ、ひぃ!?」
訳が分からなかった。公園に行ってみたら殺人現場に遭遇してしかも犯人らしき女性は人間とは思えない姿をしていて
「死になさい」
光の矢が投げつけられる。市川新二は死を覚悟した。
投げられた光の矢は段々ゆっくりと迫っていく...
「...あれ?」
ゆっくりと迫っていく...
「...」
試しに横に移動してみた。
「運が悪いわねぇ...最悪なタイミングにでくわすなん、!?」
「...へ?」
普通に避けることができた。ただ横に歩いただけでだ。最初は向こうが手を抜いてるのかと考えたが、表情からして本当に殺すつもりで攻撃をしていたことがわかる。
「だったらこれでどうかしら!!」
そういって先程の矢をいくつも男に投げる女性。それらは全て男の元へと向かっていき
「...あり?」
全てを避けられた。
「!?!!?」
女性...堕天使レイナーレは訳が分からなかった。
兵藤一誠の抹殺を完了させて、たまたま普通の人間に現場を見られてしまったから口封じの為に殺そうとしたのに...殺せなかった。
「...」
一方で、ゼブラーマンのコスプレをしているただの一般人...市川新二は今の自分の状態がどうなっているかを考えていた。目の前にいる異形の攻撃をいともたやすく躱す自分...そうか
「な、何!?」
「...白黒つけるぜ。」
そう言った
「一体「俺の後ろに...」!?」
振り返ろうとするがもう遅い。
ヒーローが必殺の構えをする時...それは悪にとっては死刑宣告であるから。もう彼女は避けることができない
「立つんじゃねぇ!!」ドゴォ!!!
決め台詞とともに放った蹴りは堕天使を吹っ飛ばす。
「...とう!!」
夜の公園にて一人のコスプレ男の勝利のポーズが月夜に照らされている。その姿はまさしく彼の憧れていたヒーロー...
ゼブラーマン!!!
To be continued?