ハイスクール白x黒   作:執筆使い

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前回に引き続き主人公の出番は余りありません。
後、展開が少々強引なので注意です。


第10話

 

 

 

 

 光の矢を避けては拳を振り回し、避けては振り回し...攻撃手段が左腕の神器で殴りつけることしかない一誠はそういった戦いを展開していた。はっきり言って状況はかなりまずい。

 彼は近接特化のパワータイプである。近接中心の同レベル相手ならば力押しでどうにかなるが、相手はどちらかと言えば遠距離型で格上の相手。現に何発かは光の矢が掠れて徐々に身体を蝕み始めていた。

 

 

「そろそろかしら? 正直此処まで粘るとは思わなかったけど」

 

 

「ガフッ、ゴフッ...ゼェ...ゼェ...」

 

 

 数十発目を避けた辺りだろうか。とうとう片膝を付き息を荒げながら動きを止めてしまう。

 対する向こうは殆ど無傷、顔にかすり傷が一つ出来ている以外は外傷は全く見えないのだった。しかしその傷でさえ、見る見るうちに塞がっていく。

 

 

「そ、それは...」

 

 

「あら、気付いたかしら? これはね、あの娘から奪った神器なの」

 

 

 彼女が指差す方には既に物言わぬものとなった少女。彼の脳裏に浮かんだのは彼女の言葉。

 

 

『この力は主が私に下さった力...例え悪魔と言われようと、異端者と言われようと私はこの力を持って誰相手でも分け隔てなく救いたいんです』

 

 

 その純粋な彼女の言葉が何故か悲しげで、心に残っていたのだった。

 今になってわかる、彼女は優しかった...優しすぎたんだと。その気になれば裏切ることも可能な筈なのに、最期までそれをしなかったのは、堕天使でさえ救いたかったからなのではないかと。

 

 

「前の持ち主は他人の為とかなり勿体無い使い方をしていたけれど、これは悪魔だろうと堕天使だろうと全ての傷を癒してくれる素晴らしい神器なのよ。これさえあれば私の地位は約束された様なもの。貴方を殺した暁には...」

 

 

 それ以降の言葉は彼の耳に入らなかった。力を入れて立ち上がろうとする一誠、だが視界はボヤけ思う様に立てない。

 

 

「俺は...こんなところで...」

 

 

 

 

 

 

 

 Side 一誠

 

 声が聞こえた

 

 

 力が欲しいかという声が。

 

 

 幻聴なのかと最初は思ったのだが、どうやら違うらしい。そいつは巨大な赤い竜だった。そして思い出した。こいつは俺が一度死んだ時にも同じような事を言っていたこと...そして夢の中にいた二匹の竜の片方と同じだったことを。

 

 

「ようやくか...何度も、何度も声を掛けたのだが、今代の赤龍帝はどうも力が弱いのだな。まさか死に掛けの時にやっとまともに話せる様になるとは」

 

 

 その言葉を聞いて俺は自分がいかに無力なのかを思い出し、悔しさで一杯になった。

 

 

「悔しいか? 大切なものを救えなかったどころか、一矢報いる事さえ出来ぬまま、死んでしまうのが?」

 

 

「ああ...」

 

 

「成る程...先程の発言を少し訂正させてもらおう。心だけは、意思の強さならば歴代の中で...中の下ぐらいはあるな」

 

 

 それでも中の下ぐらいかよ。という言葉が出かかったのを喉の奥にしまいこみ、俺は目の前の竜を見上げた。

 その時だ。俺の左腕にある神器が光り出したのは。

 

 

「お前はまだ完全にそいつを使いこなせてないが...どうやら次の段階へは行ける様になったみたいだな」

 

 

「どういう事だ?」

 

 

「お前の求める力...奴に一矢報いるどころか圧倒出来る力を使える様になったという事だ」

 

 

 言うが早いか光はよりでかくなり俺の身体全体を覆う。そしてその光は強くなり、視界が眩んでいく。

 

 

 

「我が名はア・ドライグ・ゴッホ。今代の赤龍帝よ、その力を持ってこの世に君臨するがよい。白黒の意思を受け継ぐ者と共に...」

 

 

 その言葉を最後に赤い竜...ドライグの声は聞こえなくなる。代わりに頭の中に左腕の使い方が浮かび上がったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて...そろそろ終わりにしましょう」

 

 

 片膝をついたまま俯いていた一誠に対してそう呟くレイナーレ。

 

 

【Boost】

 

 

「無駄よ。所詮貴方はただの雑魚。1が2倍になったところで10には勝てないのよ」

 

 

 彼女は彼の悪あがきを見て、まるで悪魔の様な微笑みを浮かべながらゆっくりと光の矢を右手から出現させた。

 一際大きい事から彼女が目の前の男を完全に殺すつもりだというのがわかる。光の結界に閉じ込められている木場と小猫はまだ脱出出来そうにない。

 

 

「これで終わりよ!!」

 

 

 だが彼は諦めなかった。どんなピンチだろうと、ヒーローというものは決して

 

 

【Boost】

 

 

 悪を前に屈する様な真似をしないのだ。

 彼は立ち上がった。その目は真紅の如く赤く燃え上がる闘志が湧いている。

 

 

「二度目の倍加!? 竜の手は一度しか出来ないはず...まさか?!」

 

 

【Boost Burst】

 

 

「プロモー...ション!!」

 

 

 突然だが、チェスというのにはプロモーションというルールが存在する。歩兵が相手の陣地まで到達した際に、王を除くいずれかの駒になれるというルールが。

 それは悪魔の駒も例外ではない。此処...教会はいわば敵の本拠地。プロモーション出来ない理由が存在しない。

 

 

「赤龍帝の...?!」

 

 

 彼女が怯んでいる一瞬、その間に彼は間合いを一気に詰めた。彼が選んだ特性は後輩であるヒーローの駒。その特性は高速移動。三度の倍加と合わせて使った事により、そのスピードは途轍もないものとなる。

 

 

「くっ」

 

 

 右手に矢を持ったまま後ろに下がる堕天使。もし一誠が万全の状態だったならば追い付けるのだが、彼は連戦に加えかなり無茶な戦いをしてた為かそこで限界だった。

 

 

「残念だったわね!!」

 

 

 その事に気付きほくそ笑む堕天使。だが、彼女は知らなかった。

 

 

 バコン!!

 

 

 昔から、ヒーローというものは遅れてやってくるのだという事を。後ろを振り向くとそこにいたのは扉を蹴破りこちらへ向かってくる白黒ヒーロー。

 彼は自慢の耳である程度の事情を把握していた。故にそのままの勢いで堕天使に突っ込んでいく。

 

 

「ならば!!」

 

 

 上にと思った瞬間、片方の翼が斬られる。それをやってのけたのは二人の悪魔。

 

 

「やっと...破る事が出来ました」

 

 

 漸く結界を破った彼らは、城兵が騎士を投げ飛ばすことによる超加速の一閃により二人のヒーローの援護を行なった。

 

 

「後は頼んだよ、二人共」

 

 

 前と後ろで挟み撃ちとなり、最早逃げ場の無い堕天使。最初にあった余裕など全くない。兎に角逃げようと急いで行動に移そうとするが遅すぎる。

 

 

【Explosion】

 

 

「ドラゴン...」

 

 

「ゼブラ...」

 

 

 それは悪を討つ必殺の拳

 

 

「「スクリュー...」」

 

 

 それは皆に希望を与える熱い炎

 

 

「ま、待って!! 今止まれば貴方達の願いはなんでも叶えてあげるわ!!」

 

 

 それは、決して揺るがない意思

 

 

「「いらねぇよ、そんなもん」」

 

 

「あの娘...アーシアを生き返らせt」

 

 

 彼女の失敗は、格下だと思って侮った事

 彼女の失敗は、ヒーローを怒らせてしまった事

 彼女の失敗は、悪の道に走った事

 

 

「「パンチ!!」」

 

 

 空間そのものがひび割れた様な轟音と共に彼女の胴体に必殺の一撃が突き刺さる。圧倒的なダメージは彼女が奪った神器でさえ癒しきれずに全身を駆け巡る。

 

 

 二人が引き起こした強大なエネルギーは彼女の身体を駆け巡り

 

 

「そんな...嘘よ...嘘よォォォォォ!!!」

 

 

 

 

 ドグォォォォォォォンッッッッ!!!!

 

 

 

 

 

 一際大きい爆発を引き起こした。

 

 

 

 

「この世に悪がある限り」

 

 

「俺たちは何度でも立ち上がる」

 

 

 爆発をバックにポーズを決める二人。その様はまさしく英雄のそれだった。

 

 

「「俺たちは...正義のヒーローだ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 後に現場を目撃した木場と小猫はその様子をこう供述する。

 

 

『まるでテレビの特撮のワンシーンを見ている様だった』と

 

 

 To be continued...

 

 

 

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