-負けられない戦い-
旧校舎に存在するオカルト研究部...今現在そこには異様な雰囲気が漂っていた。
ムグムグムグムグ!!
ジュルルルル!!
ゴクン!!
一際大きい咀嚼音と共に二人の部員が睨み合っている。目の前には巨大な緑色のゼリー。
「「まだ...まだ...っ!!」」
負けられない戦いが今此処で繰り広げられていた。
〜数十分前〜
「はぁ...」
一際大きいため息と共に項垂れる部長。彼女がそうなっているのは、目の前の巨大な箱のせいだった。
つい先程、魔界にいる自分の兄から差し入れとしてあるものが届いたのである。曰く、
『最近頑張ってるリーアたんにご褒美だよ!』
だとか。自分の憧れている兄からの差し入れに嬉しさを浮かべていた彼女だったが、送られてきたものとその量を見てすぐさま頭痛を浮かべる羽目になる。
「忘れてた...お兄様がプライベートではどんな人物かって言うのを...」
orz 彼女の今の心境はこの一言に尽きる。
送られてきたものは別名エイリアンゼリーと呼ばれる魔界で最近ブームのお菓子。見た目はあれだが味は意外にも絶品...だが、
「どうしてキロ単位で送って来るのよ!!」
その量は...仮に1日ひとつまみを朝昼晩繰り返しても一年以上は完全に無くならないという代物だった。
「失礼します...!? なんじゃこりゃあ?!」
副部長を筆頭に、後から入ってきた部員達もその光景に驚きを隠せないでいる。
そんなこんなで、この異物をどうすべきか部会にて話し合いをした結果食べて消費させるという結論に至ったのだ。
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そして今現在...リアス、朱乃、木場、一誠が既に脱落し、残っているのは二人。
「やりますね、ムグムグ、まさか私と同じくらいの大食いがいたとは、ムグムグ」
「こちらこそ、ジュルジュル、まさか小猫さんが、ズルルルル、凄い食べっぷりだとは、ゴクン」
その小さな体からは考えられない程の健啖家である塔城小猫。そして、我らがヒーロー市川新二である。
「ぐふ...しかしまさか...小猫ちゃんはともかく新二まで大食いだったなんて...」
「人は見かけによらないって昔からはいうしね...げふっ」
「あらあら、隠れた才能ですかね?」
「なんにせよ...二人だったらやれるかもしれないわ」
脱落組は少しばかり(物理的に)膨れたお腹をさすりながら、離れた場所でその様子を見ていた。
ジュルン! ジュルルル!! ヂュウウウウウウウ!!
効果音だけを文面に表すと変な風に誤解を受けてしまう様なシュールな光景だろう。だが、当の本人達は真剣そのものだった。
方や、オカ研の先輩として負けられない意地
方や、ヒーローとして負けられない意地
全てを消費する為に行われた大食いはしかし、いつの間にか負けられない戦いへと発展している。皿に盛られては消え、皿に盛られては消え、兎に角余りの速さに脱落組全員が両者の一連の動きを捉えきれずにいた。
「...どう見る? 木場」
「そうだね...小猫は城兵のパワーを活かしてひとつまみ大きな塊を両手で掬い食べている。この方法の利点は一気に減ることが可能ということだろう。だけど咀嚼の時間が多少かかりロスとなってしまうという欠点がある」
確かにな、と頷きながら一誠はもう片方の様子を見て自分の見解を言う。
「対して新二は...まるでストローみたく筒状にして吸っているな。あれならいちいち噛む必要なく喉に流し込めるからタイムロスなんてない。ましてや物凄い勢いで吸い込んでいるからみるみる内に減っている。だけどやっぱりスピードは僅かに劣っている」
そして二人は同時にこう言うのだった。
「「うむぅ...一体どっちに白星が上がるんだ?」」
「いや、結構真剣に分析しているところ悪いけどこれ唯の大食いだから。お兄様から貰ったアレを消す為の共同作戦だから。それに小猫と新二君、もう充分だからまた後日にしましょう。それ以上は色々とアウトだから」
リアスがツッコミを入れるが二人は解説を止める気がなく、それどころか部長である彼女に肩を置いて何がおかしいんだ? とでも言いたげな表情を浮かべる。
「そうね、どうやら私がおかしいみたい...ってなるか!! ねぇ私がおかしいの?! どう考えても貴方達二人とこの光景がおかしいと思うんだけど?!」
哀れリアス・グレモリー。最早この場には彼女以外常識を持ち合わせている人物はいなかったのだ。彼女の叫び声はゼリーを食べる効果音とともに消えていく...
〜数分後〜
「「ごちそうさまでした」」
結果は引き分け。彼らは戦いを終え互いの健闘を讃えるかの如く握手をしている。
...両者の今現在の姿さえ普通であれば熱い光景だろう。彼らは巨大な球体のような体型となっていたのだ。
それもそのはず、いくら悪魔として転生して、元が大食らいだからといってあれだけの量を掻っ込めばどうなるかは小学生でもわかる。何気に床がミシミシ言っていることからも、二人がどの様な状態かは明白だった。
「とりあえず、これだけは言わせて欲しい。今回の対決は白黒つけられなかったが...」
市川は締めとして言葉を連ねる
「丸く収めたぜ」
「どこがよ?!」
オカルト研究部の部室から、一際大きなツッコミが頭痛と共に響き渡ったのだった。
-ヒーローの夢-
「グワッ?!」
一際大きい金属音と共に、我らがヒーローゼブラーマンが吹き飛ばされる。恐ろしい事に彼には左腕がなかった。
彼は目の前の自分の腕を切り落とした張本人を睨む。
「ギシャシャシャシャ...」
それは巨大な蟹だった。兎に角巨大で、強そうな...一際大きいハサミで金属音を鳴らしながらジリジリと近付いていく巨大蟹の怪物。
「万事休すか...」
その時、彼女は現れた。
蟹型の怪物が爆発と共に消え去ったかと思うと一人の女性...まるで看護婦の様な、一歩間違えればR-18指定されそうな衣装を身に纏って現れた。
「アーシアさん?! というかどうしたんですかその格好!?」
「アーシアさん? 何を言ってるんですかゼブラーマン...私は正義の味方」
女性は巨大な注射器を出現させてポーズをとる
「ゼブラナースよ!!」
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「ハァッ?! ぜぇ...ぜぇ...夢...?」
ベッドから飛び起きた新二。全身は冷や汗でグッショリと濡れている。
「...なんちゅう夢見てるんだろ、僕」
途中で覚めてしまった事に安堵する一方で、このまま続いてたら...と少しばかり悔しがる。
「寝なきゃ...」
時計を見てみるとまだ夜中の二時だという事に気づいた彼は、再び眠りにつくのであった。
To be continued...