Side 市川
説教を終えて直ぐさま僕達は全員総出で別の場所へと移動した。どうやら副部長曰く、はぐれ悪魔が出たとのこと。そういう訳で道中と戦闘中にて僕と兵藤先輩は悪魔の駒について、またそれを用いたレーティングゲームの説明を部長から聞かされているのだが、頭に入ってこない。
昨日からどうも心の中がモヤモヤしてしまう。はぐれ悪魔の魔の手から困っている人を救えば叱られ...別の日に助けたあの少女がシスターだということで叱られる上にもう彼女には関わるなという言葉...確かに部長の言うことはわかる。僕や兵藤先輩の身を案じてあんなセリフを言ったって事は...でもそれが、僕の思い描いていたのとは少しかけ離れていて...
「うぅ...僕は...」
何モ迷ウ必要ナンテ無イダロウ?ソノチカラデ全テ黒ク染メ上ゲテシマエバイインダカラ
っ!? 今のは一体...
「市川君?! 危ない!?」
木場先輩の一言で僕は我に返った。
「うわぁっ!?」
けれど既にさっきのはぐれ悪魔は避けられない距離まで近づいて来てたから、僕は何も出来ずにただ一瞬棒立ちになってたのだろう。鈍い衝撃と共に目の前が真っ白になる
はぐれ悪魔から強烈な一撃を喰らってしまった市川は部室にて、目を覚ます。夜も更けて、月明かりがもう一人の人物を照らしていた。
「気が付いたかい?」
「...木場先輩。僕...」
情けなかった。自分がもっとしっかりしていて、他の事に意識を向けなければ今回の様な迷惑はかけなかった筈だ。それなのに自分は...
「どうしたらいいのかわからない、って顔をしているね」
「...憧れの人の様に頑張っても、それが無茶だと言うのはわかっていました。でも...だからと言って僕は...」
「...君を見ていると昔の僕を思い出すよ」
「昔の...先輩?」
月明かりに照らされた青年は美しく、そして何処か悲しげに見えた。まるで過去の凄惨さを少しでも再現するかの様な調子で彼は話し出す。
「僕は...誰一人救えなかった。誰一人も...そして部長の眷属になってもその気持ちは薄れてはいない。日に日に...僕は無茶ばかりしていた。そして、それは今でも変わらない」
「先輩...」
まさか、目の前の好青年が自分と同じ...嫌、それ以上の悩みを抱えていたとは。市川は驚きそして目を見開いていた。
「部長が君の事を、頑張りは充分すぎるほど認めるけど、危なっかしいって言ってたよ。決して君のことを邪険に扱っている訳じゃない」
「先輩...」
月が雲に隠れて、明かりが消えて暗くなる。だが市川は青年が光り輝いている様に見えていた。
..................................
....................
............
翌日、市川と木場は早朝の人気のいない場所で特訓をしていた。あの後、木場の言う事に思うところがあったのか市川は弟子入りを懇願したらしい。最初は戸惑った木場ではあったが、同じ騎士である上に後輩の頼みを無下にする訳にもいかず、現在に至るという訳だ。
「さて...市川君。騎士の特性とは何か、わかるかい?」
「えー...と。高速移動ができ、戦場を縦横無尽に掻き回したり直ぐさま離れた味方の連携やサポートができます」
「正解♪」
「...あのー、先輩...」
これだけ聞けば何処にでもある熱血漫画とかで見かける光景だろう。
市川が上半身をロープでがんじがらめに縛られて、木場が魔剣を取り出し臨戦体勢に入っていなければ。
「ん? どうしたんだい、市川君?」
「僕...これからどうなるんでしょうか?」
恐る恐るそんなことを聞いてみる市川。これから起こる事は出来れば間違いであって欲しい。物凄く死の匂いしか感じない。なんて事を内心思っている。
「僕はこれから君に斬りかかる。君はどんな方法を使っても構わないから、その足を使って全力で逃げ回るだけさ」
「...大丈夫ですよね?」
大丈夫だと言って欲しい。いじめられっ子の危険探知本能は間違いであって欲しいという思惑が彼の心を覆う。
「大丈夫だよ」
だが、現実は残酷かな
「死なない程度には手加減するから」
妖しく輝く魔剣の反射光が見えると同時に、彼の今までの思い出が走馬灯として頭の中を流れる。嗚呼、自分はこれから地獄を味わうのだな。そう思いながら悟りの境地に少し立ち入った状態で剣撃を避けていくのだった。
..................................
....................
............
「...で? それが新二君が真っ白な灰みたいに燃え尽きている顛末ということかしら?」
「はい...」
「全く...彼は未知数であると同時にまだまだ未熟なのよ。いきなりそんなハードな練習したらどうなるのかわかってるでしょ?」
「つい張り切ってしまって...」
放課後、今度は木場が部長に説教をされていた。頭を抱える部長、まさか目の前の青年が見事にやらかしてくれるとは思いもよらず、頭痛まで発症しかけていた。
「...だ、大丈夫ですよ...ほら、ちゃんと動けます...」
当の本人はそう言うがどう考えても重傷である。目立った外傷は余り無いが、動きがかなりぎこちないことから察するに重度の筋肉痛だと言うのは素人目でもわかる。
と言うか通常の人間よりも遥かに身体能力が高い悪魔...それも走りに特化した騎士を此処までグロッキーにさせる練習法は中々に凄いことである。その事に気付いたリアス、一誠、小猫、果ては真性のSである姫島副部長までもが同情し、黙祷を重ねたのだった。
「はぁ...仕方がないわね。本当は新二君と一緒に行かせるつもりだったけど、当の本人がこれじゃしょうがないわね。一誠君、悪いけど一人でこの場所まで行ってくれないかしら?」
「あ、はい! わかりました!」
そう言いながら、目的地が書かれた地図を渡す。それを見た一誠は直ぐさま部室を後にしたのであった。
「...それでは僕はこの辺d「まだ説教は終わってないわ」...はい」
最近説教と頭痛ばかり起こしている。そんな気がするオカルト研究部部長であった。
–???–
「ひ、ひぃ!? 許してくれ?! どうか命だけh」
ザシュ
「駄目だよ〜♪ クソッタレな悪魔は生きているだけで罪なんだからさぁ♪」
To be continued...
...原作キャラがこれであってるか不安です。