ありのまま起こったことを話すと、骨スケの解体作業終わらせたらめっちゃ尊敬の眼差しで見られた。
もう皆お目目キラキラしてるの、凄い英雄だとか言ってるの。マシュマロっぽい女の子も「私もあの人のように…」とか胸の前で握り拳作ってるの。
そもそもここ何処なのよ、冬木?何処の島の名前?島じゃないと、日本って国と。
…何処?待って待って、何か頭の中に色々流れ込んできてるんだけど、簡単に説明して欲しい。
…つまりなんか色々あって人類がヤバイと。そんで英雄呼んで助けて貰おうぜ!って話ね。何で自分がここに居るのかはそっちの女の子が召喚したってことね。大体は把握した。
ごめんね?自分口調固くてさ、接しにくいかも知れないけど頑張るからね。お兄さんに任せなさい。
◇
ぐだこが召喚したファンと言う英霊は過去に存在した英霊では無く、かと言って未来で誕生するであろう英雄という訳でもなさそうだった。
通信機能が回復し、カルデアの生き残りであるロマ二さんと通信した際に大変驚いていた事から考えられる。もしも未来の英雄であれば技術は発達しているだろうし、この程度では驚かないだろう、と言うのが僕の考えだ。
そんな彼はイレギュラーサーヴァントなのだと自分で言った。彼から聞いた話はとても興味深く引き込まれる話だった。
彼が住んでいた世界は空に浮かぶ島々があったこと。移動手段は騎空艇と呼ばれる船で空を飛んで移動していたこと、星晶獣と呼ばれる大型の、こちらで言うところの幻想種と戦ったことなどなど。正にファンタジーだった。
話を聞く限りでは、彼は正に英雄と呼ばれる存在だった。そんな中で所長は素性も分からない英雄だー、知名度がーとか騒いでいたけど四の五の言っている状況では無いのだ、助けてもらえるだけ有難いだろう。
「まぁ良いわ、一先ず戦力の確保に成功したわけですし、周囲の散策を始めましょう」
そうして僕達は燃え盛る街を歩き回る。途中で現れるスケルトンはファンさんとマシュの2人で対処してくれるので危険は無かった。
とは言えファンさんは余り戦っていない。マシュが基本的に前に出てスケルトンと一体一の状況になると、彼は先程と同じ魔術でそれ以外のスケルトンを処理している。マシュに経験を積ませる為みたいだ。そのお陰か、マシュの行動は思い切りが良くなり、最初に比べると恐怖も薄れていっている気がした。
突如、ファンさんの姿が変わった。
◇
「止まれ」
十狼雷を両手に持ち、先程から遠目にこちらを見てくる男の足元に銃弾を放つ。
突然の行動に皆驚いていたが許して欲しい、敵かも知れない相手なのだ、本来なら問答無用で脳天を狙うのだが相手の行動が先程の骨スケと違い考えがありそうだったので警告にさませてある。
「おぉ怖い怖い」
そうして物陰から出て来た男性、フードに杖を持っている。…ハーミット?
「敵対の意思はねぇよ。むしろお前さんらに協力しようと思ってる」
両手を挙げて敵意を無いことをアピールしている男性はこちらに近付いて来る。どうするかと目線でマスターに確認して見るがマスターもどうしたらいいかさっぱり分からないみたいだ。
「サーヴァントキャスター、クーフーリンだ。お生憎様本業は槍を使う方だが魔術師としても活躍は出来るぜ」
「クーフーリン…、ケルトの大英雄じゃない!それがどうしてこんな所に…」
所長の言葉を一先ず信じ、銃を消す。所長曰くケルトと言う国で活躍した英雄らしいが自分には分からない。マスターやぐだお君、マシュちゃんも協力してくれる事を喜んでいるみたいだし戦力が増えるのはありがたいことだ。
彼の説明を聞くと、この街では聖杯戦争と呼ばれる物が行われてたらしい。その戦争が何かしらの原因で可笑しくなり、こうして汚染されているのだとか。つまり
「マスター、敵だ」
「まずったな、つけられてたみたいだ…」
申し訳なさそうに呟くキャスター。彼が杖を構えると上空からそれは降ってきた。
隣に立つマスターを抱えその場から飛び退く、マシュちゃんはぐだお君を、キャスターは所長を抱え同じ様に飛び退いていた
「な、何が起きたのよ!!!」
所長が皆の心情を声に出してくれる。自分が確認したのは巨大な何かの塊が降ってきたと言う点のみ。
「ミスったなぁ、まさか奴さんが来るとは思ってなかった…」
その言葉から、キャスターが相手の事を知っていると判断したマスターが確認をする。
「そこのサーヴァントはともかく、嬢ちゃん兄ちゃんは聞いたことがあるだろう」
---ヘラクレスだ。
理性を持たない英雄が雄叫びを挙げた。
◇
ヘラクレス、誰しもが1度は聞いたことがあるだろう英雄。ギリシャ神話に登場する英雄であり、英雄を育てる英雄であるケイローンを師に持ち、12の試練を乗り越え、世界を支えたと言われる英雄の中の英雄。
「■■■---!!!」
そんな英雄が、理性を消し去った暴力の塊が目の前にいる。ただ目の前にいるだけで、声を聞くだけで体が竦んで動けない。所長も、マシュもぐだおも、同じサーヴァントであるキャスターでさえも。
そんな中で動いたのが私が召喚したファンだった。いつの間にか彼は杖を片手にしており、その杖を地面に突き刺した。
「クリアオール」
温かな光が私達を包む。すると震えは止まり、体は正常に動かせる様になっていた。
「あ、ありがとうございますファンさん…」
「これが自分の仕事だから」
言いながら彼はまた姿を変えた。今度は最初召喚した時の鎧姿では無く、先程のボディスーツでも無く、獣の革をローブに着ている。
「力には力をだ、マスター指示を」
相手はヘラクレスと言うのに、彼は一向に怯む気配も無く、寧ろ打ち倒す気でいる。当然なのかも知れない、彼のいた世界にはヘラクレス何ていないのだから。その力を知るはずが無い。
「む、無理だよ…。相手はヘラクレスって言って、知らない人がいないほどの英雄なんだよ…?」
震える声で出来る限りの声で彼に逃げるように伝えようとすると、頭に手が載せられていた。
え?と思い彼の顔を見る、彼は笑っていた。
「誰しもが1度は聞いたことがあったとしても、自分はマスターのサーヴァントだ。マスターが望むなら」
私の頭を優しく撫でた手を頭から離し、彼は巨大な斧を構えた。
「勝つよ」
◇
「おぅるぁ!!!」
「■■---!!!」
世界を支えた英雄と、空の果てに至った英雄がぶつかり合う。ヘラクレスの持つ石斧と、ファンの持つ三虎斧がぶつかるだけで余波で周囲の燃え盛る炎が消えた。
マシュとキャスターが2人で余波を防いでいるが、それでも2人の盾と杖は衝撃で震えている。
「ヘラクレスと、打ち合ってる…?」
カルデアの所長であったオルガマリーには信じられない光景であった。何せ相手はヘラクレス、ギリシア神話の中で最も人々がしっているであろう英雄の中の英雄。にも関わらず、打ち合っている。
普通では考えられない、相手はバーサーカーである。理性を消して狂気に身を委ねたサーヴァントである。その力は絶望的である筈なのに
「ぐるぁ!!!」
ファンと呼ばれたサーヴァントは斧を振るう、石斧で受け止めたその斧に弾き飛ばされヘラクレスは地面を削りながら後退した。
「レイジⅣ」
ファンの体に魔力が集まる、動きが変わった。自己強化型の魔術なのだろう。
「まずはその石斧、ぶっ壊す!!!」
彼は高く飛び上がり、斧を両手に持ち振り下ろす!
「アーマーブレイク!!!」
今度はぶつかり合うだけでなく、ヘラクレスの持つ石斧は砕け散った。
「やった!」
「まだだぜ、嬢ちゃん…」
マスターであるぐだ子が喜びの声を上げるが、キャスターは未だ警戒を解かない。
「■■■■---!!!」
斧を失った程度、それがどうしたと言わんばかりにヘラクレスは変わらず猛威を奮う。
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本来であれば、石斧にて放つヘラクレスの宝具。だが、斧が有ろうと無かろうと関係は無い。
その巨体から放たれる全てを射殺す両拳がファンに迫り
「
ファンはそれを迎え撃つ。三虎斧から魔力による円形の刃が生じヘラクレスの拳を押し戻す。
勝敗を分けたのはマスターの有無。
「令呪を持って命じます、勝って!」
「任された、マスター!!!」
重ねる様に放たれたファンの宝具の1つ、最初に見せてくれた剣の秘奥。
「北斗極大閃!!!」
天に光る七つの星がヘラクレス目掛けて堕ちてくる。それに飲み込まれるようにして、ヘラクレスは消えていった。
「次は、正気の状態で会いたいね。ヘラクレス」
全空一に偽り無し。勝者、ファン。
ヘラクレスとか何故出したし、こんな2話目で退場していいキャラじゃない気がする。
一例としてアーマーブレイクやレイジを使いましたが名前のまんまの効果です。武器ぶっ壊したり自己強化したり。ポンバは使うと宝具一回マスター負担無しで打てるよって感じ。
ほんとどうしてこうなった