これがあっての本編になります。
主の初投稿SSになります。温かい目で見てくれれば幸いです。
僕には記憶がありません。覚えているのは名前、この世界の現状、そして魔甲蟲の存在。これくらいです。
魔甲虫と一度だけ、やむおえずの形で、戦闘したことがあります。その時に自分の記憶の断面を見ました。僕は 自分のことが知りたい、記憶を取り戻したい。この学園絵の入学はその近道だと思いました。
アキラ・サルージェ 途中入学動機面接より抜粋
試験 とても優秀な成績です。
実技 とても優秀な成績です。
「彼が今回の問題児ね」
「はい」
「〈ウィザード〉でありながら記憶がない子なんかはじめてよ」
「私もですよ」
「一応空戦魔導士科(ガーディアン)希望なのね?」
「はい」
「分かりました。少し考えておきます」
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記憶喪失で入学したアキラ・サルージェ。
彼が入学したのは、浮遊学園都市≪ミストガン≫。人々は≪魔甲蟲≫によって空中での生活を余儀なくされた。
しかし、彼らの学園は普通の学園ではない。
浮遊学園都市≪ミストガン≫は、対魔甲蟲専用の学園だった。
今、浮遊学園に新たな物語が始まる。
「ここが≪ミストガン≫……。大きな浮遊都市だ……」
感嘆を漏らすのが、途中入学してきたアキラ・サルージェだ。
彼は途中入学動機面接のときに述べていたように記憶がない。ふつう、〈ウィザード〉は、ほかの人間と違い、記憶がなくなることがない。正確に言えば、【魔甲蟲】との戦闘で亡くなった人のことを忘れない。逆に〈ナチュラル〉と呼ばれる人間は、何かによって記憶がなくなってしまうのだ。
アキラは、学生服を着ており、今日から寮で生活することになっている。
「なぜか懐かしい感じがする……。僕は知ってるのかな?学園というものを」
独り言をつぶやき、学園内にある空戦魔導士科執務室に向かった。
空戦魔導士科執務室のドアをノックする。
「入りなさい」
「失礼します」
アキラはゆっくりとドアを開け入室する。
「君がアキラ・サルージェくんね。」
「はい」
「人前でサングラスというのもいささか失礼ではありませんか?」
「申し訳ございません。なぜかわからないのですが、サングラスを外出時にはしないといけない理由があったようで。してないと落ち着かないのです」
そういってサングラスを外す。
美しい白銀の髪に澄んだ青い瞳、きれいな貌つき。まさに絵にかいたような男性が、新入生アキラ・サルージェである。
「では本日来ていただいたわけは、この学園に関することと、君の優遇についてです」
「はい」
「君には、私からの特例で、E601小隊に入ってもらいます。身元の関係で一番下の小隊になってしまったけど、しっかり活躍して頂戴」
「はい」
「あと、アルテミア寮の部屋ですが……こちらとしても不本意なのですが、カナタ・エイジと同室してもらいます。うまくやってください」
「分かりました」
「最後に、君の魔装錬金武装なのですが……」
「では、小太刀くらいの長さの片刃魔装錬金武装を二本……いや、ダガーを一本と細身の魔砲剣を一本お願いします」
「分かりました。明日には届くと思います。一応目安は、昼間ぐらいと思っておいてください」
「了解しました」
「話は以上です。あとあなたがサングラスをかけないといけない理由……少しだけわかった気がします」
「いえ。……失礼しました」
空戦魔導士科執務室を出て、記憶した学園内の地図を頼りに、アルテミア男子寮へと足を運んだ。
「ここか……」
「何か用か?」
一人の男性が声をかけてきた。服装は、空戦魔導士科本科の学生服を着ている。
「今日この学園に入学したばかりで……この部屋でカナタ・エイジって人と同室になったのですが……」
「同室か……よろしくな」
「ではあなたがカナタ・エイジさんですね?よろしくお願いします、カナタさん」
とりあえず部屋に入るとゴミだらけだった。
「……なんというか……ひどい有様ですね……」
「人が来るなんて聞いてなかったもんでな。それに同室者なんていねえから、何しても大丈夫だったんだ」
「さきにかたずけですね……やっちゃっていいですか?」
「今からできるのか?」
「余裕です」
アキラは荷物をベットの上に置くと、ものの三十分でかたずけた。
「このくらいなら余裕です。もっとも、ゴミだけだからですけど」
「すげーな……」
「まっ、こんなものです」
「あ、敬語じゃなくていいぞ・同じ仲間だ、仲良くしようぜ」
「よろしくね、カナタ」
「いいねー。飲み込みよくて助かる」
「ん?消灯時間まであと少しだ。ベットどうにかしてしまって寝るぞ」
「分かった」
その日は同じ部屋を使う共有者と眠りについた。