並行世界から来た空戦魔導士   作:白銀マーク

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書けましたですはい。
どうぞお読みくださいwww。……はぁ


11話 過去と思い

 『いつかだれにも負けないくらい立派な魔砲剣士になる。お母さんと同じくらいの魔砲剣士になる。この世界のすべてを守り切れる存在になる。』以上、ミソラ・ホイットテールの手記より抜粋。

 

 カナタとアキラがE601小隊室で資料を読みあさっている。しかし、この小隊の連日の不穏な空気は、こんなものじゃ隠しきれるものではなかった。たった一人、ポツンと席についているレクティがしびれを切らしたように尋ねに来た。何しろもう三日もこの空気のままだ。

 「あのぉ……アキラさん」

 「ん?」

 「そのぅ、どうかしたと言えばどうかしたと思うんですけど……」

 そう言ってミソラの席を見る。本来ならミソラとリコもこの小隊室にいるはずなのだが、リコはさぼり。もうわかり切っている話である。しかし、ミソラのほうは……。

 「ミソラは今日も休みなんだ。かれこれ三日だね」

 「あのぅ、それってただ事じゃないと思うんですけど……なんというかそのぅ……」

 おどおどしながらアキラに進言する。

 「ここ最近、わたしミソラさんたちと一緒にご飯を食べてるんですけど」

 (これはこの空気をどうにかするチャンスなのでは?)

 思いとともに言葉を紡ぐ。

 「ミソラさん、お昼休みが終わりに近づくと不機嫌になってしまってどこかに行ってしまうんです」

 「そっかぁ、やっぱりかぁ」

 あっさりと聞き流すような回答。ほんとにこの人たちの指示に従っていていいものか、そう疑いたくなる中に、疑問を残す発言があったことで振り返る。

 「………っ! やっぱりというと…な、何か心当たりがあったりするんですか!?」

 「心当たりではないかな」

 「そ、そうですか……」

 せっかく解決しそうだったが、そうでなかったことに落胆するレクティ。しかし、アキラから思わぬ言葉が流れてくる。

 「心当たりじゃなくて確信に近いかな。ミソラが怒ったのって絶対に僕の責任だし」

 「………そ、それってアキラさんが悪いじゃないですかっ!」

 彼女にしては珍しく大きな声で突っ込んでくる。

 (へぇ……結構初めのほうから優しい子だとは思ってたけど、ここまで真剣に考えてるのか。彼女、相当いい魔双剣士になれそうだ)

 「あのぅ、アキラさんは本当にやる気があるんですよねっ!? 今やってる特訓を続ければ強くなれるんですよねっ!?」

 「それは何とも言えないね。本人の努力次第かな」

 「あ、アキラさんっ! な、なんて無責任な言い方するんですかっ!」

 涙目になりかけレクティとどうしてそうなったか疑問のアキラ。

 「アキラ、俺もやりそうな言い回しだが、それが伝わるのは相当頭の切れるやつだけだからな」

 「あ、そっか」

 レクティが涙目の原因をわかったところで補足を入れる。

 「レクティ、そんな顔しないで聞いて。カナタができるのは教官として君たちに強くなる”キッカケ”を与えること。で、僕は君たちがそれを理解して、なおかつ強くなるためにより大きな”キッカケ”を与えることなんだ」

 「”キッカケ”……ですか?」

 「そう。だから僕は結果を示さないし示せない。それはカナタも同じ。結果を残すのは君たちの”努力”。それをより早く形にするのが僕らの”キッカケ”。君たちが努力して報われなかったときは僕やカナタに責任があるってこと。………で、レクティはどうするの? このまま続ける?」

 あのわけのわからない訓練。最低一週間続けるように言われている。しかし信じていいものかわからない。返答に窮してしまうレクティはこの後の回答次第で続けるか続けないか判断しようと。

 「アキラさんたちは、どうするんですか?」

 「僕はちょっと彼女の家に行ってみるよ。風邪でも引いてたら大変だしね」

 「俺はもう少し資料に目を通すからここにいていいぜ」

 (やる気あるのかなぁ)

摩訶不思議なアキラの発言に困り果てながらも、このまま続けるか、真剣に考えるのだった。

 

 

 

 「ここ……だね」

 基本的に空戦魔導士科の学生は寮生活を強いられているため、こういう捜索まがいの行為はしなくても済むのだが、たまに実家通いやマンション、アパートを借りて登校してくる生徒もいるようで、ミソラとてその例外ではないのだ。

 シックな色調で統一された店内に入るためにドアを押すと、「カランカラン」とベルの音が出迎えてくれた。

 「いらっしゃい」

 バーを連想させるカウンターの奥から店内のアキラに声がかかった。音源はスキンヘッドで強面の中年男性からだった。

 「すいません、ご飯食べに来たわけではなくて……」

 カウンター席に移動しながらその男性に事情を話そうとする。

 だが、お冷を運んできたウェイトレス姿で店を切り盛りしている少女が素っ頓狂な声を上げる。

 「な、なんであんたがここにいるのよっ!」

 そう、ミソラからすれば「なんで」なのだ。前回あれだけひどいことを言ってのけた奴が目の前に座っているのだから。ミソラはキッと鋭い目つきでにらみつける。

 「こらミソラ、最近珍しく学校から早く帰ってきて店手伝っているっていうのに、客に対してその扱いはねえだろう」

 カウンター奥の中年男性から声がかかる。

 「うっさいっ! お父さんは何も事情を知らないから黙っといてよっ!」

 二度もいるようなまなざしでにらまれながらも、アキラは平然とうそぶく。

 「やぁ、元気そうで何よりだよ。ケガとか病気でもしてるわけでもなさそうだしね」

 「あんたね、このタイミングでそんなこと言うっ! もっと他に言いたいこととかあるんじゃないのっ!」

 「今一番言いたかったことはこれかな。君の身に何かあったら困るからね」

 「……………~~~~(ピキッ)!」

 しかし、彼のほうはどこか安堵した様子だ。彼女が無事だったことを確認したアキラは、内心しっかりした小隊員として、副教官として本当に安堵していた。

 「君のほうからは何も言いたいこととかないのかい?」

 全力で怒鳴りつけようとしたミソラの顔は歪みに歪みまくり、思いつく限りの罵詈雑言を口にしてやろうとしたが、第三者にそれはさえぎられてしまった。

 「なんだお客さん、ミソラの知り合いだったのか」

 「え? もしかしてミソラさんのお義父さんですか? これは失礼しました。……つかぬ事を申すようなのですが、あまりミソラさんと似ていらっしゃらないのですが?」

 「がっはっはっはっ! うちの娘は母親似なんだよ」

 母親に。豪快に笑う店主が口にした、アキラの心にもなにかよくわからない傷をつけたその言葉を聞いた途端、ミソラの顔に陰りが刺した。

 「……あたし着替えてくる。今日はもう上がることにしたから」

 意気消沈したようすで奥へと消えていった。

 「すまねえな。どうも親子仲っつうものがうまくいってなくてな」

 そう言って後頭部を掻く。

 とアキラは目ざとくも店内を見守るように立てかけられている写真の入っている写真立てを見つけた。幼いミソラと思わしき幼女と、その両親が映っていた。

 「お義父さんの奥さん、おきれいですね。確かにミソラは母親にだね」

 自分で母親にとつぶやくことに胸の奥に鈍い痛みを覚えながら店主に尋ねる。

 「あぁ、その写真のことか」

 ミソラの父親はしそれを眺めつつ告げる。

 「確かにあいつはいたよ。思い出はこの写真ぐらいしかねぇけどな」

 どこか暗澹たる表情。

 「もしかして、ナチュラルと呼ばれる……」

 「まぁな。娘はウィザードで、俺はナチュラル。ンで嫁さんは……空戦魔導士だったからな。……あぁ、余計な話をしちまったな」

 ウィザードとナチュラル。魔力を持つ者、持たざる者。

 魔甲蟲に殺された者を覚えていられる者、覚えていられない者。

 ≪ミストガン≫は総人口の九割をウィザードが占めるウィザードの都市だ。通常の都市とは異なる。この件はおそらくミソラの事情に関係している。そう結論を出したとき、ミソラの父親が洗い終えたコップの水滴をふき取りながら、鋭く切り込んできた。

 「ミソラはいつもバカみたいの遅くまで訓練しているから、いつもは帰りが遅いんだが。ここ最近の早帰りは珍しくてな。学校で何かあったと思うんだが、お客さん、なんか知ってるか?」

 珍しく何でもない風にして質問に質問で返す様子を見せる。

 「うーん、その前にミソラのこともっとよく教えてくれませんか? 彼女がなんで魔砲剣にこだわるのかも、全部含めて」

 コップを吹く手が止まる。

 「その前にお客さん、一つ聞いておきたいんだが。お前はうちの娘の何なんだ?」

 「あれ? 言ってませんでしたっけ?」

 不敵な笑みをこぼしながら告げる。

 「僕はミソラの所属する部隊の仲間で副教官務めてます。ミソラが強くなる”キッカケ”を与えるのが僕の仕事です」

 

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