ティンクル☆くるせいだーす GO~TO~!!動き出す地界人! 作:Ma-sA
第42話 僕の名前は咲良シン
僕の名前は咲良シン。
流星学園次期生徒会長です。
僕は朝一の新鮮な空気をいれるため窓を開ける。季節は夏。朝は涼しいので気持ちの良い風が部屋を循環する。眠気が吹き飛びこれで今日も頑張れそうだ。
「おはよー」
と同時にいつもの声が聞こえてくる。
「おはよう、ナナカ。いつもごめん」
「何いってんの。あんたとあたしの仲じゃん。早速作るからちょっと待ってて」
彼女の名前は夕霧ナナカ。
僕の幼馴染である。
こうして僕の朝ごはんを作りに毎朝やってくる。朝ごはんは僕にとって、至福のときでもある。
ここは流星町。この町の特徴は町の名前でもある“流星”だ。
毎年、数多くの流星が空に降り注ぐ。その空と言ったら「綺麗」の一言である。なので、観光客も多かったり……
そして僕達は私立流星学園の生徒である。
「誰にいってるのさ」
「それはわからない人のためだよ」
「なんのことやら…寝ぼけたこと言ってないで、ごはん出来たからさっさと食べよ」
ナナカの家は夕霧庵という蕎麦屋さんであり、ナナカの蕎麦は美味しい。
なぜならナナカはそば打ちで流星学園の一芸入試を合格した強者なのだ。
だから、その蕎麦は当然……
「今日も美味しそうだ。……じゅるり」
「それじゃあ、食べよっか」
「うん。いただきまーす」
僕は蕎麦を箸ですくい、つゆにつけて豪快な音を立てて蕎麦をすする。
「うん!『うまい!』」
このとおりうまいってわけ。
「シンってさ、いつもそればっか」
「だっておいしいんだもん」
「まぁ、こちらとしてはうまいと言ってくれるだけで嬉しいんだけどもっとないのかね〜。例えば素材の味がいいね!とか」
「いや、だって『うまい』じゃん?」
「……まぁいっか。それよりホームステイの件聞いた?」
「うん。それなんだけど、僕も一応、応募してみたんだ」
「ほー。それでそれで」
「そしたら僕しか候補がいなくて…」
「まさか……」
「そのまさかなんだ。まぁ、貸せる部屋もあるから問題はないんだけどね」
僕の家は“グランドパレス咲良”という木造建築だ。元々、父さんの旧友から貰い受けた建物らしく父さんの出張をきっかけに僕が大家となり今に至る。
「それで、なんで応募したのさ?美味しいものでもくれたりするの?」
「なんか特別に補助金が出るらしいよ?」
「おっ!シンにとっては恵みの雨じゃん」
「それだけじゃないんだけどね。海外の人と交流するまたとないチャンスだからってのが本音かな。キラキラの学園生活を実現させるためだよ」
「なるほど〜それでいつ来んの?」
「今日だよ。早く会いたいな〜」
「ところでシン、外国人としゃべれるの?」
「ふふ、僕はこれでも学年1番だよ。なんとかなるさ!たぶん…」
「たぶんかい……」
けど、どんな人たちと会えるのか楽しみだ。本当に待ち遠しい。
そうして僕は蕎麦を完食しナナカと共に学校へ行った。
学校に到着して僕はあるところに向かった。理事長室である。
「失礼します」
ノックをして僕は部屋に入る。
「あら、咲良シンちゃん。いらっしゃい」
この人は九浄ヘレナさん。この学園の理事長。
「おはようございます。ヘレナさん」
この日は留学生と初めて顔合わせをする日。そういうことでここに来たのだ。ちなみにナナカは少し時間を潰してくると言って校門で別れた。
「留学生の件よね。ちょっと待ってて、今呼ぶから」
そうしてヘレナさんは電話をとり誰かに電話をかける。
「もしもし。例の人来たからちゃっちゃと来ちゃって」
そして受話器を戻す。
「あの…誰にかけたんですか?」
「引率の先生よ」
数分後……
後ろの扉からノックの音が聞こえてきた。いよいよ対面か〜
扉が開く。
「失礼します。理事長おはようございます」
いかにも真面目な雰囲気を出している黒縁メガネをかけたヘレナさんと同じ青色の髪の男性がいた。
「おはよう、ハヤト。あの子達は?」
「いますよ。皆さん、入ってきてください」
その言葉に続いて留学生が3人入ってきた。
前から男・女・男という順番だ。
三人は僕の前に並んだ。
「それでは、自己紹介をお願いします」
「「「はい!」」」
「まずは……僕から〜。名前はレゾン・マーリーっていいます〜。……レゾンって呼んでね〜」
髪は白く肩を少し超えるくらいの長さで、背は低く、少しぽっちゃりとしているレゾン君。
「次ね。私の名前はセーナ・オルトレイン。オルトレインは長いのでセーナでお願い」
笑顔で自己紹介をしたのは金髪でポニーテールのセーナさん。背は僕と変わらないかな。なんか活発な女の子って感じだな。ナナカと馬が合いそう。
「最後に俺だな。名前はガイ・グ……いや、後藤ガイだ。是非、ガイと呼んでくれ、よろしくな!」
最後はガイという男の子。背は僕より大きいな。茶髪で体は少しがっしりとしているな。スポーツでもしてたのかな?
「そして、私の名前は九浄隼人と申します。よろしくお願いします、咲良シン君」
そして先頭にいた引率の先生が九浄隼人先生……ん?…九浄?
「あの、ヘレナさん…もしかしてこの人……」
「あーら〜!よく気づいたわね。そう、私の弟よ」
「そ、そーだったのか!」
「まぁ、これでも長男ですけどね」
つまり長女ヘレナさん、二女リア先輩、長男隼人さん。というわけか。
「それじゃあ、軽い自己紹介も終わったことだし、ざっと話していこうかしら。ハヤト、お願い」
「了解です。まず、この留学は文化交流という形式で行われています。ホームステイ先は咲良君のところ、期間はまぁ、適当です」
「適当ですか…」
「はい。それで補助金のことですが……」
「お、お金……ごくっ…」
おかねという三文字を聞き思わず唾を飲みこんでしまう。
「これはこの夏休みを利用して稼いでもらいます」
「「「「へ?」」」」
その場にいた僕とガイ達の4人は意外すぎるためだろうか思わず声をあげてしまった。
「か、稼ぐんですか?」
「異国の地で〜?」
「そうです。働くのも文化を知るための一業です」
「そうですか……そう甘くはないんですね。はぁ〜」
てっきり、普通にもらえるのかと思っていたよ。とほほ……
「それでどこで稼ぐんですか?」
とガイが隼人先生に質問する。
「それは……そうですねぇ。咲良君。君は以前アルバイトをしていたそうですね」
「はい。生活費を稼ぐためにやってました」
今まで牛乳配達をメインにして様々なアルバイトをしてきた。
生徒会長に就任することが決まったのでアルバイトは辞めることにしたのだ。
「ということは他にもツテがありますよね?」
街の人たちとは仲が良いはずだからもしかしたらあるのかもしれない。
「まぁ、探せばあるかもしれませんね」
「なら、咲良君の紹介でお金……と言っても流星学園はアルバイトが禁じられていたので、現物支給ということで。その他のことはまた追い追いということで」
「シンちゃん。他に聞いておく事はない?」
「今のところは特に」
「そう、ならこのまま解散!あっ、ゴトーちゃん達は少し残ってね」
「では、失礼します」
そういって僕は理事長室から退出した。
「あはは!なるほどそういうことか」
たまたま校門にいたナナカとの帰路で先ほどのことを話した。その結果笑われた。
「やはり、お金のことになるとうまくいかないよ。予想外だった」
「でも、シンならいろいろ仕事を紹介できるんじゃない?」
「考えてみたらそうなんだよね」
「私のところも1人くらいなら大丈夫。いや、なんだったら3人まとめて」
ナナカの両親が経営している夕霧庵。そこなら1人ぐらいはいけるだろう。
「だけど、迷惑じゃないかな?」
「そんなことないない。むしろ大歓迎!」
「ならお願いするよ」
「任された!で、どうだったの?留学生は」
「うん。会ったばっかりだけどなんとかなりそうかな。話も通じると思うよ」
「それ…本当に外国人?」
「なんじゃないかな……」
留学生としか聞いてないからね……
「ふぅ〜ん……私、これからお店にいかなきゃいけないからごめん、先に行くね」
「うん、わかった。じゃあ、また」
「バイバイ」
そして駆け足でナナカが店に向かって行った。
「さぁて、今日はいつもより豪華にしなくちゃ。献立は何にしようかな?」
こんな事があると財布の紐を緩ませても大丈……いやいや、ダメだダメだ。それなりにしとこう。
ガイsideーーーーー
初めて会った人間界の学生。なんとなく地界の人とは何かが違うという感じがした。
「シンって名前なんですか。ボーイッシュな感じですね」
「それはそうよ。シンちゃんは男の子なんだから」
まさかの男だった。
「ふぇっ?」
「あの人、男の子に見えませんよ。肌だって私よりスベスベしてそうだし」
「セーナさん。人は見かけだけで判断してはいけませんよ」
「そ〜よ。シンちゃんはカワイイ男の子……見てると手取り足取り教えたくなるわ〜〜」
ヘレナさんは両手をワキワキうねらせている。
「ヘレナ。変な発言は控えてください」
「はいはい。それでアルバイトの件だけど大丈夫かしら」
アルバイトか。そういえばやったことないな。けど…
「せっかくの機会なんでやってみたいです」
「僕も同じく〜」
「私もしてみたいです」
「なら、仕事先はシンちゃんにお願いしてこれから今から学園の中を見て回ってもらおうかしら。今は夏休みだから誰もいないし」
「そうですね。それはいい案です」
「丁度、リアが生徒会室にいるからリアに案内させましょう」
「リア?誰ですか?」
「私の妹よ」
リアさんか。
「お嬢様に案内をさせるのであれば、私にやらせてください」
「ダメよ。あなた、こっちに長い間いなかったじゃない。それならリアの方が詳しいわ」
「ですが……」
「これは決定事項。異論は認めん!」
「……かしこまりました」
「ということで、リアを呼ぶからちょっと待ってて」
と言って呼ぶ素振りを何もしていないヘレナさん。
「あの…何もしていないようですけど」
気になったのかセーナが尋ねる。
「大丈夫、既に呼んでるから」
いつの間に。これが理事長か!
「いや〜スゴイね。理事長って〜」
「『これくらいできねぇと理事長は務まらねぇのよ!』」
スゲー!これが学校のトップ!!ハンパないな。
そう思っていると後ろからノックの音がした。
「来たみたいね。入っていいわよ」
その声を聞いたのか扉が開いた。
『お姉ちゃん、どうしたの?』
そこにはヘレナさんと同じ青い髪をした女の子がいた。