ティンクル☆くるせいだーす GO~TO~!!動き出す地界人! 作:Ma-sA
早朝……俺はグランドパレス咲良の玄関付近の菜園でもやしを眺めていた。
各々のもやしは日光を浴びようと真っ直ぐに伸びている。
「…シン。これいけるのか?」
俺はもやしをつつきながらシンにたずねた。
「うん。もちろん。さぁ、セーナが帰って来る前に採ろうか」
「あぁ」
そうして俺たちはもやしをプチプチと採りだした。
「いまは、もやしだけだけど、ガイたちのおかげで色んな物を買う余裕が少しだけできたよ。だから期待してて!」
そういって俺の方向を向いた。シンの目がいつも以上に活気に満ち溢れていた。
「……そういってビフテキに全財産をつぎ込むなよ?」
「わかってるって。でも、一回でもいいから食べてみたいなぁ………ビフテキ」
シンがビフテキを食べるのが夢というのはこの前知った。よく夢で食べているとのことだ。
「まぁ、いずれ食べれるさ」
「ガイは食べたことある?」
「まぁ……たまにな」
「本当!!どんな味なの???」
「そうだなー……噛んだら肉汁が溢れ出てくるな。ソースも肉と絡み合って幸せな気分になれるな」
「あぁ〜〜ビフテキ〜〜!!」
シンは目をつぶって顔を緩ませている。想像でもしてるのか?
「ただいま!配達終わったわよ」
「お疲れさん!ご飯にする?お風呂にする?それとも………」
「やかましい!!」
「へぶっ!!」
俺は思いっきり頭を叩かれた。
「…………」
その光景についてシンは目が点になっていた。
「どうしたんだ?シン?」
「………えっ?いや、セーナってそんなキャラだったんだな〜って」
「これはたまにするガイへのツッコミよ。最新のトレンドはツッコミって雑誌に書いてたの。人気なのがこう……えい!!」
セーナが俺の方向に拳を振りかざしてきた。
「うわっ!あぶね!」
「って感じに鋭く、強烈なツッコミがブームなの」
「なかなかアグレッシブなんだね……」
「あっ、それよりさ。さっき品川のおばちゃんからこれ、もらってきたのよ」
そうしてセーナは手に持ってた袋の中から袋に入ったソーセージを取り出した。
「せっ、せせせせせ、セーナー!!それはもしかして……肉???」
「ボ〜クは肉じゃないよぉ〜〜〜」
肉というワードに反応してボケーとしたレゾンが玄関から顔をのぞかせていた。
「レゾン。ソーセージもらってきたからお湯の用意しておいて」
「はぁ〜い〜」
そう言って奥に引っ込んで行った。
「さて、もやしもたくさんとれたし。今日は野菜を少し入れて野菜カレーだね」
「……カレーか」
「ん?どうしたの?今日のカレーはソーセージ入りだよ!いつもより絶対おいしくなるよ!」
「確かにな!よし、台所へ行くぞセーナ!」
「ええ」
朝ごはんは先ほど言ったカレー。
普通のソーセージなのだが噛むと口の中で肉汁か四方八方に飛び散る。これがまさに「うまい!」としか言葉にできない。
ソーセージが入っただけでこれほど味に違いが出るのかということをこの身で体験した。
おそらく、この地で初めて学んだことは人間界の知識より食べ物へのありがたさだと思う。
「よし、行くか」
時間もあったのでランニングをすることにした。
俺は家を出て一定のリズムを刻むように一歩一歩軽快に足を前に運ぶ。
T字路に差し掛かり、まっすぐ行くと流星学園に行ける。今日は気分転換に右に曲がろうと思う。
「…ん?あの姿…」
曲がった先に小さな点、つまり人が走ってくるのが見えた。
だんだん近づいてくると見覚えのある姿だった。
金髪でツインテールを揺らしながら走ってくる。以前、商店街であった聖沙・B(びー)……、うん。
「あら?後藤クンじゃない。おはよう。」
「おう、おはよう!」
「後藤クンもランニング?」
「そう。時間があったからランニングしてたんだ」
「そう。まさか咲良クンからのスパイ、とういわけではないわよね?」
「そんなわけないだろ。シンはそんな回りくどいやり方はしないだろ」
「それもそうね。あなたの言うとおりだわ」
聖沙は上下ともジャージ。胸には刺繍が施されており、真dasと書かれてあった。そのしたにMETHUBUSHIと書いてあった。
聖沙、この文字なんて書いてあんだ?
「え?これ?これは真das(マジだす)。国内限定スポーツブランドの一つよ。限定とかブランドとか言ってるけど値段もお手頃価格、安定したパフォーマンスを提供することでスポーツマンを支えてるの。だから色んな人から愛されている会社として知られてるわ。
METHUBUSHI(メツブシ)は最近頭角を表し始めた企業らしいの。詳しくはよくわからないわ」
「メツブシは俺の友人のやってる企業だ」
「え?そうなの。あなたなかなかすごい人とお友達なのね」
「確かにすごいやつだ。シンに家庭スキルを金銭面に注ぎ込んだ感じだ」
「なるほど、咲良クンに……ね。なんで咲良クンがブツブツ…」
本当になんかあったんだな。
「なぁ、やっぱり聖沙ってシンのことが好きなのか?」
「違うわよ!なんで私が咲良クンのことなんか、単に私は彼を認めてないだけよ!」
そういえば、ナナカがその理由を話そうとしてたな。ま、この話はまた今度でいいかな。それよりも……
「なぁ聖沙」
「そうよ!あのときだって……、え、何?」
「勝負しようぜ!!」
「え?えぇぇ!なんであなたが私と勝負するのよ」
「ぶっちゃけ、なんとなく。あっ、あれか?俺に負けるのが怖いとかか?」
「な、なな…なんですって??」
聖沙はプンプンしだした。そりゃ、ある意味着火装置みたいなもんだらな。こういう言葉は。
「それに、ここで俺に勝てばシンと再戦するときに何かしらの自信になるかもしれないだろ?」
というと、聖沙のイラつきは収まっていくように見えた。
「そうね。確かにあなたのいうことも一理あるわね。いいわ、その勝負受けて立つわ!それで、何で勝負するの?」
「ここからどちらがさきに流星学園の正門まで辿りつけるかってのでどうだ」
「わかったわ。望むところよ!」
「そういうことでしたら、審判が必要ですね」
振り向くと電信柱からハヤト先生が現れた。
「ハヤト先生、いつからそこに!」
「隠密行動は私の専売特許なので。教師たるものこれくらいできなくてどうします」
「後藤クン。この方はどなた?」
聖沙は突然の事だったので、キョトンとし目俺に尋ねた。
「これはこれは、初めまして。聖沙・B・クリステレスさん。私は……」
「この人名乗ってない私の名前を知ってるわ……。もしかしてストーカー?!」
聖沙は俺の後ろに隠れ顔だけを出した。
「ははは、ストーカーではありませんよ」
「け、けけ、警察呼ばなきゃ……」
聖沙の右手には携帯電話が握られていた。
「聖沙、落ち着こう。この人は先生だってば」
「けど、近辺に学校なんて流星学園しかないし、学園の教師にこんな人いないし、何よりなんか怪しい」
確かに怪しさ満天の人だけどな。
「ハヤト先生、まだ紹介されていなかったんですか?」
「はい、始業式で自己紹介をさせていただく予定にはなってますので」
「なるほど、だとさ、聖沙」
「二学期から来る先生なんておかしいわよ。留学生と同伴で来た先生じゃああるまいし……。あれ?あなた、確か…」
「そう、留学生」
「つまりあの人は」
「俺の学校の先生。ちなみに学年主任だ」
「……え?ご、ごほん!」
聖沙は俺の後ろからでて来て、頭を深くさげた。
「すいませんでした。私、なんて早とちりなことを」
「いえいえ、自己紹介でもしましょうか。私は九浄隼人。よろしくお願いします」
「九浄、ということは…」
「はい。リアお嬢様の兄、ヘレナの弟でございます」
「リア先輩のお兄様!!
あぁ、私はなんて愚かなことを!」
「まぁ、間違いは誰にもあるものですから。次回、やらなければ問題はないですよ」
「あぁ〜この懐の広さ!!まさにお姉様のような温かみだわ!!」
聖沙ってリア先輩が好きなんだな、おそらく。
「さて、話は戻します。
私はジャッジとして笛をならします。それがスタートです。いいですか?」
「はい!」
「あっ、そうだ。聖沙、勝ったら賞品をやるよ」
「賞品?」
聖沙はそう言って首を傾げた。
「これはな。ナナカ曰く、シンに昔から飲まされていたもの。シン曰く、白くて濃厚な飲み物。らしい。そのせいで、ナナカは苦手になったそんな賞品だ」
「し、白くて…濃厚……」
次の瞬間、聖沙の顔はゆでだこのごとく紅くなった。
「後藤クン!な、なんてこと言ってるの!」
「そうです。ガイくん。意味深過ぎます。ちなみに私も咲良くんからいただきましたが、なかなか美味でした。
こう…喉をゆったりと流れ落ちていく感じ。なかなか体験できませんよ、あの味は」
「九浄先生まで!!そんな……」
「ちなみにヘレナがいるので私のことはハヤト先生とでも呼んでいただけると幸いです」
「わかりました。って、私そんなものをいただくわけには……」
「さて、いきますよ〜〜」
ハヤト先生は口に笛をくわえようとする。
ちょっと…!
聖沙、余所見してたら負けるぞ
むぅ、もう!わかったわよ!
位置について、ヨーーーイ!
ピィィィィィーーー!!という音で俺たちの勝負が幕を開けた。
書き上げ次第、投稿します。