前の中身とはガラッと変わっておりますが、皆さんに楽しんで読んでいただければと思います
それではObiettivo 1(標的1)始まります
Obiettivo 1
この世界にはインフィニット・ストラトス。通称ISと呼ばれるものが存在している
宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツ。開発当初は注目されなかったが、ISが発表されて1ヶ月後に起きた「白騎士事件」
日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射されるも、その約半数を搭乗者不明のIS「白騎士」が迎撃した上、それを見て「白騎士」を捕獲もしくは撃破しようと各国が送り込んだ大量の戦闘機や戦闘艦などの軍事兵器の大半を無力化した事件
この事件によって彼女の開発したISの従来の兵器を凌駕する圧倒的な性能が世界中に知れ渡ることとなり、宇宙進出よりも飛行パワード・スーツとして軍事転用が始まり、各国の抑止力の要がISに移っていった
しかし、全てのものにはメリットとデメリットが存在するように、このISにもある致命的なデメリットが存在している。原因は開発者の篠ノ之束にも分かっていないのだが、何故かこのISは女性しか扱うことが出来ない
過去に何度も男性が使えるような実験が行われてきたが、すべて失敗に終わり、その結果が世の中の男性と女性のパワーバランスを異常なものにしてしまった
男性よりも女性の権力が圧倒的に強くなり、所謂、女尊男卑の世界が誕生した
そんな世界で誕生した少年がこの世界の主人公である織斑秋良という1人の少年。幼い頃からあること以外完璧にこなせる2人の姉、千冬と春香、そしてこの2人には及ばないが、それなりにこなすことの出来る兄の一夏
秋良はこの3人に比べれば全てにおいて下回るが、それでも4人で仲良く暮らしていた
そんな幸せな時間が壊れたのはISがこの世に広まってからだ
少年は努力をした
2人の姉に、そして兄に少しでも追いつき、あわよくば彼女達を追い越そうと文字通り血の滲む様な努力をした。ある時は体が壊れるまで特訓をし、またある時は寝る間を惜しんで勉強し、過労で倒れたこともあるほどだ
そして、そんな彼を姉達は心配してくれていた
しかし、千冬がISによる世界大会モンド・グロッソで総合優勝及び格闘部門で優勝し、ブリュンヒルデの称号を得た後、彼に対する評価は段々と変化していった
街ですれ違うたびに言われた
『織斑千冬の弟なのにこんなこともできないのか?』
『一夏君や春香ちゃんはこんなにできるのに何でお前はこんなに出来が悪いんだろうね』
だから彼は再び死ぬ気で努力をした
しかし、どれだけ努力をしても、いい評価を出しても周りの評価が良いものになることはなかった
『これぐらいできて当然だろ』
酷い時にはどんな如何様をしたんだと冤罪をかけられ、暴力を振るわれることも少なくはなかった。更には自分が信じていた姉達も彼を冷たく見るようになった
『あなたは本当に私達の弟なんですの?』
『千冬姉に迷惑かけてるんじゃねえよ!!』
『お前は何で2人に比べて出来が悪いんだろうな』
それでも少年は努力した
いつかまた3人で仲良く暮らせる日が来ると信じて。それだけ罵倒されても、暴力を振るわれても彼は諦めず努力を続けた
それだからだろうか、1つの事が切っ掛けで全てがガラスのように崩壊してしまったのは
その悪夢の舞台となったのが第2回モンド・グロッソ
千冬が2連覇をかけて挑んだ大会の応援に行った時だ。彼女は順調に決勝まで勝利し、周りの観客は彼女の2連覇を確かなものだと感じた
しかし、その決勝戦を前に秋良は何者かに連行されてしまった
手足を手錠で拘束され身動きが取れない秋良。男達は千冬の2連覇阻止という依頼が成功した事に喜びを隠せなかった。受け取った報酬で豪遊しようとそんな下らない事を考えていた
それは後からきて、秋良に暴行を加えていた女も同じ考えを持っていた
しかし、そんな夢も秋良が信じていた家族という絆も、テレビで流れた1シーンでガラガラと音を立てて崩壊する。それは千冬がまるでその情報が入っていないかのように決勝戦に出ている姿だった
「おい!!どういうことだ!?織斑千冬が決勝に出ているぞ!!」
「そんなわけねえだろ!!家族が人質になってんだぞ!?」
「まさか・・・・織斑千冬は家族の命よりも2連覇の名誉をとったっていうこと!?」
誘拐した人達もまさか彼女がこんな冷徹な人間だったとは思いもしなかった。それは手足を拘束されている秋良も同じ思いだった
「(そんな・・・・千冬お姉ちゃんにとって僕は・・・・そんな存在だったっていうことなの?)」
昔、家族で仲良く暮らしていた光景が音を立てて崩壊し、秋良は暗い闇の中に閉じ込められてしまった。その闇の中では自分に向けられる冷たい視線。罵倒
それら全て心が崩壊した秋良の心を埋め尽くしていく。そして、誘拐犯達は自分達の顔を見られている秋良の処分を決意する。このままでは契約違反となって自分達の身がどうなるか分からない
自分達が助かるためにも目の前の少年を殺さなければならない
「こうなったら仕方ないわね。子供を殺すのは少し気が引けるけど・・・・私達が助かるためにはしょうがないわ」
女がそう言うと右手に明らかに人間が装備するには大きすぎる銃が現れ、その銃口が秋良の頭に向けられる。あれはISの装備だ。自分をこんなにも苦しめた憎しみの原因
しかし、秋良の心には不思議と恐怖は全くなかった。むしろこれでこんな地獄の日々から解放されることに対する安堵。更には今度生まれ変わったらもっと幸せな世界で暮らしたいという羨望、2つの感情が読み取れた
「じゃあね、ぼうや」
ジャキンと銃に弾が装填された音がし、女性が銃の引き金に手をかける。この1発で痛みなく逝けたらいいなとこの世界で生きることを諦め、静かに目を閉じる
そして銃声がした後、辺りは沈黙に包まれた
「(・・・・僕は・・・・死んだのかな?)」
いつまでたっても来ない痛み。もしかしたら痛みなくあの世に行くことが出来たのだろうか。そんなことを考えていると秋良の頭上から天使の様な、鳥の様な純白の羽が沢山、ヒラヒラと落ちてくる
ああ、きっと天国の使いが自分を迎えに来てくれたんだと思ったが、秋良の目の前に現れたのは秋良がイメージしていた天使とは違い、褐色の肌に桃色の長い髪、瞳を覆う部分が白く、その他が黒で染まったアイマスクの様なものを身に着けた2人女性だった
随分と変わった天使だなと思った秋良に2人が声を掛ける
「やっと見つけました。雷のマーレリングの適応者」
「やっと見つけました。霧のマーレリングの適応者」
「霧?雷?マーレリング?適合者?」
霧と雷という言葉は理解できる。自然現象の2つである。しかし他の2つの言葉、マーレリングと適応者という言葉。その意味が分からない秋良の頭にハテナマークがいくつも浮かぶ
しかし、彼女達はそれが当たり前といった感じでそれぞれの手に1つずつ灰色の雫に同じ色の翼の生えたような指輪を出現させ、それを秋良に見せる
一見、少し形の変わった指輪にしか見えないのだが、何故か秋良は視線をその2つの指輪から外すことが出来ない
「あなたこそがこの世の至宝、世界をかける
「あなたこそがこの世の至宝、世界をかける
「・・・・貴方達は誰なんですか?それに、世界をかける?そんな大それたことが出来る人間じゃないんですよ・・・・僕は」
「「我々は貴方の人生に訪れたある思考。選ばれし特別な者にのみ与えられる啓示・・・・とでも言っておきましょう。それに私達にはそのような事は関係ありません。あなたがこの2つのマーレリングに選ばれたからそれを渡しに来た。それだけの話です」」
急に現れて世界を我が物にできるといわれても正直、反応に困る
そんなこと一度も考えたことがなかった秋良。世界を手にしたいと思ったことなど一度もなく、自分よりも優れた姉達に追いつくことで頭がいっぱいだった
しかし、ひょっとしたら、これを手に取れば何かが変わるのではないか、今の自分という蛹の殻を破り、蝶となる時が来たのではないだろうかと秋良は思い、2人の手を、マーレリングを持っている手を握った
その瞬間、秋良の視界は藍色と緑色の光に包まれた
秋良に銃を向け、発砲した女性は信じられないものを見ていた
確かに自分は今、銃から弾丸を発射し、それは一直線に秋良の頭の中心を射抜き、絶命させるはずだった
しかし、現実はどうだろうか。いきなり、秋良がガクッと頭を下げ、気絶したのかと思いきや彼の体から緑色の光が噴き出し、まるで固いバリアに阻まれたかのように自分の弾丸を弾き飛ばした
「な、何が起きてんだ?」
「分からねえ・・・・分からねえけど、なんか逃げた方がよさそうだぜ」
「ちょっと、あんた達!!この子を生かしておけないでしょ!!早く手伝いなさいよ!!全く、これだから男は」
「うるせえ!!ISが装備できなきゃただの女のくせに!!とにかく俺は抜けさせてもらうからな!!」
今まで溜め込んでいたISへの恨みを言葉にした後、男は監禁場所から逃げていく。それに続くようにもう1人の男も外へと逃げていく。このままここにいては危ないという自分達の直感を信じて逃げることにしたのだ。たとえ、逃げたとしても、契約違反により自分達が生きていられる可能性は低いだろう。しかし、それでも僅かな可能性を信じて男達は逃げていく
残された女性は何としてでも秋良を殺そうと、弾丸の狙いを定めることもなく乱射する
一撃で仕留めるとかそんなことを考えずただただ目の前のバリアの様なものを破壊し、標的を殺す。それだけを考えて銃を乱射する。しかし、どれだけ撃っても周りは壊れていくのに対して秋良の緑色のバリアは消えることなくその緑色の光を放ち続ける
そして、銃に装填された弾丸が尽きると同時に秋良の緑色のバリアも消えていき、秋良の体は正面に倒れる
どうやら無意識にこのバリアを展開していたようだ。女性は別の装備、1本のブレードを展開し、秋良のもとに近づき、上に振り上げる。目の前の
これでこの訳の分からない恐怖から解放される女性は安堵のため息をつき、ブレードの先を見る
そんな彼女の期待はある光景によって崩される
「いやぁ、それをされちゃうと困るんだよねぇ」
女性の目の前でISのブレードを素手で掴む純白の髪、常に笑顔の様なその表情からはなぜか恐怖を感じる。そしてブレードを掴んだ手には灰色の雫に翼が生えた指輪。先程、2人の褐色肌の女性が秋良に与えたマーレリングと似たような形状の指輪がはめられていた
「な、何なのよあんたは!!」
「僕?僕の事なんかどうでもいいじゃん・・・・・・・これから死んでいく君にはさ」
ブチィ!!
何かが引きちぎられる音が聞こえる
そして、何故か感じる激痛と、何かが足りない喪失感、その2つを感じた女性は自分の体の一部が温かく感じる。その方向を見ると、ブレードを握っていた方の腕がそこにはなく、そこから赤い血液がどんどん溢れていた
そして、それを見て悟った
自分の腕は目の前の男に引きちぎられたのだと
「ギャアアアアア!!!!」
「あら?ごめんごめん♪まさかとれちゃうとは思わなかったなぁ。彼の言っていたデータよりもISって脆いんだね」
「腕が、私の腕があああアアああ!!」
目の前の男の背後にいる殺害対象のことなど気にしている余裕もなく、激痛でのたうち回る。しかし、目の前の男性はそれが不愉快だったのか、転がりまわる女性の頭部を足で踏みつける。グエッという蛙の鳴き声の様な声が聞こえ、女性は身動きを封じられた
拘束された女性は何とかそれを解こうと反対の腕に展開したブレードを目の前の男性に向けて振り上げる
「ん?」
それに気づくのが少し遅れた男性はブレードの餌食にあうはずだった。しかし、彼の指輪の灰色だった石の部分がオレンジ色の光を放つと、鋼鉄で出来たブレードが石と化して、スナック菓子のように粉々に砕けてしまった
さっきから何が起きているんだ。女性は目の前で次々と起こる異常事態に頭の整理が追い付いていなかった。しかし、それを行っただろう男性はそのオレンジ色の光を女性の方に向ける。嫌な予感がした
その予感通り、女性の体はブレードと同じように足からどんどん石と化していく
「じゃあね、どこの誰かもわからない人・・・・・あ、冥土のお土産に僕の名前を教えてあげるよ 僕の名前は――――――――」
その声を最後まで聞くことなく、女性の意識は暗闇に落ちた
「―――――――っていうんだよって、あれ?もう聞こえてないかな?」
自分の名前を聞く前にただの石像と化してしまった目の前の女性にため息をつくと、気絶している秋良のもとに近寄り、彼の右手を手に取る。そこには自分がつけているのと似ている形状の指輪が2つはめられていた。それをみた男性はまるで欲しかったオモチャを与えられた子供のようにニンマリと笑みを浮かべ、少年を横にして抱きかかえる
「全く、この世界は素晴らしいね」
石化した女性と気絶している少年を交互に見る
「こんな腐ったオモチャもいれば、こんな素晴らしいオモチャも存在するなんてね。道理でこの世界を隈なく探しても見つからないはずだよ・・・・・まさか、この子がトリカブトとGHOSTの両方の代わりになってくれるなんてね♪」
「白蘭様」
男性の声が白蘭と呼ばれた男性の背後から聞こえてきた
その方向に体を向けると、黒いコートに身を包んだ2人の男性と1人の少女、1人の少年が彼に対して忠誠の姿勢をとっていた
「やあ、桔梗ちゃん。ごみ掃除は終わったかな?」
「はい、ここから出て行った2つのゴミは綺麗に処分することが出来ました。それよりも、白蘭様の抱えている少年が?」
「うん♪この子こそがこの世界の最後の真六弔花、霧と雷のマーレリング
秋良を抱えたまま桔梗達の所へ歩いていく。その際に石化した女性を踏みつけ、砕け散らせる。バラバラになった女性は自分がこのような死に方をするとは思わなかったということを考える間もなく、そして、誰にも看取られることなくこの世から姿を消した
その頃、別の所でもある人物の新たな物語が始まろうとしていた。それは秋良の連れ去られた場所から遠く離れた日本で起こっていた
「さぁて、あの天災の妹を連れ去ることは出来たが、問題はこの後だな」
何処かの地下室なのだろうか、薄暗い部屋の中で確認できるだけでも5人の男が手足を縄で縛られ、口も布を噛まされ身動きの取れなくなった少女、ISを作り女尊男卑の世界にした張本人である篠ノ之束の実の妹、篠ノ之箒を囲むようにして立っていた
「そうだな。どうやって篠ノ之束と連絡を取るかだな。さっきこいつの携帯で連絡を取ろうとしたけど、繋がらなかったからなぁ」
「ここはよくある脅迫映像をTVをジャックして放送するってのはどうだ?」
「そうだな。あの女もTVくらいは見ているだろうからな。それじゃあさっそく始めるか」
ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべながら近づいてくる男達。それを見た箒はこれから起こるだろう絶望と姉に対する憎しみで心を染められていた
何故自分がこんな目にあわないといけないのだろうか。何故何もしていない自分がこんなにも苦痛を受けなければならないのか
ただ家族と、仲の良かった仲間達と楽しく暮らせればそれで良かったのに
そんな感情を抱いている箒のポニーテールが捕まれ、手足が拘束されたまま吊り上げられる
髪が数本千切れる度に僅かに痛みを感じるが、彼女の顔からは絶望感しか見えなかった。これから起こることが予想でき、もういつもの日常に戻ることが出来ないことに涙を流す
そんな彼女の姿を下種な笑みを浮かべる男。恐らくこれから彼女に行おうとしていることを想像して笑いを抑えることが出来ないのだろう。その時だった
「その手を離せ」
ポニーテールを掴んでいた男の手を別の誰かが掴んだのは。男と箒がその腕のもとを辿っていくと、そこにはオレンジ色の炎を額に灯した少年が鋭い視線を男に向けていた。見た目からすると中学生くらいの男の子だろう。そんな少年がいきなりこの場に現れた事に驚きを隠せない。それもそのはずだ
まだ箒が誘拐されたことは誰にも知られていないはずだ。それなのに何故この少年はこの場所に箒が閉じ込められていることを知ったのか理解が出来なかった
「テメェ!!いったいどうやって!!」
「俺の事なんてどうでもいい。ただ・・・・お前達は怒らせてしまったんだよ・・・・・束を」
「束?・・・・・・っ!!篠ノ之束だと・・・・まさか!!」
彼女の名前を聞いた瞬間、男達は全てを察した。今この瞬間も自分達は彼女に監視されているということを。ISを作り上げた篠ノ之束ならば誰にも気づかれないような光学迷彩を使った監視カメラのような機械を作ることなど造作もない事だろう。そして、妹が大好きすぎる彼女のことを知っている人間ならば、箒にこんなことをしてただで済むとは思えない
「その通りだ。お前達はずっと彼女に監視されていたんだ・・・・
「冗談じゃねえ!!こうなったらテメェもとっ捕まえてテメェの親からたっぷり身代金を貰うとするか!!」
男が立ち上がり、少年に向けて拳を振るう。男達はこの少年も捕まえて彼の両親から身代金を貰おうと少年の捕獲に動き出す。大の大人2人で掛かればこのような少年、すぐに捕まえることが出来ると思っていた
しかし、少年を掴もうとした両手の先に少年はおらず、辺りをキョロキョロと見回すと、背後から感じた拳の感触、それと同時に吹き飛ぶ男の巨体。先程まで男の目の前にいた少年がいつの間にか男の背後に回って拳を突き出した格好で立っていた
それを見た残りの男達は何があったのかと吹き飛ばされと男によって破壊された壁と少年を交互に見る。少年は再び瞬時に箒のもとに現れ、箒に結ばれていた縄を外し、彼女の体を自由にする
「大丈夫か?」
「は、はい。すみません。助かりました・・・・あなたは」
「俺は沢田綱吉・・・・ここに来たのはあなたのお姉さんに助けを求められたからだ」
「えっ!?姉さんが!?」
「ああ、話は後でする。今はここから「クソガキがああああああ!!」ちっ!!」
箒をお姫様抱っこの状態で担ぎ、後ろに飛び退く。そこには壁に吹き飛ばされた男が顔を血で染めながら壁に立てかけてあったのだろうか斧を振り上げ、一気に振り下ろす。男の腕力と斧のせいで木でできた床に大きな穴が開く。そこに周りにいた男達が懐から銃を取り出し、箒と綱吉に向けて発砲する。箒を生きた状態でとらえなければならないのだが、男達の頭の中はこの2人を殺すということしか頭に入っていない
そして発砲した弾丸が2人を貫通しようとしたその時、2人の目の前を黒い骨でできたような円状の物体が現れ、弾丸はその円の中にできた透明な膜に吸い付くかのように止まってしまった
「あん!?」
「な、何が起きてやがんだ!!」
もはや目の前で何が起きているのか男達の頭では理解が出来なかった。そんな男達に向けて赤い炎を灯したダイナマイトが飛んでくる
「な、ダイナマイトだと!?」
「逃げろ!!ここから逃げるんだ!!」
「分かってるよ!!だけどよぉ・・・・体が動かねえんだ!!」
男達の体が動かない、いや、正確には普段からは考えられないような速度の遅さで動いている。まるで1分が永遠に近いような感覚だ。そんな男達を他所に、綱吉のもとに銀髪と黒髪の中学生くらいの少年達が駆け寄る
「十代目!!大丈夫ですか!?」
「どうやら束さんの妹さんも助け出せたみたいだな」
「山本・・・それに獄寺も・・・助かった」
「いえ!!それにしてもボンゴレ十代目のボスに手を出すとはな・・・・テメェ等・・・・果てる覚悟はできてんだろうなぁ!!!!」
「まあまあ、落ち着けよ獄寺。束さんからは塵も残さず消せって言われたけど、ツナがそれをやらないって決めたんだ・・・・ここは俺に任せとけよ」
「んだと野球バカ!!俺の方がお前よりも優れてっておい!!」
獄寺が何かを言う前に山本は男達のもとに駆けていく。男達は未だに原因不明の体の遅さに戸惑いを隠せておらず、更には飛んでくるダイナマイトに恐怖している。山本は先程まで竹刀だったものに青い炎を灯し、日本刀に変化させると、一気に加速する
すると、それに比例して、彼の周りを巨大な青い炎が包み込む
「時雨蒼燕流・・・特式・・・・十の型、
青い炎が男達に飛んでいくダイナマイトの赤い炎を鎮火させ、床に落とす。そして、その勢いのまま男達に突っ込み、男達の間をすり抜ける
すると、男達の巨大な体は糸の切れた人形のように床に倒れてしまう。しかし、男達を見ると、気絶しているだけのようで、体からは一滴の血も垂れていない。山本はふぅ、とため息をし、真剣となった竹刀を元に戻し、綱吉のもとに戻ってくる
「ツナ、こっちは終わったぜ」
「ああ、とにかくここにいては色々と面倒になるからな、ひとまずここから離れよう」
「そうですね!!おい野球バカ!!俺が先頭に立って十代目をお送りするんだからな!!今度は余計な真似するなよ!!」
「分かってるって♪そんなに怒んなよ」
先程までのピンと張り詰めたような雰囲気は何だったのだろうと思うほどこの2人からは鋭かった殺気を感じない。そして、先頭に立つ獄寺の後をついて地下から上がっていく綱吉は振り返って箒に向かって手を差し出す。箒は何故かこの手を掴めば新しい自分に出会える気がする
何故そんなことを思ったのかは分からない。しかし、箒はその手を取る
綱吉の言葉にあった姉からの依頼、つまり彼等についていけば姉と会える可能性が出てくる。何故ISを作り、こんな世界にしてしまったのかを聞かなければならない。そして、彼女に自分が味わってきた苦しさを知ってもらわなければならない
しかし、それよりも箒が彼の手を取ったのは山本の使った時雨蒼燕流
箒自身も篠ノ之流の門下生である、それ故かは分からないが、時雨蒼燕流に惹かれてしまった。それは自分が習ってきた流派を捨ててでも身につけたいと思ったものだった。色々な理由や目的をもって箒は綱吉の手を取る
織斑秋良と篠ノ之箒、普通に生活していれば決して交わることのなかったマフィアが彼等の生活に関わることで彼等の人生は180度変わった。秋良は脱走した白蘭に連れられ、ミルフィオーレファミリーに、箒は綱吉たちに救われてボンゴレファミリーにそれぞれ進むことになった
そして、それから暫く経ち、彼等は日本にあるIS学園で再会することになる。ボンゴレとミルフィオーレ、10年後の未来ではお互いに死闘を繰り広げたファミリー同士がどうなっていくのか。この世界はどうなってしまうのか。それは誰にもわからない
次回予告
白蘭に導かれる秋良、綱吉に導かれた箒
月日は流れ、2人は心も体も成長した。そんな時にTVで流れたIS界初の男性操縦者の誕生、それにより、秋良にも適性があることが発覚し、IS学園への入学が決まってしまう。
そしてその選別として秋良、レン、キサラに与えられる専用機。秋良に与えられた4つの力は彼にどのような人生を歩ませるのか
次回 Obiettivo 2
お楽しみに
次回は仮面ライダー馬鹿さんに提供してもらったレンとキサラを登場させます。また、秋良についていくカテキョーはヴェルデが風の予定です
因みにマーレリングはチェルベッロが渡したという設定にしました。白蘭から渡されるっていう設定もありかなと思ったのですが、こうしてみました