Infinit Millefiore   作:つのっぽ~

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今回は箒パートメインで後半に秋良とレンのIS学園入学にいきますので、よろしくお願いします。



新世界の足掛かり
Obiettivo 4


秋良と同じころに誘拐された箒。それを沢田綱吉率いるボンゴレファミリーに救われた後、彼女はボンゴレ晴れの守護者、笹川了平の妹である笹川京子の友人、三浦ハルの家に居候として住まわせてもらっていた。本当はそこまでお世話になるわけにはいかないと言ったのだが、彼女の嫌とは言わせない気迫の様なものに負けてしまい、お願いする形となった

 

そして、ハルの家に泊まりながら時雨蒼燕流を会得するために、山本武に弟子入りし、彼の家の道場に毎日通い、山本武がいないときは彼の父親から、そして、彼が部活から帰ってくると、彼とともに特訓に励んだ。そして、春休みも終わり、綱吉達が並盛中での新学期を迎えるころ、箒も日本政府から誘われてIS学園に通うことになった

 

そして、IS学園の入学式の数日前、彼女は綱吉達が着るような黒いスーツに黒いタイツを履いた格好、そして、右手には黒いキャリーバッグを持って、ハルの家の玄関前に来ていた。そこには家主のハルの他にIS学園に向かう箒を見送ろうと綱吉達ボンゴレファミリーが顔を見せていた

綱吉にあまり協力的でない雲の守護者、雲雀恭也といつもは六道骸率いる黒曜のメンバーと行動を共にしているクローム髑髏を除いて

 

「・・・では、ハル殿、今まで本当にお世話になりました」

「そんな・・・・殿なんて止めてください。ハルは箒さんと過ごせてとても楽しかったです!!」

「また、何時でも並盛に来てください!!その時はまたハルちゃんとクロームちゃんも呼んで一緒にお泊まり会しましょう!!」

 

箒がハルの家に滞在していたときによく並盛の町を案内してくれたり、ショッピングに付き合ってくれた笹川京子も少し寂しそうな表情を浮かべるが、直ぐに笑顔に戻す

これが今生の別れになるわけではないのだ。また会える。そう確信して彼女は笑顔を絶やさない

これが彼女の強さであり、ボンゴレ晴れの守護者、笹川良平の妹である所以なのだろう

 

「そして、ボス・・・・あなた達があの時来てくれなければ、私はここにはいませんでした・・・・本当にありがとうございます」

「そ、そんな!!頭を上げてください!!それにボスって言われても、俺はマフィアになるつもりは「まだそんなくだらねぇこと言ってんのかダメツナ」リボーン!!」

 

綱吉の頭を飛び越えて箒の肩にくるくると前に回りながら綺麗に着地する。いつもは綱吉の肩に乗っている彼が何故これから並盛から去ろうとしている箒の肩に乗っているのか。綱吉以外の人間は頭にハテナマークを浮かべているが、長年彼の生徒として共に生活していた綱吉は彼の考えを察した

 

「じゃあ、リボーン・・・・箒さんの事、お願いね」

「な、何を言ってるんですかボス!!リボーンさんはボスの「ああ、任せとけ。俺がいないからって修行さぼんじゃねえぞ」リボーンさんまで!!」

「実はね、箒さん・・・・昨日、束さんから連絡があったんだ。箒さんの護衛の依頼をね」

 

あの事件から何も起きなかったのは、綱吉をはじめとしたボンゴレファミリーが箒の知らないところで誘拐犯を退治していたからだ。もし、箒が自分達の管理する並盛から離れれば、また彼女が危険な目にあう可能性がある。最も、あのころとは違い、山本武の父親から教わった時雨蒼燕流も完全にではないが、ある程度習得できた彼女ならば余程の敵がこなければ負けることはないだろう。しかし、何事にも保険というものは必要である

本当ならば綱吉達の誰かが付き添うべきなのだが、IS学園は基本、女性しか入学できないため、綱吉達はついていけない。ファミリーで唯一女性のクローム髑髏は何時、六道骸に命令されて学園の生徒達に危険を及ぼすか分からないので、並盛にいてもらった方が安全

色々な考えを統計してアルコバレーノのリボーンが箒についていくという結果となった。だが、これは綱吉とリボーンの間だけで出された結果なため、綱吉とリボーンを崇拝している獄寺は反対したが、ボンゴレ十代目とその家庭教師たるアルコバレーノが決定したことなので渋々納得することにした

 

「そうだ、箒、お前ぇに渡すもんがある。手を出せ」

「あ、はい。こうですか?」

 

リボーンに言われ、右の掌を上に向けると、リボーンはどこから取り出したのかは分からないが、箒の手に銀色の小さなアタッシュケースを置く。それを開くと、その中には青い匣が3つと青い石のついたリングが5つ入っていた

匣に関する知識のない箒にとっては初めて見るものだ

 

「これは雨属性のリングですね・・・・でも、この青い匣は何ですか?」

「そいつは(ボックス)って言ってな。箱の中にはお前の雨属性と同じ属性を宿した生物が入ってるんだ」

「こんな小さな匣に生き物が!?」

「ああ、リングを使えば開くからやってみるか?」

 

リボーンの言葉に頷き、リングの1つを指にはめ、力を込めると青い石から青色の炎が噴き出す。それを青い匣の1つに炎を注入すると、匣が開匣され、青い光が2つ飛び出してくる。それは箒の足元にポトッと落ちて、暫くコロコロ転がった後、青い炎が晴れ、そこから青白い体毛を持った小さな2匹の子犬が現れた。子犬達は背中に背負っている刀の重さに耐えきれずよろよろと揺れ、コテンと倒れてしまった

どうやら出てきたのは山本武の次郎と同じ雨属性の犬のようだ。箒はその愛くるしい姿に目をキラキラと輝かせ、その2匹を背負っている刀に注意して両手で抱き上げる。すると、箒を見て嬉しそうに尻尾をブンブンと振り、喜びを体全体で表す

 

「わぁ~、これが箒さんの匣アニマルちゃん!?」

「キュートですぅ~」

 

その光景を見ていた京子とハルが自分にも抱かせてと箒に駆け寄る。箒は子犬達が背負っている刀を抜くと、京子とハルの2人に1匹ずつ渡す。2人が抱き上げると、嬉しそうに尻尾を振り、彼女達の頬をペロペロと舐める。それを擽ったそうに笑う2人をみて箒は2匹の頭を優しく撫でる。それを見ていた綱吉達は2匹を見ていた。山本の弟子ということで匣アニマルも犬にしたのだろうか。しかし、あのような青白い体毛の犬は彼等の人生の中で初めて見るものだった

 

「リボーン、この2匹って山本の次郎と同じ雨犬(カーネ・ディ・ピオッジャ)なの?」

「いや、ヴェルデが言うにはこの2匹は雨狼(ルーポ・ディ・ピオッジャ)のスコルとハティだそうだぞ」

「へぇ~、あのヴェルデがね~・・・・・・って、え!?ヴェルデ!!箒さんの匣兵器ってあいつが作ったものなの!?」

「ああ、前にマーモンがヴェルデの奴から匣兵器のサンプルを貰った時があったろ。あんな感じで頼んでみたんだ。あいつも暇つぶしには丁度いいって言ってたしな」

 

とはいっても、リボーンとヴェルデの仲の悪さを考えれば、彼から匣を貰うということ自体が驚きなことなのだ。リボーンとて本当ならばヴェルデに借りを作ることは基本ならば絶対にしたくない

しかし、ボンゴレギアを持つ守護者に比べれば箒の実力はまだまだ彼等の足元にも及ばないし、箒が攫われてしまった時のデメリットを考えると、嫌な奴でも、イノチェンティ、ケーニッヒと共に匣兵器を生み出した男に頼んだ方がいいと彼は考えたのだ

 

その際にヴェルデから綱吉達のボンゴレギアのデータを交換条件にされ、渋々、この時代のスパナと入江正一に頼んで、ボンゴレギア使用の際の死ぬ気の炎のデータを取ってもらい、それをヴェルデに送った

ボンゴレリングのデータしかもっていなかったヴェルデにとって、ボンゴレギアのデータは彼の研究を飛躍的に進めるものとなった

余談だが、その時のボンゴレギアのデータを基に作られたのが、真六弔花の持つ匣兵器や秋良の持つISなのだ。ボンゴレファミリーの各々が持つ強大な死ぬ気の炎を受け止めることのできる武器、彼等よりも死ぬ気の炎の総量が勝る真六弔花の武器開発に大いに貢献したという

 

そして、箒はそんなヴェルデからもらった3つの匣兵器の1つ、雨狼(ルーポ・ディ・ピオッジャ)のスコルとハティを匣に戻し、銀色のケースに大切にしまう

 

本当はもっと沢山話すべきことがあるのだが、急がなければIS学園行きのモノレールに間に合わなくなってしまう。箒はボンゴレファミリーの中でも一番お世話になった山本武の前に立ち、深く頭を下げる。時には師匠として、また、時には年下の後輩として何かとお世話になった彼。もう彼とも共に修行が出来なくなると思うと、少々寂しさを感じる

 

「じゃあな、箒。また何時でも並盛に来てくれよな♪ランボの10年バズーカ喰らった後からなんか、箒の戦い方が変わってきて面白かったぜ」

「ええ、まあ、その点に関してはランボには感謝してます。御陰で未来で新しい剣術を学ぶことも出来ました。今後は時雨蒼燕流とその剣術をともに極めていきたいと思います」

「おう!!モップ!!ランボさんに感謝するんだもんね!!!!」

「だから私はモップではないといってるだろう!!私の名前は箒だ!!」

「うるさいもんね!!ランボさんがモップって決めたんだから箒はモップだもんね!!」

「この・・・・・覚悟しろ!!」

「ぎゃはははは~、箒が怒ったもんね~」

「箒ではない!!私はモップだ!!・・・・・あ、間違えた!!」

「ぎゃはははははは!!引っかかったもんね~」

 

揶揄うように箒を笑いながらファミリーの周りをグルグルと逃げ回るランボ。それを追いかける箒。いつものファミリーの光景に皆、微笑ましい笑みを浮かべる。そして、その追いかけっこを終結させたのは箒の肩に乗っているリボーンだった

 

「うるせえぞ」

「ギャビン!!」

 

箒の肩から飛び降り、ランボの顔面に容赦なく蹴りを放つ

蹴られたランボは猛スピードで壁に当たり、その拍子に彼の頭に入っていた10年バズーカの弾が爆発し、ランボの周りをピンク色の煙が包んだ

そして、煙が晴れるとそこには大人になった10年後のランボがいた

 

「お久しぶりです10代目。そして、初めましてだね箒。いつもこの時代の私と遊んでくれてありがとう」

「い、いえ!!こちらこそ・・・・え?ランボ?でもさっき・・・・え?」

「これが10年バズーカの力だぞ。お前がこれを喰らって未来に行ってた時もその時代の箒がここに来てたんだぞ」

「ああ、楽しかったぜ♪未来の箒と戦ったときは。途中で雲雀も参加して楽しめたぜ♪」

「そうそう。それで・・・・・あ・・・・・」

 

綱吉が何かに気づいて様な声を上げる。ファミリーと箒がその方向を見ると、紫色の髪に童話の不思議の国のアリスでアリスが着るようなドレスを身に着け、頭にはウサギの耳がつけられている女性

ISを作り上げた天災と呼ばれる女性、篠ノ之束がいた。束は何かを伝えつかのように綱吉達に目を向ける。それを察した綱吉は束の方を見る箒の肩をポンと押す

 

「ボス・・・・」

「駅までは距離もありますから、折角だからそれまで話しながら言ったらどうですか?僕達はいつでもここにいますけど、束さんに会えるのはそう簡単なことじゃないですから」

「つっくん・・・・・」

「・・・・分かりました・・・・皆さん・・・・本当にありがとうございました」

 

再び全員に対して深く頭を下げ、リボーンを肩に乗せ、キャリーバッグを転がし、束の隣に行き、2人で歩いていく。幼い頃以来だった。こうやって姉妹揃って道を歩くのは

束がISを作ってから転校や引っ越しを何度も強要され、束とは音信不通になっていた。そんな彼女が隣にいる

本当ならば何か文句の1つでもぶつけなければならないのだろうが、箒にとってたった1人の姉が隣にいる。それだけで箒は嬉しそうに笑みを浮かべる

 

「・・・・こうやって箒ちゃんと一緒に歩くの久しぶりだね」

「そうですね。姉さんがISを作ってからですから・・・・本当に久しぶりです」

「・・・・・ゴメンね。束さんは宇宙に行きたいって想いだけでISを作った。だけどあいつ・・・・織斑千冬は私の夢をぶち壊した。私との夢を捨てて自分が崇められる為の道具にした・・・・そう、あいつの家族の一夏と春香があっくんにしてきたように」

「・・・・姉さん・・・・秋良はやっぱり」

 

箒の言葉に力なく首を振る束

よく見ると、彼女の眼には隈が出来ており、足取りもややおぼつかない。人間レベルでハイスペックな姉でもここまで疲れているなんて、きっと秋良のことを寝ずに探していたのだろう

 

「分からない・・・・でも、あっくんが誘拐された場所には誰かが戦った痕跡が残っていた。それに気になったのが、その現場に落ちていたISの装備を付けた女性の腕だけが残されていたの。それにその事件の時に空に向かって5人の人が飛んで行ったなんて噂も出ている

だからあっくんは・・・・どうなったかは分からない」

 

もう秋良はこの世にいないかもしれない。もしかしたら生きているかもしれない

ならば箒がすることは1つだけだ

秋良が生きていると信じること。今の彼女にはそれしかできないし、そう信じて前に進み続けるしかない。そんな箒の力強い目を見た束は今の彼女にならばこれを渡しても大丈夫だろうとポケットから赤と青のブレスレットが交わり、鈴のついたものを箒に差し出す

 

そう、これは束が箒のために秋良の捜索と同時進行で進めていた彼女専用のIS

 

「姉さん・・・・これは」

「うん、箒ちゃん専用のIS、名前は雨椿。この子は箒ちゃんのために生み出されて、箒ちゃんと共に強くなっていく今の束さんの最高傑作だよ」

「私と強くなっていくIS・・・・雨椿」

「そのISには学習機能が付いていてね。箒ちゃんが強くなればなるほど、そのISは箒ちゃんに答えてくれる。これが今の束さんにできるせめてもの贖罪・・・・私の小さな欲望がこんな世界を女尊男卑なんていう下らない世界を創ってしまった・・・・そのダメージを一番に受けた箒ちゃんへの贖罪」

 

箒はしばらく束を見た後、束の手にある雨椿を右手首に装着する

それを見た束は笑みを浮かべるが、箒はその額にデコピンを当てる。いきなりの行動に驚いた束を箒は優しく抱きしめる。最初は恨んでいた

自分と秋良を離れ離れにし、自分達を地獄に落としたISと束を恨んでいた。でも、彼女は変わった。ボンゴレ10代目沢田綱吉とそのファミリーに出会ったことで。昔の自分だったらこの雨椿を叩き落としていただろう

 

「姉さん・・・・ありがとうございます。雨椿・・・・大切にします」

「・・・・うん・・・・うん」

 

暴力を受ける覚悟はしていた、許されなくても雨椿だけでも渡せればと思っていた。しかし、彼女はこんな自分を受け入れてくれた。彼女にとっては死神の様な自分を

隈のできた目から大粒の涙が流れる。箒に受け入れてもらえたことで彼女が抱えていた苦しみから少し解放されたような気がした

 

モノレールの駅に着くころにはいつものハイテンションな束に戻っており、満面の笑みを浮かべてニンジン型のロケットに乗り空へと飛び立っていった

 

「・・・・行きましょう・・・・リボーンさん」

「おう、しかし、IS学園か。将来のボンゴレファミリー候補に会えるといいがな」

「もう、ほどほどにしてくださいよ。ボスが驚いてしまいますから」

 

分かってるよとニヤリと笑みを浮かべながら答えるリボーンに、絶対に分かってないなと苦笑いを浮かべて箒はIS学園行きのモノレールに乗った

 

「(秋良・・・・私は強くなるからな・・・・・お前の分まで)」

 

雨椿の装着された方の手をギュッと握る

その秋良とIS学園で再会するとは彼女も秋良も思っていないだろう。そんな秋良は今、いろいろな意味で危機に陥っていた

 

「へくちっ!!誰かが噂してるのかな?」

「ふぁんふぁほふぉふふぁ。ふぃふぃふぁふぃ(何だよ良弥。いきなり)」

 

日本のとあるレストランに2人はいた。本当ならば、今頃はIS学園にいて、授業のカリキュラムや案内をして貰おうと思っていたのだが、何故かIS学園から遠く離れたレストランにいる。その原因は目の前でハムスターのように口一杯にカツ丼をかきこんで、咀嚼しているレンだった

 

日本に着いて、直ぐにIS学園に向かおうとタクシーを手配しようとしていたところ、レンがとあるパンフレットを両手が震える程の力で掴んでいた。その手には全国のカツ丼が集うカツ丼フェスティバルの開催を知らせるパンフレットだった。おまけに開催日が本日まで

それを知ったレンの行動は非常に素早かった。IS学園から遠く離れた場所までタクシーを使って移動し、何故か一緒に来ることになってしまった秋良とともにカツ丼フェスティバルを謳歌している。そして、レンがカツ丼フェスティバルの会場を出たころにはもう日が暮れてしまっており、IS学園に行くのは明日になってしまった。仕方ないので、東京に向かう駅の近くのホテルを予約し、そこに泊まることになってしまった

そして、部屋につくとレンはすぐにカツ丼を食べに出かけてしまった。一体この男のどこにあれだけの量のカツ丼が入っているのか不思議で仕方なかった

 

ため息をつきながらホテルの窓から外の世界を見る

久しぶりの日本。本当は帰ってくるつもりなど毛頭なかった。あのままイタリアで、白蘭の傍でファミリーのメンバー達と楽しく暮らすつもりだった。しかし、秋良は日本に来た。この世の女尊男卑という理を破壊し、本当の平和な世界を創るための足掛けに

 

今日はもう寝ようと服を着替える。すると、首に着けていたネックレスの先端についているロケットペンダントの蓋が勝手に開き、そこから1枚の写真が現れる

それは幼い頃、幼馴染の箒と一緒に撮った写真。この写真より後にISが作り出され、箒とは離れ離れになってしまった

 

「・・・・箒・・・・僕はやるよ・・・・この身がどれだけ血で赤く染まっても・・・・君と・・・・世界中の人達の幸せのために・・・・」

 

彼の意思に答えるように左手のリングから4体のドラゴンの咆哮が聞こえたような気がした

彼等とともに変えるんだ。4体のドラゴン、赤色のオッドアイズ、白色のクリアウィング、黒のダークリベリオン、そして、紫のスターヴヴェノム。そして、白蘭が自分のために作った匣兵器の神鉄如意、マンダそして、残りの2つ

そして、あと2つ

それは鏡に映し出された秋良の左胸と右胸にあった。普通の人間ならば絶対にありえない光景、マンダが、神鉄如意が入っていたような匣が2つ彼の胸に埋め込まれていた。これが秋良の白蘭に対する忠誠と彼が真六弔花である証ともいえる

新しい世界を創るために払った犠牲、この2つの匣をみると、つくづく感じる。自分がもはや人間とは呼べなくなってしまったことを

 

しかし、後悔はしていない

これ等の御陰で自分はこうしてここに立っているのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日

カツ丼の食べ過ぎで気分が悪くなっているレンを文字通り引きずりながらIS学園行きのモノレールに乗る。揺れる車内で吐きそうになっているレンを渋々介護しながらモノレールはIS学園へと辿り着いた。今日はIS学園の入学式

なのだが、昨日のレンのせいで入学式には完全に遅刻してしまった。白蘭に事情を話し、IS学園の理事長とは話をつけているので問題はないのだが、やはり気まずい

そんなことを考えていると、校門に1人の女性が腕を組み、立っているのが見えた

 

黒い髪にどこか自分と似たような容姿。黒いビジネススーツを身に纏った女性、元ブリュンヒルデ織斑千冬は秋良と回復したレンを交互に睨みつけるように見る。それを見た秋良は変わらないなと呆れる。初対面の相手にいきなり睨みつけ、相手よりも自分の方が偉いんだぞと相手に強制的に思わせる彼女の卑怯な技

しかし、その程度の睨みなど、桔梗やザクロに比べれば優しいものだ。昔は彼女の睨みに一々ビクビクしていたが、現在は何も感じない。それを表すかのように秋良は彼女よりも強烈な睨み、殺気の篭った瞳で彼女を睨みつける

 

それだけで千冬の体は蛇に睨まれた蛙のように体が動かなくなってしまった

 

「っ!?ち、遅刻だぞ。千賀良弥にレン・R・ヒダリ(何なんだこいつらは!?私の睨みにビクともしないどころかこれほどの殺気の篭った瞳・・・・要注意だな)」

「遅れたのは謝りますが、理事長にはうちの企業の社長から話をつけていると聞いています。なので貴方からそのようなことを言われる筋合いはないと思いますが」

「そんなものは関係ない。お前達は私のクラスの生徒になるのだ。そうなる以上は私の言葉には絶対に従ってもらう。いいな」

「・・・・・・わk「お断りします」お、おい良弥」

「何だと千花・・・・私の言うことが聞けないというのか?」

 

何処から取り出したのか分からないが出席簿を取り出し、秋良の脳天に向けて勢いよく振り下ろす。出席簿はかなり固い物質でできているようで、普通に当たれば怪我程度では済まされないだろう。しかし、千冬は知らない

目の前にいる人物がどれほど恐ろしい存在なのかを。秋良は右手の緑色の石のついたリングに力を込めると、雷の炎が彼を護るようにバリアを張る。それに触れた出席簿を通じて千冬に微弱な電流が流れ、驚き、出席簿を落としてしまう

 

「・・・・織斑先生、あなたの言葉が通じるのは軍隊の中だけです。ここは学生がISを学ぶために通うための学園。ここが軍の育成学校ならば僕達もそれに従います。しかし、そうでもないただの学園で、たかが元ブリュンヒルデ如きの貴方がそれを強要する権利はありません」

「そうだな。さっさと行こうぜ良弥。教室の場所はパンフレットで見たし、こんなところで()()()時間過ごしてるとHRに遅れちまうぞ。もっともとっくに俺達は遅刻扱いだがな」

「それは僕のせいじゃないでしょう。ま、無駄な時間というのは激しく同意ですね。それでは織斑先生、教室に行きますので」

 

千冬の返答を待たずに校門を通り、学園内に入っていく

その後ろ姿を見届けた千冬は思わず座り込んでしまった。それと同時に額から噴き出す大量の汗。それは彼女の手にも伝わり、地面を僅かに湿らせる。先程の出席簿を防いだ時と言い、あの殺気と言い、何なのだろうかあの2人は

教師に対して失礼なことを言った2人を罰するつもりだったのだが、出来なかった

それに秋良の姿を見た千冬は思った

 

似ている

嘗て自分の弟であり、第2回のモンドグロッソの時から行方不明になっていた最愛の弟の1人、織斑秋良に。あの時は日本政府の策略で、秋良の誘拐を知ったのは大会が終わった後だった。慌てて監禁されていたであろう場所に向かうと、そこには夥しい量の血と石となった女性の腕しか残っていなかった

 

あれ以降、千冬は一層家族を大切にし、一夏と春香の望みを可能な限り叶えてきた

そして、いつか秋良が戻ってきて、また4人で仲良く暮らしたい。その思いでどんな苦しみにも耐えてきた。全ては家族のため、それだけのために。なんて美しいのだろうか、なんて素晴らしい人間なのだろうかと思ってくれるとでも思っていたのだろうか

もとはと言えば彼女が親友の束の夢を己の欲望のために利用し、このような世界にしたことで秋良が地獄を味わってきたというのに。それに苦しみに耐えてきたというが、それは秋良が日本で受けた迫害に勝るものなのだろうか、秋良が千賀良弥になるために受けた苦痛と同じくらいなのだろうか

 

そして、そんな彼女たちを秋良が許し、ましてや共に暮らすなどという夢が叶うはずもなく

これから彼女達は白蘭の作り出そうとする新世界の生贄になろうとしていることに、この時の彼女はまだ気づきもしない




千冬の再会、そして再開する幼馴染

変わってしまったお互いの道は交差することなくどんどん離れていく。そんな時に再会した秋良の友人(?)セシリア・オルコット

そして、クラスの皆からクラス代表へと推薦されるイレギュラー達

秋良、レン、一夏、春香、セシリアの5人で戦うことになった。そこで秋良はダークリベリオンとは違うもう1つの力を使うことを誓う。果たして秋良は3体のドラゴンのうち、どのドラゴンとともに戦うのか

次回はバトル少なめです。すみません
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