Infinit Millefiore   作:つのっぽ~

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すみません!!代表決定戦まで行こうと思ったんですが、書いてたら代表決定戦はいる前に15000字近くになってしまったので、代表決定戦は次回ということで
本当にすみません 



Obiettivo 5

「1年1組、ここが僕達のクラスみたいですね」

 

千冬を放って教室に向かっていた秋良とレンは自分達の教室であろう部屋の前に来ていた。入学式はすでに終わって各クラスで担任の話などをしているようで、廊下には誰もいなかった

 

「そうだな。にしても良弥、さっきのはやりすぎだ。真六弔花の殺気のこめられた目で睨まれたら、普通の人間なら精神が壊れちまうぞ。まぁ、そう考えるとあれをギリギリ耐えた織斑千冬のスペックは一般人を越えているってことか」

「まぁ、自分が言うのもなんなんですが、僕を含めて織斑家の人間は何気にハイスペックですからね」

 

そう、千冬を始め、一夏、春香そして、秋良も一般人に比べれば頭もいいし、運動神経もいい

しかし、3人よりも劣るということだけで、彼は幼い頃から迫害を受けてきた。馬鹿にする人達も秋良に比べれば全てにおいて劣るのだが、まさに虎の威を借る狐のように千冬を讃えることでまるで、自分達が彼女達と対等な立場にいると勘違いしているのだ

 

しかし、真六弔花として認めてもらえるように文字通り血の滲むような努力を続けてきた秋良に比べて、周りから多くの物を与えられ、崇拝される立場に甘え続け、録に努力をしていない、他の3人

先程のように秋良の殺気に千冬が耐えられないのも無理はない。最早、秋良にとっては彼女達は道端に転がっている小石程度の存在としか見ていない

 

そんなことを考えていると、中から教師であろう人物が何かを話しているのが聞こえてくる

久し振りに嘗ての姉に再会して、色々と思うことはあるのだが、一先ず彼等は教室の扉を開ける。すると、予想はしていたが、クラス中の人間の視線が彼等に突き刺さる

 

「すみません。私用で遅くなりました。今日からこのクラスでお世話になります、千花良弥とレン・R・ヒダリです」

「あ、はい。あなた達のことは聞いてますよ。初めまして。私はこのクラスの副担任の山田麻耶といいます。丁度今から自己紹介に入るところだったので、2人からお願いします」

 

はいと返事をし、麻耶の隣に立つと、クラス中の人間の視線が向けられる。女性しかいないはずのIS学園にやってきたイレギュラーな存在、注目を浴びるのは必然と言えるだろう

 

「初めまして、千花良弥といいます。イタリアの企業パフィオペディラムの企業代表を務めています。趣味は料理と読書・・・・ですかね。女性ばかりなので色々とご迷惑を掛けることもあるでしょうが宜しくお願い致します」

「俺の名前はレン・R・ヒダリ。こいつと同じでパフィオペディラムの企業代表だ。企業とは別に探偵の仕事もしてるから困ったことがあったら相談に来てくれ」

 

出来るだけ簡潔に済ませ、早く席に戻りたい2人

しかし、この学園に3人しかいない男性操縦者。おまけに2人の顔は非常に整っており、街中を歩けば多くの女性が振り向くこと間違いなしのイケメンだ。そんな2人に教室中の熱気が一気にヒートアップする

 

「俺様系イケメンとショタっ子イケメンキター!!!!」

「レン様に罵られたいー!!!」

「千花君に甘えられたいわー!!!!」

 

ミルフィオーレの幹部として多くの人の前に立つことに慣れていた秋良もこれ程の地震が起きたかのような声に驚きを隠せない。そんな声に耐えながら教室内を見渡すと、驚いたようにこちらを見る愚兄の織斑一夏と愚姉の織斑春香が、そして、イギリスで秋良に任務を依頼した金髪の女性、セシリア・オルコットがこちらに向けて頭を下げていた

そして、何よりも目に入ったのが、黒いポニーテールの女性の肩に当たり前のように乗っている黒いスーツを着た赤ん坊、あれはイタリアにいるヴェルデと同じ存在、つまり

 

「(アルコバレーノ・・・・確かあれは黄色のおしゃぶりを持つリボーン・・・・つまり、あの子はボンゴレファミリーの人間っていうことか)」

 

ヴェルデから毎日のようにリボーンへの愚痴を聞かされていた秋良。その愚痴の中で彼がボンゴレ10代目の家庭教師を務めていることも聞いたし、白蘭から10年後の世界でミルフィオーレファミリーはボンゴレファミリーと敵対関係にあったことも聞いていた

自分の主を倒し、マーレリングを封印した、そして、現在、自分達が逃げているCEDEFが門外顧問を務めているボンゴレファミリーに迂闊に接するのは危険だと考えた

 

そして、秋良は何故、白蘭がマーレリングの使用を禁止するために自分にタルタロスの戒めを施したのか、何故死ぬ気の炎の使用を抑えるために自分にISを渡したのかを理解した。それはレンも同じで、お互いに目を合わせてアイコンタクトを取る

自分が白蘭から指示を受けるまで迂闊に彼女に近づくなと

 

それにレンが頷くと2人は麻耶の指示で席に着くように言われたので、指定された席

先程、自分に向けて頭を下げたセシリア・オルコットの後ろにレンが、横に秋良が座る形になった

 

「・・・・お久しぶりですわ。良弥様」

「セシリアさんもね。色々話したいこともあるから、また後で」

「は、はい(ま、また後で!?そ、そそそそれはつまり、寮の良弥様のお部屋の中で・・・・ああ!!そ、そんないけませんわ良弥様!!)」

 

前を見る良弥の横で顔を真っ赤にし、両手で顔を隠し、イヤンイヤンと頭を振るセシリア。その異様な光景はSHR中の教室では非常に目立ち、瞬く間に彼女はクラスの注目の的となった

 

「あ、あの・・・オルコットさん?だ、大丈夫ですか?」

「はっ!?も、申し訳ありません!!だ、大丈夫ですので、私ワタクシの事はお気になさらず!!」

「そ、そうですか?具合が悪くなったら言ってくださいね」

 

それに若干引いている麻耶から心配されるが、慌てて平常心を取り戻そうとする。その姿を後ろから見たレンはまたかと深いため息をつく。秋良の持っている資格の中に1級フラグ建築士というものがある

今のセシリアのように彼に魅了されてしまった女性はミルフィオーレの中には多くいる。それは彼のルックスのせいでもあるが、困っている人を放っておけない彼の優しさと真六弔花として部下に指示するときの凛々しさというギャップに心を打ち抜かれた女性は数知れず

それに加えて、織斑家の血筋ともいえる鈍感ぶりのせいで玉砕された女性は両手では数えきれないほどだ

 

そして、彼の相棒ともいえるレンも1級フラグクラッシャーという資格を持っている

秋良に魅了された女性を勘違いさせないように彼が秋良の周りを飛び回っているのが今のミルフィオーレの日常だ。白蘭も面白そうにニヤニヤと見ているだけなので、レンだけが苦労する羽目になっている

 

そんな光景が続いている中、自己紹介は続いていき、1人目の男性操縦者として騒がれた男、織斑一夏の番になった。一体どんなことを話してくれるのだろうと生徒達は彼の言葉に耳を傾ける

 

「えー・・・・・えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

次に来るのはどんな言葉なのだろうかそんな期待をしている生徒達を

 

「以上です!!」

 

見事にズッコケさせた

その瞬間、彼の背後から後頭部に当てられる出席簿。その音は普通の出席簿とは考えられないような金属バットで後頭部を殴られたようなゴンという鈍い音がした後、一夏は頭を押さえてプルプルと体を震わせる。それを行った人物、先程まで秋良の殺気に震えていた千冬は一夏に呆れたような表情を見せる

 

「やれやれ、まともな自己紹介も出来んのかお前は」

「あ、千冬姉「織斑先生だ!!」痛ぇ!!」

 

再び頭に出席簿を受ける一夏。おそらく今の2回の衝撃で彼の身長が数cm低くなったことだろう。そんな一夏を横目に千冬が教壇に立つと、先程以上に生徒達の黄色い声が上がる。それに満足するかのように千冬は咳ばらいを1つ。それだけで教室内はシンとした空気に包まれる

 

「入学おめでとう。私が君達の担任の織斑千冬だ。君達を一年で使い物になる操縦者に育てる事が私の仕事だ。私の言う事はよく聞き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。逆らってもいいが、私の言う事には『はい』か『YES』で答えろ。分かったな」

 

校門で秋良に言われたことを受け止めていないようで、何処かの独立暗殺部隊のボスでさえも驚くほどの唯我独尊ぶりだ。その言葉に呆れるのは秋良、レン、そして、セシリアと箒程度だ。後の生徒達はその言葉に歓喜の声を上げる

 

「きゃああああああああ!! 本物よ!!本物の千冬様よ!!」」

「ああ、千冬様の後ろから後光が・・・・」

「ヤバい・・・・もう、後悔はないわ」

「ちょ、衛生兵!!衛生兵ー!!」

 

生徒達の声に満足している様子の千冬。そして、そんな素晴らしい姉を自慢するかのように胸を張る一夏と春香。しかし、秋良は下らないとため息をつき、興味のないレンはハット帽を深く被り、居眠りを始める。そして、箒の心は千冬に対する憎悪の心で染まっていた

あんな奴のために

あんな奴等のために姉の夢は利用されたのか。こんなことのために自分と姉の心は離れなければならなかったのか。幼い頃の束の夢、宇宙へ行きたいという純粋な夢を己の私利私欲のためにぶち壊しにした彼女達を箒は許せないでいた

 

「落ち着け箒。おめぇはツナ達と会って変わったはずだろ。それにボンゴレファミリーの人間がこんな事ぐれぇで怒りを露にするんじゃねぇ」

「リボーンさん・・・・しかし、あの女は」

「ボンゴレ雨の守護者の使命はな、全てを洗い流す恵みの村雨、戦いを清算し、流れた血を洗い流す鎮魂歌レクイエムの雨になることだ。どれだけ仲間が傷ついてもそれを洗い流せるだけの器量の大きさが必要になるんだぞ。雨の守護者の後継者になる奴がこんなことでどうすんだ」

 

厳しいことを言うリボーンも箒の気持ちを何も察していないわけではない

自分の身内の夢を自分の欲望に利用されたのだ、恨むのも無理はない。しかし、彼女は将来、山本武の後を継ぎ、ボンゴレの雨の守護者となるだろう。そうなる時に、彼女には山本が持つ雨の守護者の使命をこなせるようになってもらわなければ、後にやってくる守護者に相応しいかを計る試練に合格することが出来ない。だからこそ彼は今、彼女に厳しい言葉を言うのだ。箒ならば自分の言葉の意味を理解してくれるだろうと

 

「・・・・すみませんでした。私はまだ・・・師匠の後を継ぐことは出来ないようですね」

「心配すんな。そのために俺が一緒に来てやってんだ。これからはツナ以上に厳しくいくからな。覚悟しとけよ」

「は、はい・・・・お手柔らかにお願いします」

 

普段の綱吉とリボーンの特訓を知っている箒にとって、あれ以上のこととなると、もはや地獄の日々としか思えない。思わず顔を引きつらせると、一夏の自己紹介が終わり、自分の番が来たようだ。立ち上がり、リボーンと共に教壇に立つと、やはり生徒達の視線は彼女の肩に乗っているリボーンに注がれる

 

「篠ノ之箒だ。皆気づいていると思うが、篠ノ之束は私の姉だ。しかし、皆には篠ノ之束の妹ではなく篠ノ之箒という1人の人間として接してほしい。別に姉さんのことを嫌っているわけではないが、どうかよろしく頼む。それと、皆が気になっている私の肩に乗っている方だが」

「チャオっす。俺の名前はリボーン。ここにいる箒を一人前のマフィもがもが」

「(その話はしないでくださいとボスにも言われたはずでしょう!?)」

「(おっといけねぇ、忘れてた。俺はここにボンゴレファミリーに入れる人間をスカウトに来たんだったな)」

「(それも違いますよ!!)」

「まあ、違和感はあると思うが気にしないでくれ。んじゃあ、これからよろしくな」

 

マフィアという一般人に話したらこれからの学園生活でボッチになること間違いなしの爆弾を投下しようとしていたリボーン。自分にとって都合の悪いことはすぐに忘れてしまう彼の性格に冷や汗を流す箒

しかし、その爆弾発言も彼の可愛らしさに生徒は魅了されているようだ

 

「可愛い~」

「でも、さっきなんて言おうとしてたのかな?」

「マフィ何とかって言おうとしてたよね・・・・ひょっとしてマフィンが大好きなんじゃない!?」

「きっとそうだよ!!今度作って持って行ってあげよう!!」

 

どうやら箒の考えていたボッチ生活にはならなかったようで一安心した。そして、席に戻る途中でずっと見られている感じがしたので、その方を見ると、こちらをじっと見ている秋良の姿があった

箒は彼を見るとどうも幼い頃の秋良が重なって見える

 

「(やっぱり・・・・似ている。姿もそうだが、雰囲気は秋良そっくりだ・・・だが、纏っている雰囲気は明らかに違う。まるで鋭い牙を向けている竜の様な恐ろしさ)」

「(箒・・・・まさか君がボンゴレファミリーにいるとは思わなかったよ。本当なら今すぐにでも君に僕の正体を明かしたい・・・・けど、君がボンゴレファミリーとしてこの学園に来ているのなら僕は君に明かすことはないだろう。僕がミルフィオーレファミリーの真六弔花で雷と霧のマーレリングを所有していることを・・・・最も、リボーンは僕とレンさんが異常な存在だっていうのは薄々気づいているみたいだけどね)」

 

箒の肩に乗っているリボーンも鋭い視線を彼等から外さない。この教室に入ってきた瞬間から感じていた。2人から感じる強者の気配と刃物を突き付けられているような鋭い殺気

秋良にタルタロスの戒めをつけていることで彼がミルフィオーレファミリーに所属していることは気づかれていないだろうが、その殺気と嘗てヒットマンとして裏社会で活躍していたリボーンだからこそ気づける

人を殺めた証である血の匂いを

どれだけ体を清潔に保とうともその臭いだけは消えることはない。少なくとも裏社会に何らかの形で関わっていることは間違いなくばれているだろう

 

その後も自己紹介は順調に続き、最後の生徒が自己紹介を終えるとSHRの終了を告げる鐘の音が学園中に響き渡る

 

「さて、SHRは終わりだ。君達にはISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後は実習だが、基本動作は半月で身体に染み込ませろ」

 

ついこの前まで一般人だった人間が多いのに無理なことを言うものだと教室から出ていく千冬の背中を見る秋良。すると、こちらに近づいてくる気配が4つ

その4人とも今の秋良にとっては会いたくないものだった。前に2つ横に並んでこちらに向かってくるのは愚兄の織斑一夏と愚姉の織斑春香。後に来る2つは篠ノ之箒とリボーンのものだ。前の2人は適当にあしらっておけばどうとでもなるが、後者の2人、特にリボーンと過度に接触するのはマズイ。そう考えた秋良は前の2人に時間をかけることで後の2人との接触を躱そうとした

 

「秋・・・・良弥、ちょっといいか?」

「初対面の人に行き成り名前で呼ぶとはデリカシーに欠けますね、織斑一夏さん。それで織斑春香さんと一緒になってどうしたんですか?」

「ええ、少しあなたにお話ししたいことがありまして、お時間頂けますか?」

 

丁寧に聞いているようだが、その表情からはお願いしているというよりもこちらに命令しているようにしか思えない。ブリュンヒルデ織斑千冬の身内であり、女性。その2つの御陰で春香はこの学園に来るまでありとあらゆるものを苦労せずに手に入れることが出来た。そんな一夏以上の贅沢な生活をしてきたことで彼女の頭の中には自分の言葉には絶対に逆らうことは出来ないという意味の分からない方程式が完成していた

そして、そんな春香の後ろに付いて来ている一夏も春香に逆らう人間はこの世に存在しない。絶対に目の前の男も大人しく自分達についてくることだろうと意味の分からない自信を持っていた。だからだろう

 

「お断りします。僕達は他の女性よりもISの知識が不足しているので予習しないといけませんから。それにそんなに上から目線で言われると非常に不愉快なのでやめてもらってもいいですか?」

「ま、そうだな。初対面の人間にその態度って、どれだけ王様と女王様気取りの生活してきたんだよ」

「「なっ!!」」

 

このように断られ、更にはレンに馬鹿にされたことに驚きを隠せないとは。その言葉を秋良の隣で聞いていたセシリアも思わず笑いを耐えることが出来ずクスクスと声に出してしまった。そんな彼女達に一夏達は自分達よりも下の存在だと思っていた人間達に馬鹿にされたのは我慢できなかった

 

「お前等!!」

「何だ?言葉で従わなかったら暴力でってか?どんだけ王様気取りなんだよ。それにお前からかかってくるなら正当防衛が適応されるが・・・・いいんだな?」

「レンさん、初日から面倒事は避けてくださいよ。ただでさえあなたのせいで予習が碌に済んでいないんですから」

 

予定では日本に着いてすぐにIS学園に向かい、寮にて予習をするはずだったのだが、レンがカツ丼への欲望に逆らえず秋良を拉致してしまったために、予習が8割程度しか済んでいなかった。基本的なことはイタリアにいたときに送られてきた参考書で覚えているので、授業自体は何の問題もないのだが

 

「とにかく、あなた達に付いていくほど僕達は暇ではないので・・・・ここでなら聞きますよ」

「くそっ!!じゃあ、聞くけどな!!今まで何してたんだよ!!俺も春香姉も千冬姉も心配してたんだぞ!?」

「・・・・まるで僕があなた達の身内のような言い方ですね。僕の記憶が正しければ僕の苗字は千花、あなた達の苗字は織斑のはずですが・・・・違いましたか?」

「違うだろ!!お前の苗字は織m「一夏、そこまでにしておきなさい」春香姉!!何でだよ!?」

「いいから・・・・すみませんでした。千花さん、どうやら一夏の勘違いだったようですので、申し訳ありませんでした」

「まあ、別にいいですけど。ちゃんと注意しておいてくださいよ。これ以上、あなた方の下らない妄想に付き合う暇はないので」

「お前!!春香姉に向かって「いい加減にしなさい!!一夏!!」・・・・くそっ!!」

 

秋良の座っている机の脚の部分を蹴りながら席に戻っていく一夏。それを慌てて追いかける春香。秋良自体は別に織斑秋良の名前を出されても平常心を保てる自信があった。それを春香が止めた理由、それは今の現状にあるだろう。先程の一夏の大声で教室中の生徒の視線は彼等に注がれている

その中で織斑秋良という名前を出すことは自分達にとっても、そして、姉である織斑千冬にとっても非常に不味いことなのだ。その理由は秋良の誘拐事件の時、脅迫を無視して決勝に出場し、2連覇を成し遂げた時のインタビューに遡る

その時、千冬は言ってしまったのだ。この勝利を愛する家族の一・夏・と・春・香・に捧げると。メディアというものは昔の出来事でさえも映像として現在でも見ることが出来る。もし、あの時のインタビューを聞いていた人間がこの中にいる状態で織斑秋良の名前を出せば当然不信感を抱く人間が出てくる

織斑千冬には一夏と春香の2人しかいない筈なのに、織斑秋良とは一体誰なのだろうかと。そして、そうなれば必ず調べる人間が現れる。そうなってしまうと、自分達が過去に栄光を称えられるために秋良を利用してきたことがバレてしまう可能性が出てくる

それはとてつもなく不味い。今まで築いてきた栄光が一瞬で水泡に化してしまうほどだ。そして、もう一つの困ったことが一夏がそのことを把握しておらず、感情に任せて言葉を発してしまうことだ。なので一夏と春香は基本的に2人で行動している。傍から見れば仲の良い姉と弟に見えるだろうが、真実は一夏が余計なことを喋らないように監視している

まあ、一夏本人はそんなことを考えず、姉と共に行動できることに喜んでいるようなので春香にとっては余計な心配をしなくていいのは僅かな助けだ

 

そして、席に戻っていく一夏の横を箒とリボーンが通り過ぎる

一夏は久しぶりに幼馴染に再会したのに何もないのかと思わずリボーンが乗っていない方の肩を掴んでしまう

 

「箒!!久しぶりd」

 

肩にほんの少し手が触れた瞬間、一夏の視点は360度回転し床に思い切り叩きつけられてしまった。それと同時に教室中に生徒の悲鳴が響き渡る。廊下から秋良達の様子を伺っていた生徒達も何事だとざわざわ騒いでいる。叩きつけられた一夏は肺に入っていた空気が一気に吐き出され、強打したであろう背中を痛そうに擦る。それを介護するように春香が傍により、弟を傷つけた箒をキッと睨む

一方、箒は対して力も入れていないのに一夏がこうも簡単に倒れてしまうとは思いもしなかった

それも無理はない。甘やかされ続けられた一夏とは対照的に箒は生死の境を彷徨う世界にずっといたのだ。そして、箒の中でいつの間にか標準がマフィアレベルまでに引き上げられてしまっているので、戦いに関して素人に等しい一夏がこうも簡単にやられてもしょうがないといえるだろう

 

「一夏に何をするのよ!!」

「す、すまない。あまりにも簡単に倒れてしまって驚いてしまった。しかし、一夏よ。幼馴染だったとはいえ、女性の体にいきなり触れるのは些か問題だと思うがな」

「いてててて・・・・何言ってんだよ!!俺達、幼馴染「おやおや、あなたにとって幼馴染というのは簡単に体を触れることを許す淫らな関係だと思っているようですね」そんなこと思ってねぇ!!」

「思ってないといっても、先程の行動を見ればそう考えるとしか思えないのですが・・・・あ、自己紹介の時にも言いましたが千花良弥と言います。よろしくお願いします篠ノ之さん。それにリボーンさん」

「あ、ああ。こちらこそよろしく頼む」

「よろしくな(こいつ、気配を全く感じなかった・・・・かなりのやり手だな)」

 

秋良に似ている良弥からの握手に戸惑う箒、そして、リボーンは自分でも気配を感じることが出来なかった目の前の存在に鋭い視線を送る。彼から感じるのは明らかに表社会ではなく裏社会で生きる人間だということ。そして、長年ヒットマンとして生きてきた自分だからこそ嗅ぎ分けることのできる臭い。

その臭いが秋良からは感じ取れる。おそらく目の前の少年は既に何人もの人間を殺めてきたのだろう。彼のターゲットが善良な市民なのか現在、この世に蔓延っている女尊男卑主義者の愚かな人間達なのかは分からない。リボーンは彼のことを調べることにした。恐らく秋良はどこかのマフィアに所属している人間、そして、後ろに座っているレン・R・ヒダリも恐らくは同じだろうと考えた

それが、10年後の未来で自分達が倒したミルフィオーレファミリーだということには気づけなかったようだが

 

そして、箒と握手をしているとその手を払い、箒を秋良の間に入る人物、一夏が殺気が篭っているであろう視線を秋良にぶつける。しかし、長年、裏社会で生きて生きた秋良にとってそれは子供を相手にしているかのような非常に弱い視線だった

 

「気安く箒に触るんじゃねえ!!」

「・・・・もうあなたと話すのは正直面倒くさいんですが、一応聞きますが、こちらの篠ノ之さんは貴方の恋人か何かなのですか?もし、恋人だったとしたらそれは僕が悪かったことなので謝りますが」

「なっ、ほ、箒とはそんな関係じゃねぇ!!」

 

頬を赤らめながら反論する一夏、それだけで彼は箒に気があることはバレバレだ。しかし、一方の箒はというと恋人と言われた瞬間、嫌悪感を露にした。自分の姉を苦しめ、幼い頃秋良を苦しめて今までのうのうと生きてきた人間に好意を寄せられる。非常に不愉快なことだと

 

「一夏とは元・幼馴染なだけだ」

「なっ!!元ってどういうことだよ箒!!」

「すまないが、私は今、千花と話をしているんだ。一々間に割って話しかけないでもらえるか?」

 

これが自分の知っている篠ノ之箒なのかと一夏は驚きを隠せなかった。一夏の知っている幼い頃の箒はいつも自分の後ろをついて来て、自分の願ったことを進んでやってくれる。そんな人間だった。まあ、一夏の後ろをついて来ていたのは一夏の後ろにいつも秋良が歩いていたから。一夏の願っていることを進んでやっていたのも秋良の負担を少しでも軽減させてあげようとしていただけなのだが、それを言うとまた話がややこしくなりそうなので言うのをやめようと誓った箒、しかし、我儘な一夏の視線は箒の肩に乗っていたリボーンに注がれる

 

「お前か!!」

「ん?俺がどうかしたのか?織斑一夏」

「お前が箒を洗脳してるんだろ!!じゃなかったら箒がこんなことを言う筈がねえ!!」

「・・・・それは俺の所属している所に喧嘩売ってるって解釈でいいんだな?」

「あ?箒をこんなにするお前のところの組織の人間なんてどうせ下らない奴なんだろ!!」

「・・・・テメェ、それは本気で言ってるんだな?」

「リボーンさん!!」

「箒、黙ってろ。ファミリーを、ツナを馬鹿にされて黙っているほど俺はお人よしじゃねえ」

 

瞬間、秋良ですら冷や汗をかくほどの濃密な殺気が一夏と春香に向けられる。この殺気を浴びてしまったら一般人は正常な意識を保てない。それを2人だけに向けることが出来るのはリボーンだからできる業なのだろう。リボーンにとって沢田綱吉はボンゴレ10代目のボスであり、何よりも自分が愛する生徒でもある。そんな綱吉を何も知らない人間が己の思い通りにならないからと罵倒することを彼は決して許しはしない

それを暗示させるかのようにリボーンのハット帽に乗っていたカメレオンのレオンが虹色の光を放ち、その形状を変えていく。周りの生徒達は一夏に不快感を抱きながらも、何が起こっているのかと視線を外さない

そして、虹色の光が消え一丁の銃が現れ、その銃口を一夏に向ける

 

「な、なんだよ・・・そんな玩具」

「ふっ、玩具か・・・・なら・・・・試してみるか」

 

銃口を一夏の左胸、心臓の位置に照準を合わせる。後は引き金を引けば銃から弾丸が放たれ、一夏の体を、心臓を簡単に貫くことが出来る。最初は玩具だと思っていた一夏もリボーンの放たれる殺気からそれが本物なのではないかと考えるようになる。そして、本物だとすれば、あの引き金が引かれたら

そう思うと、膝が恐怖で震え冷や汗が止めどなく溢れてくる

 

「い、一夏、早く席に戻るわよ」

 

その殺気を同時に浴びた春香も声が震えており、慌てて一夏を引っ張るようにして席に戻っていく。その様子を見ていた生徒達は急に青ざめて席に戻っていく2人を不審に見ていた。そして、先程の光景を見ていた生徒達は一夏に若干の不快感を抱き、誰も箒のやったことを咎めるようなことはしなかった

若干の不快感しか抱かせなかったことも彼が織斑千冬の弟であり世界に3人しかいない男性操縦者ゆえの事なのだろう

 

それを見たリボーンはため息をつきレオンを元のカメレオンの状態に戻し箒の肩で胡坐をかき、ハット帽を深く被る。そこからは一般人に銃を向けてしまったことへの後悔もあるが、それと同時にあったのが呆れだった

こんな世界になってしまったのかと。ISが操れるだけで威張る人間もいればISを操ることもできないのに威張る人間もいる。これでは10年後の未来での白蘭がしようとしていた世界征服と何が違うのだろうか

 

そんなことを考えていると、秋良もリボーンと同じ呆れの混ざったため息をつき自分の席に戻っていく。その姿をハット帽を僅かに上げて見続ける

その顔を見ると思い出す。昔、束と話していた時に彼女が命よりも大切だと言っていた写真に写っていた少年の姿に。まだ束がISを世界に発表する前、箒と秋良と3人で撮った写真に載っていた秋良に。しかし、リボーンはこの考えをすぐに破棄する。この世には自分とそっくりの顔の人間が3人はいるという

まだ何も決定的な証拠が無い状態でそれを断定するのは違うと考えた。しかし、興味を無くした訳ではない。彼から感じる尋常ではない気配、それをハッキリさせるまでは。彼が自分達の味方なのか敵なのかを

 

席に戻った秋良は後悔していた。折角、一夏の視線の対象から外れたのに、それをまた自分に向けるような真似をしてしまったことに

 

「意外だな。お前ならあのまま遣り過ごすことが出来たのにな。ま、それがお前の本能って奴なんじゃないのか?」

「本能・・・・ですか?レン様、あのポニーテールの方と良弥様のご関係は?」

「・・・・それはこいつから聞くんだな。おっと、先生が来たからまた後にしようぜ」

 

レンが話を終えると同時に扉が開き、千冬と麻耶が入ってくる。そして、このまま初日は何事もなく終わる筈だった。

 

「それでは、この時間は実践で使用する各種装備の特性について説明する」

 

本日の3限目に入り、初めて千冬の授業となった。横では麻耶も彼女の話を聞き、ノートをとっている。担任であり、元世界最強の彼女から何かを得ようと必死にペンを走らせている。秋良からしたら、入学前に貰った参考書を読めばこの程度の知識は持っている筈なのだが、皆、真剣に彼女の話を聞いている

 

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めなければならないな」

 

思い出したように千冬は言う。単語だけで大体何をするのか想像がついた。秋良達は明らかに面倒臭いことが予想できたので、やりたくないという意思を雰囲気で精一杯表現する

 

「クラス代表とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会に出席など・・・・まぁ、クラス長のようなものだ。

ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。一度決まれば1年間の変更はない。慎重に選べよ」

 

自他推薦は問わない、と最後に付け足して説明を終えると、早速教室内から手が挙がった。その標的となるのはやはりと言うべきか世界に3人しかいないと言われている男性操縦者イレギュラー達だ

 

「はい!!私は千花君を推薦します!!」

「私はヒダリ様を推薦します!!」

「えっと・・・・じゃあ、織斑君を」

 

最後の一夏だけ無理矢理言わされたみたいになってしまったが、結局、男性操縦者達はノミネートされることになった

そして、そんな中、納得のいかない様子の生徒が1人いた。織斑千冬の妹であり、織斑一夏の姉である織斑春香だ

 

男性操縦者に任せるよりも自分の方が適している筈なのに何故自分は候補に挙げられないのか。百万歩譲って一夏ならばまだ分かる

しかし、他の2人は許可できない。しかし、自推することは彼女のプライドが許さない

 

「お、俺!?だったら、俺は春香姉を推薦するぜ!!」

「わ、私ですか!?(流石、私の弟。そうよ、このクラスの頂点に立つに相応しい人物はこの織斑春香しかいないのよ!!)」

 

何やら盛大な勘違いをしているようだが、一夏は別に春香がクラス代表に相応しいから推薦したわけではない。ただ単に自分の身代わりとして春香を選んだだけなのだ

 

ミルフィオーレファミリーとしてもやることが沢山あるのに更にクラスの代表に選ばれてしまったら自由な時間がなくなってしまう。更に千冬の事だから拒否することは認められないだろう

 

そんな時だった。秋良の隣に座っていたセシリアが手を挙げたのは

 

「どうした?オルコット」

「はい。私ワタクシは立候補します。ここは代表候補生がなった方がいいと思います。それに失礼でしょうが、4方ともISの稼働時間はそう多くはないでしょう。そのような状態でクラス対抗戦などが開催されてしまっては、1組の実力を疑われてしまいます。なのでここは「あら、稼働時間だけで決めつけるなんて、所詮は世界一不味い料理で何年も覇者になっている島国ですわね」・・・それは我が母国、イギリスに対する宣戦布告と捉えても構わないですわよね?織斑春香さん?」

 

セシリアがギロッと睨みつけた先にはこちらを見下すような目をした春香がいた。どうやら自分が世界の中心と考えている彼女にとってクラス代表になって当たり前と思っているところを横からその名誉を横取りしようとする輩がいることが気に食わないようだ

 

「あら?私はただ事実を述べただけですが?むしろ、そうおっしゃるということは自覚があるということなのではないのですか?」

「織斑先生、どうやらあなたの家では家族への教育がなっていないようですわね。これではいくら織斑先生が優秀でも・・・・確か日本ではあなたのことをこのように言うんでしたっけ?親の七光り・・・・いえ、ここは姉の七光りといったところでしょうか」

「なんですって!?」

「あら?私ワタクシはただ事実を述べただけですが?むしろ、そうおっしゃるということは自覚があるということなのではないのですか?」

 

先程自分が言ったことと同じことを言われ、我慢の限界が近づいていた春香。しかし、それはセシリアとて同じこと。自分が愛する祖国を馬鹿にされて黙っていることが出来るはずもない。これが秋良に対していったものならば間違いなく彼女は明日のマンダの餌になっていたことだろう

 

「お前!!千冬姉と春香姉になんてこと言うんだよ!!謝れ!!」

 

自分の姉を馬鹿にされたことに怒りを抱いた一夏が声を上げる。秋良はその光景を見て思った。下らない、やはり昔と比べて肉体的には成長したようだが、精神は子供の頃のまま。自分が気に入らないことに怒り、声を上げる。まさに逆コ〇ン君とは彼のことを言うのだろう

このままでも一向に構わないのだが、セシリアがこれ以上誹謗中傷を受けるのは何となく我慢が出来なかった秋良は右手をそっと上にあげる

 

「織斑先生、このままだと日本とイギリスの間で戦争が起きますよ?ここは手っ取り早く戦った方がいいんじゃないですか?これ以上やっても時間の無駄のようですし、本当ならば1対1でやるのがいいんでしょうけど、他のクラスや学年の方達がアリーナを使用できなくなるのでバトルロイヤル形式でやったほうがいいと思いますが、如何でしょうか」

「ふむ、他の奴等が異存なければ千花の案を採用するが・・・・それでいいようだな。では、来週の月曜日にクラス代表決定戦を行う。選ばれた者達は準備をしておくように。それでは授業を始める」

 

千冬が秋良以外の選ばれた人間に視線を向けるが、誰も異存はないという表情だったので、それに決定することにした

これ以上、好きに発言を許してしまうと、秋良の言った通り、本当に日本とイギリスの間に決して修復できないような溝ができてしまう。何よりも、授業の時間を割いて使っているので、カリキュラム上、あまり無駄な時間を使うことができないので、すぐに授業を始めることにした

 

「さて、こいつは面白いことになってきたぜ」

「全く、レンさんは気楽でいいですね。まぁ、御陰で僕達のISを、白蘭様とヴェルデさんが作った試作品のお披露目の舞台が出来たわけですから、任務遂行のために頑張るとしますよ」

 

秋良の言葉に4色のリングのうち、白い部分から竜の咆哮が秋良に聞こえてくる。それに応えるようにリングの白い部分をそっと撫でる

 

「分かった。その時は君の力を借りるね。一緒に大空を飛び回ろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリアウィング」




秋良に接触してきた更識楯無
箒に執拗に接してくる一夏

鬱陶しい存在にイライラしながらもいよいよクラス代表決定戦を迎える秋良

彼等の前に立つのは2つの白。姉と同じ武装に浮かれている一夏と春香に真六弔花の鉄槌が下る

そして、試合中にもかかわらず涙を流すレン
そして、セシリアに隠された力とは

「その美しくも雄々しき翼翻し、光の速さで敵を討て!!」

次回、Obiettivo 6
次回こそはバトル盛りだくさんで行きます
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