Infinit Millefiore   作:つのっぽ~

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中身だけ先の投稿になってしまって申し訳ありませんでした。今回はボリューム少なめですが、クラス代表決定戦の決着まで行きました
お楽しみください


Obiettivo 7

「・・・・一体何が起きたんだ?」

 

管制室で様子を見ていた千冬は思わず声を漏らす。一夏と春香、一時移行は終えたとはいえまだ専用機を貰ったばかりなので苦戦を強いられるだろうと予想はしていた。しかし、それを踏まえてもこの光景は予想できなかった。試合が始まったかと思えば一瞬で秋良が一夏の背後に移動し背中に強烈な拳を打ち付け、一夏はアリーナの壁に轟音と共に衝突し、春香はその隙をついて秋良に攻撃しようとしたところ、レンが撃った弾丸が爆発し、煙に包まれてしまった

 

「す、凄いですね千花君とヒダリ君・・・・これが今、急成長をしているパフィオペディラムの企業代表の実力なんですね。まさか瞬時加速(イグニッション・ブースト)をあんなに簡単に出来るなんて」

「・・・・いや、違う」

「織斑先生?」

 

使っていない。ブリュンヒルデの称号を過去に得た千冬は自らも体得している瞬時加速(イグニッション・ブースト)とは異なると感じた

瞬時加速(イグニッション・ブースト)とはISの後部スラスター翼からエネルギーを放出し、その内部に一度取り込み、圧縮して放出する。その際に得られる慣性エネルギーをして爆発的に加速する技術だ。しかし、彼は一瞬で一夏の()()に現れた。瞬時加速(イグニッション・ブースト)は加速に伴う空気抵抗や圧力の関係で軌道を変えることができず、直線的な動きになるため、一瞬で背後に回ることは出来ない

しかし、彼はそれをやっていないし、ISにもそれを使ったような形跡が見られない。つまり彼はそれを使わずにあの距離を一瞬で移動したのだ。そしてレンの方を見ると黒い光に包まれ、一時移行し、背中にブースターが装着されたそして煙から抜け出した春香に向けて、壁から出てきた一夏に向けて言った

 

『お前達の罪を・・・・数えろ!!』

「っ!!」

 

お前達の罪、その言葉で第2回モンドグロッソで行方不明になった弟、織斑秋良の顔が脳裏に浮かぶ。幼い頃から春香や一夏に比べて出来が悪かった。そこで優しい言葉を掛けずにあえて厳しい言葉を投げかけることで彼が更に頑張り、一夏と春香に追いついてくれると思っていた。しかし、彼との実力差はどんどん離れていき、本当にこの子は自分の弟なのかと疑うようになった。そして、優勝した時思わず言ってしまった

この優勝を一夏と春香に捧げると。そしてその後に秋良が誘拐されたことが分かり慌てて駆け付けた時には既にもぬけの殻で血だまりに女性の腕が置かれているだけだった。正直、秋良が誘拐されてほっとした自分がいた。これで秋良のことで悩まなくて済む。そう思った

そして、今年、秋良にそっくりな千花良弥が入学してきた。その時に咄嗟に思った。この男は誘拐された弟、織斑秋良なのではないかと。もしそうならばもう一度家族として過ごしていきたい。そんなことを考えていた千冬

 

「—————斑先生?織斑先生!!」

「っ!!あ、ああ済まない。それでどうなっている?」

「はい。完全に織斑一夏君対千花君、織斑春香さん対ヒダリ君状態になっていてオルコットさんが何もしていない状態になっていますね」

「・・・・あいつらは」

 

剣道しかやってこなかった一夏と春香はどうも1対1で戦う傾向がある。もしこの時にセシリアから攻撃を受けたらどうするのだろうか。そう考えていると画面では案の定、何もしていないセシリアが機体の名前にもなっている第三世代型 自立機動兵器ブルー・ティアーズのレーザービットを展開し、六七口径特殊レーザーライフルスターライトmkⅢを構え、照準を自分に背を向けている春香に向ける

 

そして、彼女に向けて容赦なく放つ

 

1本のレーザーにブルーティアーズの4本のレーザーが交わり、巨大なビームと化して春香に襲い掛かる。それに気づいた春香は間一髪でそれを躱すが、完全に避けきることが出来ず、SE(シールドエネルギー)にダメージを受けてしまった。それを見た千冬と麻耶はやっぱりかとため息をついた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石は世界一料理が不味い国イギリスの人ね。こんな卑怯なことするなんて」

「あら?これはバトルロイヤル形式だと言われませんでしたか?それに世界最強と言われた織斑先生の妹様でしたらこの程度の攻撃は避けれると思っていたのですが・・・・・どうやら私があなたに期待し過ぎたみたいですわね」

 

背後からの攻撃を卑怯だと罵る春香に挑発するように声を掛けるセシリア。その言葉に怒りを抱いた春香は標的をレンからセシリアへと変更し、急加速し、彼女に迫る。先程の攻撃から彼女のISは遠距離攻撃が主体だと考え、接近戦ならば余裕で彼女を倒せると思っていた。そして春香が卑怯な攻撃を受けた光景を見た一夏もセシリアに怒りを抱き、秋良を放ってセシリアに向かう

それを見たレンが彼等を攻撃しようと銃を構えるが、秋良がそれを手で制し再びアリーナから姿を消す

 

「っ!!一夏!?」

「春香姉!!俺も行くぜ!!」

「くっ!!仕方ないわね!!」

 

2人の武器の刀身が展開され、一夏は青白く、春香は真紅に刀身が染まる。これが白式、そして黒椿の唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)、エネルギー性質のものであればそれが何であれ無効化・消滅させる最大の攻撃能力を誇る零落白夜、そして須佐之男。1回でも受けてしまえばSEが尽きてしまいそうな攻撃を一度に2回も受けてしまえば間違いなくセシリアのSEは底を尽いてしまうだろう。しかし、このような単調な攻撃を躱すことなど今の彼女には造作もないことだ。攻撃を避けようとしたその時、セシリアの前に白いドラゴンを身に纏った秋良が姿を現す

行き成りの出現に一夏達だけでなくセシリアまでも驚愕の表情を見せる

 

「良弥様!?」

『セシリアさん。僕は全力の君と戦いたい。だからこんな奴らにエネルギーを使う必要はないよ。だから君は僕が守るからね』

 

フルフェイスのせいで表情は見えないがこちらに向かって微笑んでいるのが声でわかる。その言葉にセシリアのハートは神鉄如意で打ち抜かれてしまった。秋良はセシリアから顔をこちらに向けて攻撃してくる一夏と春香に向ける

標的が変わったとしても千冬から受け継いだこの力があれば負けることはない。その絶対的な自信をもって秋良に剣を振る。そして、剣がクリアウィングの胴体を捉えようとしたその時、クリアウィングの背の緑色の翼が輝きを増す

 

『クリアウィングの唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)発動!!相手が唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)を発動した時、その能力を無効にし、その武装を破壊し、その出力分、クリアウィングの武装の出力を上昇させる!!ダイクロイックミラー!!』

 

発動と同時に白い光線が一夏と春香を包み込み。次の瞬間、雪片弐型と家具土が爆発し、それを持っていた2人が吹き飛ばされてしまう。そして、態勢を整えた2人が見たのは刀身がボロボロに破壊されてしまった自分達の武器の姿があった

 

「そんな!!俺の武器が!!」

「私の家具土がこんな姿に!!」

 

これに困る2人。それもそのはずだ

春香の黒椿にはまだ武装が残っているが、一夏の白式には雪片弐型しか武器が搭載できないため、これが破壊されてしまったら彼はこの後拳のみで戦わないといけなくなる。そうなってしまえば彼は格好の的になってしまう。そんな困っていて突っ立っている2人を秋良が見逃すはずがない

 

クリアウィングの翼が輝きだし、アリーナの上空にまで飛んでいく。そして、照準を一夏と春香に定めると、機体全体を回転させながら降下していく。それにより彼の周りに緑色の竜巻の様なものが発生し、彼等を飲み込もうと迫る

 

「危ない!!」

「くそっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『くらえ!!旋風のヘルダイブスラッシャー!!』

 

轟音と共に一夏の胴体に秋良の体全体が突き刺さる。ただでさえ強力な攻撃の上に、ダイクロイックミラーによって破壊した雪片弐型と家具土に込められたエネルギーが加算されている。おそらく威力ならば普段の2倍近く出ているだろう。そしてそれを受けた一夏は試合開始直後に受けた攻撃のスピードの倍以上の速度でアリーナの壁に突き刺さる。そして煙が晴れると、ISは解除されており、ISスーツを身に着けた一夏が気絶し、うつ伏せで倒れていた

 

「(そんな!!一撃でSEを削り取る攻撃・・・・回避に専念しないと)」

 

間一髪でその攻撃を躱すことの出来た春香は再び来るであろう秋良の攻撃を避けようと彼の次の行動を読もうとその場に留まる。しかし彼女はこのアリーナには他に2人いるということを忘れているようだ。その2人にとって今の春香はまさに格好の獲物と言える

 

 

 

 

 

 

 

 

『ルナ!!』

「え?何がってキャアア!!!!」

 

電子音のような音が聞こえた後、彼女の体が何かに掴まれたかのように動くことが出来なくなってしまった。体を見ると、黒いISの腕の部分に掴まれていた。そして、それは地面の方から伸びているようでその方向を見ると背中のブースターを噴かせながらその腕を元に戻すようにしながらレンが猛スピードで迫ってきていた

何とかして逃げようとする春香、しかし、胴体をガッチリと手に掴まれており全く動くことが出来ない。その間もレンは段々と春香に近づいてくる

彼女にできるのは声を上げることだけだった

 

「やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてええええええ!!!!」

『喰らいやがれ!!織斑春香!!ルナ・マキシマムキック!!』

 

ドゴンという音と共に春香の胴体にレンの右足が突き刺さる。すると、その足が猛スピードで伸びていき、春香をアリーナの天井に衝突させる。胴体にめり込まれた足が離れると、春香は意識を朦朧とさせながら重力に従って落ちていく。しかし、彼女のSEはまだ底を尽いていない

そんな彼女に何の慈悲もなくすれ違ったセシリアがスターライトmkⅢを下に構えて発射する。それに貫かれた春香のISは地面に墜落したと同時に解除され春香は気絶してしまった

これ程の光景がほんの少しの時間で起きてしまったことに戦闘を観ていた生徒達は声を出すことが出来なかった

 

『お、織斑一夏君、織斑春香さん、SEが0になったので脱落です・・・・・』

 

管制室からの声も心ここにあらずといった感じだ。しかし、ここで困ったことが起こった。気絶した2人をピットに連れて行かなければいけないということだ。正直、このままここに寝かせておいても問題ないのだが。はっきり言うと邪魔である

本当ならば一夏か春香のどちらかを気絶させ、もう一方にリタイアさせて連れて行ってもらう予定だったのだが、両方気絶させてしまったので。3人のうちの誰かが連れて行かなければならない。レンは、はぁとため息をつき、ISを解除する。そして地面に倒れている春香を米俵を持つように肩に担ぎ、壁際で倒れている一夏の足を掴み、ずるずると引きずりながら一夏達が出てきたピットに向かって歩いていく

 

「ま、この状況ならこの仕事は俺だわな」

『そうだね。彼等の戦い(ワルツ)を邪魔するほど無粋なことはないからね』

「ああ、ってなわけだ。後は頼んだぜ良弥」

『勿論ですよ。ピットに入る前に行ったでしょう?彼女は僕の獲物(もの)だって』

 

このアリーナの中で今の言葉の本当の意味を理解した人間はいるだろうか。おそらく殆どの生徒はその言葉そのままの意味で捉えてしまったのだろう黄色い歓声が巻き起こる。そして、その言葉を聞いていたセシリアも真っ赤に染まった顔に両手をあてイヤンイヤンと顔を大きく左右に振る。嫌がっているのではなく、嬉しすぎて頭がおかしくなっているのだ

 

「(ぼ、僕のものって、良弥様・・・・・そんな大胆なプロポーズをこんなに大勢の方々の前で・・・・そんなに私の事を想ってくださっていたなんて。あ、でもどうせなら夜景の見えるロマンチックなところで・・・・)」

『さあ、始めようかセシリアさん・・・・僕達だけの時間を』

「はい!!不束者ですが精一杯お付き合い致しますわ!!」

 

堕ちたな

一夏と春香をピットに放り投げて自分のピットに戻り、試合の様子を見ていたレンはそう思った。映像だからよくは見えないが、彼女の瞳に巨大なハートマークが映っているのが分かる。そして、溜め息をついた

この男はどれだけの女性を堕とせば気が済むのかと

おまけに厄介なのが本人に自覚が全くないというところだ。つまり秋良はセシリアだけでなく他にも多くの女性を持ち前の天然ジゴロっぷりで堕としてきたのだ

セシリアの様子にポカンとしていた秋良だったが、クリアウィングの翼を羽ばたかせ、彼女と同じ高さまで上昇する。セシリアも漸く顔の赤らみが納まった様で真剣さを取り戻し、ジャキンとスターライトmkⅢを秋良に向けて構える

 

秋良とセシリア。暫く静寂が続く

秋良の機体はどちらかというと白式なような近接特化タイプであり、無暗に突っ込んでいけば遠距離特化のセシリアの機体の餌食にあってしまう。セシリアもセシリアで無暗に乱射しても開始直後に見せた一夏の背後に現れた方法で後ろを取られてしまってはお終いだ

つまり、どちらも相手が動くのを待っているのだ。頭の中で何度もシュミレーションをし、動き出したのは秋良だった

 

開始直後のように一瞬でセシリアの背後に移動し、尾で叩きつけようと体を回転させ、尾で彼女のISを横から叩きつける。何かに接触し、そのまま()()()()()感触があった。おかしい。自分の攻撃でISの絶対防御を貫いて彼女の体を半分にすることは出来ないはず。しかし、ならばこの感触は何なのだろうと考えていると尻尾の部分から冷たい感覚を感じた。その方を見ると尻尾の先から凍り付いている

驚き、セシリアを見ると、そこには氷でできたセシリアの像が真っ二つになっている光景だった。そう秋良が尻尾で攻撃したのは氷でできた彼女の像。そしてその本人はというと秋良よりも上空でスターライトmkⅢを構えていた

 

「(もらいましたわ!!)」

 

スターライトmkⅢから放たれたビームは秋良に直撃し、彼のISをどんどん氷漬けさせていく。その光景を見ていた観客達は何が起きたのか分からないといった表情としていた。それはリボーンと共に試合を見ていた箒も同じだった

 

「何ですか今のは!?」

「あれは・・・・そうか、あいつが」

「リボーンさん・・・セシリア・オルコットの事、知っているんですか?」

「ああ、オメェにも話したことがあるだろう。初代シモンファミリーの頃から門外顧問としてファミリーを支えてきた人間がいたことを」

 

シモンファミリー

イタリアの古参の弱小マフィアと呼ばれていたシモン=コザァートが率いるファミリー。初代ボンゴレファミリー霧の守護者、D(デイモン)・スペードの謀略によって綱吉達を恨み、戦ったが、その後、初代のジョットとコザァードのように仲を取り戻し、今ではボンゴレに次ぐマフィアとして恐れられるようになった。そんなファミリーの門外顧問、ボンゴレで言うところのCEDEFのような役割をコザァードの頃からファミリーを支えてきたのが彼女が当主を務めているオルコット家だ

彼女の前に当主を務めていた男、リゼヴィム・オルコットとは知り合いだったため、オルコットという名前に何となく聞いた事がある感じがしていたのだ。つまり、彼女がリゼヴィムが隠居した代わりとして当主に立った人間となる。そして、リゼヴィム・オルコットが使っていたのが大空と対になる大地の7属性の1つ

 

「氷河の炎・・・・鈴木アーデルハイトさんと同じ属性ですね」

「ああ、氷河の炎の特性は氷結。触れたもの全てを凍らせる力だ。もっともどれだけ凍らせられるかは使用者の力量にもよるがな・・・・あの女、リゼヴィム以上の使い手かもしれねぇな。リゼヴィムが隠居したのも納得がいくな」

「・・・・・・・・・」

 

強い

彼女の戦いを見て思った率直な意見だ。今の自分が戦って彼女に勝つことが出来るのだろうか。彼女の特性氷結の力は雨の力を使って戦う自分とは相性が悪い、それにセシリアは遠距離攻撃に特化したもの、対して自分は秋良と同じように近距離に特化したものだ。なので尚更相性が悪い

しかし、秋良は何故唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)を発動しないのだろうか。そんなことを考えている箒に疑問に答えるようにリボーンは話し出す

 

「あいつの唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)はおそらくだが、カウンタータイプの唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)だな。相手のISが唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)を発動した時に発動する能力だろうな。もともと唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)二次移行(セカンドシフト)した機体が使える能力だ。あの女のISはまだそれが発動できない状態だ。だからあいつは唯一仕様の特殊能力(ワンオフ・アビリティー)を発動することが出来ないんだ」

「では、千花はこのまま」

「ああ、このままいけば間違いなく氷漬けになるだろうな・・・・だが、あいつにはまだ何かあるのかもしれねぇな」

「分かるんですか?」

「勘だ」

「か、勘・・・ですか?」

 

勘だ

しかし、長年ヒットマンとして生きてきたリボーンだから感じることの出来ることだ。あの男はまだ何かを隠している。それこそ知られてしまえば世界がどよめく様なことが。そんなことを考えていると、彼の手に今まで持っていなかった武装が展開される、それは近距離に特化したクリアウィングの弱点をなくすために秋良がヴェルデに頼んで開発してもらった遠距離用の武器、SRシェイブーメランだ。それを展開した数、4つをセシリアに向けて射出する、黄色のブーメランは彼女に攻撃しようと迫るが、このような単純な軌道を躱せないようではシモンファミリーの門外顧問を名乗る資格はない。彼女はスターライトmkⅢのビームを発射しながら器用にそれらを躱す。この間もクリアウィングはどんどん凍り付いていく

このままいけば勝つことが出来る。彼の背中に追いつこうと努力した成果がここで報われるそう思っていた。だからだろうか

 

 

 

 

 

 

 

スターライトmkⅢに巻き付いた何かへの反応が遅れてしまったのは

そして気づいた時には彼女の武器は半分に切り裂かれていた。それをやったのは秋良の手の部分の装甲からいくつも並んで鞭のようにつながっている独楽(こま)だった。これはクリアウィングに搭載された武装、SRベイゴマックス。そして、切り裂かれたスターライトmkⅢは爆発し、セシリアはその衝撃にバランスを崩され、更には爆発の際の煙によって秋良を見失ってしまった

 

「キャア!!(くっ!!私は何と愚かな。良弥様の前でほんの少しでも油断してしまうとは!!一先ず、良弥様を見つけるまでは氷人形たちの中に隠れましょう)」

 

慌てて氷人形たちの中に姿を隠そうとするセシリア。彼女の周りには20体ほどの自分と全く同じ姿の氷人形が浮いている。この中で自分を探すのは不可能だろうと、そして、秋良が氷人形の相手をしているうちに別の作戦を考えなければと思っていた。しかし、セシリアは1つ大きな過ちを犯していた。自分を隠そうとするあまり氷人形を自分の周りに配置し過ぎたことだ。そのため、秋良が狙うべき場所を特定させてしまうという結果になってしまった

この辺りの状況判断がまだ若いが故に犯してしまうミスなのだろう。秋良は再び自分の方に向かってくる氷人形の何体かを貫きながら上空に飛翔する。そして、再び全身を回転させる。再び先程の攻撃が来るのかと構える氷人形たちだが、今回は秋良の手に何かを持っているのが見えた

それは

 

「(・・・・・けん・・・・玉?)」

 

けん玉のけん先が柄のようになり、本来手で持つところが剣の形になっている一振りの剣、近接用の武装であるHSR魔剣ダーマを手に持ち、それをドリルのように両手で上に掲げ、再び回転すると同時に緑色の竜巻が彼の周りを覆う。先程の回転+魔剣ダーマによるダメージ。この攻撃がヒットすれば彼女のISは間違いなくSEを0にしてしまう

自分のミスで場所が特定されてしまったセシリアにはもうこの攻撃を守り切るか躱すしか選択肢はない。しかし、先程の一夏への攻撃を見て躱すことは出来ないと思ったのだろう、周りにいた氷人形を縦に並べ自分はそれの最後尾につくそして再びブルーティアーズのレーザービットを展開し4つのレーザーを1つに集中させる。セシリアの氷河の炎による防御が勝るのか、それとも秋良の攻撃が勝るのか。秋良はその氷人形の列に突撃していく

 

『旋風のヘルダーマスラッシャー!!』

 

1体目の氷人形が貫かれた瞬間、セシリアは氷の炎を灯したレーザーを目の前の氷人形に向けて放つ。そう彼女が行っているのは最大限の氷の炎で目の前の1体の硬度を上げるというもの。そして、それを行いながら隠していたミサイルを放つことの出来る残りの2つのブルーティアーズも起動させ、万が一すべての氷人形が貫かれた時、これを使って秋良を攻撃するという作戦のようだ

そして、氷人形たちは紙に鉛筆で穴を開けられるときのように次々と脆く崩れていく。そして、最後の1体

これを貫けばセシリアに届く、しかし、最後の1体は彼女が追加で氷の炎を注入した硬度の高い氷人形そう簡単に貫かれないだろうと思っていたが、クリアウィングと魔剣ダーマはそれをも容易に貫いてしまった。そして、それと同時にミサイルを放ち、秋良と衝突し、爆発を引き起こす

 

その爆風を利用して後方に退避するセシリア。そして、爆風を突き抜けてきた緑色の竜巻が彼女を包み込んだ。それが通過すると、彼女のISは解除され、気を失ったセシリアはゆっくりと地面に落ちていく。しかし、途中で秋良に抱きかかえてもらい、ゆっくりと地面に着地する

 

『セシリア・オルコットさん、SEが0になったので脱落です。よって勝者は千花良弥君です』

 

管制室から聞こえてきた麻耶の声にハッとした観客達は大きな歓声と拍手を秋良に送る。それに一礼をして、クリアウィングを解除し、セシリアをお姫様抱っこの状態で抱きかかえながらピットに歩いていく。後に、意識を取り戻したセシリアはクラスメイトからこの話を聞いて死ぬほど後悔したという




試合を終わった秋良達を待ち、専用機を取り上げようとする千冬

そして試合に敗北した一夏達は秋良達から専用機を取り上げようと動き出す。果たして彼女達はどのような制裁を受けることになってしまうのか

次回、Obiettivo 8お楽しみに
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