Infinit Millefiore   作:つのっぽ~

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あけましておめでとうございます。今後もこの小説をよろしくお願いいたします。

前回の次回予告のところまで行けず申し訳ありません。新しいドラゴンは次回ということでお願いいたします。そして、ここからは少しずつリボーン要素を増やしていきます。このままだとこの小説が遊戯王×ISだと思われてしまいそうなので。それでは今回もお楽しみください。


Obiettivo 8

試合の終わった秋良を待っていたのはこちらを睨みつけるように立っている千冬だった。セシリアはピットに入ったときに横に寝かせた瞬間に目が覚めたようで何が起きているのか分からないといった表情だ

 

「千花、そして、ヒダリ。ISには絶対防御があるとはいえやりすぎだぞ」

「試合が始まる前に行ったはずです。僕等の企業の理念にはどんなことでも全力でというものがあります。それに従ったまでです」

「っつう訳ですよ織斑先生。もう行ってもいいですよね?」

 

白騎士事件の真相を知っているレンにとってその事件の張本人である千冬をあまり視界に入れたくない。秋良は自分を地獄に落とした人間と同じ空間にいたくない。その思いで早く立ち去ろうとするのだが、千冬は2人の前に立ち、手を差し出す。何のつもりだと言おうと思ったのだが、彼女の表情から何を言おうとしているのかが手に取るように分かってしまうことにため息をつく

 

「お前達の専用機を調べさせてもらう。渡してもらおうか」

 

思わずやっぱりだという言葉を口から出そうになってしまった秋良。これが日本の総理大臣クラスの人間に言われたのならば従わなければならないだろうが、千冬は元ブリュンヒルデという称号を持っているただの一般教師だ。その程度の人間に企業に秘密の詰まった専用機を渡すはずがない。千冬を避けるように左右に分かれ、部屋から出ていこうとする

 

「待て!!」

「どうしても調べたいのなら企業に直接問い合わせてください。まぁ、無駄だとは思いますがね。あ、セシリアさんも一緒に来ますか?」

「は、はい。行きますわ」

 

目が覚めたセシリアと共に部屋から出ていく。早くいかなければ食堂が閉まってしまうため、夕食を取らなければならない。部屋から出て歩いていく3人の後姿を千冬はじっと見つめる。その視線はレンとセシリアの間にいる秋良に注がれる

雰囲気などは全くと言っていいほど似ていない。しかし、彼を見ると懐かしい気がしてならないのは何故だろう。もしかしたら本当にあの男はモンドグロッソの際に行方不明になった織斑秋良なのではないだろうか。しかし、もしそうだとしたらなぜ自分たちのところに戻ってこないのか。様々な考えを頭に浮かべながら千冬は彼らの専用機を調べる許可をもらうために教員室に向かう

 

そして、企業に連絡をとったが、秋良の考えていた通り、ただの教師にそんな権限を持たせるとはどういう考えをしているんだと理事長に苦情が入り、千冬と彼女の補佐をしていた麻耶までもが叱られる事になってしまった

 

 

食堂は先程の代表決定戦を見ていた生徒達でごった返しになっていた。そんな中で運よく窓際の席を確保することに成功した秋良達。秋良の目の前にはドーナツとココア。レンの前にはカツ丼とコーヒー、セシリアの前にはサンドイッチと紅茶が置かれており、3人はそれを食べながら会話をしている

 

「で、どうだったよ。あいつらと戦った感想は」

「まぁ、こんなものかなといった感じですね」

「無理もありませんわ。あの方達は今日初めて専用機をもらったわけですから。それに私達のように裏社会の人間ではなく表の世界で生きてきた人間なのですから」

「そうですね。それにしても驚きましたよ。セシリアさんがリゼヴィムさんの跡を継いでオルコット家の当主になっていたなんて」

「そんな。私なんか、お2人に比べれば大したことはありませんわ」

 

この会話から理解できるようにセシリアは秋良とレンがミルフィオーレファミリーだということを知っている。当然、協力関係にあるボンゴレから10年後の未来で彼らがどれだけ残酷なことをしてきたのか話で聞いている。それでも彼女は彼らの正体をボンゴレに、そして自分のファミリーのボスである古里炎真、そして、鈴木アーデルハイトにも話していない

何故なのか。それは聞くだけ野暮というものだろう。秋良達の考え、この世界からISを無くし、本当の平和な世界を創り上げる。その考えに賛同した。そして、自分の恋する相手を支えてあげたい。それだけが彼女の口からミルフィオーレという単語を出さないように封印している

 

「それに・・・・」

 

次の言葉を話そうとして横のセシリアをちらりと見る。彼女に自分がミルフィオーレに所属していることは話したが、自分が織斑秋良だということはまだ話していない。そんな彼女の前で話すわけにはいかないと秋良は頭の中で感想を語る

 

感じたのは虚しさ

 

あのような存在の人間に自分は追いつこうとしていたのか。追いつき、肩を横に並べて歩きたいと思っていたのか。そして、あのような人間に自分は散々利用され、あのような人間のせいで自分は地獄のような日々を送らなければならなかったのか

そう考えると幼いころの自分の努力や苦労は何だったのだろうかと虚しくなってしまったのだ。そして、制服の内ポケットにしまっていた2つのマーレリングを取り出す。彼等だけだった

自分を『織斑千冬の弟』としてではなく『織斑秋良』として必要としてくれたのは。そう考えると、あの時に現れた2人の褐色の肌を持つ女性からこのリングを受け取ったのは間違いではなかったと思う。もしかしたら白蘭達は自分を目的を叶えるための道具だと思っているかもしれない

でも、それでもいいと思った。自分を、織斑秋良を必要としてくれている彼ならばたとえそうだったとしても自分はそれを受け入れる。そのために自分は生まれ変わったのだから

織斑秋良から千花良弥に

 

「・・・・良弥様?」

「あ、いや、何でもない。ごめんね」

「・・・・・・」

 

物思いにふけてしまい、会話が途切れた秋良を心配するセシリア。その横でレンは秋良を悲しそうな表情で見ていた。何も変わっていない

認めてくれた人間には何をされても構わない。死ねと言われれば忠実に実行してしまいそうな友人の姿を見てため息をつく。どうしてこの男は自分のことをもっと評価してあげないのか。年齢で言えばレンたちと同じ16歳だ。しかし、その年齢で既にミルフィオーレファミリーの真六弔花に選ばれている。白蘭が新世界を創っていくうえで創造後の世界を引っ張っていくことのできる人間に選ばれているのだ

それなのに何故この男は自分をここまで卑下し、自己犠牲の考えを捨てないのか、それは彼が織斑秋良だったころに受けてきた地獄の日々につながっているとレンは確信していた

どれだけ努力をしても認めてくれない、だからより一層努力する。過去を断ち切り、千花良弥としての人生を歩んでいるつもりの秋良。しかし、その心には常に織斑秋良だったころの考えが深く根付いてしまっている

これを取り除かない限り、この子には本当の幸せがやってこない。そのためにレンは秋良を心配している女性、セシリア・オルコットに目を付けたのだ

 

最初は驚いた。秋良が彼女に向けて自分の正体を明かしたということに。しかし、話しているうちに彼がそれを実行したのにも納得がいった。女尊男卑が広まっている世界でここまで芯の真っすぐな女性はキサラ以外見たことがなかったレンは彼女ならば織斑秋良というなの古びた楔を彼から外してくれる。そう考えて今まで様々な計画をキサラと共にしてきたのだが、如何せんこの男は女性の行為というものに驚くほど鈍感なため、未だにセシリアの気持ちに気づけていない

これは骨がいるなと苦笑いを浮かべる

 

「・・・・何ですか?人の顔を見てニヤニヤと・・・・レンさんが学園の女の子達に片っ端からナンパしてるってキサラさんに言いつけますよ?」

「まあ、レン様。いくら年頃の男性とはいえ、そのような事ではキサラ様を幸せにできませんわよ?」

「んなことしてねぇよ!!大体何でそこでキサラが出てくるんだよ!?」

「はぁ、レンさんもまだまだ子供みたいですね」

「何だと!!外見も中身もガキみたいな奴に言われたくないんだよ!!」

 

レンの言葉に溜め息をつく秋良とセシリア。実はレンも恋愛事に関しては秋良程ではないが鈍いところがある

そして、秋良の言葉に怒ったレンは怒りのあまりうっかり秋良専用の起爆装置のスイッチを押してしまったのだ

 

それに気づいたときには秋良の匣が開匣されており、そこから出てきた霧の炎によってサイズが小さくなったマンダに噛まれていた

 

噛まれた瞬間、マンダの持つ麻痺性の毒によって金縛りにあったかのように動けなくなってしまった

 

「あ、あの良弥様。今のは」

「セシリアさん、君は何も見ていない」

「え、でも「見ていないよねぇ」え、えぇ!!ど、どどどどどうやら私の気のせいみたいですわ!!」

 

殺気の含まれた秋良の視線に無力を感じ、レンに向けて合掌する。痺れて動けないレンの足を持った秋良。レンは最早嫌な予感しかしない

 

「さ、レンさん。そんなところで寝てないで部屋に戻りますよ。え?動きたくない?もう、仕方ないですねレンさんは。じゃあ、セシリアさん。僕はレンさんを部屋に運ぶんで、今日はこれで」

「は、はい!!お、お休みなさいませ!!」

「お休みなさい。あ、お食事中の皆さんもご迷惑をお掛けしました」

 

食堂で何事かと様子を見ていた生徒達に頭を下げ、レンの足を引っ張りながら寮に向かって歩いていく

その際に何かが壁にぶつかったような鈍い音がしたり、下の方から蛙を踏み潰した時のようなグェッという声が聞こえた気がするが、無視して、寧ろより歩くスピードを上げていく

 

食堂に残されたセシリアと他の生徒達は1つ決め事をした

 

秋良に身長の話はしてはいけないと

 

顔面がボロボロになったレンを引き摺ったまま彼の部屋のドアを開け、レンをベッドに向けて全力投球し、部屋を閉めて自分の部屋に向かう

マンダの毒は明日の朝には治る筈なので無視をして自分の部屋に入る

 

『小僧!!いい加減にしやがれ!!俺はテメェのストレス発散の為の道具じゃねぇんだぞ!!』

 

部屋に入ると開匣してから秋良の腕に巻き付いていた小マンダが彼のベッドの上で怒りを露にする。ギャーギャー喚いているマンダを無視して制服を脱ぎ、黒いタンクトップに同じ色のジャージを履き、鏡の前に立つ

そして、匣の埋め込まれた部分をそっと撫でる

 

『・・・・うちはのガキもイカれてたが、テメェも大概イカれてやがるな』

「そのうちはって人がどんな人かは知らないけど、それならそれでいいんだ。だから僕は白蘭様の役に立つ事が出来るんだから」

『だが、気を付けろよ。それを使えば確かに人間を遥かに越えた兵器になれるが』

「分かってるよ。もしかして心配してくれてるの?」

『・・・ふん、そんなんじゃねぇよ。ただお前に死なれると俺の餌が無くなっちまうからな』

 

照れ隠しをするかのようにベッドの側に置かれていた霧の炎で作られた小さな観葉植物。その枝がマンダのベッドとなっており、そこに体を巻き付け、眠ってしまった

 

それにクスリと笑みを浮かべ、携帯電話を手に取り、ある場所に電話を掛ける。今回の代表決定戦の結果報告とそれに伴って面倒を掛けた事への謝罪のためだ

 

『やぁ、秋良君。学園生活はどうだい?』

「お陰様で。それよりも、うちの元姉が申し訳ありませんでした」

『ん?あぁ、秋良君の専用機を渡せって言ってきたあの女、織斑千冬だったんだ。IS学園の教師としか言ってなかったから分からなかったよ♪』

「白蘭様にその様な無礼な事を・・・・あの女」

 

いつの間にか通話をしながら神鉄如意を出し、持つ部分を壊れてしまうのではないかと思える程の力で握りしめる。自分の主に対しての無礼な言動に今すぐにでも神鉄如意で彼女の心臓を貫き、首をとり、白蘭に献上したいくらいだ

 

『あぁ、気にしなくていいよ♪次同じ態度とったら容赦しないって言っといたから。ま、この言葉もどれだけの強制力があるかは分からないけどね。カタログスペックはヴェルちんが出してたはずだから学園の理事長に文句は言っといたけどね

もう大変だったよ。ザクロちんなんかイラつきすぎてどっかから情報を掴んでやって来た奴等を全員灰にしちゃったからね♪』

「珍しいですね、桔梗さんじゃなくてザクロさんが手を下すなんて」

『まぁ、他の子達もこのぬるま湯に浸かったような世界でいるのも退屈なんだろうね。でも、もう少しで面白いゲームを始めるからそれまでは我慢してくれるみたいだけどねぇ』

 

秋良のいなかった10年後の世界で暴虐の限りを尽くしてきた真六弔花のメンバーにとってこの世界はつまらな過ぎるのだ。平和なことはいいことなのだが、戦いの中で快楽を得ていたザクロの様な戦闘狂にとっては自分と同格かそれ以上の相手と戦うことが少ないことに日々、苛立ちを募らせているのだ

今回も白蘭に襲い掛かろうとしていた存在を手に掛けたとはいえ彼の欲求を満たすことはできていないだろう。そして、白蘭が始めようとしているゲーム。それはヴェルデが監修のもと製作を続けている最新型のIS、そう、篠ノ之束が手を出すことのできなかった領域、男でも使うことのできるISの製作。秋良とレンの代表決定戦での戦闘データを参考に完成に近づきあるのだ

それを世間に発表すればまさに世界は大混乱に陥るだろう。だが、それこそが白蘭の計画でもあり、秋良が望んだ新世界、争いのない真の平和な世界への第一歩となる

 

それよりも驚いているのがこの会話を聞いていても秋良が平然としていることだ。普通の人間がこの話を聞けば何を言っているんだと思うのが普通なのだが、これが秋良の普通なのだ。あの時、モンドグロッソの時に白蘭に攫われたことでそれまでの日常が彼にとっての非日常になったのだ

 

そして、秋良とは別の部屋、一夏と春香の部屋では一夏が悔しそうに壁に拳を叩きつけていた。拳から血が流れているのも気にせずに壁を、そして自分のベッドの枕に拳を叩き付け続ける。そして春香はベッドで仰向けになり、ぼぅっと何もない天井を眺め続ける

こんなはずではなかった。一夏以外に男の分際でISに乗ることのできる存在を千冬の後継機であり、束が手を加えたであろう白式と黒椿の力を使って彼等を完膚なきまでに叩きのめしてクラスの、学年の、そしてIS学園の、何れは世界の頂点に立つことが当然のことだと思っていた

 

しかし、現実はどうだ

自分達の武器は修復困難のほどまでボロボロにされ、一夏は秋良に、春香はレンに瞬殺されてしまい気絶するという無様な結果。観客の視線はその後行われた秋良対セシリアの戦いに目を奪われてしまい、自分達のことなのまるで最初から居なかったかのように扱われる始末

結局、千冬か医務室に自分達を迎えに来るまで誰も自分達の様子を心配しに来る人間はいなかった。春香は悔しそうに唇を嚙み締める

 

「くそ!!春香姉はいいのかよ!!このままで!!」

「・・・・いいわけないに決まってるでしょ」

「だったら何で黙っていられるんだよ!?あいつら・・・・きっと何か如何様したに違いないんだ!!じゃなきゃ俺と春香姉が秋良なんかに負けるはずがないんだ!!」

「・・・・如何様・・・・ね(あの男が秋良かどうかは最早どうでもいいわ。今は私達を辱めたあの男達をボコボコにしてやること。そのためにも邪魔なのは・・・・あいつらの専用機)」

 

この2人はあれ程の力の差を見せつけられてもまだこのようなことを言えたり、考えたりすることができるのは違う意味で称賛に値する。そして、一夏は千花良弥は間違いなく織斑秋良であると。そして、織斑秋良ならば自分達に勝てるはずがない。何か如何様をしたんだと訳の分からない事を断言しており、春香は春香で自分に屈辱という泥を舐めさせた奴等を排除したい

もはや如何様をしたとかしていないとかいう問題ではないのだ。一夏は秋良を洗脳していると思っている企業から秋良を取り戻したい、春香は馬鹿にした男共に屈辱を味あわせたい、利害の一致した2人は翌日から行動を起こすことを決意した

 

それがどれだけ愚かな行為だということを彼等はこの時、まだ理解していなかった。そして、後になって気づくのだ。自分達がどれだけ恐ろしい人間を相手にしようとしていたのかを。そして、何故秋良は自分達のもとから離れてしまったのかを

 

そして、千冬も寮長の部屋で酒に溺れていた。理由は自分が大切に育ててきた2人の弟と妹が何も出来ずに企業代表如きに敗北したことが許せなかった

そして、もう1つが理事長からの注意だ。秋良達の企業の専用機に手を出すことを禁止する。もし、手を出した場合はそれ相応の罰を与えると言われてしまったのだ。秋良とレンから専用機を取り上げることができればそれを部品レベルまで解析し、それに使われている技術を使って白式と黒椿を強化して自分の愛する弟と妹を自分の後継者として、新しいブリュンヒルデとして誕生させようと考えていた

しかし、それは叶わぬ願いとなってしまった

最もこの世界の技術ではダヴィンチの再来と言われているヴェルデに勝てるはずもないし、そこに使われているものは白蘭が色々な仮想世界パラレルワールドて手に入れた知識が使われている。それを天災の束でもない一般の研究員が理解できるはずもない。最も、これは束ですら理解できないことだろうが

苛立ちを隠せない彼女の八つ当たりの相手は目の前で山積みになっている酒の缶しかいなかった。それを文字通り浴びるように飲み続ける。そして、彼女が何よりも理解が出来ずイラついているのが

 

「くそっ!!もとはといえば束の奴が白式と黒椿を作らないからこうなるんだ!!」

 

自分の親友である篠ノ之束だ

彼女に千冬が白式と黒椿の開発を頼もうとしたのだが、音信不通のためつながらない。自分の言うことなら何でも聞いてくれた彼女がここ数年全く連絡が取れなくなってしまったのだ。仕方なく、千冬は倉持技研に半ば脅しながら制作を依頼した。そのせいで開発途中だった1機の専用機が製作途中で処分されることになってしまったがそんなことは彼女の知ったことではない

そう、春香と一夏は勘違いしているようだが、束は白式と黒椿の開発には全くと言っていいほど手を付けていないのだ、昔馴染みの情けで倉持にISのコアを2つ渡したが、それだけで他は全く手を付けていない。更に言うともし束が作ったのならば雪片弐型しか搭載していない白式や家具土がメインで他の装備は対した威力のない武装ばかりという黒椿のような欠陥品を作るはずがない。しかし、千冬は倉持にそのような狂った機体の製作を命じたのだ

自分の愛する者だけが大事な彼女にとっては寧ろそれが元ブリュンヒルデである自分への正当な待遇だと勘違いしている

最も、篠ノ之束も最初は自分の夢を共有してくれる千冬の願いを可能な限り叶えてきた。それが一般常識からかけ離れたことだとしても、どう考えてもおかしいだろうと思ったとしても

しかし、白騎士事件、ミサイルをすべて撃ち落とした後はすぐにその場を離脱するという彼女の計画は千冬の最強でありたいという傲慢な理由で崩壊し、彼女の宇宙へ飛ぶための翼を醜い戦闘兵器へと変化させたのだ。そんな女の言うことを聞く道理がどこにあるだろうか

更には白騎士事件から暫くして、彼女は沢田綱吉とボンゴレファミリーに出会い、変わったのだ。今では少しでも女尊男卑の世界を変えるべくボンゴレファミリーの顧問機関であるCEDEFと協力しながら自分の夢、宇宙へ行くための翼を作ろうと計画している

 

そしてもう1つ彼女を悩ませているのが千花良弥だ

千冬は確信していた。あれは間違いなく自分のもう1人の弟である織斑秋良だと。髪形や刃物のような鋭い目つきは昔と全然違うが、纏っている雰囲気は織斑秋良そのものだ。だが、千花良弥が織斑秋良だとしたら、何故自分達のところに帰ってきてくれないのか、自分達はこんなにも彼の心配をしているのにと考えていたが答えが全く浮かばなかった。モンドグロッソの優勝インタビューで自分の勝利を一夏と春香に捧げるといい。秋良のことはまるで存在しなかったかのような返答をした人間がよくもそのような事を平気で考えることができるなと呆れてしまう。そして、考えて考えて考え続けて彼女が出した答えは企業が秋良を洗脳しているという意味の分からない答えだ

秋良の所属している企業、白蘭が秋良を洗脳して自分達のことを彼の記憶から消去し自分の手駒にしているのだと結論付けたのだ。それが秋良自身の望みで白蘭のもとについているなどということは考えもせずに

 

そして、千冬はその答えを信じ切って秋良を企業から、白蘭のもとから取り返すために動き出そうと計画する。たとえ理事長から罰を受けたとしても彼女は止まらない。家族ならば一緒にいるのが当たり前という勝手な妄想を抱きながら彼女は秋良にとっての禁止エリアに踏み込もうとする

それが秋良をさらに自分から話してしまうことになるとは思いもしないだろう。そしてかつて世界最強となった彼女は知らないだろう。嘗ていくつもの仮想世界パラレルワールドを崩壊させた白蘭を怒らせたとき、世界がどうなってしまうのか

 

そして日本から遠く離れた隣の国、中国では空港にツインテールを揺らしながらキャリーバックを転がして日本行きの飛行機に乗ろうとする少女がいた

 

「世界初の男性操縦者が3人もかぁ。織斑一夏は正直どうでもいいけど、気になるのは千花良弥。あんたの会いたいっていう男だったわよね」

 

ツインテールの少女の肩に乗っている白い子猿を頭に乗せた中華服を身に纏い、首からは赤色のおしゃぶりをかけた赤ん坊に声をかける

 

「ええ、それにしても助かりました。海を走って渡ることも出来たのですが、リーチが海に落ちてしまう可能性があったので」

「本当に話だけ聞くと恐ろしいわよね。あんたみたいなのが何人もいるんでしょ?その、あるこばれーのっていうのには」

「ええ、そんなことより早くいかないと飛行機の離陸時間になってしまいますよ?」

「分かってるわよ。さっきも言ったように私の服のポケットにでも隠れておきなさい」

 

飛行機に向かっていく少女と赤いおしゃぶりの赤ん坊、それは秋良達の日常に変化をもたらすものとなるだろう




クラス代表決定戦も終わり、いつもの日常に戻りつつあるIS学園

そこに中国とイタリアからの編入性がやってくる。そして、秋良の前に現れる赤色のおしゃぶりを持つアルコバレーノ
彼が日本に、ミルフィオーレファミリーである自分のところに来た目的は

次回、Obiettivo 9お楽しみに
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