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更新が一か月以上空いてしまい申し訳ありませんでした。
そして、セブンXさん、Plutoさん、smsmさん、流賀さん評価ありがとうございます。皆さんから頂いた評価を受け止めて今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします。
それでは遅くなりましたがObiettivo 9お楽しみに!!
「————というわけでクラス代表は織斑一夏君に決まりました。あ、一繋がりで何だか縁起がいいですね」
翌日のHRでクラス代表決定戦の結果が発表され、一夏がクラスの代表となった。その言葉に教室中から聞こえてくるのは何でだという疑問と落胆の声だった。疑問を思っているのは一夏と春香も同じだった
「先生、何で俺なんですか?普通は千花かヒダリかオルコットさんのはずですけど」
「そうなんですけどね。オルコットさんはオルコット家の仕事で、千花君とヒダリ君も企業の仕事で忙しいからと辞退したんです」
秋良達は裏社会でのファミリーの仕事がある。セシリアはシモンの門外顧問としての、秋良は真六弔花としての、レンもミルフィオーレ諜報部の仕事があるので、クラス代表という役割をすることでそれらに時間をかけることが出来なくなるのは困るのだ
クラス代表とはそのクラスの顔になるということ。それが代表決定戦で何もできずに敗北した一夏になるとは生徒達は思っていなかったようだ
勝者である秋良、棄権したレン、秋良に敗れたセシリアが選択肢から消えた時点で残りは一夏と春香しか残っていない
本当ならば、春香でも一夏でも、どちらでもよかったのだ。しかし、クラスの顔としては、女性である春香よりも、世界初の男性操縦者と言われた一夏の方が注目を上げられるという理由でこのような結果になったのだ。しかし、それに納得しているものはこのクラスには殆どいない。先程の落胆の声がその証拠となるだろう
「そういうことだ。織斑弟、異論は認めない」
「けど千冬姉!!「織斑先生だ」いでっ!!」
反抗しようとした一夏に容赦なく振り下ろされる出席簿。たまに思うのだが、本当にあれは出席簿なのだろうかと思えるくらい鈍い音が聞こえてくるが、秋良達にとってはそんなことはどうでもいい。しかし、そんな彼等を巻き込もうとする存在がいる。今、一夏に出席簿を振り下ろした千冬だ
「千花、ヒダリ、オルコット。お前達にはクラス対抗戦まで織斑弟のISの訓練に参加しろ」
思わず、は?と言いそうになった口を慌てて抑える。何故そんなことをしなければならないのだろうか。そんなことをしている余裕があるのならば自分がクラス代表となっている。自分達の抱えている仕事が忙しいので辞退したのだ
本当ならば、白蘭の開発したISを使って企業の新製品のアピールをしたいくらいなのだが、それが出来ないので辞退したのだ
それなのに何故、関わりたくもない人間のISの訓練に付き合わなければならないのか
「お断りします。山田先生がおっしゃいましたが、僕等は企業の仕事があるのでそんなお遊びに付き合っているほど暇ではないので」
「何?私の命令が聞けないのか?入学式初日にも言ったが、私の言葉にははいかYESのどちらかで答えろと言ったはずだ」
「おいおい、たかが一般教師が生徒に命令するなんてな。教育委員会とかに訴えたら大スキャンダルになるんじゃねぇか?IS学園の教師、軍隊と勘違いして懲戒処分とか・・・・・ゴシップ好きの記者とかにこの情報渡したらかなりの額貰えるんじゃねぇか」
わざと挑発するように千冬に言葉の暴力、というよりも正論なのだが、それを投げつけるレン。すると、レンの予想通り千冬は手に持った出席簿を振り上げ、レンの頭めがけて振り下ろす。それを防ごうとレオンを銃に変形させ、リボーンがそれを狙い撃ちにしようとするその瞬間、レンと千冬の間に緑色の光が走ったような気がした
その瞬間、彼女の手は強力な電撃を浴びたかのような衝撃を受け、出席簿を落としてしまった
クラスの生徒達は何が起きたんだとはてなマークを浮かべているが、それを実行した秋良は何事もなかったかのように制服の内ポケットから手を引き抜く。お気づきかもしれないが、今のは秋良がやったこと。レンの実力を知っている彼ならばそんなことをしなくてもよかったと思ったのだが、ファミリーのメンバーが傷つくことを嫌う彼の優しい性格を抑えることが出来ず、胸ポケットにしまっていた雷のリングをこっそり指にはめ、レンの周りに雷の炎でバリアを張ったのだ
それに触れた彼女の手が雷属性の炎の攻撃を受けて出席簿を落としてしまったのだ
そのために内ポケットにしまっていたDランクの雷のリングが秋良の炎に耐え切れず粉々に砕けてしまった。それを感じた秋良はやってしまったとため息をついた
一方、千冬は慌てて出席簿を拾い、教壇に戻っていく。その手を見ると、まだ震えている。何が起きたんだろう、手に強力な静電気が走ったような感覚。しかし、静電気の起こりやすい冬でもこれほど強力な電気は走らないだろう。ましてや今は春だ
静電気が発生する可能性が低い時期にこれ程の静電気が走ることなどありえない。そうなるとこれは3人のうちの誰かの犯行だと考えた千冬。しかし、これを迂闊に追及すると今度は何が起こるかわからない。もしかしたらこれ以上のことが自分の体に与えられるのかもしれない
仕方なく千冬はこの場では彼等の訓練の参加を一先ず諦めることにした
「仕方ない、織斑姉。織斑弟の訓練にはお前が付き合ってやれ!!」
「で、ですが織斑先生。あの3人は「いいな?これは命令だ」は、はぁ」
春香も何が起きたのかわからないという表情を浮かべる中、千冬は慌てて授業を再開する。これ以上、自分の情けない姿を見せるわけにはいかない、そんな下らないプライドを持ちながら彼女は授業を再開する
授業の合間の休憩になると、秋良はレンとセシリアと会話をしていた。そんな彼等のもとに一夏が近づいていく。3人はまた面倒なことを持ってきたのだろうとため息をつく
「・・・・おい」
「何ですか?先程の織斑先生の言っていたことなら断りますよ。僕達は僕達で企業代表としての仕事を抱えているんですから」
「そんなことはどうでもいいんだ。お前達、代表決定戦でどんな如何様をしたんだ!!」
一夏の声の大きさに今度は何事だと生徒達の視線が秋良達に集中する。その言葉を聞いて最早溜め息しか出てこない。この男はあの時の試合で何をどう考えて如何様をしたと考えたのだろうか。もし、あの戦いで死ぬ気の炎を使っていたとしたら確かに死ぬ気の炎を使うことの出来ない一夏達からしたら如何様になるだろう
しかし、あの時、秋良は全くと言っていいほど死ぬ気の炎を使っていない。あれは専用機であるクリアウィングの力、そして、純粋な秋良の戦闘能力の高さが一夏達に敗北をもたらしたのだ
だが、レンの場合は能力の都合上、晴れの炎を使ったので如何様だと言われると何とも言えないのだが、少なくとも一夏からその言葉を言われる筋合いは全くと言っていいほどない
クラス内にいる生徒達も一夏の言葉に何を言っているんだと呆れる表情を浮かべる者もいれば、その通りだと言わんばかりに首を縦に振る者と意見が分かれているようだ。最も、後者は片手で数えることが出来るほどの人数なのだが
「はぁ、一夏さん。先程のお言葉は聞き捨てなりませんわね。良弥様が一体どんな如何様をしたというのですか?私には理解が出来ないので是非とも教えていただきたいのですが」
「そうだな。そこまで言うんならそれなりの理由があるんだよなぁ?」
「ですね。彼はどうやら自分が負けることなんてありえないと思っているようですから。是非とも聞いてみたいですね。僕達が、いや、正確には僕がどんな如何様をしてあなたに勝利したのかを」
正当な理由があるはずもない。一夏の敗因の理由は至極単純なもの、戦闘経験のなさ
それしかないからだ。今まで表社会で何不自由なく平凡な生活を送ってきた一夏達が裏社会で何人もの人間を手に掛けてきた秋良達に勝てるはずもない。なので、彼が勝てないのは仕方のないことなのだ
だが、それを一夏が納得するはずもない
何故なら元世界最強の姉を持つ自分と姉の春華が負けることなんてありえないと思い込んでいるからだ
だからこそ彼はこんな言葉を平然と口にすることが出来るのだ
「当たり前だろ!!如何様しなけりゃぁ、俺と春香姉が負けるはずがないんだ!!お前達が如何様したとしか考えられないだろう!!」
「・・・・お前は
「何だと!!」
「そんな理由で俺達が、はい。如何様をしてました御免なさいというとでも思ったのか?まぁ、最初から如何様なんてしていないからどうでもいいが、難癖つけるんならもう少しマシな理由を言った方がいいぜ」
「レンさんの言う通りです。今のあなたは駄々をこねている子供以下ですよ。消去法とはいえクラス代表になったんですからそういう言動は控えた方がいいですよ?1組の評価が下がってしまいますからね」
子供以下という言葉にクラスの何人かがクスクスと声を殺しきれず笑い声を漏らしてしまう。その方向をキッと睨みつける一夏
何故だ
自分はクラスの代表になったはずなのにそんな風に笑われなければならないのだ。本来ならばクラス対抗戦に向けての応援や凄いね等の称賛の声を浴びてもいいはずだ。そんなおめでたいことを思う一夏
誰が称賛できようか
誰が応援できようか
秋良のクリアウィングに武装を破壊され、瞬殺されたような人間がクラス対抗戦で優勝できるとはとてもではないが思えない。それに入学式から数日しか経っていないが、クラスの人間の中には一夏と春香がどんな人間なのかが分かるようになってきた
春香は必死に隠しているようだが、それでも時々見せる自分が一番でなくてはならないという傲慢さ、一夏は今のように訳の分からない難癖をつける子供。入学式初日は織斑千冬の弟と妹だということでちやほやされていたが、今となってはそれをしてくれる生徒は1組には殆どいない
そうクラスの生徒が思っていると、一夏は我慢の限界が来たのかずっと握っていた拳を後ろに引き、秋良の頬目掛けて振り抜こうとする。生徒達が危ないと思った時、それを遮るように女性の小さな手がそれを掴み取り、動きを封じる
「・・・・いい加減にしないか一夏」
「ほ、箒・・・・」
自分は裏社会の人間で安易に表社会に干渉するべきではないと考え、傍観に徹していた箒だったが、元幼馴染の余りにも酷い言動や行動に我慢が出来ず干渉することにした。そのことにリボーンも箒の肩で器用に胡坐をかき、黒いハット帽の鍔で顔を隠しているので、止めるつもりもないようだ
「何で止めるんだよ!!箒だって見ただろ!!代表決定戦でのこいつらの異常さを!!」
「私としては今のお前が異常に思えるがな。私が見た限りでは彼等が何かしらの不正をしたとは思えない。それにお前はあの日に初めてISに乗ったのだろう?そんな人間が何十時間、何百時間とISを動かしている企業代表や代表候補生に勝てるはずがないだろう。子供でも分かることだぞ」
「っ!!何で・・・・何でなんだよ。お前に何があったんだよ」
あの時から信じられなかった。箒が自分の考えをこんなにも否定するのは
いくらリボーンのいる組織に操られていたとしてもここまで自分の事を否定するとは思っていなかった。それに箒の言葉を聞きながら掴まれた手を動かそうとするが、微動だにしない。何故自分の全力に近い力で動かしているのに全く動かすことが出来ないのだろうか
そんな時だった、教室の扉が開き、千冬と麻耶が入ってきたのは
「授業を始めるぞ・・・・・何だこの騒ぎは?」
「くそっ!!俺は認めないからな」
喧嘩に負けて苦し紛れに罵倒しながら去っていく雑魚キャラの様な台詞を吐きながら自分の席に戻っていく。他の生徒達も対応に困ったが、千冬の出席簿アタックを受けるのは勘弁だと慌てて席に戻っていく。こうしてギスギスした空気の中で授業は進んでいった。授業中も一夏は秋良達を睨み続けていた
「あいつも懲りねぇ奴だな」
「ええ、本当に、何でこうなってしまったのか。本当にすみません、出来るだけ干渉しないようにと思っていたのですが」
「いいんじゃねぇか。あの状況だったらツナだって同じことをしたさ」
「リボーンさん」
「それに表社会に干渉しねぇとボンゴレファミリーへのスカウトが上手くいかなくなっちまうからな」
「まだ考えていたんですか!?「煩いぞ!!篠ノ之!!私語は慎め!!」あ、す、すみません!!」
リボーンの計画に思わず大声をあげてしまい、千冬に注意される箒、その姿にクラスの生徒からクスクスと笑われる始末、顔を赤く染めながら席に着き顔を伏せる
「駄目じゃねぇか箒、授業中は教師の話をちゃんと聞け。ダメツナだってそれくらいのことは出来るぞ」
「誰のせいだと思っているんですか!?「私語を慎めと言ったはずだぁ!!」はぅ!!」
再び大声をあげてしまった箒の額に猛スピードで衝突する出席簿、その方向には怒りの形相を浮かべる千冬の姿があった。その後もリボーンの言葉に何度を大声をあげてしまい、何度も千冬の遠距離から近距離まで様々な距離からの出席簿アタックを受ける事になってしまった
Ⅹ
放課後、アリーナの予約を取ることが出来た秋良、レン、セシリアはバトルロイヤル形式で模擬戦をしていた。レンは晴れの炎を纏ったブラックジョーカーのルナフォーム、セシリアは氷河の炎を纏ったブルーティアーズ、秋良は雷属性の緑色の炎を背中の翼から噴き出しているダークリベリオンに乗っていた
バトルロイヤルといったが、実際は秋良対レン、セシリアとなっている。最も強い敵に対して他の人間と協力し2対1で戦う。戦い方としては最も基本的な行動だ。これを一夏が見たら卑怯者だと罵倒するだろうが
セシリアはレンの背後を飛び回りながらブルーティアーズを展開し秋良に攻撃しつつ、スターライトmkⅢでダークリベリオンに致命傷を与えるべく急所を突いた射撃をする
その前でレンは近距離ではダークリベリオンに分があるため、中距離からルナフォームの伸縮自在の四肢を使って秋良が近づけないように距離を取って戦っている
近接メインの一夏達が見ればこれまた卑怯者だと馬鹿にするだろう
しかし、秋良もアリーナの記録を取っている機器に撮影されないように懐に隠していた霧の匣に指にはめていた霧のリングを差し込み、炎を注入し自ら愛用しているが、IS学園に来てからは一度もお披露目していなかった神鉄如意を取り出し、グルグルと回し構える。記録として録画している機器を見れば、ISの新しい装備だと誤魔化すことが出来るだろう
「神鉄如意・・・・セシリアさん、気をつけろよ」
「ええ、ですがリーチが伸びたとはいえ今の距離で戦えば十分対応できると思いますが」
「良弥がそんなことも考えずに神鉄如意を出したと思うか?」
神鉄如意を初めて見たセシリアの意見は非常に真っ当なものだ。しかし、白蘭が真六弔花のために用意した武器はそんな真っ当さを根底からへし折るほどの壊れ性能なのだ
それを体感しているレンだからこそ、秋良の次の攻撃に備える。すると秋良は今立っている場所から神鉄如意を全力でレンたちに向けて投擲する
ここでレン達の取れる行動は3つ
1つは神鉄如意を躱し一気に秋良に止めを刺す。2つはその攻撃を防御する。3つ目は神鉄如意を打ち落とす。その中でレンがとった行動は回避。セシリアは打ち落とすという選択を取った
しかし、この3つの選択肢、どれを取っても秋良には対応できる自信があった
横に避けたレンの背後からセシリアがスターライトmkⅢからレーザーを放つ。それにブルーティアーズのレーザーも加わり、巨大なビームとなって神鉄如意を包み込む
しかし、神鉄如意はそれを気にしないと言わんばかりにビームを貫きながらセシリアに襲い掛かる
「そんな!!氷河の炎を纏った私の攻撃が・・・・っ!!まさか!!」
セシリアが考えていたように神鉄如意をよく見ると緑色の雷が全体に走っているのが見えた。そう、秋良は投擲する際に大空の属性の中で最強の硬度を誇る雷の炎を纏わせてから投擲したのだ。いくら氷河の炎を纏っている攻撃だとしても雷の炎を纏った神鉄如意を打ち落とすには硬度が足りなかった
「キャアアアアア!!」
神鉄如意はブルーティアーズを貫き、SEを一瞬にして底に尽かせた。そして、ブルーティアーズは解除され、ISスーツを身に纏ったセシリアが現れる
そしてそれを読んで回避したレンは手を伸ばし秋良にダメージを与えようとして
それをする直前に横に飛び退いた
先程までレンがいた場所を猛スピードで神鉄如意が通過し、秋良の手元に戻っていく。それを見ていたセシリアは何が起きたんだと驚いていた。自分を貫いた神鉄如意がまるで秋良がコントローラーで操っているかのように不規則に角度を変え、自分の反対方向に向きレンに向かって猛スピードで進んでいったのだ
これがボンゴレファミリーの話にあったミルフィオーレファミリーの真六弔花の力。最早人間の領域を超越している秋良に自分が叶うはずもないと拳を強く握りしめる
しかし、彼の隣に立つと決めたのだ。そのために父親の跡を継ぎシモンファミリーの門外顧問となったのだ。全てはシモンファミリーの繁栄、そして、秋良の隣に立ち、背中を預けてもらえるような存在になるため
そのために彼女はもっと強くなることを決めた。何を利用してでも力をつけて彼と共に歩んでいくそう決めながらレンと秋良の戦いを見届ける
『流石、レンさんですね。フィリップさんのサポートがあったとはいえ、あれを避けるとは思いませんでしたよ』
『へっ!!イタリアでは散々な目にあったからな、ここいらで仕返ししとかねえとな!!『ですが』あん?』
『ダークリベリオンの力を忘れたわけじゃないですよね?』
『しまっ『トリーズン・ディスチャージ!!』ぐあああ!!!』
ブラックジョーカーを紫色の雷が縄で縛られたかのように雁字搦めに絡みつき、レンの動きを封じる
『これは・・・レン、SEが半分程吸い取られたみたいだよ』
『分かってるよ!!俺の吸い取ったSEの分、あいつの武器の威力が増すんだからな!!』
ダークリベリオンの突起物に黄色い炎が纏い、緑、藍色、黄色の炎が噴き出す。そしてそれをレンに向けて上空から勢いよく滑空し、レンに急接近する
『全く、真六弔花というのは随分と人間離れした力を持っているようだね『冷静に分析してないで何とかしろよ!!』そうは言うけどね。あのスピードで来られたらこのブラックジョーカーでは躱すことは出来ないよ。それにあの攻撃を受ければ間違いなく』
『反逆のライトニング・ディスオベイ!!』
2色の炎がブラックジョーカーを貫き、レンのSEも底を尽き、解除され黒いISスーツ姿のレンが現れる。その手にはブラックジョーカーの待機形態である紫色のUSBメモリが握られていた
それを見た秋良もゆっくりと地面に降り立ち、ISを解除し、彼等と同じISスーツ姿になる
「僕の勝ちですね」
「ああ」
「清清するほどの負けっぷりでしたわ」
「ああ、完敗ってのはこういうことを言うんだな」
「さて、勝負は僕が勝ったんで晩御飯はレンさんの奢りですからね」
「くそっ!!少しは加減してくれよ?」
「あ、ですが、今晩は」
「ん?何かあったっけ?」
「ええ、織斑一夏さんのクラス代表決定の祝賀パーティーですわ」
3人は思った
心底どうでもいいと
『織斑君クラス代表就任おめでと~』
パンパンというクラッカーが破裂する音と共に会場は拍手で包まれる。その中でこの催しの主役である一夏は苦笑いを浮かべながらもどこか嫌がっていないような表情を見せる。それもそのはずだ決定した時は不満の声を上げていたクラスの生徒達がこうして自分のために祝ってくれているのだから
まあ、実際は代表の変更が叶わないものになってしまったため、仕方なく祝ってやっているだけなのだが、そんなことは単細胞な一夏には到底伝わらないだろう
そして、そんなパーティーの隅の席に着き、用意されたお菓子を食べながら興味なさげに様子を見ている秋良達。本当なら食堂でレンに法外な額を奢らせようとしたのにこのようなどうでもいいパーティーに参加することになってしまった
参加しないという選択肢もあったのだが、1年間、様々な行事を共にしていくクラスメイト達と交流を深めておこうと仕方なく出ているのだ。そして、秋良、レン、セシリアの他にその席に着き当たり前のようにお菓子を食べている存在が1人
「・・・・で、布仏さん。あなたは向こうに行かなくていいんですか?」
「のほほんさんでいいよ~、アッキ~。おりむー達といるよりもこっちでお菓子を食べてたほうがいいのだ~」
この少女、布仏本音は改造制服なのか手が出ていないダボダボの袖なのに器用にお菓子を掴んで口に運んでいる。この少女は一夏と春香の中に秘められている黒い感情を本能で察しているのか彼等の所には近づかずに秋良達と一緒に当たり前のようにお菓子を食べている
秋良達も彼女から特に不快な感じがしないので共にいることに対して何も文句を言わない
そして、お菓子がなくなったのでセシリアに手を引かれながら歩いていく本音
端から見れば、姉についていく妹のようだ
「あれが、更識に仕えている布仏の人間か・・・・あれだけのんびりした奴が裏社会の人間とは思えないな。それともあれは演技なのか?」
「いいえ、本音は昔からああでしたよ・・・・って、ん?」
「何だ、お前あいつの事知ってんのか?」
「いえ、彼女に会ったのは入学式が初めての筈なんですけどね」
だが、あの光景を見ていると懐かしいと思っている自分がいる。もしかしたら、あの子と会った事があるのだろうか
だとしたら、自分の部屋にいた更識楯無が持っていたリング。あれももしかしたら、自分が渡したのかも知れない
だとすると、謎が1つ
思い出せないということは、恐らく自分がまだ幼い頃、生きているのが辛くて無意識のうちに封印していた頃
何故その頃の自分がリングを持っていたのか。自分がリング、マーレリングと出会ったのはそんなに昔ではない
つまり、織斑秋良は幼い頃から属性は分からないが、リングを持っていた事になる
そんなことを考えていると、こちらに向けてカシャッという音と共に強いフラッシュによって、視界が一瞬、真っ白に染まる。視界が戻った秋良が音と光の方を向くと、カメラのレンズ越しにこちらをじっと見ている生徒が1人
制服のリボンを見る限り、どうやら上級生のようだ
「はいは~い、新聞部で~す。私は新聞部副部長の黛薫子。話題の男性操縦者の取材に来ました~。いや~、さっきは良い画が撮れました。物思いに更けるショタっ子、いいですね~」
「・・・・マンd「何を出そうとしてるんだよ!!」」
背が小さい、ショタなどの秋良に対しての禁止ワードを口にしてしまった薫子にマンダを瞬時に出そうとした秋良の手を素早く抑え、羽交い締めにするレン
外野から薄い本が捗るわ、やショタ良弥に俺様系のレン、これでご飯3杯はいけるわ、等の発言が飛び交うが、いい加減にやめてほしいと切に願うレン。外野の声が秋良に耳に入る度に押さえつけている手を押し返しながら匣に近づいていく
このままでは生徒達がマンダの豪勢なご飯と化してしまう。それからお互いの力が交錯し合うこと5分後にセシリアが持ってきたお菓子を食べたことで何とか機嫌が直ったようだ。非常に単純な男である
「じゃあ、先ずは織斑君。クラス代表になった感想をどうぞ」
こんな空気になっても一夏に質問を投げかける薫子、随分と肝っ玉の据わった女性だ
「えっと・・・・皆の期待に応えれるように頑張ります」
「え~、もうちょっと俺に任せろ的なコメントはないの~」
「自分、不器用ですから」
クラスの代表としてインタビューを受けている事に機嫌を良くする一夏。しかし、先程も言ったが、彼に期待している生徒は1組には殆どいない。クラス代表決定戦を観戦していた薫子さえも彼がクラス対抗戦に勝利することは出来ないだろうと思っているし、今回彼女がインタビューしたいのはクラス代表の一夏ではなく、クラス代表決定戦で圧倒的な力を見せた2人の男性操縦者なのだ
しかし、新聞部副部長としてはクラス代表のことも挙げとかないといけないので仕方なくインタビューしている。しかし、一夏はこちらの質問に関係ない話までもベラベラと喋っているので相槌を打つことに疲れを感じている
「織斑一夏さん、そんなに喋ってばかりだとインタビューになってませんよ。相手の質問にちゃんと答えてあげないと」
助け舟を出してくれたのは彼女が最も取材したい男性操縦者である千花良弥こと織斑秋良。最も、彼はお菓子も食べて満足したので早くこのような下らないパーティーを終わらせたいだけなのだが
「あ、織斑君、もういいよ。ありがとうね。これでいい記事が書けそうだよ」
「そ、そうですか?良かったです」
もういいよという時点で一夏に興味がないことを暗に示したのだが、一夏はその後のお礼に喜んでいるようだ。薫子は助け舟を出してもらった秋良にインタビューの対象を変更する
「さて、次は千花良弥君、何か一言お願いします」
「そうですね。企業代表としてIS学園に来ているので企業の名を汚さないように日々精進していきたいと思います」
「俺もそんな感じだな。まぁ、初日からちょっとやらかしちまったが、クラスメイト達とは仲良くやっていきたいと思うんで、気軽に話しかけてもらうと助かるな」
秋良の背後から現れたレンも薫子のインタビューにコメントし、その後専用機持ち達で記念撮影になったのだが、何故かクラス全員の集合写真となってしまった
そして、パーティーもお開きになり、部屋に戻る途中、秋良の背中に視線が突き刺さる
「・・・・レンさん、セシリアさん」
「ああ、そうだな」
「どうやら良弥様にだけ用があるみたいですので、私達はこれで失礼いたしますわ。それでは良弥様お休みなさいませ」
「じゃあな」
「ええ、おやすみなさい」
レンとセシリアと別れ、人気のない場所に歩いていく。視線の主もその後を追ってついていく。そいて、人気のない場所に着くと視線の主の方向を向く
「此処なら誰も来ませんから姿を現しても大丈夫ですよ」
「・・・・流石ですね」
空中をくるくると一回転し秋良の足元にシュタッと器用に着地する。見た目は完全に赤ん坊、だが、今の動き、そして、赤ん坊らしからぬ言葉遣いにこの赤ん坊が普通ではないことが分かる
そして、月明かりに照らされた赤ん坊を見て直に一点に目線が集中する。それは赤ん坊の首元についている赤いおしゃぶり。それは普段教室で見ているリボーンやミルフィオーレファミリーにいる時に何時も見ていたヴェルデと同じ存在、最強の赤ん坊
「—————アルコバレーノ」
「ええ、赤いおしゃぶりのアルコバレーノの風と言います。会いたかったですよ千花良弥
いえ、織斑秋良さん」
その頃、学園の入り口に1人の少女の姿、中国で風と共に飛行機に乗った少女、凰鈴音がいた。既に辺りは暗闇に包まれており、生徒の姿はどこにもいない
鈴音は地図を片手に校門で完全に立ち止まっていた
「ったく!!政府の爺達、もうちょっとちゃんとした地図渡しなさいよね!!一緒に日本に来た赤ん坊もいなくなっちゃったし・・・・お陰でこんな時間になっちゃったわよ」
そんな時、背後からキャリーバッグを転がす音が聞こえてくる。こんな夜にIS学園しかない離島に用がある人間がいるのだろうかと思った鈴音、そして、月明かりがその音の主を淡い光で照らす
黒く長い髪にIS学園の制服を身に着け、指には赤い石のついた指輪、腰にはチェーンに繋がれた匣が3つ、そう、ミルフィオーレファミリー諜報部所属でレンの相棒であるキサラ・B・テンドウの姿があった
「あ、あの」
「あら、何ですか?こんな夜遅くに女性が1人で出歩くのは危険ですよ?」
「いや、それあんたにも言えることだから・・・・・私、凰鈴音っていうの。あなたは?」
「私はキサラ・B・テンドウと申します。凰鈴音といいますと、中国の代表候補生の方でしたか」
「キサラね・・・・・ん?キサラっていうと・・・・・あ、あんた・・・・私より短い期間で代表候補生になったっていうイタリアの代表候補生の!?」
「あらあら、中国の方にも知られているとは思わなかったわ。まあ、同じ代表候補生として仲良くしましょ」
お互いに握手を交わすが、鈴音の視線は彼女の指と腰についている物に集中する。それもそうだろう。これから生徒として学びに来る者が指輪をつけて匣をチェーンに繋げている
とてもではないが学びに来る人間の身に着けるものではない
「ん?ああ、これは気にしないでください。それよりも何かお困りのようでしたが」
「あ!!そうなのよ。この総合受付ってところに行きたいんだけど、どこにあるのか分からないのよ」
「総合受付ですね、私も今から行くところでしたから一緒に行きましょうか」
「ありがとう!!助かったわ!!」
キサラと共に総合受付に向かう。そこには1人の女性が机に座り作業をしているだけで、他の事務員達は時間も時間なので既に自室に帰って各々自由な時間を過ごしているのだろう
「すみません。編入生としてきました。凰鈴音とキサラ・B・テンドウです」
「あ、はい。話は聞いてましたよ。随分と遅かったですね。あ、凰さんはいいんですが、キサラさんなんですが、申し訳ありません。こちらの手違いでお部屋が用意できていなくて・・・・大変申し訳ないんですが、今日は凰さんと一緒の部屋に泊まっていただけますか?明日以降はちゃんとお部屋を用意しておきますので、凰さんのルームメイトの方にも許可はとってありますから」
「まあ、そうですか・・・・じゃあ、仕方ありませんね。まあ凰さんとなら大丈夫でしょう」
「キサラ・・・・あんた」
あってまだ数時間、それどころか数分しか経っていないのに、こんなにも自分のことを信頼してくれているキサラに好感を抱くが、彼女が大丈夫だと言っているのはそういうことではないのだ
「凰さんの体のサイズなら私と一緒に寝てもベッドが狭くなることはありませんからね」
「ぶっ殺す!!」
笑いながら部屋に走っていくキサラとそれを怒りの形相で追いかける鈴音。それを見送った受付の女性はまた賑やかになるなと苦笑いを浮かべながら本日の作業を終了させ、自室に戻っていった
鈴音とキサラの登場で再び賑やかになるIS学園、しかし、その中で1人浮かない顔をしている秋良、レンとセシリア、キサラが聞いてもはぐらかされてしまう
そんな秋良に何かできないかと考えながら歩いているレンは何となく格納庫に入っていく。そこには姉に認めてもらおうと1人で必死にISを組み上げている少女がいた
そんな彼女の姿にレンに目には嘗ての秋良の姿が重なった
レンは暗闇を歩き続ける彼女の光となれるのか、そして、秋良の悩みとは
次回Obiettivo 10お楽しみに
「あなたには分からないわ!!」
「お前を見てるとな、昔のあいつを思い出しちまうんだよ」