彼は暗殺者と呼ぶには余りにも派手過ぎ、暗殺者以外と呼ぶには余りにも暗殺者過ぎる、そんな曖昧な存在であった。
更に言ってしまえば、彼は並行世界でも未来の英霊でもなく、異世界の英霊というまさしくイレギュラーであった。
しかし、本人はその事に気付いていない。
否、難しい事を考えるのは学者の仕事と思っており、彼はあくまで戦う者であると考えているのだ。
そして、黄金に溢れ、王の気品を持つ人類最古の英霊に出会う。
◇
「貴様、サーヴァントだな?」
第4次聖杯戦争において、穢れた聖杯により受肉したアーチャーことギルガメッシュは街中で突然叫ぶ。
周りにいる人々は驚き、何事かと野次馬精神全開に集まっていく。
「そうか違うかで問われればそうであるとしか言いようがないな。
というより、お前は誰だ」
最もな質問である。
アサシンとして呼ばれた彼にはギルガメッシュが第4次聖杯戦争で受肉したアーチャーなどとは思いもよらない。
そもそも、思い付く方がどうかしている。
「雑種如きが
ギルガメッシュの背後が波打つ。
徐々に見えてくる宝具の数々を見て、
魔術であれば叩き落とすだけであるが、あれが本物の宝具である場合には全力で"破壊"しなければならないからだ。
「街中を悠々と歩いてるだけでサーヴァント認定してくる認定厨もとい不審者を探るなって言う方が無理な話だとは思わないか?
てか、まだあの魔王の方が話が分かったぞ」
「
暗殺者の格好は、異世界では普通とされてきた服装であるが、この世界の歴史に照らし合わせるなら中世時代のような服装であった。
不審者はどちらかは火を見るよりも明らかであった。
というか、現在進行系で写メを撮られてSNSに投稿されている。
恐らく明日にはまとめサイトで「リアル勇者出たwww」とでも言われるのだろう。
だが、明日にまとめられる事は違うだろう。
街中で剣を抜く異常者が2人も現れたとでも記事にされるだろう。
「恥ずかしいじゃねぇか!やめろ!俺を見るな!おのれ名も知らぬ金髪め、お前絶対潰す」
「ほう、
そして、ギルガメッシュは宝具を飛ばしていく。
後ろにいる一般市民なんて関係ないとでも言うかのように。
「おい」
暗殺者は全ての放射された宝具を叩き落とす。
先ほどまでのおちゃらけた雰囲気は消え去り、怒りに溢れている事が分かった。
彼は暗殺者であるが、異世界で全ての人間を助けるために魔王を抹殺したのだ。
そんな彼が、一般市民を狙われて怒らない筈がなかった。
「てめぇ、ぶっ殺すぞ」
殺気を尖らせ、闘気を揺らす。
その動きは、研ぎ澄まされた武術家の、
しかし、次の瞬間には撒き散らしていた殺気や闘気は消え去る。
「明鏡止水、怒り狂いそうな時ほど心を鎮めて相手を見据える。
東西南北、怒りに身を任せて戦いに挑み、身を滅ぼさなかった者はいなかった」
「ほう、ただの吠える雑種かと思っていたが、なかなか骨のある男ではないか」
感情に身を任せて戦う事は必ずしも悪い事ではない。
その感情を基に動けば、少なくとも自身の感情は満たされる事があるからだ。
しかし、それは長生きする筈がないのだ。
アキレウスというギリシアを代表する二大英雄がいるが、彼は華々しく舞い、華々しく散っていった。
暗殺者にはその生き方はできない。
自身には魔王という未だ嘗て勝てた者も、国もいない強大な敵を倒さねばならなかったからだ。
感情に身を任せ、魔王に敗れれば意味がないのだ。
あの邪神ですら感情を抑えて状況を見据える事は可能なのだ。
最も、彼はそれができたとしても自身の武術的欲求からそんな事をやりはしない、楽しい感情に身を任せ、死合いを楽しむのだ。
閑話休題。
「場所を変えるぞ」
「
「別に俺は虫ケラでいいがな、多くの人や魔族といった多数の命を刈り取ってきたからな。
だが、一般市民には手を出させない。
英雄の戦いの裏に、罪もなき人々の苦しみがあっちゃダメなんだよ!!」
彼は真っ当な英雄なのだ。
イレギュラーな召喚によって呼ばれたが、その英雄としての生き方は真っ当なものであり、英霊そのものなのだ。
瞬間、ギルガメッシュは吹き飛ばされる。
暗殺者によって殴り飛ばされたのだ。
「おのれ雑種が!」
「だから市民を巻き込むなっつてんだよ!」
黄金の目を持ち、黒き魔力を纏いながら暗殺者は己の鍛え上げてきた技術をもって英雄王へと挑戦する。
その構図は、幸か否か、魔王と勇者の戦いを再現しているかのようであった。
ランサーは死ぬ。慈悲はない(挨拶)
どうも、あきちゃまです。
終わると言ったな?あれは嘘だ。
ですが、これ以上続けるとやはり私が過労死してしまうので続きません(絶望)
またどこかでお会いしましょう。