俺はつい先日まで普通の高校3年生だった。
部活は弓道部に所属していたが引退した後はのんびりと、ぐだぐだ生活し、無駄に時間を浪費していた。
Fateという作品の存在は知っていたが、ガチでのめり込んではいない、知っている程度だ。アニメは見るのだが、シリアス系なイメージがあり、手をつけてはいなかった。
しかし今となっては見ていればよかったと思う。
そちらの世界に触れることになるとは思わなかったし、思ったとしてもそれは妄想で終わるのが普通で、実際こうなってみると、それこそ、夢なのではないかと思いたくなるが、夢ではない。
実際槍に串刺しにされ、痛みを味わい、2発の銃弾により死を迎えた。
知らない世界での生活というのは心配が多いわけで、誰かに頼りたくなる。
それで最初に頼ったのが、俺の隣を歩いている黒い服に赤いマントの女、織田信長ことノッブだ。
知識があれば、あのような愚かなことはしなかっただろう。
せめて信長っぽい顔だったりしていてくれれば、敬意を払っただろう。
そもそもこの顔をみて織田信長だと気づくのは無理な話だ。
俺たちの目的は俺たちのパラレルワールド的な世界を救うことであり、俺たちの世界とは関係無い。が。そちらの世界が崩壊するとパラレルワールドのバランスが崩れるとかなんとかロマンが言っていたので、全てを理解したわけでは無いが、やらなければならないのはわかったから協力したわけだ。こちらの世界の人間はほとんどが死んでしまったらしい。そのため別の世界軸に救援を頼んだそうだ。
それにしても。ノッブマジつぇえ。
「屍を晒せ」
バキン!
ドン!
スドッ!
ノッブは自らの周りに火縄銃と呼ばれる銃を展開しそこから自動で銃弾が敵を撃ち抜く。
ノッブは先ほどから俺との会話を楽しんだり、一人で何かを考えたり、自由奔放な子だ。
火縄銃が3つノッブの周りに浮いてる。そしてノッブの手にはドーナツ。
先ほどから地形となっているドーナツなどを採取?し食べながら敵を粉砕している。
一撃放たれた銃は地に落ちる。そして新たな銃が出現する。
火縄銃の装填には時間がかかるのは知っているがこんな無駄遣いしてもいいものかと思いながら後ろを振り返ると、歩いて来た道に火縄銃が道標のように落ちている。
「なあ、カナエ。つまらん。サーヴァントはおらぬのか?」
「はい?サーヴァントって?仲間じゃ無いのか?」
「お主。ほんとに何も知らんのじゃの。聖杯戦争ってものではサーヴァントは敵同士じゃ。全てのサーヴァントが味方と思うのは危険じゃぞ。」
「そうなのか...。全て味方かと。ん?なんでノッブはサーヴァントを探してるんだ?」
「撃ち抜くため。つまらん。このような戦は戦ではない。つまらん!」
「お、おう。もし、サーヴァントに攻撃されるようなことがあれば。な!その時は頼む。だが!こちらから攻めるのは頼むからやめてくれ」
「はいはい。まったく。つまらぬ男よ。」
ガギャァ
骸骨が槍を構え突進してくる
「五月蝿いぞ。屍が」
ドン!
一撃でその骸骨は地に落ちる。
今日俺はサーヴァントの強さを実感した。
これほどまでに差があるのか。
「のお。カナエ。あれなんじゃ?」
「え?」
ノッブは立ち止まり前を指差した。
そこには氷の世界が広がっていた。
「嘘だろ。お菓子の家から氷山て...。バグってる。」
「妾は行かぬ。寒そうじゃ。絶対に行かぬ」
「あぁ。俺も賛成だ。逆方向に行こう。流石にお菓子の町から出たら氷山は笑えない。それに俺も寒いの無理」
火があっても氷山のような世界では寒さに負けそうだ。
それにわざわざ寒いどころに出向く必要はない。
「 のぉ。カナエ、あれは何じゃ?」
次から次へと、今度は何だよ
俺はそう思いながらノッブの指差す方向を見た。
ガチャガチャ。
「な」
言葉が出なかった。
あれはヤバい。
普通に関わったらダメなパターン。
俺たちから少し離れたお菓子の家の前に黒いオーラを放つ騎士がいた。
黒い鎧に身を包み、顔は黒いヘルムか何かで覆い隠されており、白い髪が生えた馬?のような生物に騎乗し、その手には釘バットのような赤い棘が刺さった、槍?を持っている。
骸骨とかの仲間?
いや。何にしてもヤバい。
「お、おい。ノッブ。わかってるよな。あれは無理だぞ。いくらノッブでも」
「あぁ。妾も負け戦はしない主義じゃ。それに今の所、やつを倒す必要もないしの。必要なのであれば妾も覚悟せねばならぬが、おい。カナエ走るぞ。」
「了解。」
俺とノッブはその場を離れるため仕方なく氷山へ入った。
「なあ。カナエ。少し待て。」
「なんだ?」
「腹がたつ。」
「うん?」
「妾達を氷山へ行かせるという罰を与えたやつに最後に仕返しをしたいと思わないか?」
「え?」
まぁ。氷山行きはある意味罰になるのかな...。
「令呪あるじゃろ?それで妾の能力値を最大にあげてくれぬか?」
令呪ーこの世界に来た時に俺の手に刻まれた、紋章のようなもの。
確か、令呪は3角あり、1日に1角回復するらしい。
そして使い道としては、契約するサーヴァントの傷や体力を全て回復する。能力値を最大にする。これが1角。
3角全て使って死んだ仲間をすべて体力、能力値を最大にして蘇生させることができるらしい。
とても便利な刻印だ。ちなみに原理とかは知らない。
「そうだな。ノッブが何をしようとしてるかなんとなくわかるが、今回は許す!」
「令呪よ。織田信長の能力値を上げよ」
カナエがそう叫ぶと、カナエの右手にある令呪が1角消えた。
そして
「おぉおお!これか!これか!この力か!」
ノッブの体からは溢れるほどのオーラを放っている。
「お、おい。ノッブ。大丈夫だよな?速攻でカウンター仕掛けられるとかいう展開はやめてくれよ?」
「任せておけ!妾の最大火力じゃ!期待せよ」
「お、おう。じゃ、じゃあ、任せたぞ!あの馬乗り騎馬兵をぶっ飛ばせ!ノッブ」
「かしこまりだ、主よ」
【 三千世界に屍を晒すがよい。天魔降臨。これが魔王の三段撃ちじゃああああああ!】
「ふぇ?」
想定外というか普通にさっきみたいに銃撃するのかと思っていた。
俺の隣の空間は火縄銃で制圧されていた。
ノッブを中心に三千丁の火縄銃が出現し全ての照準が馬に乗った騎士に向けられ、銃撃が開始された。
それは地獄という表現が正しいのかはわからないが。
騎士からしたら不意打ちでの銃撃の雨。
カナエは耳を押さえながら、どうなるかを見ているた。そして頭を手で覆いながら地に伏した。
耳を押さえている理由は銃撃の発砲がうるさすぎて耐えられなかった。
頭を手で覆いながら地に伏す理由は単純に俺の周りは空から火縄銃の雨が降っているためだ。
「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!よいぞ!よいぞ!散れ散れ!」
ノッブさんのテンションがマックスです。
それに痛い。めっちゃ降ってくる。
ズドン
バン
ガギャァン
轟音が鳴り響く中、ノッブの周りの銃が消えた。
「弾切れじゃの。」
「やったのか?」
「おい。お主。阿呆か。」
「へ?」
ノッブがものすごく冷たい目で俺を見ている。
「はぁああ。仕方ないの。撤退じゃ」
ノッブは地面に膝をついていた、カナエを脇に挟む形で持ちあげ、走った。
「え!?ちょっ!?信長さん?」
「やつはサーヴァント。それもかなりの上位のものだ。あれで倒しきれないということはランサークラスじゃの。相性のようなものがあるのじゃよ。」
「ランサーって槍使いか。でもあいつ馬に乗ってたからライダーなんじゃ?」
「戯け!妾の宝具ぶっ放してただのライダーへの不意打ちを失敗するわけなかろう!」
「そ、そうなんすか。で、なんで俺は運ばれてるんですか?」
「追われる可能性がある。さっさとあの場所から離れるためじゃ」
「なるほど。」
「ノッブ。寒い。」
「寒いの。」
カナエとノッブは近くにあった、氷の集落のような場所まで走りそこで、身を置くことにした。
確認したところ生物は存在しないが綺麗に作られた氷のアート。集落というよりは、氷のケーキかな?先ほどケーキの世界にいたためか、なんとなくケーキに見えてしまう。
「ノッブーここから出たいんだけどさ、お菓子の町と、氷の世界以外に何かあると思う?」
「あると言えばある。先ほど走っているときに緑の草原が見えた。まあ、敵がおるのは確定じゃろうな」
お菓子の町に氷山に草原。なんでもありかよ!
「そうかー。少し休んだらそっちに行かない?」
普通に寒さに耐えられない。
ノッブから火をもらい少しは温かいがほんとに寒さ9割に対しての暖かさ1割のようなもの。早く出たい。
「是非もないね。寒いのはうんざりじゃ」
ノッブの火縄銃は使い終わったら消えるのかな?
とりあえず全て放置される設定にしました。許してください
槍のサーヴァントさんはゲームでは顔見えてましたが、今回は隠させていただきました
実際あの氷の世界はとても寒そうですよね