FGOー初心者物語ー プリズマ☆コーズ   作:詩七喜

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前回の話の続きです
タイトルは違いますが後編です
嫁王欲しい。


8話 殿と家臣と翁と女の子です 後

「おい、お主。そろそろ名乗らぬか。」

 

...

 

 

「妾を無視するとは。解せぬやつよの」

 

...

 

「もうよい!」

 

そう言うと織田信長はその部屋にあるソファに腰を下ろした。

 

織田信長の目の前の椅子に座る女。

 

先ほどから声をかけてはいるが、無視を決め込み、相手にされていない。

 

織田信長はイライラが隠しきれず、発砲しそうになるが、どこかのサーヴァントのマスターということもあり、殺さずの誓いをカナエと結んでいた。

 

「おや...すみ」

 

「おやすみ!」

 

織田信長はそう言うとソファの中に意識を落とす。敵意を残しながら。

 

「まったく。おやすみ以外言えんのか。」

 

ーーーー

 

 

「お前誰だ?」

 

図書館へ戻ると、俺が交代の度に座っていた、椅子の上に何かいた。

 

紫色の髪の女の子。顔は髑髏?の仮面のようなものをはめていてよくわからない。服装はセクシーな衣装で露出度がとても高く、少し動くと胸がはみ出るのでは?と思わせる。

そして、その子の仮面にはヒビが入っており、身体には切り傷がいくつもあった。

見るからに何かに襲撃された後だった。

 

その女の子はカナエの姿を確認すると、カナエの方へフラフラと歩いてきて倒れかかってきた。

 

「たす...け..て。マス...タ。」

 

そしてカナエの手がとどく距離まで身を詰めると、助けを請い、カナエの方へと倒れかかった。

 

「え?」

 

カナエは自然な動きで、その女の子を抱きかかえようと手を差し出した。

 

人であれば必ずそうするであろう行為であろう。傷だらけの人が助けを請い、身を預けてきたのだ。無視して倒すなんてできるわけがない。

 

カナエは手を差し出し、その女の子を受け止めようとした。

 

「な!?」

 

「ごめんなさい。死んでください」

 

それは同じタイミングで起こった。

 

カナエの身体が一瞬にして、その女の子を受け止めることを辞めた。それと同じくして、女の子はカナエの死を宣告した。

 

しかし、カナエは死ぬことはなかった。

 

「え?」

 

カナエは手を引き何かを避けたのだ。

 

カナエが突然避けたため、女の子はそのまま床に倒れた。

 

え?なんだ。この子?敵意を持って攻撃された? いつ?今の一瞬で?やばい。

 

カナエの来ている服、礼装には自動回避(1回)がついている、先の交代の時に不意打ちの本からの攻撃を、たまたま避けることができたのもこの礼装のおかげである。

 

入れ替わりの度に一度だけ使える礼装の能力。己の意識を無視して敵からの攻撃を確実に回避する。時間が経たないと使えないらしく一度発動させると約1時間は使用することができない。

 

入れ替わりの時には使っておけとノッブから言われていたし、否定する必要もないため毎回やっていたのだ。

 

これが発動されたということは、この子今、俺を攻撃しようとした?

 

カナエすぐにその場を離れ図書館の端まで走って女の子の様子を伺うことにした。

 

え?

 

すでに、その場所には女の子の姿はなかった。

 

 

ーーー

 

 

「なんじゃと!女に触れようとしたら、服の加護が発動したじゃと!」

 

俺は次の交代のタイミングで先ほど起きた出来事をノッブに話した。

 

「いや、この服の誤作動かもしれないけど」

 

「それは十中八九狙われたで間違いなかろう。敵意に反応するその服が助けを乞うものを拒んだりはせぬ」

 

「だよな。それに消えたのはやましいことがあるからだろうし...」

 

「それで、どのようなやつじゃった?」

 

「ああ。なんか細身で紫っぽい髪の毛、それで後は骸骨?みたいなお面を顔につけていたよ」

 

「山の翁の一族か、なら確定じゃな、やつは敵。それも暗殺者じゃ。消えた理由は、予想じゃが、戦闘が得意でないか、何か他の理由からか。」

 

「前者はないだろ。戦闘タイプでないとしても流石に俺に負けることはないだろ。」

 

「念には念をじゃ。覚えておくと良い」

ノッブの目が急に真剣になった。

 

織田信長という人間がどれだけの作戦を考え、考え抜き、天下を目指したか。その原点のようなものが、念には念を。という考え方なのだろうか。

 

「わかった。覚えておくよ。」

 

「妾も念には念をの気持ちで最後の交代頑張ってくるとするかの!ゆっくり休んでおくと良い」

 

「頑張れよ」

 

そういうとノッブは部屋を後にした。

 

相変わらず何も話さない、オレンジ髪の女の子。

 

「結局最後の交代まで何も話すことはなかったか。」

 

独り言であり、何かその子からの反応を待つ一言。

 

...

 

「はぁ。まったく」

 

なんなんだろう。一度も動くことなく、椅子に座り続けているけれど、ほんとに生きているのか、気になる。まあ、生きているんだけれど。

 

おやすみだけは言ってくれるんだよな。

 

俺は最後の休憩を交代だったが寝ることはしなかった。

 

先ほどの山の翁?とかいうのが気になるし、寝てるところを襲われても嫌だし、ノッブがやばくなった時に、令呪を使ってでも助けたい。そのため最後は起きていることにした。

 

令呪は1角から2角へと戻っていた。

 

ーー

 

何もすることのないまま30分が経った。

 

部屋の外からは発砲音が度々聞こえていたが、それも少なくなっていた。

 

まあ、俺たちがあれだけ、攻撃し続けたから、仕方ない。

 

「え?」

 

ただ、それが目に入っただけだった。

 

今まで何もすることのなかった、女の子の令呪が赤く光っていた。

 

 

 

何かがいる。

 

 

 

とっさにそう感じ、カナエはソファから立ち上がり、部屋を見渡した。

 

 

「あれ?寝てないの、よろしくね」

 

黒い布をかぶっていて顔がわからない。

背丈はとても小さく、声からは幼さが感じられる女の子の声。

 

先ほど山の翁と言っていた子とは違うことがわかる。あの子の声はとても静かだった。

 

「ますたぁ。お仕事の時間だよ!」

 

そういうと布をかぶったそれはオレンジ髪の子の髪を持った。

 

「お、おい。な、何、やってんだ!」

声が上ずる。

 

止めなければならない。

 

足が動かない。

 

やばいのはわかっている。早く女の子を助けないと。

 

カナエは必死に動こうとしたが、できなかった。

 

死が急に近く感じた。

 

「大丈夫だよ、何もしないから」

 

そいつはそういうとオレンジ髪をサイドテールのように結んでいた。

 

「起きて!」

 

「ふぅうううう!」

 

今まで動くことのなかった、オレンジ髪の女の子が伸びをした。

 

 

「ジャックちゃん?どうしたの?」

 

「みつけたよ」

 

「ほんと!やりましょうか」

 

「殺戮だよ」

 

え?何これ。どうなっている?

 

先ほどまで死ぬかもと思っていた、俺の中にその感覚はすでに消えていた。

 

「あ、あの?」

 

「あれ?貴方、今回は起きてるのね、おはよう」

 

布をかぶった子も今回はと言っていたしなんなんだろう。

 

「えと、おはよう」

 

「自己紹介するわね、私は下照 美並 よろしくね。美並でいいわ、下照っていうのはなんだか恐れ多いのよ」

 

「わ、わかった。俺はカナエで、えっと君は何?」

 

戸惑いすぎて何を言っているか破茶滅茶な質問になってしまった。

 

「随分失礼な聞き方ね。私は人間よ、それでマスターかな。この子が私のサーヴァント」

 

そういうと美並は隣にいる布の子の頭を撫でた。

 

「よろしくねー」

 

顔が見えない。見せろとは言えないし

 

「よ、よろしく」

 

というしかない。

 

「そろそろ貴方のサーヴァントも戻ってくる頃ね。」

 

「え?なんで知ってるんだ?」

 

「だって貴方たち時間単位で入れ替わってたでしょ。わかりやすいわ、それに私のいる部屋で普通に話されたらね、盗み聞きとかしなくても耳に入ってくるわ。」

 

「そ、そうか。」

 

「あと貴方。一つだけ言っておくわ。何普通に私がいるところで寝てるの?殺される可能性もあるのよ」

 

「え、いや。美並が動くとは考えてなかったといいますか。はい。すみません」

 

「わかればいいのよ。まったく。マスターなんだからしっかりしなさいよね!」

 

なんだこれは!

 

動くことすらなかった女の子がこうもハキハキと動き出している。

 

まさか...

 

「な、なぁ。美並、そのサイドテールって」

 

「ああ。これね、これは気合の塊のようなものよ、これがあれば私は強くなれるの」

 

「へぇ。そんなのもあるのか。」

 

いろいろあるものだなぁ。

 

ガチャ

 

部屋の扉が開く音がした。

 

「おい、カナエ!起きよ!」

 

勢いよく扉を開けノッブが部屋に入ってきた。

 

「な!起きておるではないか!」

 

「あ、ああ。起きてるよ、まあ。他のも起きたんだけど...」

 

「あぁ。こやつらか。知っておったぞ」

 

「へ?なんでノッブ知ってんだよ」

 

「そやつと話した。共に行動することにしたのじゃ」

 

「えっと、、ついていけてないのですが。」

 

「簡単に説明するとじゃ、そやつらと妾たちは仲間ということじゃ」

 

「ノッブちゃんはずっと敵意をこちらに向けてたの、先に敵ではないことを話したのよ」

 

「お主。寝ておったのか。呆れるわ」

 

「カナエ、油断大敵って言葉知ってる?」

 

「暗殺できたよ!」

 

「お前ら!常識が違いすぎるんだよ!」

 

まったく!

まあ。次からは気をつけよう。

 

「みんな揃ったことだし、ラスボス戦の観戦でも行きましょうか」

 

「え?ラスボス!?てか観戦?」

 

「そう、ラスボスよ。私たちはあくまで、観戦と妨害にくる敵のサーヴァントたちを倒す役目よ。ファーストレディってのが今回のラスボスらしいわ」

 

「まあ、ラスボス戦に役に立つかわからないしな。仕方ない雑魚狩りでもやりますか」

 

「敵のサーヴァントだよ?雑魚のわけないじゃない。ファーストレディの助太刀をされたらやっかいなのが大半よ。気を引き締めて」

 

なんか俺の立場めっちゃ無くなってる。

 

「わかった」

 

「じゃあ氷のところにいくわよ、あそこが最後よ」

 

「寒いの嫌いじゃ」

 

「俺も」

 

「私も。」

 

「氷綺麗!好きだよ!」

 

「ジャックちゃん、雪好きだもんねー」

ジャックちゃん?この布の子の名前?

ジャックって...王子のことか?

 

それにしてもなんだろう。姉と妹みたいだ...いや母と子に近いのか?

 

「行くぞ!」

 

「了解!」

 

ノッブは呆れたようにそれを見たあと部屋を出た。

 

カナエはそのノッブについていった。

 

二人は部屋を出るとそのまま図書館を出るため出口へ向かった。

 

「おい。カナエ。回避の加護は発動させておくことじゃ」

 

「え?」

 

「あくまでもしもの場合じゃ。人を信じすぎるのは愚策といえような」

 

「わかった。」

 

カナエは自らの服に触れ、加護を一つ発動させた。

 

そして、図書館を出ると

 

「霧?暗いなぁ。前が見えづらい」

 

「暗殺者のための空間じゃな。気をつけるのじゃぞ」

 

「山の翁...ああ。わかった。」

 

「待ちなさいよ!」

 

図書館の扉を勢いよく開き中から美並がでてきた。

 

「おいてくんじゃないわよ」

 

「お取込み中みたいだったからな、すまん」

 

あれ?

 

「おい、美並、お前のサーヴッ!」ントはどこへ行ったんだ?と言おうとした

 

美並に全力で口をたたかれた。

 

「イテッ!!!」

 

回避が発動しない?敵意がない?

 

「ごめーん!蚊がついてたから!あははは」

 

「そうかの!それは助かったなー!カナエよ」

 

「痛いわ!」

 

なんだかよくわからないが聞かないほうがいいみたいだ。

それに回避が発動しないということは、ほんとに蚊の可能性も...ないか。

 

「それじゃ行きましょうか」

 

「ああ」

 

 

ーーー

 

 

「それにしても、よく方向がわかるな」

 

「お主も一度来たのじゃ、覚えておくのじゃ」

 

「そこはまあ、仕方ないよ、この霧と闇の中を歩けるだけノッブちゃんがすごいんだよ」

 

「言い訳に過ぎぬ」

 

「それにしてもノッブは見えるのか?」

 

「ほぼ見えぬ、じゃが感覚というのは研ぎ澄まされておるし、慣れておるというのもある」

 

「すごいな」

 

「当然じゃ!妾を誰と思っておる!」

 

「そういや、お前、あの織田信長だったな」

 

「そうじゃ!妾が織田信長じゃ!」

 

「仲良いのね」

美並の一言にノッブは当然というように

 

「仲良しではない」

 

と切り捨てた。

 

それは心にくるよ。

 

「妾とカナエは戦友じゃ」

 

「ノッブ...お前。」

 

落としてあげるとはこやつできる。

なんてカナエは思いながら

 

ノッブをかっこいいと思ってしまった。

 

「嬉しよ、ありがとう」

と言おうとしたんだ。

 

しかしそれはかき消された。

 

ある一言によって

 

「カナエッ!死ネェエイ!」

 

ノッブは突然、銃を出現させ、カナエに向け引き金をなんの躊躇なく引いた。その目には冗談などなく、ただ殺意のみで引き金を引いていた。

 

「なっ!?」

美並の顔には驚愕が生まれていた。

 

俺はただ、何が起きたのかわからなかった。

 

そして、理解し、ただ、ノッブに身体が左へ倒れていく中

 

 

「助かった」

 

 

と伝えた。

 

 

 

 

ガハッ!

 

 

身体を撃ち抜かれて、その場に倒れこんだ。

 

 

しかしそれはカナエではなかった。

 

「助かったよ、ノッブ」

 

「全く。ここまで接近されるまで気づかぬとは、話に没頭しすぎておった。」

 

「え?なに??」

 

あの、冷静そうだった、美並が話についてこれていない。

 

「俺のこの服には回避の加護がついてるんだ。」

 

「それがなに!」

それはそうだろうな。別れという方が無理か。

 

「それを利用して俺に弾を撃つと加護が発動され、俺は避けられる、そして、俺の後ろにいる敵に弾が当たるってわけだ。」

 

「そして、こやつが、今回の暗殺者...なに?」

 

「ノッブ?どうした」

 

「おらぬ。やつは完全に撃ち抜いた。動けるはずがないはずじゃ」

 

「また襲撃してくる可能性は?」

 

「いや、わからぬ。今回のは戦闘からの切り替えが早い。撤退している可能性の方が高いやもしれぬが...油断はできぬ」

 

「はぁ。なるほどね。大体理解したわ。それにしても貴方たち相当な信頼関係ね」

 

「じゃあ、私たちの力も見せないとね」

 

「え?」

カナエはなにを言っているか理解できず。

 

「あとは任せたぞ」

ノッブは託した。

 

「ええ!私達に任せなさい!」

 

「ジャックお願い」

美並の令呪が一角消えた。

 

 

【 此よりは地獄。わたしたちは炎、雨、力。殺戮をここに】

 

解体聖母 (ジャック・ザ・リッパー)

 

 

何かが散った。

 

 

それだけがわかった。

 

 

「ますたぁ。つかれた」

その後俺たちの前に白い髪の小さな女の子が現れた。

その子は美並の下まで歩いて行くと美並の背中に倒れこんだ。

 

「ありがとね」

美並は礼をいい、その子は背負った。

 

あの子。布をさっきまでかぶっていた子か。

声聞くまでわからなかった。

 

それにしても...俺は先ほど何かが散った場所が気になってそちらを見ていた。

 

「見なくて良いものもあるのじゃよ」

カナエにノッブがそう一言声をかけた。

 

「なんとなくだがわかる。俺、あの子嫌いになれなかったし」

 

「それが暗殺者のやり方。敵の懐に入り込む」

 

「自らの傷を作り、弱っているように見せるなどして、敵を謀る」

 

「気をつけるのじゃぞ。」

 

 

「それと、死ねと言ったのは嘘じゃ。すまぬ」

ノッブは気を落としているように思えた。

 

「助けてくれるためだろ、いいよ、ありがとう」

カナエはただそう答えた。

それは理解できていたからこそわかったこと。

 

当初ならわからなかったであろう。

 

だが今ならわかる。ノッブは全力で俺を守るために戦っている。

 

迷惑をかけているのはわかるほどに、ノッブは俺を生かそうとしてくれている。

 

ただそれに

 

「感謝してもしきれないな」

 

「分かっておったのか!お主は徐々にじゃが成長しておるな!」

ノッブは笑顔でそういうと歩き出した。

 

ノッブは家臣を無下にはしない。

ノッブは雰囲気が悪くなると盛り上げようとする。

ノッブはいつでも一番良い選択を選ぶ。

 

それを理解できぬものがノッブをうつけと呼んだのだろうか。

 

「成長するさ、しないとお前の隣は歩けない」

 

足を引っ張るのは嫌だ。

だから俺は成長する

 

「ほんとにすごい信頼関係ね、羨ましい」

 

「そっちこそ、すごく頼られてるじゃないか」

カナエは背中で寝ているジャックをみながらそう言った。

 

「この子は特別よ」

そう微笑み

 

「他の子は私のことをマスターと思ってくれない。」

 

と呟いた。




女の子が動き出した回です笑

次回はファーストレディの元へ向かいます
きっと何かしら役に立つはずです

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました
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