「戦車が街中で戦ってる!!」
出動する警察。大洗署の老刑事は憂う。
「なんてこった」
官邸に入る一報。
「所属不明の戦車隊が国内各地に出現!! 大洗で大規模な戦闘を行っています!」
自衛隊は戦争を覚悟する。
「先ほど防衛大臣より、治安出動待機命令が下令された」
揺れる政府。
「本事態は、・・・・・・武力攻撃事態法に定められた着上陸攻撃であると判断すべきです」
総理の決断
「……自衛隊を出しましょう」
ニッポン対戦車道……。
注・画面は制作中のものであり、実際とは異なります。
続きません……。
茨城県大洗町。
海水浴場があり、関東でも有名な観光地の一つだったこの町。しかし先の大震災の影響で、以前の活気はすっかり鳴りを潜めてしまった。
それは、震災から数年がたった今も変わらない。多くの土産屋やホテルが廃業に追い込まれた。
「寂しいもんだねぇ」
大洗署刑事課の老刑事、冷泉久光は煙草の煙を吐く。署の屋上に設置された喫煙スペースは、彼の数少ない憩いの場だった。ここから見る街の景色は冷泉のお気に入りだったのだが、こうなると悲しさが押し寄せてくる。
子を授かる前に妻を亡くしたため、今は一人暮らしだ。その家も、農家をやっていた両親から相続したもので、1人ではもてあますほどの広さがある。それも彼の寂寥感のもとだった。
冷泉は短くなったたばこを灰皿に置押し付けた。
きっと今日も何ごともなく一日を終えるのだろう。刑事生活もあと一年で終わりだ。そうしたら、自分はどうなるのだろうか、そんな思いが胸に広がった時。
ドガァァァンっ!!
爆発音が響いた。
刑事としての習性だろうか。冷泉は、年齢を感じさせない素早さで下へ降りる。刑事課では、署員たちが何事かと窓の外を覗いていた。
「おい、行くぞ。車回せ」
冷泉はその中の一人、武部を捕まえた。
「行くってどこに? 冷泉さん」
「現場に決まってるだろう。もっと頭を働かせな」
「でも通報は……」
「事件が起きてることぐらいわかってるだろう!! 急げっ」
冷泉は武部の尻をひっぱたいた。
武部聡志、21歳。高校卒業と同時に警察官になり、大洗署に配属されてから冷泉が教育係として受け持ってきた。
やれ女性にモテたいと常日頃雑誌を読んでは実践しているが、冷泉が見た限り、成功したことはない。
二人はパトカーに乗り込むと、サイレンを鳴らし走り出した。
「場所は、どこでしょう」
「……ありゃゴルフ場の方面だな」
冷泉はそういってハンドルを切った。
「じゃ、そっちの方向に行くってことで」
助手席の武部が無線を使い署に連絡する。しかしすぐに、武部は顔をしかめた。
「今、通報が来たみたいですですけど……」
「なんだって?」
「いや、それが戦車が出たとか、それが戦ってるとか、そんな内容らしくて」
「戦車? あの、キャタピラで走るあれか?」
「ええ、それです。それが何台も現れたと。場所は、冷泉さんの言ったとおり、大洗ゴルフクラブなんですけど」
「自衛隊か? 誤射でもやらかしたのか?」
「まさか。そんな情報はありません」
「わけがわからん」
冷泉はぽつりとつぶやきつつも、鮮やかなハンドルさばきで現場を目指す。
現場はすでに野次馬が遠巻きに群れを成していた。爆発音が響くたび、悲鳴が上がる。
「はいはい! 警察です!! 開けて開けて!!」
武部は野次馬をかき分ける。
「おい武部!!」
そんな中、1人武部の名を呼ぶ男が現れた。
「ん? おお、秋山」
武部も顔見知りのようだ。
「誰だ?」
「ああ、高校の同級生ですよ。秋山結城。軍オタって奴で、今は町内で理容院やってるんです」
秋山は武部につかみかかるように詰め寄った。
「武部!! あんなイベントがあるなんてなんで教えてくれなかったんだ!!」
「イベント?」
「戦車同士の模擬戦だよ!! 動いてるⅣ号戦車が日本で見られるなんて!! しかもチャーチル、チハ、KⅤ-1までっ!! 世界中戦車マニアが押し寄せるようなイベントだぞ!! それが撃ち合いしてるんだ!!」
秋山が早口でまくしたてる。
「は、はあ?」
武部は首を傾げた。
「…………」
冷泉は険しい顔で一人ゴルフ場の中へと走っていく。そしてクラブハウスの二階に駆け上がると、そこからゴルフ場を見回した
「……なんてこった」
戦車に疎い冷泉だが、戦闘に使われる正真正銘の戦車だと一目でわかる車両が、火を噴いて戦っていた。
十両以上も。
<次回>
「大洗町全域に避難指示が発令されました」
「五十鈴知事。事態は警察の対処能力を超えています」
「パトカーで突撃するってことですかっ!?」
「市民の安全を守る。それが警察の務めってもんだろう」
「君たちは、何者だ?」
「……大洗女子学園、西住みほです」
――――――続かない。