ぐだ男と野獣のクッキーkiss 作:野鳥先輩
Ⅱの方が辛かった。KBTITだけが癒しだった……
「あーはい大丈夫ですよ。大丈夫」
棒読みでそう語るのは、オレの隣を歩く少女。金のロングヘアの上に黒のとんがり帽子を被り、眼鏡をかけた少女。東方projectのキャラ、霧雨魔理沙を彷彿とさせる外見で召喚に応じた彼女は、
『魔理沙とアリスのクッキーkiss』という東方二次創作動画が淫夢入りを果たしてしまった経緯は少々複雑である。端折って説明するならば、"声優の棒読みっぷりが淫夢二章に似ていた"という点から淫夢厨による同動画への突撃があった。クッキー☆という通称が存在する。その後なんやかんやあって、その動画に参加した声優が晒されたり別の人が続編を作ったりと、中々に闇の深いジャンルである。ついでにカルデアで暇をしていたシェイクスピア(淫夢)にクッキー☆を半ば無理矢理見せた所、紅魔館の場面までに舟を漕いでいた。
彼女、UDK姉貴は霧雨魔理沙役でその動画に参加していた。眼鏡は恐らく声優の特徴が入った結果であろう。
「あの。先輩、UDKさん」
「ん?」
「あれ、どうするんですか?」
マシュが諦め半分に、道の先を指さす。
「アハハハハ……」
東方projectのアリスを彷彿とさせる(といっても、原作と違いストレートヘアだが)姿の少女は微笑みを湛えながら、ファンシーでメルヘンなお菓子の国を嬉々として蹂躙していた。鬼神の如き活躍を見せる彼女はALC。HNSとも。バーサーカーというクラスを聞けばあの暴れっぷりも納得出来るものである。
「え、えー……」
同行しているイリヤには、少し刺激が強かったようだが。
「魔理沙、魔理沙……うふふ」
煌々と目を輝かせ、何の変哲もない石を振りかぶる。笑顔の書かれたビスケットゴーレムの顔面が無残にも四散し、その余力のみで一気に胴体部まで貫通。ビスケットゴーレムはその活動を停止した。
バーサーカーはアーチャーの事を、原典にある通り魔理沙と呼び執着する。その辺りは声優の性質ではなく、原典たる動画の要素が強く反映されているのだろう。意思疎通に問題がないアーチャーはともかく、バーサーカーに関しては墓穴を掘ってしまわぬよう、きちんとデータを取り把握しておく必要がある。
「ところでアーチャーは戦わないの?」
「うぇ? あ、あたしだって戦う事はあるぜ?」
「ふーん」
分かりやすい戦闘拒否だが、特に思う所はなかった。戦闘拒否のサーヴァントに慣れ過ぎたのかもしれない。シェイクスピア、ギルガメッシュ、ひで。そうそうたる面子が今日もカルデアで、PCの前に座りながら引き籠っている。今更一人増えた所で何が変わろうか。精々女性比率が変わるという、統計的な変化に留まる。
「ほら、全然壊れてないよ? 魔理沙の気持ち」
そんな事を言いながらバーサーカーが行っているのは、背を向けている一般お菓子の国民の虐殺だが。家に籠ろうとした住民は、扉ごと石に叩き潰され、背を向けて逃げれば投石によって息の根を止められた。魔法少女
虐殺を行っている彼女の言っている事が支離滅裂だがバーサーカーだから仕方ない。いや、良く分からない魑魅魍魎めいたホモビサーヴァントしか召喚できない欠陥品の召喚システムから出て来た以上、仕方ないのだ。
「……これはお菓子の城まで辿り着くのに時間がかかりそうだな」
どうもバーサーカーは、ここら一体の住居に至るまでを破壊し尽くさないと気が済まないようだ。城の位置までは判明しているが、この速度では――
「あっ、あれ見て!」
イリヤが指さす先。城の上空付近には幾つもの影が飛翔していた。よくよく見てみるとそれはうちの穀潰し筆頭、ひでに実によく似た外見をしていた。ただその肌は紫に変色しており、てっきり青痣の類かと思ったもののそれも違った。背中からは悪魔の羽を生やし、手で顔を押さえつけている。デビルひで、か。BB劇場では常にやられ役であったが……これは、使えるか。
「アーチャー」
「え、なにー?」
「令呪を以て命ずる。先行して偵察を行え」
「え、なにそれは!?」
アーチャーは抵抗するが、その程度の霊格で令呪に逆らおうとする浅はかさは愚かしい。それも違うな、こちらは令呪が切れた後も笑って事が終わるという確証を以て運用している。ホモビサーヴァントの数少ない利点の一つとして、胸を張って言えるのはその常識人っぷりだろう。怒りっぽい、ゲス、池沼、屑など罵倒用の文言を数えればキリがないような彼らの性格だが、それも現代一般人の範疇だ。現代の倫理である程度の意志疎通が可能で、なおかつ事の重大さもキチンと理解してくれている。一部の例外が、ピンキーやALCといったバーサーカー勢であるが、正直、制御は容易い。
「無理があるでしょ!? ちょ、もう訳分かんない! でゅわあああああああ!?」
「すぐにわかるさ」
「せ、先輩。悪人面が出ちゃってますよ……」
箒に跨り敵陣への単独突撃を敢行するアーチャーを尻目に、バーサーカーへと声をかける。バーサーカーは破壊活動を停止した後、訝し気にこちらへと視線を返してきた。
「バーサーカー、魔理沙が捕まった。あの城へと連れていかれた」
敢えて単調な言葉で語り掛ける。
一瞬、バーサーカーの口端が垂れ、眼が大きく見開き赤く染まった瞳孔が揺らめいた。
「
何処からか、少なくとも彼女のものでない声が響く。彼女の腕は青く染まり、そこからは刃が現れる。あの宝具の真名は『罪姫・正義の柱』という、端折って説明するならばギロチンの刃である。が、彼女は絶対にかの武器の真髄に至る事は出来ない。そもそもあの武器は、石と共に世界に刻まれてはいるものの、後天的に付与された、姿形のみを真似た紛い物である。
俺達が把握しておけばいいのは、あれは『
バーサーカーは凄まじい速度で石畳を駆け抜けていく。遥か彼方まで去った所で、アーチャーが戻って来た。
「大丈夫かアーチャー」
「はーい大丈夫ですよーじゃない!」
とは言うが彼女は特にダメージを負っている様子もなかった。スキル『仕切り直し:B-』を用いてさっさと帰還したのだ、当然だろう。
「イワナ、書かなかったコメント? 仕切り直しは確かに持ってるけど乱用させるなって!」
「令呪まで使ったんだ。ちょっとくらい答えてくれてもいいだろう、追うよ」
「……よっしゃ! やるか!」
切り替えが早いのはアーチャーの良い所だ。
「あの、あれって良いんですか? 味方騙してますよね?」
「……先輩が言うには時には必要な事だそうです。先輩が言うには」
……二人はそのままの心優しい君達のまま在ってほしい。マシュは今後を考慮すると望み薄だが。しっかし一つ目の国からこの有り様では、先が思いやられる。ピンキーの投入も視野に入れて、根気強く進めていくか……
短くてすいませへぇぇ~ん!
この作品書きたい所だけ書く系短編集だから続かないゾ。
次はまた別の話からスタートなんだよなぁ
声優本体とはある程度切り離して世間一般に認知されたキャラクターとしてのUDK、HNSとするゾ
ついでにALCはALC表記でいきます
【真名】UDK
【クラス】アーチャー
【性別】女
【身長・体重】17歳
【属性】中立・中庸
【ステータス】
筋力 E 耐久 D
敏捷 A 魔力 B
幸運 C 宝具 A
【スキル】
対魔力 B
単独行動 B
魔術 C:強化魔術を行使出来る他、イワナカッターといわれる光弾での攻撃も行える。また霊脈の探索にプラス補正。
仕切り直し B-:戦場から逃走する能力。ターンの巻き戻しは出来ない。
カリスマ C:本人は軍人で無かった為、あくまで人望の類に留まる。彼女のカリスマにあてられた者達が求めたのは、彼女自身であった。
【宝具】
『恋符・マスタースパーク』
アーチャーの演じたキャラ、東方projectの霧雨魔理沙を象徴する宝具。魔理沙としてのアーチャーの知名度に引きずられる形で宝具となった。八卦炉より放たれるその破壊力は原典通り、山をも貫く。
『
彼女が生前書いた絵である。発動した場合、巨大なボールが上空を浮遊し、アーチャーはそれを意のままに操る事が可能。単純な質量兵器だが、発動時に自身の位置が丸分かりになるのが困りもの。
【真名】HNS
【クラス】バーサーカー
【性別】女
【属性】中立・中庸
【ステータス】
筋力 A 耐久 B
敏捷 A 魔力 B
幸運 D 宝具 A
【スキル】
狂化 E++:魔理沙(アーチャー)に対してのみ異様な執着を持つ。
心眼(偽) B+
高速詠唱 B:狂化のランクが低い為、それなりに機能している。彼女が主に用いるのは石の投影であり、ほぼノータイムで投影可能。
不死殺し A:宝具からの派生スキル。あらゆる蘇生、復活を無効化する。
【宝具】
『罪姫・正義の柱(偽)』
後天的に付与された、ギロチンの刃。原典とは何の関連もないが不死殺しの力を有する。