ぐだ男と野獣のクッキーkiss   作:野鳥先輩

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遂に彼のクラスが明らかに


ネロ祭にて。迫真空手VSアクシード三銃士(前)

 かつて第二特異点が存在し、それを大量殺戮兵器(ピンキー)によって封殺されたローマ。かの地を治める皇帝ネロが提案したのは、闘技大会であった。

 

 もしカルデアに多くの英霊が力を貸していれば、こぞって参加し大盛り上がりを見せただろうことは、想像に難くない。だがしかし、少々事情が違った。

 

「これより! 第二次ネロ祭を執り行いたいと思います!」

 

 壇上よりマシュが進行を務める。観客である一般ローマ市民によって、闘技場は歓喜に包まれた。気のせいか女性の声ばかりが聞こえるが、まだピンキーが歴史に与えた傷が癒えないのだろうか。

 

 ここのカルデアは兎にも角にもイレギュラー。端から端までホモビで出来ている。偉大なる英雄譚を駆け抜けた英霊たちが、華麗なる武を振るいしのぎを削る訳でもなければ、持てる叡智全てを振り絞り美しい激戦を繰り広げた訳でもない。もしかしたらそういう世界線があったのかもしれないが。

 

 恐らく主催者であるネロ皇帝はそんな光景を夢想していたのだろう。だが武勇はともかく、如何せんホモビサーヴァントがきたないのはどうしようもない。現に挨拶すらマシュに任せ、奥に引き籠っている。今頃は持病の頭痛に悩まされている頃だろう。

 

「解説席には最近全く働こうともしないシェイクスピア(淫夢)さんと、ギルガメッシュ(淫夢)さんがいます。どうぞ」

「じゃあ吾輩、ギャラ貰って帰るから」

「ギャラは出ません。全編ボランティアですよ」

「なんですと!? ふざけんな!(声だけ迫真)」

「貴様ら(オレ)の玩具でよいのだ、上等であろう」

「戦う前から戦意を削がないでください」

「マシュ。貴様随分と減らず口を叩くものだ。窓際行って……シコれ」

「シコれません」

 

 流石マシュ。幾つもの修羅場を潜り抜けただけあって、少々の事では怖気づかない。思えばマシュも随分と逞しくなったものだ、汚いのにもセクハラにも慣れてしまったようで、少し寂しくもある。

 

「一戦目のカードは、『迫真空手部』VS『アクシード三銃士+』です!」

 

 両陣営が闘技場に入場するのと共に、客席から黄色い歓声が上がる。あんまりにも歪で、これからのローマの行く末を案じざるを得ないが……まぁ、若い男が半分死滅して飢えているという事にしておこう。

 

「平蓮! 平蓮はいいですわゾ^~!」

「ミウキムですって、それ一番言われてますことよ?」

「スズミウに決まってるんですわゾなぁ……悔い改めてくださいまし」

 

 飢えているという事にしておこう。迫真お嬢様部かな?

 

 改めてみると、『迫真空手部』はライダー(MUR)が召集した迫真空手部の三馬鹿にAKYS師範を足したメンバー。対する『アクシード三銃士+』は例の三人にひでを加えた四人パーティ。どちらも決してバランスは悪くない。

 

「今回の闘技はキャスタークラスを考慮に入れ、5分の準備期間が設けられています」

「うむうむ。でなければあんまりにもボロボロでございますからなぁ。いや吾輩からすれば、5分でも相当ひどいとは思いますが」

 

 解説席のシェイクスピアが愚痴るのも無理はない。ぶっちゃけ五分で陣地作成を行使し、工房を作るなんて真似はそれこそ高速詠唱が必須。逆に高速神言であればオーバーなほどだが、あいにくうちに神代を生きる英霊はいない。

 

 

 

 

 

 AKYSは相対する者達を睨みつけていた。約一名を除き、アクシード三銃士+は強豪が揃う。一瞬でも気を抜けば即座に、決着がつく事を確信していたのだろう。そしてそれは、アクシード三銃士側も考えていること。ライダー(MUR)が池沼化しているとはいえ、脅威であることに変わりはない。

 

「攻めるにも守るにもアレが厄介だ。まず全力であれを潰す。MURはついてこい」

「おっそうだな」

「KMRはいつも通り後方支援、鈴木は護衛だ。返事ィ!」

「分かりました……」

「ハイ」

 

 陣形を組み、万全の状態を見せつける迫真空手部。一方のアクシード三銃士はというと――

 

「……タクヤさん」

「蓮さんごめんなさい、ちょっと今、て、て手こずっていて」

 

 黒いグラサンをかけた男は、網掛け(メッシュ)タンクトップに包まれた上半身のみが異様に鍛えられていた。KBTIT。某漫画家に似ている等というトンデモ風評被害から注目を浴びた、acceedの男優だ。ごく短い一般会話すら噛み噛みの詠唱者(キャスター)の屑であり、魔術に頼らない近接攻撃の手段や、条件を整えれば敵の対魔力を克服する能力を持つ、彼らしからぬ非常にバランスの良いサーヴァントだ。

 

「2,30分で終わると思いますんで」

 

 それがジョークである事をアクシード三銃士は十分に理解している。残りの待機時間を用い、更にある程度時間を稼げばそれなりのものが作れるだろう。

 

「葛城くん。最悪"調教部屋"は諦める事にしましょう」

「あっそうっすね」

 

 作務衣を羽織る高身長の男はにこりと笑みを浮かべる。平野は現在、ライダーとして顕現している。だがその周りに、彼の乗り物の姿はない。

 

「ぼくひで」

 

 ひでが三銃士の輪から僅かに外れた、ほんの一瞬だった。

 

「炎神全開!!」

「ぶち込んでやるぜ!!」

 

 闘技場の中央から鈍い音と主に土煙が舞い上がる。上がった歓声は、轟雷と例えても過言ではない程であった。

 

「ひーでっしね!」「ひーでっしね!」

 

 「ひでしね」の大合唱が響き、盛り上がりは一瞬にして絶頂へと達する。

 

「なっ!? ちょ、ちょっと待ってください! まだ五分経ってませんよ! これは駄目です、ルール違反です!」

「まぁまぁマシュ殿」

「シェイクスピアさんは黙っててください! 止めないと(使命感)」

「まぁマシュ」

 

 ヒートアップするマシュの肩に手を添えてやる。

 

「会場の熱気は最早、あらゆるものの介入すら許さないだろう。いいんじゃないか、続けても」

「……せ、先輩がそう言うなら」

 

「あれは策という奴だ、獣の本能に限りなく近くはあるがな」

 

 本来ネロが座るはずであった、今は主無き黄金の椅子に座りながら、意地の悪い笑みを浮かべて見せるギルガメッシュ。そこでようやくオレは、迫真空手部の戦略を見出すことが出来た。

 

 

 

 

 

「ぼ……ひ、で……」

「ちっ、まだ死なねぇのか!! オゥラ!」

「ポッチャマ!」

「ぐふっ!?」

 

 魔力放出を行使したAKYSの迫真空手(スタンピング)、そしてMURはそれ(魔力放出+迫真空手)に『便乗』して同威力で行使。空手部は徹底した速攻により、圧倒的な耐久を誇るひでに対し、一瞬で甚大なダメージを与えることに成功した。ひでの『被虐体質EX』は場に存在するだけで、相手の戦略を大幅に狭める。いずれにせよ沈めなければならない相手だった。問題は如何に速く、であり、解決策がこうだったのだ。

 

「ざけんじゃねぇよオイ! 誰が先攻して良いつったオラアァ!」

 

 激昂した葛城が神速の居合を放つ。蜘蛛の巣のように浮かび上がる残光の中に、AKYSはいなかった。彼らは既に、次の獲物に取り掛かろうとしていた。

 

 

 

 

 

「ぐだ男。貴様はあれを可笑しいと思いはしなかったか」

「……なにを」

「真に迫る空手とやらだ。武芸が迫真でどうする。迫真の武など、見掛け倒しに過ぎん」

 

 それは確かに、ギルガメッシュの言う事も一理ある。ただ迫真空手部というのは、確か視聴者が勝手に名付けた名前……待てよ。今の彼らの出典は、視聴者のイメージも込み込みの『真夏の夜の淫夢』という物語。AKYSが空手部の師範であるように、原典よりもイメージが優先されることだってあるのでは。

 

「……ギルガメッシュは、何か他に意味があると?」

(オレ)はな――迫真空手(アレ)を魔術の端くれと見た。真へと、根源(・・)へと至ろうとした術だ」

 

 

 

 

 

 

 AKYSとMURが定めた目標は、後方で陣地作成を行使しているKBTIT。万が一調教部屋なんてものが闘技場内に完成してしまえば、空手部側は一気につらくなる。現状、調教部屋の完成度は傍から見て70%ほど。妨害できる最後の機会かもしれない。

 

「エンジン――」

 

 迸るほどの魔力を帯びた蹴りが空を切る。

 

「全開!――何っ!?」

「あっ――」

 

 AKYSが放った渾身の上段蹴りは、全く同じ威力によって相殺され、KBTITの元へは届かなかった。AKYSとMURが向かい合うという異質な光景が生まれている。

 

「あっ店長!」

 

 KBTITの声色が明るくなった。MURの四肢には既に幾本もの麻縄が巻き付いていた。平野店長の宝具『緊縛の縄』は、捕縛に成功した相手を自由に操ることを可能とする。今回は恐らく、便乗を発動した直後にMURを捕縛、直接AKYSへとぶつけたという事だろう。

 

「空手部の下衆はスケベな事しか考えないのか」

 

 軽蔑の籠った笑みを浮かべる平野店長。だがその視線の先、AKYSの背では、既に大きく戦況が揺れ動いていた。

 

「ンアーッ!?」

 

 良いように斬り結ばれる野獣。相手が敏捷で大きく勝る葛城では、得意の手数押しも出来ない。葛城の居合一振りがホラホララッシュの一撃よりも速いといえば、その絶望っぷりも理解できるだろう。野獣は変化スキルを駆使した防御で何とか生き残ってはいるが、時間の問題だ。

 

「鈴木! KMR! ッ人間の屑がこの野郎……!」

「本陣をおろそかにした結果だよ。どうする?」

「ぐっ……!」

 

 戦闘はまだ、始まったばかりだ。




ちゃんと続くから安心してくれよなー

【真名】秋吉亮
【クラス】キャスター
【性別】男
【身長・体重】188cm 83Kg
【属性】混沌・悪
【ステータス】
筋力 A 耐久 B
敏捷 B+ 魔力 B
幸運 B 宝具 A
【スキル】
陣地作成D
道具作成E

迫真空手 A:魔法へと至ろうとし失敗した夢の跡。原典の時点で神秘の秘匿が既になされていなかったため本来魔術として行使できないが、ある事情で使用が可能になっている。
魔力放出 B:オーラを全身に纏い、身体能力を強化する。
心眼(真) A
【宝具】
『炎神全開』
 魔力放出のランクを一時的に2ランク上げる。当然消費魔力は大量となり、特殊な条件下で無ければ使用できない。また身体的負担が大きくかかる。

アクシード二人は次回
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