存在が強すぎて、世界がヤバイ   作:ホイホイ

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バトルなしです。
内容が薄いですけど、楽しんで貰えると幸いです。


不死鳥が擁く英雄__
エイジ。怒鳴られる。


 アーシアちゃんの件。重い。重いわ。シリアスすぎる。首謀者の堕天使、ゲロマブの姉ちゃんのレイナーレだっけ? クズすぎて笑えない。アーシアちゃんのなんたらヒーリングを奪うために暗躍して、ついでにイッセーくんを殺すために近づいたとか。許せんねオレは。アーシアちゃんの件もそうだけど、何より思春期真っ盛りの少年の心を弄ぶとは。

 

「へーぇ。美味しそうできてんじゃん」

「うふふ。そうですね」

 

 まあおかけで二人も悪魔に、リアスンの眷属になったんだし。一件落着じゃね?

 

「ウェルカム アーシア・アルジェント、か。いいじゃん。……ん? 朱乃ちゃん。そういえばオレ、ウェルカムされてないじゃん」

「エイジさんは眷属ではなくお客様なので」

「え。……なんか急に寂しくなったんだけど」

「あらあら。ではまたの期会に何か企画するかを、部長に打診しておきますわ」

「うん。やってくれるんじゃなくて、やるかを考えるのね」

 

 あれからちょっと経って、今は部室でアーシアちゃんの新人歓迎会を企画してる。ん~この甘い匂い。最高じゃん。ケーキも好物なんだよねオレ。ショートケーキも好きだけど、特にチーズケーキが好きだわ。

 

「続々と集まってきたね」

 

 扉の向こうでユートンとコネコンの気配がする。これで全員だな。さあ扉を開けて、開催だ!

 

「あらあら皆さんお揃いね。さあ、新人さんの歓迎会ですわよ」

「みんなおはよ。気持ちいい朝だ。いっちょ洒落こもうぜ」

 

 一目散に目にするのはこのデケぇケーキ。それぞれ驚いた反応を口にだしている。やっぱ朝からデケェケーキは驚くわな。

 

「イッセー」

「はい」

「あなたは最高だったわ」

「あ、ありがとうごさいます」

 

 オレもああやって美人に褒められると照れるわな。まったくイッセーくん。羨ましい限りでですよ、と。切り分けはオレの担当なんだよ。任せろって。ちゃんと丁寧かつ均等に切るから。

 

「どう? ちゃんと行き渡った?」

「はい。ちゃんと行き渡りましたわ」

 

 ふむ。ケーキもある。アケノンが淹れた紅茶も全部ある。よし。じゃあ後はリアスン待ちだな。

 

「あ、あの部長」

「何かしらイッセー」

「あの、この人は……?」

「ああ。……彼はエイジ。ゲストよ」

 

 思い出したかの様に自己紹介された。……馴染みすぎてるから? それとも存在感がないのオレ。どっち!? ……まあどっちでもいいや。第一印象は大事だゾ。二人に目を配って笑顔であいさつだ。

 

「よろしくね。イッセーくん、アーシアちゃん!」

 

 そう言って握手を求める。

 

「よろしくお願いします。アーシア・アルジェントです」

 

 細い。声がか細い。これは守りたくなるなぁ。わかっちゃうなーオレも。ここの制服も似合ってるし握手してるこの小さい手を見ると、余計に思っちゃうよね。

 

「よろしくお願いしますエイジさん。兵藤一誠です」

 

 うん知ってる。オレたちストーカーだぜ? いぇーいオレたち犯罪者予備軍!

 そんな事を思いながらイッセーくんの手を握る。すると、吸い込まれる様に錯覚した。イッセーの奥に、奥にと。そして感じた。強大なパワーを。その源を。それは___そいつは___

 

「エ、エイジさん?」

「___ハハ。ハハハぁー」

「ど、どうしたんですか?」

「おもしれぇ! おもしれぇよイッセーくん!」

「え!? ど、どうも……」

 

 マジかよ! なんか知ってるなぁって思ってたら、知ってるどころじゃねえ! 紅白の赤い方! そいつがパワーの源かよ! つかなんで? なんでイッセーくんに宿ってんだよ。どゆこと? どんな仕組みだよ。

 ……おっと。興奮しすぎだな。ずっと握手してた。悪いねイッセーくん。

 

「イッセーくん。強くなって守ってやりな。大切な人を」

「は、はい! 強くなります! 守ります!」

「おう! いずれかは山とかを地図から消せるくらいには強くなるからな」

「や、山!?」

 

 もしかしたら赤と意思疎通できるかもなイッセーくん。……丸くなってると思ったら、全然そんな事ない。不幸にも黒塗りの高級車に追突して、車から出てきた兄ちゃん並みに尖ってる。

 

「さて、そろそろ始めましょうか。ん"ん。我が眷属に___」

 

 そして歓迎会は始まり、授業開始の予冷まで時間が許す限り楽しんだ。もちろんケーキも紅茶も舌をつつんだ。程よく小さくなったケーキを口に頬張りながら、ふと窓の外を見た。外の木枝に鳥が、オウムみたいな赤い鳥がこちらを見ている。

 ……ふーん。覗きは感心しないなぁ。ちょっくら脅かしてやろうか。行儀は悪いけど、ティーカップとソーサーを手に取り窓に近づく。……どうやら逃げも隠れもしないらしい。ジッとオレを見ている。

 

「ズズ。……オレと遊ぼうぜ?」

 

 そう呟いて眼を灯す。それと同時に威圧を飛ばした。すると。

 

「!!」

 

 魔法陣と共に消えていった。これで少しは懲りたんじゃないかな。覗きはいかんぞ覗きは。まあでも……女の子を覗くシチュエーションは実際興奮する。

 

 

 

 

 

 

「エイジ貴方。イッセーに何を見たの」

 

 放課後までゲーセンやら何やらで時間を潰し、終わる頃を見計らって部室に来たらすでにリアスンとアケノンがいた。ちゃんと授業を受けてんのかと思たのは内緒の話。

 

「知りたい?」

「話してちょうだい」

「どうなの?」

「部長と同意見ですわ」

「じゃあさじゃあさ」

 

 そう言って二人に笑顔で近寄る。

 

「オレとデートしてよ。どっちかでいいからさ!」

「はあ……。朱乃。例の件はどうなの」

「はい。概ね順調に進んでますわ」

「まって"えええ! 邪険にしないでえ"! 話すぅ! 話すからぁ!」

 

 なんだよいいじゃん! 減るもんじゃないし! オレは純粋にデートを楽しみたいんだよ! 一回くらい、先っちょくらいイイじゃん! デートのデの字だけでも体感させてよ! ……ちぇー。きっとオレはおにゃの娘に相手にされない星の下に生まれたんだ……。

 

 

 

 

 

 

「……いたよ。間違いない」

「……」

「……」

「っはは。オレと分かったとたん敵意丸出しだよ。おのれ、おのれってさ」

 

 ……未だに信じられない。私たちと姿かたち何ら変わらない英雄。エイジが、嘗ての二天龍を倒したと言う事実が。確かに実力は本物。今の私たちでは太刀打ちできない。だけど懐かしむ様に、影があるように話すエイジを見ていると、どうしても二天龍を倒したとは思えない。……それはなぜ? 彼の人柄? 憧れた英雄の様ではないから? それとも私の目が肥えてないから? ……駄目ね。今はそんな事はどうでもいいの。大事な下僕に関わる事よ。

 

「他には?」

「いや。ないね。ただそれだけ。……期待していいんじゃない? イッセーくん。強くなるよ」

「……そう」

 

 直に感じた当事者の意見。素直に受け入れるには容易い。間違いなくブーステッド・ギアは本物。その逸話は歴史が示している。

 

「……はあ」

 

 溜息が出る。ブーステッド・ギアもエイジも、逸話と歴史が示してるというのに、エイジの事は___

 

「っ」

 

 そして私は彼に、エイジにとっては残酷な事を言わなければならない。聞かなければいけない。大事な下僕、眷属のために。

 

「イッセーのブーステッド・ギアが覚醒していく過程で、貴方と接触することで、暴走の可能性がある」

「……」

「その可能性はある。……どうなの。……答えて」

 

 私の言葉を聞いて、彼は俯いた。一瞬見せたエイジの悲しむ顔が、目に焼き付く。胸は痛むけど……回答はでた。エイジをイッセーに近づかせるのは危険。

 そう判断した。だけどもそれが杞憂に終わる。

 

「大丈夫じゃね? ドライグの奴、煽ったら火が付くタイプだから」

「!?」

「ゼックンに聞いてみなよ。同じ事言うと思うよ。煽り耐性ゼロだって」

 

 打って変わって笑顔で訴えてきた。大丈夫だと。

 

「アルビオンに煽られてメッチャ火がついてたもんな。 翼広げて貴様あ"あ"あ"ってさ。あこれドライグのマネね」

「……っ」

「そっからオレそっちのけでま~たやりあってさ。もうもみくちゃ!」

「っふざけないで!」

 

 立ち上がって思わず怒鳴ってしまった。真剣に話をしているのに。エイジを遠ざけようとしているのに。

 

「当事者の言い分だからって、暴走しない可能性は無いなんて言わないで!」

「……」

「煽ったら火が付く? なおさら危険じゃないの!」

「……」

「希望論だけの憶測でモノを言わないで! 私はね! 私は___」

 

 少し記憶が欠落した。今まで溜まっていた物が勢いよく噴き出すように、エイジにぶつけてしまった。罵倒したかもしれない。酷い事を言ったのかもしれない。

 そして正気を取り戻した。

 

「……わかってる。イッセーのためだよね」

「っぁ」

 

 今までいったいどんな顔をしてエイジは聞いていたのか。それすら思い出せないくらいに、彼は目を細くして笑っていた。 

 

「イッセーのため、眷属のため、家族のため。全くもっていい事じゃん」

「っ」

「羨ましい限りだよ。一誠も、アーシアも、裕斗も、小猫も、そして朱乃も。みーんなリアスに愛されてる」

「……」

「……」

 

 朱乃に配っていた瞳が私を写す。瞳に写る歪んだ自分を見て気付いた。……私はエイジに、なんてことを___

 

「っエ、エイジ! わたし___」

「ちゃんと確証はあるよ。ブーステッド・ギアだっけ? さっきは当たり前の事だと思って言わなかったけど、アレにはちょっとしたセーフティが施されてる。アイツがどんなに恨み辛みで暴れてもイッセーに害はないよ。ああでも。イッセーが望めば話は別だけどね」

 

 人差し指を立てながらつらつらと言うエイジ。全く気にしない様子を見せているけど、本当は辛いはず。……私ならそうだ。

 

「っま! リアスちゃん。あまり溜め込むと良くないよ。美容に大敵だし。グレイフィアを思い出してみ? メッチャ美人だろ? オレたちより年上なのに全然老けてない。やっぱ発散してんだよ……あ"! ちょ今のなし! 絶対言っちゃダメだよ今の話! ね! アケノちゃん!」

「はい。わかりましたわ」

「リアスちゃんもね!」

「……ええ。わかった」

 

 本当に気にしていないかもしれない。エイジの明るさが、私にそう思わせる。けどそれは自分自身が許せない。自己嫌悪なら後でいくらでもできる。

 

「……エイジ。さっきは、その___」

「ゃっべー! 忘れてた! 今何時!?」

「あらあら。そういえば」

「こうしちゃいられねえ! スーパーの特売日&タイムセールだゾ! ちょっくら行ってくるわ。じゃあまた明日なリアスちゃん!」

 

 そう言って足をクルクルと走らせて出て行ってしまった。……はぁ。自分が嫌いになる。

 

「……私って最低だと思わない?」

「ふふ。そんな事ないわリアス。大事に思うからこそ、思いは強く出るものよ」

「そうかもね。……でも今のは八つ当たりみたいなモノだわ」

「そうだとしても、リアスの苦労はわかってくれてるわ。理解ある人で良かったわね」

「……」

 

 朱乃のフォローで気持ちが多少は楽になった。あとでエイジのフォローも朱乃がするはず。だけど本人にちゃんと謝らないと。

 

「お疲れ様です……」

「お疲れ様です。……あの。何かあったんですか」

「……いいえ。何にもないわ。さっ。こっちへいらっしゃい」

 

 そういうと何も言わずに近くまで来たユートとコネコ。私は思わず二人を抱きしめてしまった。

 

「っ! ……」

「……部長」

「私の愛しい下僕」

 

 心からそう思う。より一層強く抱きしめてしまう。……エイジには謝罪と感謝を述べないとね。

 

「す、すみません! イッセーとアーシア! 遅れました!」

「お、遅れました!」

「ふふ。 大丈夫。二人ともこっちへいらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

 

 グレモリー・ファミリーってのは苦労する星の下にでも生まれたのかね。ゼックンも問題は山積みだとか言ってたし。……ゼックンは悪魔代表の一人として上に立ってる。そう言う上に立つ意味としてはリアスンも同じ。リアス・グレモリー眷属の主。いわばボスだ。

 

「ズズっ」

 

 そりゃあ溜まって爆発もするよ。大変だねぇ上に立つ者は。……ちゃんと発散はしてるみたいよ? ゼックンは。オレが戻って、駆け付けて来てくれた時、服が乱れてた。オレはそっと目をそらした。心の中で謝ったよ、ごめんねって。だって肌に濃いめのキスマークついてるもん。……いよいよ恥ずかしかったよね、見つけたこっちが。

 

「あれから落ち着いた? リアスちゃんは」

「はい。冷静に戻り反省しています」

「そっか。いつものリアスちゃんに戻ってよかった」

 

 やっぱり夫婦なんだよ。ゼックン然りグレイフィアを見てみ。シワの一つない美男美女。やっぱお互いに発散できるから綺麗なんだよ。

 

「リアスちゃんもグレイフィアに聞いたらいいんだよ。うまい発散の仕方。義姉だし一つ返事で教えてくれるんじゃね?」

「それも一つの選択肢ですわね」

「……ん? 他になんかあんの?」

「男のエイジさんにお答えするわけには……」

「あっ。ふーん。そんな感じなんだ。ふーん」

 

 男のオレには秘密な発散方!? いったいどんなウルトラCなんだ! リアス、秘密の発散方。ヤベえタイトルだなおい。A〇かよ。

 

「……エイジさんはどうですか」

「んオレ? ああ。リアスちゃんに色々言われた事なら気にしてないよ」

 

 アケノン。オレにもフォローをするのか。……なんでかな。こんなにできる女子はそうそういないぜ? もう率直な思いを言葉にしちゃう。

 

「……はは。むしろ感動しちゃったよ。こんなに人を思いやる心を持ってるなんてってさ」

「……」

「あの時言った事は本心だからね。いいなぁ羨ましいなぁって。悪魔ってみんなそうなのかなって。……オレが眷属だったら惚れてたかも」

 

 なにぃ? 悪魔の女子ってのはみんな慈愛に満ちてるの? たとえそうじゃないとしても、リアスンの愛は本物。

 

「……エイジさんは___」

「ん?」

「堕天使の事を、どう思っているのですか___」

 

 唐突に朱乃ちゃんがそう問いかけてきた。すこし俯いて、表情が見れない。

 

「堕天使か」

「……はい」

「オレさ、レイナーレがあんな事をしたからとんでもねぇクズだなって思った」

「っ」

「でも。レイナーレ=堕天使の総意って訳じゃないじゃん」

「……」

 

 ……本人は言わないけど、朱乃ちゃん自身が堕天使の血を引いてるからこその問いだろう。じゃあ素直に今も思っていることを言おう。

 

「失礼かもしんないけど、実はさ。愉快な集団って思ってんの」

「ゆ、ゆかい?」

「うん。いやさ。堕天使トップクラスのゼル、アザゼルがギャグなんだよ。そいつがトップなんだ。ギャグがトップなら下もギャグセンス溢れるだろ? 」

「……っ」

「堕ちた天使なんて言うけどさ、ギャグセンスは天使より上なんだよなぁ。……たぶん。アザゼルは慌てふためいてこんな顔だもんな。」

 

 

 そういってヤサイ王子の顔をする。

 

「___っふふ」

「あ、ああ。もうだめだ……。おしまいだぁ」

「っ! っふふ! だ、ダメですエイジさん!」

「勝てるわけがない! あ、ああ」

「っ___」

 

 ツボにハマった朱乃ちゃん。やっぱり不安そうな顔は似合わないな、朱乃ちゃんに限らないけど、笑顔が一番なんだよなぁ。……肩を上下して笑ってるけど、いつか自身の事を聞いてきたら彼女の問いにはしっかりと答えなきゃな。

 

 

 

 

 

 

 

「さっぱどわがんねっべぇ」

 

 それから少し経っていつもの様にオカ研に来てる。開口一番にリアスンが謝りに来た。ごめんなさいと。確かにらしくなかったけど、気にしていないと言っても食い下がらなかった。

 

「最初は難しいかもしれないね。でも、プレイしていくうちに覚えていくよ」

「以外と単純」

 

 だったらお詫びにって提案したら、OKくれた! 一回だけデートしてくれるってさ! 内心ガッツポーズ。許されたよ。オレにもデートができる権利が貰えたよ。でも忙しい時期だから、空いた時間があればデートするってさ。

 

「エイジ。ナイトはそうやって動けないよ」

「ウマじゃんこいつ。縦横無尽に動けよ!」

「自由に動いたらチェスじゃないです」

 

 で今コネコン相手にチェスしてる。全くもって初心者だけどね。ユウトンに教えてもらいながらプレイしてるけど、学がないオレにはわからん! 

 

「早朝特訓?」

「堕天使との戦いでわかったの。あなたは基礎体力を向上させる必要があるわ」

「は、はぁ」

 

 ん? 特訓? なに、イッセーの強化企画か? よっし。オレは考えるより体動かしてる方が大好きなんだよ。

 

「朝五時前に迎えに行くから」

「五時前? …わかりました。あじゃあチラシ配りに行ってきます」

「いってらっしゃい」

 

 しっかたねえな! その企画ぅ、付き合ってやるか! 

 

「やっぱ難しいな。あー。また今度教えてよ」

「いいよ。気が向いたら声をかけて。いつでも歓迎する」

「……それじゃあ今度」

 

 悪いねユウトンにコネコン。せっかく教えてくれたのに。こんどまた頼むよ。 そう思いながらリアスンの前に行く。

 

「あのさ、明日の特訓の事だけどさ」

「なに?」

「オレも行っていい?」

 

 

 

 

 

 

「はあ…はあ…っぐ…はあ」

 

 エイジさん……いや。エイジの事は覚えてた。シュークリームを配ってた人だって。直接受け取ったから覚えている。でもこんな形で再開するなんて。

 

「はあ…はあ」

 

 ゲスト。つまり客人だ。そう部長は言った。けど普通の客人じゃない。接する距離が凄く近い。部長を含め全員があだ名で呼ばれてる。俺もそうだけど、みんな嫌がっていない。……正直、失礼がないようと受け入れてる分もあるけど、何故かいやじゃない。

 

「っは、っは」

 

 それはなぜなのか。……そう考えると、身構えてしまう。奥底がそうさせる___

 

「どうしたイッセー。息切れが早くない?」

 

 ジャージ姿の部長が自転車を漕いで一緒についてきている。悪魔になって体力は上がったはずなんだけど、ブリッジしながら並走してるエイジを見てると、本当に人間なのか疑う。一種のホラー。そう感じずにはいられない。

 

「ほら。だらしなく走らないの」

「は、はい! はあっハーレム王に俺はなる!」

「……ならばこそ体力をつけないとな。何事も体力が資本!」

「はあっはあっ」

「ハーレムなんていくらでも体力使うでしょ? あっちに体力使って、こっちにも体力使ってさ。ねぇリアスン」

「そうねエイジ。そういった体力も必要だけど、私の下僕が弱いなんて許されないわ」

「が、がんばります!」

 

 

 

「っぐ! にゅぐぐ!」

「いい? 悪魔の世界は圧倒的に腕力がモノを言うの。イッセー。あなたの場合は特にね」

「は、はい"」

 

 部長が後ろから背中を押してくれる。背中に当たる柔らかい胸を感じずにはいられない! 

 

「っぐう!」

 

 部長の言う通り、悪魔は腕力がいる。アーシアの件で嫌というほど思い知った。

 

「ゲッダン! ユーレルマーワル___」

 

 砂ぼこりを立てながら訳の分からない動きをブレる速度で動いているエイジ。俺たち全員で立ち向かっても勝てないと部長は言った。……本当に強いのか? そんな疑問が浮かばないほど、ストンと受け入れていた。

 エイジを見てると自分の奥底がモヤモヤするのを感じる。……直感だけど、ブーステッド・ギアが絡んでいると思う。……今度部長に相談してみようかなっあ"ああ!

 

「ぶちょ! もっとやさしく___!」

「十分優しいわよっ!」

「お"お"おお!___」

 

 とにかく。体力付けなきゃ。

 

 

 

 

 




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