我が魔王の夏映画は最高やでぇ(しみじみ)
では、どうぞ
「……」
シャワーヘッドから噴き出す少し熱い温水がどうにも気持ちいい。ああ~~たまらねえぜ。一日の疲れを癒してくれそうだぁ……。まぁ疲れてないけどね。
「ふーん__ふーん……」
気持ちよさに思わず鼻歌をしてしまう。__結局、思いのほか朱乃ちゃんは早く帰ってきた。険しい顔つきで帰ってきたと思ったら、オレを見るなりただいまと笑顔で言ってきた。
「っと」
シャンプーのボトルノズルを強く押してしまい、液が少し飛び散ってしまった。__そして何事もなく朱乃ちゃんは当番の料理をし、オレが待ち構えるテーブルに中身のある皿を並べてくれた。もちろん美味い。つい口にしてしまったよ、びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛…ってね。
「スゥ……」
頭のマッサージをしながら血行を促進だ。__食事中の会話で今のエクスカリバーの詳細や、ソナちゃん家で話し合った内容を聞いた。どうやら教会関係者が二人、リアスちゃんとの会談を求めてきたと。もっとも悪魔と教会は相容れぬ仲らしいんだけど、……まぁニュアンスはわかるよニュアンスは。悪魔祓いとかも教会側だしね。
「……ふぅ」
髪についた泡を洗い流す。体を伝う泡が静かに流れていくのを感じる。__教会関係者が会談を求めてきたのも問題だけど、さらにもう一つ、問題がある。その二人は悪魔を簡単に滅することができる剣、いわゆる聖剣を携えていたと。……そりゃ険しい顔にもなるよなぁ。悪魔にとっては相当にビビる代物しょってんだから。
「ふぃ~あ"あ"あ"あぁ__」
少し熱いくらいの浴槽は最高だなぁぁ。仕事終わりのおっさんみたいな声出しちゃったよぉ。……聖剣が係わっているんだ、裕斗は嬉々として進んで事に当たると思う。例え復讐が目的でも、結果が良い方向へ向かう様にサポートをしたい。復讐心の根は相当に深い。
「教会関係者か……」
水面に映る自分の顔を見ながらつぶやく。いったいどんな奴らなんだろ……。ソナちゃんにリアスちゃんへのアポイントをお願いする位には良識ある人たちなんだろうけど、どうにも聖剣がなー。それしょって会いに来るんだろ? 脅しみたいなもんじゃん。そこんとトコどうなの?
「でもっま! 無視できないよなあ! 聖剣、エクスカリバー!」
大昔の大戦で砕けてバラバラになったらしいけど、その破片で創った剣もエクスカリバーなんだろ? 全部で七本! くぅうう! 男なら憧れて然るべきなんだよなぁ!
「なあ? そう思うだろ、光先輩も!」
__うんうん! そうかそうか! やっぱわかってくれるか! 光先輩も相当に熱い漢らしいな! __ん? 何々? お前がエクスカリバーを持って戦うより、素手で殴った方が早い。ゲームで例えると装備したのにステータスが下がる__だって? んな事あるわけないじゃんもおー。天下のエクスカリバーだぜ?
「憧れてしまうなぁ、エクスカリバー」
「ご一緒しますねぇ」
「剣持ってるとかカッコイイじゃん」
「普通ですかねぇ」
「普通? いやいや待ってよ。ぜってーカッコイイって。オレ欲しいもん」
「エイジさんには不要かと」
「不要? 何言ってんの、つか誰よさっきから__」
……。……。……。
「……」
「ふふ……」
「」
「あらあらまぁまあ」
後ろを振り向くと目と目が合い、そして顎が下がり身が固まってしまった。
「そんな熱い視線で見られるなんて、嬉しいですわ」
「__ッハ! ぃぃいいやいやいやなんで居んの!? ここお風呂ぉってハダカぁあ!?__」
ななな何で居んのぉお!? 先にお風呂入るって言ったじゃんオレ! どうぞって言ってたじゃん! 間違えないだろ普通!
「ちょっちょちょ__」
「慌てて浴槽の端に行かなくても大丈夫ですよ」
「何が大丈夫なんだよ! そそそれに、隠して隠して! 見えるとこまで見えてる!」
「見せてるんです」
「ファッ!? なんだそりゃ!? 羞恥心とかないの! 恥ずかしくないの!」
「ないです」
「」
めちゃくちゃ堂々としてる。本当に隠す気がないらしい。女だけど漢らしいなぁ。__いやいや感心してどうすんだよ。
「エイジさん」
「は、はい!」
「私、高校三年生です」
「はい! はい!」
「……すこしイケナイ青春の一ページ、……残しておきたいですわ」
「……」
憂いをおびた顔してさ、悲しんでるのか求めてるのか、何でそう言った顔するかな。__ずるい。本当にずるいよ朱乃ちゃん。そんな顔されたら、断りずらいだろ……。
「……はぁ、負けたよ。……わかった。一緒にお風呂くらいなら構わないよ」
「エイジさんならそう言うと思ってましたわ。っふふ。断っていたら雷を撃ってました__」
「ぇぇ……」
そう言うと湯船に浮いている桶を手に取り、温水を掬い、身を清めるようにかけ流す。二度、三度、体に馴染ませる様に流す。
「……ングッ」
思わず唾を飲み込んでしまった。裸って事もあるけど、屈んでかけ流してる姿を見ると、なんだか興奮を禁じ得ない。体に流し、少しずつ頭にも流す。なんて言うかな。……さまになってる。
「……ん? __っ!」
コラあああ! 荒ぶってんじゃねーゾ光先輩いいい! 何が、八本目のエクスカリバーはここにあるぞおおおだ! ふざけんじゃねえよ! 頼むからオレのナウいムスコを抑えといてくれ! マジで頼む! 一緒にお風呂入ってるって事は、混浴と同じなんだよ! 混浴のマナーは守らないとイケないんだ!
「ふぅ。十分に浴びたと思います。っふふ。実はソーナ様のご自宅で湯浴みをしたんです。部長と副会長と、ソーナ様と共に__」
ならもう入らなくていいだろと思った事は口はしない。言ったら雷飛んで来るだろうし、余程の風呂好きじゃないと入らんだろう。
「へぇ。一日に何回もお風呂に入るなんて、朱乃ちゃんお風呂好きなんだな。知らなかったよ」
「そんな事ないですわ。今回はエイジさんと共に語らえたらなと、思った次第です」
「そっか。ありがと」
そう言って浴た朱乃ちゃんに近づき、浴槽の木目に顎を乗せる。上目づかいになるけど、もちろん目と目はそらさない、そらせない。だって視界の端で色々見えてる。意識しないとそっちに目が向きそうだ。
「……もう一回浴びますわ」
そう言うと再び掬いに来た。オレを覆いかぶさる様に水を掬う。するとどうだろう、朱乃ちゃんのたわわが迫りくる。視界いっぱいに映るピンク。鼻先まで迫りに来た。……ヤバい。この体勢は完全にまずい。痛手だ。
「__んっ。……体は洗いましたか?」
「え? い、いや? 今日は体を洗うより先に湯船に浸かったから……」
「そうでしたか、ならこちらへ。僭越ながら、お背中をお流しますわ」
「いやいや悪いよそんな。体くらい自分で洗うって」
「普段からお世話になっております故、感謝の意を含めて、と思ったのですが__」
「……」
いや世話になってるのはオレの方なんだけど。寝床も用意してくれてるし、飯もうまいし至れり尽くせりなんだけど。でもさぁずるくない? オレがそういった表情に弱い事に味を占めちゃってさぁ。断れないじゃん。
「ダメ……ですか……」
「わ、わかったからそんな顔するの止してよ。……ふぅ。じゃぁお言葉に甘えようかな」
そう言って浴槽から立ち上がって、朱乃ちゃんが示した木製のバスチェアに向かう。タオルとかないけど、光先輩が付いてきてくれるから大丈夫だろ。水着みたいなモンだし、きっとそう見えてるに違いない。
「ん? どしたの?」
「っ! い、いえ……」
通りすがりに朱乃ちゃんへ目を配らせた。オレの視線に気付き、すぐにオレに顔を向けた。……何だったんだ? ぼーっとしてたからのぼせたのか? 今の湯は少し熱い。もしかしたら熱いのは苦手な感じなのか? まぁとりあえず、椅子に座るか。
「よろしく。やさしくしてね」
「はい。っふふ。やさしく……やさしく、洗いますわ」
背中を向ける。__期待感があるなぁ。他人に背中を流してもらうのは初体験だ。いつも自分で洗うのとは違い、きっと洗い方の違いに新鮮さを感じると思う。意外と違うモノだと思うよ、一人ひとりの洗い方。
「……前から思っていたのですが、エイジさんは着痩せしますよねぇ」
「んー自分ではあまり意識した事ないからなぁ。朱乃ちゃんがそう思うならきっとそうだよ」
「うふふ。逞しいせなか__」
背筋に指がなぞるのを感じる。意識する度に、感じようとする度にぞくぞくしてしまう。
「触れるか触れないか、くすぐったいよ朱乃ちゃん」
「フェザー……タッチ……っふふ」
「……」
なぜだろう。直接背中に触れている、けど触れていない。この妙な境目を否応なしに感じようとしてしまう。最初はただくすぐったい、そう感じた。でも再三四度、繰り返されるタッチに気持ちよさを感じる。
「どうですか、時折背中が震えてますが__」
「いやぁなんだろなぁ。……ごめん。先に謝っておくけど、くすぐったいから気持ちいいに変わったんだよね。ッハハ」
「そうですか……。実は練習したんです__自分の身体で__」
「っ!」
耳元で囁かれる言葉。思わず囁かれた方へ目だけが向く。
「__エイジさんのために練習したんです。__私の声が__甘く__喘ぐほどに__」
「っ」
甘く喘ぐほど。ななな何を言ってるのかな? オレのために練習してくれたのマジで嬉しいけど、甘く喘ぐって事はせせ性的にって事? ……バッカでーいオレぇ! そそそんな事ある訳ないじゃん! 朱乃ちゃんに限ってそんな事__
「エイジさんを想いながら__達してしまいました__」
「」
__達するって事は完成したって事だな! いやあここまでの練度は感心するなあ! いやーあっぱれあっぱれ!
「うっふふ」
「っちょ! 朱乃ちゃん?」
「こうする事でより深く、じっくりと味わえるかと__」
後ろから目を隠すようにタオルを巻かれた。巻かれた拍子に瞼も閉じ、視界は暗転する。……朱乃ちゃんの言う通りだ。視界という情報量が閉じると、他の感覚が鋭くなってる……様な気がす__っぅ!
「っぃぃ__すご、全然違うじゃん__」
「どうですか、……気持ちよく……ほぐれる__」
「っぅ__っぅ__」
マジでヤバい。鳥肌が立つ程にっ痺れるっ! っ背筋から広がっていくっ気持ちよさ、感じずにはいられないっ!
「うっふふ。楽しんで頂けましたか」
「__っふぅ。っこれはアリだねっ。中々新鮮だ」
「あらあら、それはよかったです。練習した甲斐がありますわ。……それでは、準備しますね__」
まだ背中に残る余韻を感じながら、ボディソープのプッシュ音を耳にする。そして聞こえる朱乃ちゃんの吐息、手に広げさせる様に馴染ませてる音、高ぶるオレの心音。
「__エイジさんはボディタオルで身体を洗っていると思いますが、身体の汚れを落とすだけなら、泡だけで落とせるのです」
「え? そうなの?」
「正確には、汗とほこりはぬるま湯を流すだけで落とせます。皮脂汚れは石鹸を必要としますが__」
「へーぇ」
知らなかったなぁ。やっぱり女の子だよなぁ、こう言う事……スキンケアか、スキンケアに詳しいのは。なんだか女の子が綺麗な理由を少しばかり知った様な気がする。
「ゴシゴシと力強くタオルで洗うと、肌が傷ついてしまう恐れがありますわ」
「そっかぁ……じゃあ手で洗う方がいいの?」
「肌を気遣うならば手で、それもフワフワに泡立てた泡をそっと肌に乗せ、手で洗うと良いです」
「ふーん。ためになるなぁ」
__ん? タオルで洗ってくれると思ってたけど、話の流れ的に手で洗うのか? ……妙に緊張してきた。
「__いい感じです。魔力で泡立てたこのふわふわ。__お背中、失礼します__」
「……」
背中にふわりと感じる。泡だけじゃない。そっとやさしく、朱乃ちゃんの手が泡を広げていく。肩から腰、臀部。ゆっくりと焦らす様に撫でてくる。
「うん。背中を洗ってもらうのってなんかいいね。ッハハ。気持ちいいよ。うん」
「うっふふ」
いやー気持ちいいモンだね。実は憧れてたんだよ、こういった事。テレビアニメで流れるお風呂場面。仲のいい兄弟が変わりばんこで背中を流し合う。いいよねぇ。見てて綻ぶよね。
「あわあわですねぇ」
「そうだね。目隠ししてるから、余計にそう感じるよ」
「では__もっと泡にまみれましょうか__」
「っ!」
な、なんだよこれは! 腋からガッツリと離れない様に掴まれ、耳元で囁かれたと思ったら背中に! っぐ、イケナイだろそれは! Cボーイのオレでも察するぞ! 先までの手とは違う、肌に接触する範囲が明らかに広い!
「あああ朱乃ちゃん! なにやってんの!」
「__んっ、洗ってるんです。っん、__はぁぁ__」
やややヤバい! 背中に擦れる物が二つあるううう! あわわわわ__
「っん__んん__んはぁぁんん__」
上下に擦れてるうううう! お、押し付けられてる! たわわわわわがああ! __煩悩退散煩悩退散! オレはイッセーみたいな性欲の権化じゃないんだ! 理性を持て! 理性を持てえええ! うわあああ! 煩悩の犬は追えども去らずううう!
「__朱乃ちゃん! 止めよ! ね! 嫁入り前でこんな事しちゃダメだよ!」
「っんっん、エイジさんっん、背中を洗ってるだけですわっん、ついでにっぃ私の体ぁあもっん、洗ってるだけですっ!」
「無理やりにむちゃくちゃ過ぎだろ! 止そうよ! オレみたいな奴にする事じゃないって! マジで! 青春の一ページにしては破廉恥すぎるって! 」
「__」
ダメだ! 夢中に必死こいてる! 暴走状態だ! マックスハザードオンしてる! 止まらないよ! だって__
「んんんっ! はぁっ、っはぁ__擦れて__擦れて__」
耳元でコレだぜ!? 視界に情報が無い分、余計に意識してしまう! __よし! 光先輩がなんとかムスコを抑えている! 何々? お前のマイサンとガチンコ対決だ! 別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう? __いやそれ死亡フラグううう!
「__エイジさん! すみませんごめんなさい! 私! 切ないです! んん! っん__」
「」
__突然、予期せぬ事が起こる。アレだけ滾っていた朱乃ちゃんが、オレの腰に腕を伸ばし手を組む。何が起こった。そう言った考えも刹那に消える事になった。
「__」
浮いた。浮いたんだ。 椅子からオレが。次の瞬間には食らわされていた、おもいっきり後頭部を叩きつけられて。
「__ブフっ!」
詳しくないオレでも分かる。ジャーマンスープレックス! 天国から地獄へ勢いよく叩きつけられた。__後頭部強打とかマジで死ゾ。食らわされたのがオレだからよかったのもも__
「そっかぁ、今までのアレはご褒美で突然コレとか……。飴と鞭の使い方がうまいねぇ。ねぇ、もうはずしていい? おしまいでしょ?」
「はぁ、はぁ……はずしてはいけませんよ。これからです__」
そう言ってくる朱乃ちゃん。ひたひたと歩いてくるのが聞こえる。
「__」
そしてひたりと水けをはじく音が片耳に、一間おいてもう片耳に、ふさがれる様に聞こえてきた。
「……__」
「……ん? どうしたの朱乃ちゃん。動きがないように聞こえ__ぐむっっぺっ!」
うわ! 急に液体が顔に! 口に少し入ってしまった! むむむ。ポタポタと、トロリと顔の所々に洗顔ソープかけるとか、朱乃ちゃんマジでSだなぁ。
「ちょ、洗顔ソープかけるなら先に言ってよ。口に入ったじゃん」
「__そう。__そうですわぁ! 洗顔ソープですぅ! 今まさに私の洗顔ソープをエイジさんの顔にぃい__」
「__って言うか朱乃ちゃんのソープって風呂場に無かっ__っブフンー!」
「あぁあぁっ! ダメですわエイジさっん! 無粋な事を言ってはぁ! そんな悪い口はっん塞がないとイケません!__」
「ンー! ンンー! ンンンー!」
ちょっ息できない! 別に苦しくないけど、急に息ができなくなるとビビる!
「ンー! ンー!」
それに顔が挟まれてる! 口をふさぐようにズッシリと! いったいオレに何が起こってんだ!
「ンー!」
「あぁらぁあぁらあ! 暴れてはっイケませんよっ! 大人しくしてくださいっ!」
「__ンー!」
びやあああっ! この気持ちよさ! しびれるううう! 朱乃ちゃん雷の魔力使ったろ! っ!
「んっ、んっ、__」
「ンー! ンブッンー! ンジュプンー!__」
こ、ここ小刻みに動いてる! 口を塞ぐ何かが小刻みにっ! それにどんどん溢れてくる! 唇に柔らかい何かが触れる度に! そこから洗顔ソープが溢れ出るうう!
_____
___
_
_
「__ぁ」
……あれ……どうしたんだ……オレ。記憶が欠落している……ような気がする。
「……風呂……?」
そうだ。そういえばお風呂に入ってたんだ。
「っ、……タオル……?」
顔に違和感があると思い、それを拭うとタオルだった。__それと口周りが変だ。なんて言うかな、少し乾いて張り付いてる感じ。その要素は鼻にも感じる。
「どうぞ……」
「ありがと」
温水が出ているシャワーヘッドを手渡される。そのまま顔を洗い流す様に円を描く。口周りを入念に。
「ッハハ」
笑ってしまった。気持ちいい。なんだか窮屈な状態から解放された気分だ。本当に清々しい。__からだ、洗ったけ? どうだったかな。
「んーふむふむ」
確かタオルで洗うより、ふわふわに泡立てた泡で優しく包むといい……だっけか。タオルより手で洗うと肌を傷つけづにすむんだっけ。まぁ洗い方によるけどね。
「ふぅ……」
なんだか賢者タイムな感じがある。……っま! 細かい事はいいんだよ。この手渡されたシャワーヘッドから出る温水が__
「__」
__手渡された? 手渡された……。っ!?
「……」
「うふふ」
「」
思い……出した!
「あわわわわわわ__」
うわあああ! 朱乃ちゃんに色々されたあああ! だ、ダメだ! とても口にできない! あんな破廉恥を通り越した事おおおお!
「っぐ!」
今にして思えばわかってたんだよ! 自分が何をされていたか! カウボーイも真っ青なカウガール! オレの顔を見事に乗りこなしていた!
「エイジさん」
「っはい!」
「いい想い出、ありがとう」
「……え」
今オレ、お礼を言われたのか……? あんだけ色々巻き起こして、オレもいい思いして、お礼……?
「うっふふ。どうやらお互い様ですね。思い出すと顔が赤くなる」
「っぅう」
確かに赤い、頬が染まる程には。朱乃ちゃんの眉がハの字になってる。お互いに恥ずかしいんだ。
「すこしヒートアップしてしまいましたわ。っふふ」
「少しどころじゃないよぉ。勘弁してよ、想いで作りはお風呂を一緒にってだけじゃん」
「本当はお背中を流すだけと思っていましたが、エイジさんの逞しい背中を触っていると……ってへ!」
「はぁ……。かわいく舌だしちゃってさ、誤魔化してもダメだからね?」
「あらあら__」
朱乃ちゃんはそう言いながら湯船に浸かりに行く。足のつま先からゆっくりと。……はぁ。ため息がでる。変に意識してるのはオレだけそうだな。さっきの青春の一ページは別と割り切ってる顔してる。今は普段通り、そんな顔してる。
「どうしました」
「ん、ッハハ。なんでもないよ。少し割り切ってただけさ」
「そうですか。……隣、空いてますが……」
一緒に浸かろう。そう言っている。もう風呂から上がるつもりだったんだけど……。っま! 家の主が誘ってるんだ、世話になってるぶん、健全なお返しはしないとな。
「となり、失礼するよ__っほ。イイ感じの熱さだ」
「ふふ。魔力で調節しました」
お互いに顔を合わせ微笑みかける。身体も心も癒してくれる湯船。この気持ちよさを混浴として共有する。さっきのアレは夢だったと思うほど、スッキリしている。健全。これが健全なんだよきっと。
そして他愛ない話を口にしていく。学園の事、普段の事、部活の事、リアスちゃん達の事、時折笑っては困った顔をお互いにする。ほんと、健全はいいなぁ。
「__エイジさん、それはいったい……」
「ん? ああこれ__」
指をさされた物を手に取る。円があり回すことができるレバーが付いている。手に乗り切れない程の大きさだ。……オレが付いてるって言ったし、風呂場でも近くに置くことができるんだ。仕方ないね。
「おもちゃみたいだろ?」
「はい……。装飾が綺麗……。なんだか神秘的ですねぇ」
手渡されたシステムくんのレバーを回しながら感想を言ってくれた朱乃ちゃん。どうやら興味があるらしい。もちろん、オレも興味深々。
「この丸い部分、なんと言いますか……太陽系を模してる様な__」
「そうだね。それとレバー部分とこの筒、同じ様なマークが付いてる」
「あらあら」
そう。朱乃ちゃんの言う通り、太陽系を模してる事にオレも同じ意見だ。だけど厳密には太陽系じゃないと思う。ならどこなのか、どこの系統なのか、そもそもコレは本当に惑星系を模しているのだろうか、結局はサッパリわからない。
「これ、外せるんだよ」
そう言って筒を外す。機械が圧を抜く様な音が響く。
「っ! 今のは、いったい……」
「驚いた? 頭に直接響いてくるでしょ」
「は、はい。びっくりしましたわ」
「実はこれ……いや、こいつは生きてるんだよ」
「生きてる……のですか……」
驚いてる朱乃ちゃんに手渡す。手の平で転がしたり摘まんだり、物珍しさにふむふむと首を振っている。
「……これ、筒と言うよりボトルですわ」
「ボトル……確かに言われてみれば小さいボトル……かな」
「……」
優しく、そっと優しく両手でボトルを包んだ朱乃ちゃん。オレはその姿をただ静観していた。なにか思う事があるんだろう、と。
すると包んでいる手の隙間から微かに光が漏れた。__これは。
「朱乃ちゃん、魔力使った?」
「ぁ、はい。生きているなら魔力に反応すると思いまして……」
「そっかぁ。そんな感じかぁ。……もっかいやってくんない?」
「はい。では__」
再びボトルを包む。祈る様に、乞う様に。目論み通りボトルが光っている。__魔力に反応するのか。システム君よぉ、謎が深いんだよなぁ。早く回復して元気な姿を見せてくれ。頼むよー。
「__っく! っはっ!」
「ちょ、大丈夫朱乃ちゃん!」
「え、ええ。……私だけではとても満たせません。悔しいですが……」
「マジか。ワンチャン起きると思ったけどなぁ」
「ごめんなさい……」
「謝らなくていいって。別に責めてないんだからさ。むしろオレが謝らないと。そんな誤解を生んだし」
「……」
う~~ん。オレは魔力がないからこんな事出来ないし、そういった魔力的な力ってのはベルクロスのだしなぁ。……ップ! ダメもとでやってみるかぁオレも? 成ったらなったでいいし、ダメならダメでいいじゃん。
「っ! エイジさん」
「オレもやってみるよ」
「その眼__」
「ああ! 魔力はないけど、引き出せるものはある! ダメで元々! 上等じゃん!」
眼を灯してボトルを握る。体に纏う青を徐々に深くしていく。するとどうだろう、指の隙間から光が強く漏れ出す。
「あらあらまぁまあ__」
「ッハハハ! マジかよ!__」
成る様になったゾ! でも力を吸われてる感じは全然しないんだけどなぁ……。っおお! 感じる感じる! 拾った時とはえらい違いだ。純粋でしっかりとそこにあり、でも弱弱しかった気配が元気になっていってる!
「っ!」
「……感じる? こいつの胎動、気配が」
「はい、しっかりと。……強い気配を感じます。ですが攻撃的ではない受け身な姿勢、支えてくれそうな気配がしますわ」
「うん。説明ありがと。オレも似た様なこと考えてた」
刹那、お互いに共感しているこの場、風呂場に響き渡る。__いや、オレと朱乃ちゃんの頭に響いてきた。
≪Eyes-Driver!≫
「んな!」
「アイズ……ドライバー……」
ビックリしたぁ! 突然響いてくるもんなぁ。__って! レバーが付いてる太陽系が光ってる!
「エイジさん!」
「ああ! なんか! イケる気がする!」
ヤッベエエエ! テンション上がってきたああ! さっそく__っ! えっ、握ってるボトルに違和感が……。__そう思い、手の開く。
「……増えてる」
「あらあら、無機質だったボトルに装飾が。それも二つ……」
「__ああ! ああ!」
訴えてきた、覚醒の準備は出来たと。__そして差し出すように手を伸ばす。すると二つのボトルが輝き、レバー本体と共にひとりでに浮いた。
「__」
ボトルが挿入口に浮き並ぶと、先に新しいく増えたボトルが勢いよく刺さる。
≪フォトン!≫
マークが浮き出て音声が響く。頭に響く。きっとこの音は、認識している者に響くんだ。__そしてシステムくんが宿るボトルが、待ってましたと勢いよく刺さる。
≪ライダーシステム!≫ ≪エクシード!≫
うおおおお! いいぞお! カッコいいぞお! この流れ響く音! なんだかノリに乗れるじゃん!
「すごい……」
「ングッ」
何処からともなく色の濃い煙が現れ、火花を散しながらひとりでに回るレバー。しっかりと確実に円を描いている。それに回して時の音楽! ずっと聞いてられる!
≪Are you ready?≫
「イェアー!」
≪フォトン! フォトン! アイズギャラクシー!≫
「__」
≪ア"ーッッハッハッハッハッハ!≫
__現れた……。覚醒した……。乱回転している胸部の球体が静止し、頭部から星々の煌めきが強調された。
「アイズ、フェーズ1__」
「……フェーズ1」
「……朱乃ちゃん、後ろに」
ノリノリで歓喜し喜んだけど、朱乃ちゃんの前に出て警戒する。攻撃的な気配では無いにしろ、得体の知れない奴だからな。
「形成できる程に回復したか……」
「……」
独特な低音の声にエコーが掛かっている。__なるほどね。システム君の声は君だったか。それに厚くて硬そうな装甲。刺々しくて丸い装甲が、全身を覆ている。
「ふぅん……」
感触を確かめる様に手を閉じては開いている。__ボトルが刺さっているレバー本体が腰に巻かれている。そして頭部__あれは……ドラゴンを模してるのか……ダメだ、よくわからない。ただわかる事は、奴のフェイスは銀河を思わせる様に煌めいている。
「……」
「っ」
浴槽に立っているオレの顔を見るなり、浴槽前に近づいてきて跪く。予想だにしない行動に、オレも朱乃ちゃんも動けないでいる。
「感謝。あの空間から拾って頂いた恩、当方の生命が尽きるその日まで、お側で尽力いたす」
「……は?」
「当方は仕える事でしか生きることを知りません。どうか、ご容赦を」
「……つ、仕える? な、なに言ってんの」
「ご容赦を、我が王よ」
「……え、何言ってるかさっぱどなんだけど」
いきなり跪かれてこんな事言われて、理解に苦しむんだけど……。
「あらあら、困りましたわ」
「ほんとだよ」
王ってなんだよ。勘弁してくれぇ……。
本当はもっと後に登場させる予定だったんですよマジで。
でも映画見てからじゃ我慢できない体になってしまった!
感想まってまーす。
アディオス!