ジーニアスフォームが弱いんじゃなくてエボルトが強すぎるんだあああ!
ジーニアスフォーム、好きです。はい。
今回、話が一気に飛びます。だってツダケンを早く戦わせたいんだもん☆
では、どうぞ。
≪アイズドライバー!≫
「ふぅん」
≪フォトン!≫
一日開けて現在、フワフワ空間の調査に来ている。
≪ライダーシステム!≫ ≪エクシード!≫
目的はもちろんツダケンが通ってきた謎のゲート。ブラッド族のチート技術でも解析できない程のヤベーゲート、調べるしかないわな。まぁ楽しみではある。
≪Are you ready?≫
「……変身」
≪フォトン! フォトン! アイズギャラクシー!≫
≪ア"ーッッハッハッハッハッハ!≫
風呂場の時と違い、エライごちゃごちゃした装着だ。レバーを回すと音楽が響き、大小様々な銀河模様が辺り一面不規則に浮かぶ。そして歪な歯車がツダケンを包むと周りの銀河模様も集まり、数度の爆発が起きたと思ったらアイズ形態に成ったツダケンがいた。
「やはり回復しきれていない。時間が掛かりそうだ」
「またオレがエネルギー送ろうか?」
「感謝。ですが過度のエネルギー採取は危険と判断、慌てずゆっくり回復と存じます」
「っそ」
ゲートに自壊寸前までエネルギーを取らされたんだ、身をもって学んだんだろう。__いやぁそれにしてもイカツイよなぁ。何だかヒーローショーとかに出てきそうなカッコよさだ。
「……マスター。当方のアイズに関心が……」
「それを興味ない奴なんていないだろ」
百人中千人は興味を持つだろうさ。刺々しいのに丸みを帯びてる装甲、肩や胸に……なんだろ、天球儀みたいな装甲、額には星を線で繋いでいる星座っぽい装置、もうギャラクシーって音声が見合う宇宙関連もり沢山なんだよ。
「当方のアイズは前王の弟君、エボルト様の装甲をベースとしています」
「エボルトねぇ。……名前からして強そう」
「王に次ぐ強さの持ち主です。頭脳明晰で素晴らしい程の悪質極まりない愉快型快楽主義者です」
「褒めてんのか貶してんのか……」
ツダケンって結構ズバズバと辛辣だよな。思った事を含みもしないで言う辺り、そういった性格なのか、オレたち地球人とは違い感覚がずれているのか。……まぁこれから接していく内にわかっていくんだ。
「今だから言えますが、エボルト様が王なら……宇宙を掌握していた可能性があります」
「マジかよ……」
エボルト弟君、アウトおおお! 強くて頭脳明晰な奴はおおよそラスボスって決まってんだよ。マジで王じゃなくて良かったな、宇宙に住まうみんな。エボルトが何らかの野望を企んでたいら誰か止めてくれ~頼むよ~。
「__ではマスター……」
「うん、よろしく」
オレの返事を聞くとフェイスを光らせ、額にある星座群が空間に広く映し出される。__ゆっくりと旋回しているこの星座群、アイズプラニスフィアって名の測位装置らしい。長い間ボックスの中に籠って漂っていて、ゲートの場所、位置が分からないから、この測位装置で見つけてみるってさ。
「現位置からの空間広域値……設定完了。確認済みの惑星大気並びに地球大気に酷似する大気圏を確認。……鉛直構造、水平構造の大気概念崩壊を暫定__」
「はえぇ~」
映し出されている星座群がパソコンのウィンドを切り替えるみたいにスッと退く。オレが驚いてる間にもツダケンが呟く度にグレーだった映像に色が付いていく。
「生命体を脅かす有害物質等を放出する因子を複数発見。警戒レベル上昇を設定__」
流石ブラッド族のチート装置。絶え間なく映し出される情報に、オレは着いていけない。もう訳わかんない。
実はコレ、宇宙空間で自身の位置や吟味する次の天体の座標を確認する機能。そして降り立った天体の構造を把握して、効率よく狩るためのプランを提案するという物凄くヤベー機能が搭載されている、らしい。全部ツダケンからの前情報ね。
「……ふぅん。歪な空間だな」
「オレはエレベーターって認識してるけど」
「……比喩表現としてはそういった要素は確かにあります。……当方の見解はこの空間、到達点であり出発点。終わりにして始まりの空間、かと……」
「っんだそりゃ」
始まってんのか終わってんのかどっちだよ。ふわふわしてる謎の空間なのに余計に意味不明だゾ。……まぁ考えても仕方ないし、ツダケンの反応を待つか。
「マスター及び当方以外の生体反応なし……。……確定因子並びに未確定因子を確認……座標に添付__」
「生体反応なし……かぁ」
ツダケンは別として、やっぱり生身で生きてる奴はいないか。乗り物とか覗いても誰もいないから薄々には気づいてたよ。……普通はその、亡骸があると思うけど、ほんとに何もないからなぁ。なんでだろね。
「__特異点を発見。マスター……」
「お! 見つけたか」
映し出されている座標にゲートマークが点滅している。……意外と早く見つかったなぁ。距離が思いのほか近いのか、ただツダケンが凄いだけなのか……どっちでもいいかな! 細かい事は無しだ!
「よし。さっそく行くか!」
「ではお手を拝借。ワープします」
「わ、ワープ……?」
え? ワープってあのワープだよな? SFに出てくるワープで合ってるよな? ツダケンそんな事もできるのか。
「マスターが思考している例の違いは多少ありますが、概ね同じです。お手を……」
「あいよ」
「では__」
オレが手を差し伸べるとツダケンは跪いた。そんな事しなくてもいいのに……、と思考していると手を握られて視界が歪む__
「っ……」
オレは動いてないけど、目にする景色は歪だ。目まぐるしく景色が横に流れ、縦横に伸び縮みしている。__これがワープねぇ。魔力による転移とはまた違って新鮮だな。まぁ不快感は無いかな、不思議と。
「っと。……着いたかな?」
「7,528万キロメートルのワープを完了。到着しました、マスター」
「ん~。あんまり景色は変わってないなぁ」
ワープしてた時間はあっという間だったなぁ。ほんの三秒四秒くらいの体感だ。……って言うか、何万キロワープしたとか言われてもピンとこないし。どんくらいの距離よ、ツダケンよぉ。
「岩ばっかだな」
「マスター、後ろです」
「ん?__」
ツダケンに言われて後ろを振り向くと、瞳に映した。門、ゲートを__
「ング……デカいな」
思わず唾を呑み込んだ。大きな円の中はエネルギーか何かが満ちていて、そこからツダケンが通って来たんだと察する。そしてゲートを形成している外装は、機械的なデザインでひし形。巨大なリング状の構造物だ。……観察してるとなんだか肌がピリピリす____!?
「……エイジ。面白い物を見つけたな」
「……なるほど。この方が」
はぁ……。突然起きていきなり表に出るなよ。ビックリするじゃんベルクロスぅ。しかも嬉しそうに白い歯見せてさぁ、あと嬉しいなら目も笑っとけ。何なのいったい。
「アレの反応を感じたら嬉しくて起きたくもなるさ」
……ゲートの事知ってる素振りだな。知ってるなら教えてよ、やべーゲートらしいしさ。
「その前に。……ブラッド族か、お前」
「左様。当方はブラッド族、名はツダケン」
え!? マジかベルクロス! ブラッド族知ってんの?
「相も変わらず快楽主義の様だな」
「……」
「どこの宇宙も、ブラッド族の気質は同じだな。それにツダケンと名付けたのはエイジの様だな」
「肯定。腕を組み眉を寄せ思考し、導き出した名がツダケン。……マスターが最初に与え賜もうた褒美、当方はとても喜ばしいです」
しみじみ言われると、な、なんか罪悪感が……。豆電球が頭の上で光る様に閃いただけなんて、朱乃のちゃんには言ったけど、ツダケンにはとても言えないなぁ……。なんかごめんね、ツダケン。
「マスターだと? エイジの従者気取りか?」
「気取っていません。当方はマスターの従者です。……決してあなたの従者ではありませんが」
「……」
「……」
「……」
__な、なんだよ、この二人の間に流れる緊張感ある空気は……。ベルクロスは歯を剥きだしてニヤニヤしながら黙ってるし、ツダケンは目をつぶって凛としてるし、もぉ勘弁してくれぇ。仲良くできねぇのかよ!
「__確かにエイジへの忠義はある様だな。たが忠義だけでなく……なるほどな」
「……然らば」
「ッハッハッハ! おいエイジ! 良かったじゃないか、面白い奴に絡まれてぇ!」
か、絡まれてって言い方ってもんがあるだろ。……まぁ悪い奴じゃないと思うけどね。ちょっと引くくらい暴走する時はあるけど。
「おいブラッド族。精々エイジの世話を焼くんだな。己の快楽を満たすためにも……」
「当然」
「永い星霜を仕えるんだ、壊れるなよ……」
「然らば……」
ん? な、なんか雰囲気が和んだ……? ベルクロスの言ってる意味が分からないけど、いいじゃん和んでさ。
で? あのゲートが何なのか、教えてくれよベルクロス。勿体ぶらずにさぁ。__ああ、因みにオレたちがゲートを調べに来た理由は__
「そんな事どうでもいい。知りたいなら大人しくしていろ」
「……」
は、はい。おとなしくしま~す。__オレの言葉を聞くと、一間おいてベルクロスが重い口を綴る。
「……そうだな。……異なる時空同士を繋ぐゲート__」
懐かしむ様に、思い出すかの様に語るベルクロス。さっきの雰囲気はどこへやら、目を細めて真剣に語る。
「アレを使えば、別の世界や別の時間に飛ぶことが可能だ」
「……」
ふーん。別の時間って事は、過去や未来にも行けるって事か。
「……質問なら答えてやろう。変に騒がれるより遥かにマシだ」
う、うっせ! わかったから答えろよ。
「時間跳躍は可能だが、あまりススメはしない。過去、それに未来の可能性は無限に存在する」
「なるほど、当然そこへ通じるゲートも存在する。……それこそ無限に。選択を間違うと並行世界、パラレルワールドに飛んでしまう可能性もある、と」
「どっかのバカと違って要領がいいな」
はえぇー、そう言う事かぁ。オレはさっぱどなのに、今の説明でわかるとかツダケン賢いじゃん。それとベルクロスの言ってるどっかのバカって誰だろ。……ん? まさかオレの事!? おいベルクロス!__
「喚くな、バカは黙ってろ」
っぐ! ぐぬぬぬ……
「ただ中を通るだけでも時間跳躍や異なる空間に向かう事が出来るが、ブラッド族が言った通り選択肢、ある程度の操作は可能だ」
「操作せず通ると予想だにしない場所に着く。当然作為による操作は可能と思っていましたが、どういったものか……」
ゲートから離れてるから詳しい事はわからないけど、スイッチ的な物があるのかな?
「エイジが言う物理的なスイッチ、ボタン操作可能なクロスゲートも有るかもな。……基本は強い意志の力や意思を強く伝達する能力を持っていれば、アレは反応する」
「……念じればそこへ行けると」
「簡単に言えばそうだな」
なるほどね。あの時あの時間に行きたい、あの世界に行きたいって強く念じれば、その世界のゲートに繋がると。でもそういった能力が無いとダメなのか。
「時間も空間も世界の壁をも度外視し、あらゆる座標に繋がっては行き来を可能とする門。アレは様々な名称で呼ばれている」
「……」
「ある宇宙では星間ゲート、またある宇宙では地獄門__」
地獄門……
「ル=クク・ヴォーデュにゼモン、遍く世界の呼称があるが、俺はこう呼んでいる。クロスゲート」
「クロス……ゲート」
ふーん。様々な時間や世界に交わってクロスしているからクロスゲートか? まんまじゃん。
「おおよそお前はクロスゲートを通て来たんだろ」
「肯定。導かれる様にこの空間へたどり着いた……」
「導かれた? ブァッハッハッハッハ! おい聞いたかエイジぃ! 導かれたんだってよ!」
いや知ってるし聞いたし。……何で急にテンション高いんだよ。あと笑うのはいいけど、唾飛ばし過ぎ。
「やはりクロスゲートだな。全くもってクロスゲートだ」
「……」
いや自己完結すんなよ~。何でテンション高いか説明しろよ~。
「クロスゲートは何でもアリなゲートだ。時間旅行や別世界に遊びに行くのもいい。……だがな、浮ついた話だけじゃない。たまにゲートから面白い奴が出てくる」
「……地獄門から察するに、災いを被ると」
「とらえ方の問題だ。それを信仰する種族もいれば、それによって滅ぼされた宇宙も存在する」
おいおい、滅ぼされるとか穏やかじゃないゾ。なんだよ宇宙が滅ぶとか、理解に苦しむんだけど。
「楽しい楽しい最高の闘争だった。また俺の下に遊びに来て欲しいくらいだ」
「いったいどういった者と闘ったのか……」
確かにどんな奴と闘ったのかは気になるけど、宇宙を滅ぼす奴は遊びに来るなよ? マジで。
「俺を存分に楽しませる奴らばかりだな。中には掃いて捨てる者もいたが……。面倒くさい原罪も居れば、自身が最強だと謳う者もいる。……特に楽しんだのはルイーナ__破滅の王だな」
「破滅の王……?」
ツダケンの声が震えている。声や動揺を見るに自分でも戸惑っている様子だ。なぜ自分は震えているのか、と。……震えはしないけど、オレも妙に気になる。
「……そうか。クロスゲートによる可能性を垣間見た事で、本能的に反応しているのか。まだまだか弱いな、ブラッド族」
「……」
「まあいい。……エイジ。ここまで言えばわかるだろ。奴らがどうやってここに来たか」
奴ら……? __そうか! ノドス! ディゾルブはクロスゲートを通って来たのか!
「大方そうだ。別の宇宙からの来訪者だ。……楽しいだろ? エイジぃ」
全然楽しくないけど。楽しんでるのはベルクロスじゃねぇか。__つぅかさ、クロスゲートを操作出来たら、色んな世界に行けんじゃん! そっちの方が楽しみだ!
「忘れたのか? 俺達はクロスゲートを使わずとも壁を超える。……もうアレを使わずとも次元を超えれる」
あっそっかぁ。
「だがクロスゲートを使うなら、より安定して確実に次元を超えれるのは確かだ……。……ぅ」
なるほどねぇ。まぁどっかの次元へ行く時は活用させてもらおうかな。
「……むぅ。……向こうのノドス達が通てくるのは時間の問題だろうが、……どうも四苦八苦しているな」
「ベルクロス、どうした」
「むぅ……」
ああ、どうやらおねむの様だな。久しぶりに覚醒したと思ったらもう眠たいとか……、お子ちゃまですねぇベルクロスぅ。
「黙れエイジ……。俺を煽っても無駄だぞ。……もう我慢ならん、安眠に着く。……じゃあな」
「……」
「__ぉ。ベルクロスが寝た。相変わらずの〇太並みの熟睡速度だなぁ。羨ましい限りだなマジで」
さて、ベルクロスによるクロスゲート解説は終わったし、オレたちの本題へ向かうか。
「ツダケン、クロスゲートに近づこうか」
「……」
「……ん? どしたツダケン?」
返事が無いからクロスゲートから目を離し、ツダケンに向けた。装甲で顔はうかがえないけど、どうやら考え事をしているらしい。ぼーっとしている。
「……っ!」
「悩みがあるなら聞くけど?」
「も、申し訳ございません。少々思う所がありまして……。お許しを__」
「許すも何も怒ってないから」
きっとベルクロスが言ってた可能性の事を考えていたんだろうな。……それがどういった可能性なのか、いったいどういったものなのか、オレにはわからないけど、必要とするなら、ツダケンのために力になりたい。
「で? 確か情報だけを読み取るんだっけ?」
「肯定。あの時は無我夢中で接触し、自壊寸前に至りましたが、今回は欲をかかずに読み取ります」
「ホントに大丈夫なの? またエライ目に合わない?」
「善処します。少しでも負荷が掛かれば接触を断ちます故、心配は無用です」
自信満々に言ってる姿勢は、確かに大丈夫だと思わせる。……読み取ってる時に異変があれば直ぐに引き剥がそう。それくらいは用心しとかないと。
「行きます、マスター」
「よっしゃ!」
「何という事だ! 聖と魔の融合など、理論上っひぃいい!」
「バルパー・ガリレイ! 覚悟を決めてもらおう!」
僕は覚悟を決めているぞ、バルパー! 自分の研究の為に、欲望の為に! いったいどれだけの命を弄んだことか!
「ぃいぃい!」
「っぐ!」
思っていた。ずっと思っていた……。僕は……僕だけが生きていていいのかって……。
「悠斗……」
「木場……」
僕よりも夢を持った子がいた……。僕よりも生きたかった子がいた……。僕だけがっ、平和な暮らしを過ごしていていいのかって! __だけど、応えてくれた!
「みんなが! 同志たちが! 夢を託してくれた! 生きる事を託してくれた!」
「ぎひぃいいぃぃ!」
感じる。みんなが受けた痛みを感じる、心に影を差す感情も感じる。でも、身を寄せ合いみんなで支え合い、励まし合った温かい気持ちが溢れ出る。……同志たちの想いが、みんなの夢が、僕の心と一つとなっている!
「覚悟を……。覚悟を決めろおお!」
「あ、ありえんのだ、聖魔剣などありえんのだ! 反発する二つが交り合うなど、そんな事! あるはずが無いのだああ!」
捉えた、逃がさない。そういう風に剣先をバルパーに向ける。存在そのものを睨めつけ一歩前に進むと、動揺しているバルパーが声を大にして叫ぶ。
「__そうか、わかったぞぉお! 聖と魔、それを司るバランスが大きく崩れているならっ説明がつくぅ!」
「っ!」
目を見開き狂乱に自問自答している姿を見ると……。わかっていた事だけど、普通じゃない、狂っている! ……こんな奴に利用されていたなんて、……いや、もういい。僕の手で、けじめをつける……。
意を決し、発狂しているバルパーに引導を渡すため動こうとした、だけど、それは叶わなかった。
「__つまり! 魔王だけでなく、神もっ__」
「っな!」
音もなく突き刺さる光の槍に、バルパーは粒子となって露と消えた。刹那に起こった出来事に、僕を含むこの場に居る全員が動けないでいた。
「……バルパー、お前は優秀だったよ」
「っ!」
バルパーを消したのは誰か、わかりきっている。教会側が僕たち……部長たちに提示したエクスカリバー事案。エクスカリバーを強奪し、戦争を再度引き起こそうと暗躍。その為に学園を強襲し、魔王の妹である部長や僕たちを殺し、戦争の火種にしようとしている堕天使。
「そこに思考が至ったのも、優れている故だろう」
十枚の黒い翼を持つ堕天使、コカビエル!
「……コカビエル、これは何の真似」
「俺はコイツなど居なくても別にいいんだ」
……そうだろうさ。バルパーの存在価値は戦争にこじつける為の一つで、まどろっこしい事をするよりも僕たちを消す方が簡単だ。……悔しいけど、僕たちは踊らされている。
「さて、余興には飽きた……。リアス・グレモリー」
「っ!」
「なぜ捲し上げた英雄は来ない。これだけ騒げば出てくると思ったが……」
「っ。エイジは関係ないでしょ……」
ここ数日、エイジの姿は確かに見ない。イッセーくんの又聞きだけど、朱乃さんと話したのが最後らしい。……前にも数日姿が見えない時があったから、大丈夫だとは思う。
「つまらん。非常につまらん」
「……っ」
……この場にエイジが居れば、……身近であれ程心強い味方は居ないだろうに! ……クソッ! 無いものねだりだ! いない人物に頼ってどうする!
「ッチ。……おい小僧」
「っ! なんだよ!」
「限界まで赤龍帝の力を上げて、誰かに譲渡しろ」
「……なんだと」
「私たちにチャンスを与えると言うの? っふざけないで!」
「っふっはっはっは! ふざけているのはお前らの方だ。……この俺を倒せると思っているのか」
「っ!」
図星だ……。万全な状態のコカビエルと違い、傷を負い疲弊している僕たちが、コカビエルを倒せるとはとても……っ! ダメだ! 気持ちで負けていたら勝てるものも勝てない!
「……イッセー、力を貸して」
「部長……」
イッセーの隣に居る部長が、イッセーくんの手を握る。……遠目からでもわかる。無理もない、相手は堕天使の幹部。手が震えるのは僕だってそうだ。
「……」
「……」
だけど、覚悟は出来ている。ブレない二人の眼差しが、コカビエル射貫く。歩み寄る間にも、イッセーくんの譲渡するための倍加が響くる。
≪Boost!≫
「……ほぉぅ」
「……」
≪Boost!≫
ニヤつくコカビエルに僕の鼓動が早くなる。後ろにいるゼノヴィアも、唾を飲み込んでいる。……二人の覚悟は並々ならないだろう。聖剣をも扱う事ができた僕でさえ、足が竦む。
≪Boost!≫
「整いました、部長」
「……イッセー」
お互いに強く握りあうのが見える。
「ブーステッド・ギア! ギフト!」
≪Transfer!≫
「……っくぅうう!」
倍加されていったパワーが譲渡され、部長の魔力が風を巻き起こし、目に見えて上がっていく!
「ぶ、部長!」
「すっすごい!」
「ここに居ても、魔の波動をビリビリ感じる!」
……すごい。これ程までに上がるのか! 身をもって経験しているけど改めて思うよ! これがブーステッド・ギア、イッセーくんの力!
「ッフッハッハッハ! いいぞその魔力の波! 最上級悪魔の魔力だぞ、リアス・グレモリー! お前も兄に負けず劣らずの、魔力の才に恵まれた様だな!」
展開される。コカビエルの言葉にも耳を貸さず、両手に魔法陣を展開させ、魔力を凝縮させている。そして放たれる、イッセーくんのパワーが乗った破滅の魔力が。
「消し飛びなさい!__」
唸り声をあげる破滅の魔力。その矛先は、確実にコカビエルを捉えている!
「__」
コカビエルが腕を前にして破滅の魔力を防ぐ。__っ! 押し切れるか!
「__面白い! 魔王サーゼクスの妹! リアス・グレモリー!」
「っぐ! はぁぁあああ!!」
再度魔法陣を構築し、破滅の魔力を放つ部長。防いでいるコカビエルに追撃するが__
「アッハッハッハ! ッハッハッハ!__」
ダメだ! まるで効いていない! 遊び半分にあしらわれている! ックソ! ブーステッド・ギアの譲渡でも倒しきれないのか!
「__くぅ! ああぁぁ」
「部長!」
踏ん張りを無くした部長が倒れ、イッセーくんが近寄る。心配するイッセーくんと、倒れる部長に目を向けそうになった。__今、僕の目に映る空には__
「朱乃!」
「雷よ! ッハ!__」
指先に集まる雷。魔力で形成され、甲高い音と共に轟々と重く響く。朱乃さんが指をさすと同時に雷がコカビエルを襲う。
「__」
当たる直前に翼を覆う様に畳み、防御するコカビエル。翼に当たる雷が四方八方に威力が逃げていく。
「俺の邪魔をするか、バラキエルの力を宿す者よ……」
「っ! 私を……! あの者と一緒にするなあああ!__」
眼を見開き、叫ぶ朱乃さん。その表情は、鬼気迫るものがある。
「……バラキエル?」
「堕天使の幹部の名だ。雷光の二つ名を持つ雷の使い手だと聞くが……」
「雷の……使い手……」
堕天使に詳しくないイッセーくんの疑問は当然だろう。かく言う僕も、ゼノヴィアの言葉で脳裏によぎる程度だ。
「っく! はあっはあっ」
「ッハッハッハッハ! 悪魔に堕ちるとはな! まったく愉快な眷属を持っている、リアス・グレモリー」
「……」
睨みを利かせている部長の怒りは当然だろう。僕もバカにされている様で腑に落ちない!
「赤龍帝に聖剣計画の成れの果て……__」
コカビエルの頬が吊り上がる。
「__そしてバラキエルの娘!」
そして口々に上がる、驚愕の声__
「何!」
「なんだと!」
「朱乃さんが、堕天使の……娘!?」
っ! ……きっと事実なんだろう。朱乃さんの反応と部長の表情が強張っている。何よりこの場で戯言なんて言うとは思えない……!
「ックッフッフッフ、リアス・グレモリー。お前も兄同様、ゲテモノ好きの様だ……」
「っキ! 兄の、我らが魔王への暴言は許さない! 何より、私の下僕への侮辱は! 万死に値するわ!」
怒りのままに部長が魔力を高める。
「__フン! ならば滅ぼしてみろ! 魔王の妹、ウェルシュ・ドラゴンの飼い主、紅髪のルイン・プリンセスよ!」
「っ!」
「お前が対峙しているのは、貴様ら悪魔にとって宿敵なのだぞ! これが好機と見なければ、お前の程度が知れると言う物だ!」
言いたい事をつらつらと! 黙っていられる訳ない! __その思いを、彼が代弁してくれた。
「やいこのクソ堕天使ぃ!」
「イッセー!?」
「テメーこれ以上部長や朱乃さんにふざけた事抜かしてみろ! 俺がテメーをぶちのめしてやるからなああ!」
部長の眷属の総意を代弁してくれた。けしてハッタリなんかじゃない。
__そしてイッセーくんの言葉と続くように、響いてきた。聞きなれた声が、もしもこの場に……と弱音を思ってしまった僕、その頼りにしてしまった声が__
「よく言ったぞイッセー。……流石に男を上げたな」
__心が震えた。鳥肌が立った。心臓が高鳴った。
空間に亀裂が入るとガラスのように割れ、出てきた。僕たちの……友人。__皆が一斉に口にした、彼の名前を。
「エイジ!!!」
腕を組みながら佇んでいるエイジ。その表情は険しい。__来てくれたか。エイジ!
「長い時間あそこに居てさ、腹減って戻ってきたら……なにこれ」
部長、イッセーくん、アーシアさん、小猫ちゃん、空に居る朱乃さん、一人一人瞳に映し、辺りを見渡しながら口にするエイジ。最後にゼノヴィアを瞳に映し、僕に顔を向けた。
「……」
「……」
一瞬驚いた顔をしたけど、すぐにはにかんだ顔になり、強く頷いてくれた。それに僕も強く頷い返した。
「……不穏な気配や空気を感じると思ったら、穏やかじゃないな」
エイジの言葉を聞く様に、誰も声を上げない。__そう、あいつを除いては。
「ックックック。ようやくお出ましか、英雄エイジぃ!」
「……あんたか、みんなをボロボロにしたのは」
「他に誰がいる? もう少しできると思っていたが、期待外れだった」
「……」
「お前は俺を楽しませてくれるんだろう? このコカビエルを!」
「……」
エイジがコカビエルを睨んでいる。ぶれる事無く、ジッと。
「__おいおい、まさか怖気づいているのか? かの英雄も俺の名前を聞いて動けないか!」
「コカ〇コーラか何か知らないけどさ……。__無事に帰れると思うなよ……」
エイジの眼に青が灯る。……肌の産毛が逆立つのを感じる。英雄エイジと堕天使幹部コカビエル。一側触発。強者の戦いが、今始まろうとしている。
みんながそう思っただろう。だが不意に、この緊張感が崩れた。一人の人物によって。
「マスター、ここは私が……」
「……ふーん」
エイジの眼から青が消えた。__エイジと一緒に出てきたあの人、いったい誰だ……? さっきからエイジ側にいるし、今はエイジに跪いている。コカビエルに背を向けて。
「あの小汚いカラスを倒す事で、マスターの想いを汲みます……どうか了承を」
「小汚いだと……!」
コカビエルに向かってよく言える! 今のコカビエルの表情は、怒りの相だ。
「……いいよ、任せるわ。……バッキバキに叩きのめして来い、ツダケン」
「承知……」
「ツダ……ケン……」
部長はこの人、ツダケンの名前に聞き覚えがある様だ。……確かに強者の風格はある。けど、コカビエルに及ぶとは__
__そして僕は目にする。未知なる力を。異質な力を。
≪アイズドライバー!≫
「ふぅん……」
≪フォトン!≫
!? 頭に響く! 音声が直接、頭に! みんなも驚いている。エイジと朱乃さんを除いて__
≪ライダーシステム!≫ ≪エクシード!≫
「なにが、何が起こっている!」
コカビエルが頭を押えて叫んでいる。その言葉は、僕も同意だ! __そしてツダケンが腰のレバーを回すと、騒々しくはあるけど壮大な音楽が響き渡る。
「っなん……だ」
「綺麗……」
「ライダー……システム!」
僕も同じ気持ちだ。銀河が浮いている、アレいったい何だと。視界いっぱいに映る煌めき、本当に綺麗だと。
≪Are you ready?≫
「ふぅん、変身」
≪フォトン! フォトン! アイズギャラクシー!≫
≪ア"ーッッハッハッハッハッハ!≫
理解が追い付かない……! みんなそう思っているだろう。__僕も驚きを隠せない。……範疇を超えている……!!
「な、なんだ! 貴様ぁあ! 何者だぁ!」
「アイズ。……ライダーだ」
「アイズだと……?」
きっと僕は、この先語られる歴史の一つを見ている気がする。__ッング
「快楽の、糧となれ……」
銀河のフェイスが怪しく光る。
ゼノヴィアやイリナとの絡みも選択肢の一つにありましたよ実際。
でもね、仮面ライダー好きなんで☆ 許してネ☆
さて、読者の皆さんは無双が嫌いな方は少ないでしょう。
安心してください。ツダケン、やりますよ。だって俺たちのヒーロー、仮面ライダーだぜ? 当たり前だよなぁ?
では、また。
アディオス!