遅くなって申し訳ない
まったく、赤いのは加減と言うモノを知らないらしいな。これオレじゃなかったら丸焼きどころか炭になるぞ。しかもオレを火だるまにした挙句、また地団駄踏みやがって。おかげでまた土とお友達だよ。
「っぷは!ぺっぺ。くっそ~。」
やっと顔だけ出せた。どんだけ深く埋めるんだよまったく。ミミズでもモグラでもないっつーの!それにしても、愉快な仲間たちがいっぱい近くにいる!これはアレだな!友達いっぱいできるぞ!
「き、君。大丈夫か?喋れる様だけど……」
「ん?」
後ろから話しかけられた。もぞもぞと土の中の身体を捻らせ、後ろを向く。声からして間違いなくイケメン。上目遣いで見て見るとズバリ的中、イケメンな紅髪のお兄さんがいた。なるほど。これはお友達になるしかない!
「お気遣いありがとお兄さん!オレは遊希英司!お兄さんと友達になる熱い男だ!よろしくな!」
「は、ははは。よ、よろしく遊希英司君。私はサーゼクスだよ」
「サーゼクスかぁ……ゼックンって呼ぶけどいいよね!オレには気軽にエイジって呼んでよ!」
「ゼ、ゼックン!?あはは……。よ、よろしくエージ」
「ゼックン。エージじゃなくてエ・イ・ジ!わかった?」
「は、はは、エ、エイジね。エイジ……」
フレンドリーにあだ名をつけさえすれば、もうオレとゼックンは友達だ!ゼックンもオレの事エイジって呼んでくれたし、完全に友達だなこれは!顔引きつってるけど大丈夫だろ。今のオレは地面に転がってる生首状態。若干引いても問題ない。それが普通の反応。そろそろここから出るかな。
「よいしょっと」
「……な!エイジ!君は人間だったのかい!?」
「ん?そうだけど?ゼックンはアレだろ。悪魔」
「そうだけど、エイジ。服はどうしたんだい?」
「?」
服?ああ服ね!服服……。
「!?」
そうだった!?オレ、全裸じゃん!?生まれてこの方全裸じゃん!?レジェンドオブ全裸じゃん!?これはヤバイ!男友達のゼックンは大丈夫だろうけど、他の人から見たら完全に変態!改めて周りを見渡したらいっぱいいるし!時すでに遅し!オレは晴れて変態のレッテレルを貼られるんだぁ……
「な、なんだこの光は!?」
オレの!オレの股間に不自然な謎の光が!まさかこの光は噂に聞く、
「光先輩!」
勝った!これは勝った!!勝負してないけど勝った!!なんの問題もない!今のオレは、海パンを履いているに等しい!これならなんら恥ずかしくない!いや寧ろこれでいい!これがいい!!服なんてオレには必要ないんだよ!何故ならば!
「光先輩がいるから問題ないさ!」
「サムズアップされても意味不明だけど……」
「そう言う事だから、後ろの愉快な仲間たちに挨拶してくるよ」
「いやどういう事!?ちょっと待って!」
まったく、ゼックンはあわてんぼうだなぁ。生まれたてならいざ知らず、今のオレは何故か某哲学する柔術家みたいな身体なんだ。なんら問題ない。
「やあみんな!オレは遊希英司!みんなのエイジだ!よろしくぅ!」
「……」
「……」
「……」
「……」
無視なんだけど。みんな白目向いてオレの股間を凝視してるんだけど。アレかな?光先輩が珍しくて見てるのかな?きっとそうだ。決してオレを無視してなんかいないやい!なあそうだよなぁゼックン!
「み、みんな。作戦行動中だけど、紹介させてくれ。彼は遊希英司。見ての通り人間だけど、ア・ドライグ・ゴッホの攻撃を受け、無事でいられた人間だ」
ゼックンがオレを紹介すると周りはざわめき始めた。アレだな。ゼックンはリーダーなのかな?改めて見ると、結構な服着てるし。さすがはイケメン。所で、一つ気になる事が。
「察しが良かったらわかると思う。彼、エイジは___」
「なあなあゼックン。オレが攻撃受けたって言う、ア・ドライグ・ゴッホってなに?」
「……え」
「もしかしてあの赤い地団駄ドラゴンの事かな?そうだよなぁみんな」
「じ、地団駄……」
あ、あれ?なんでみんな顔引きつってんの?ゼックンまで引きつってさ。自己完結しちゃったけど、間違ってないだろ。
そんなこと思ってると、隣の方から声が聞こえた
「いたいた!サーゼクス!おい見たか!ドライグの上にぃ!!!」
「お!ダンディなお兄さんじゃないか!無事だったんだな!てっきり地団駄……ドライグにぶっ飛ばされて、おっちんじまったかと思ったぞ!」
「なっ!なっ!なあっ!」
オレとゼックンを物凄い速さで交互に見ている姿が可笑しくて笑える。ボロボロだけど、なんか面白いお兄さんだ!
「俺は悪い夢でも見てんのか……。お前!ドライグの脳天で、全裸で何してたんだよ!」
「何してたって、そりゃあ___」
何やかんやあってアザゼルもとい、ゼルゼルと友達になり今の現状を聞かされた。簡単にオレなりに分かりやすく纏めると
悪魔・天使・堕天使で争っていたよー
けど赤のドライグ。白のアルビオンが紅白歌合戦(覇を競っいあう)をおっぱじめたよー
とばっちりをくらった三勢力は「戦争なんてやってられねえ!!俺たちの歌を聞けえええ!!」って協力しあって、赤白を封印するため今頑張ってるよー。だ。
なんだ、アッー!じゃなくてケンカか。しかも他所に迷惑の掛かるケンカとか最悪だな。アッー!だったらこんな事に…………、なったな確実に。もっと酷い方向にシフトチェンジしたはず。残念だ。ドラゴン達と友達になれると思ったのに、どうやらおいたが過ぎた様。これはおしりぺんぺんに加えてお仕置きが必要だな。ベルクロスもおねんねから目覚めそうだし。
「なるほどなー。そうだったのかー」
「エイジ。お前わかってないだろ!」
「いんや。大体はわかった。要はみんな仲良くなったって事だろ?ゼルゼル?」
「馴れ馴れしい奴だなぁ。視方によっちゃそうだ。が、……正直な所、俺たちは今こんな事してる暇はない。こうしてる間にも仲間たちがあいつらに挑み、散っていっている」
「そうだな。すまないがエイジ。君には不思議な力を感じるが、如何せん人間。部下が安全な場所に君を避難させる」
「んー……」
ゼルゼルの言う通り、どうにもオレはお邪魔虫のようだな。オレが思ったより必死だし、こうしてる間にも向こうでドンパチやってる。それとゼックンが言ってる不思議な力って、ベルクロスの事かな?ハッキリとは分かってない様だけど。まぁ知り合って間もないオレを、マジで心配してくれてるのは正直嬉しい。けどゼックン。心配は無用ってやつだ。
「ありがとゼックン」
「よし。ならさっそく___」
「ゼックンの気持ちは嬉しいけど、ここから離れるつもりは無いよ」
「はあ!?おいおい冗談だろ……。ハッキリ言うがエイジ。正直邪魔なんだよ。この作戦は是が非でも成功させる。その為には不確定要素を取り除きたい。お前がその不確定要素だ!」
「……」
「放っておいてもいいお前を、サーゼクスがわざわざ避難させると言ってんだ!お前には力がある様だが、それだけだ。ここは素直にどっかに逃げろ」
「やだね!二人の話を聞いて決めた!ドライグ達にお仕置きするって!」
「お前頭おかしいんじゃねえのか!?完全に頭のネジが2、3本ふってんでやがる!」
「オレは頭は悪いけどさ、頭にネジなんてついてないっつーの!」
「……エイジ。お前マジか……。っ!!」
オレとゼルゼルが言い合いしていたら、赤のドラゴンドライグが、火炎をこちらに放ってきた。オレにとっては避ける必要のない攻撃。けどみんなは触れたくないよう、あっという間に避け、散らばった。一瞬で火炎に飲み込まれたオレはこう思った。
アレだな。これはあっと驚かそうぜ!
おはよう。ベルクロス。
◇
「……っチ!」
クソッ!グダグダ言わず、無理やり避難させればよかった!当然だ!当然だ!!俺達とは違い、あいつは!エイジは人間!反応出来る筈がない!
「……クソッ!」
見ればわかる。今も尚燃え盛るドライグの火炎。助かるはずもない。骨すら残らず炭として残っていたらまだマシだろう。
「……」
「……」
最初は驚きはしたが、エイジの奴はどこか親近感をもてる。ゼルゼルだなんて馴れ馴れしく呼ばれても悪い気はしなかった。だからだろうか。短い時間だが、味方が散っていく悲しみをおぼえる。サーゼクスも俺と同じ心境だろうな。隣にいてそう感じる。
「ふん!今度こそ滅ぼした様だな。まったく。この俺が妙に手こずるとは。所詮は人間!多少は頑丈でも貴様らと同く脆い!弱い!羽虫同然!ヘラヘラと笑っている顔がたまらなく不快!」
「っ!」
「……」
沸々と、沸々と怒りがこみ上げてくる。俺達がバカにされたのにじゃない。俺達が弱いと言ったのでもない。俺は、俺達二人は、エイジをバカにされたのに腹が立つ!
「もう一度。もう一度言ってやる!神如きが、魔王如きが、俺たちの楽しみの邪魔をするな!ましてや人間?絵空事もいいところだ!」
冷静に。冷静に!頭をクリアにしようにも、この怒りは収まらない!ドライグが大層な言い様をしたが、頭に入ってこない。それ程に怒っている!
「どこからでもかかって来い!先ずは貴様らから屠ってやる!」
「行くぞ。サーゼクス。俺はもう我慢ならない!」
「まったくの同意見だ!」
今は作戦行動中だ。もちろん流れがある。本腰を入れるのは多少先だが、構わない!どのみち本腰を入れなければ成功できない!こいつらを封印できない!何の問題もない!
ドクン
「!?」
……なんだ!
ドクン!
何なんだ!
ドクン!!
この鼓動は!?
ドクン!!!
わからない!なんだこの鼓動は!響く。体に響く!発信源はドライグの火炎!恐らく皆同じだろう。隣にいるサーゼクスも、向こうで闘っていた連中も、火炎を放ったドライグも、燃え滾っている炎に目が離せない。
「!」
火炎の中に一瞬だが影らしきモノが見えた。ゆらゆらと熱気で揺れていたがハッキリと見えた。その影の左目が発光しているのを。
「くっ!」
「ふん!なんだか知らんがうっとお_____」
強烈な風が吹いたと思ったら、突然ドライグが勢いよく吹き飛んだ!けたたましい轟音と共にドライグが山にぶつかり崩れ去る。
予想外な事が起きすぎる!しかたない!状況が把握できるまで下がる!
「いったい何が起きているんだ!クソッ!おいサーゼクス!仕方ない!体勢を立て直すぞ!」
「……」
「おい聞いているのか!サーゼクス!」
「……」
サーゼクスの様子がおかしい。どんな状況でも常に冷静沈着な男が、ここまで取り乱すのか!だがいったい、何を見ているんだサーゼクス。俺の後ろに何かあるのか。あるのは燃え盛る炎だけだぞ。いったい何が_____
「グウウっっ!!!貴様あ!この俺を!このドライグを!ここまでコケにするとは……何者だあ!!!」
「……」
「お前もこいつら同様俺たちの邪魔をするか!いいだろう!いいだろう!!その体を捻り潰してやる!」
ドライグは恐ろしくないのか!アレが!俺ともあろうものが心底恐怖している。震えを抑えるのがやっとだ。おぞましい。なんておぞましい顔つきなんだ!直感でわかる。アレを相手にしたらダメだ!
「……退却だ」
「っサーゼクス?」
「退却だ!生存している者達に伝達!退却だ!今すぐ退却!」
「っ!!お前達!作戦は失敗だ!ここは退くぞ!」
「ああ…あああ……」
「おいしっかりしろ!気をしっかりもて!お前達!負傷しているものに手を貸して退却するんだ!殿は俺とサーゼクスがやる!」
危うく俺も部下みたく怖気ずくところだった。流石はサーゼクスだ。ここぞという時にやってくれる!
「アザゼル。君も感じていただろ。エイジに力が宿っている事を」
「ああ。もちろんだ。……!」
「察しがいい。流石だ。私も漠然としかわからなかった。だがあの「存在」が現れた瞬間合点がいった」
「う、嘘だろ!あのアホ面したエイジが!」
「間違いなく二天龍とあの「存在」の闘いは神話になる。良くも悪くも……な」
「!」
俺は今。物凄いモノを見ているのかもしれない!
リアルに怪我してるんで更新が疎かになってしまいます。苔のむすまで待ってくれたらハッピーです
感想まってま~す