いつものバスの行き先は...?   作:風月 雪桜

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初めての大晦日

「……」

 

俺は目を擦り眠気を覚ます

 

今日は大晦日か

まさか、異世界で年を越すとは1年前の俺には想像出来なかっただろうな

 

服を着替えて執務室に行く

 

さて、今日も1日頑張りますか

出来れば明日に書類を残したくない…

 

暫く執務をしていると

廊下から駆ける音がする

 

タッタッタッ、コンコンコン

 

「入っていいよー」

 

「し、失礼します!

綾波型駆逐艦2番艦敷波です!

本日の秘書艦を務めます!」

 

「ん、おはよ!

予定開始時間より2時間ほど早いけどどうしたの?」

 

「ふぇ?

あ、その…」

 

「私が呼んだんです」

 

敷波の後から大和が入ってくる

 

「敷波さんに教えることもありますし

それに司令官もお正月くらい休みたいですよね?」

 

「多少、俺が頑張れば終わる量じゃないか」

 

「その多少がダメなんです!

昨日も遅かったの私知ってるんですよ?」

 

「うっ…」

 

「あんまり酷いと、翔鶴さんに言いつけちゃいますよ?」

 

「そ、それだけは…」

 

はらはらしながら話を聞いていた敷波に、俺は改めて声を掛ける

 

「という訳だ…

今日1日よろしくな、敷波!」

 

「は、はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敷波の飲み込みが早く執務は凡そ終わり、吹雪達の乗っている四万十と石狩を待つことにした

コートを着て、マフラーを巻き付け、外に出る

厚着をしても冷気は服の隙間から入り込む

 

「寒っ…

さーて見えるかなー?」

 

埠頭に腰掛け水平線を眺める

 

暫くすると、足音とともにガコンと何かを置く音がする

振り向くと天龍と龍田がドラム缶を持って来ていた

 

「よ、しれー

四万十は見えるか?」

 

「いや、全然

俺も手伝おうか?」

 

「大丈夫だ

しれーはそこで黄昏ててくれ」

 

後ろから薪やら新聞紙やらを持っている第二十一駆逐隊のみんながいる

 

準備が終わり火をつけ始める

わぁという歓声を駆逐艦の子達が漏らしたから多分火がついたのだろう

 

「しれー

そろそろ温まったらどうだ?」

 

「ん…?

ああ、そうするわ」

 

手を擦りながら、ドラム缶の近くに寄る

 

「あったけー」

 

「貴様、今日は大晦日じゃのう?」

 

「そだねー」

 

「執務の調子はどうかや?」

 

「後は一、二時間もあれば終わるから心配しなくても大丈夫だよ!」

 

「なら良いのじゃ

必要であれば、いつでもわらわを頼るが良いぞ?」

「わ、私も頼ってください!」

「若葉もな」

「子日も、子日も!」

 

「今回は気持ちだけ頂くよ

ありがとう」

 

駆逐艦の子達を収めつつ、船が来るのを待っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「作戦が完了しました!」

 

「ああ、お疲れ様、吹雪

 

翔鶴も苦しい戦いだったと思うが全員ちゃんと連れて帰って来てくれてありがとう」

 

敬礼する吹雪と翔鶴に答礼して労う

夜戦部隊旗艦の金剛も労いたかったのだが、同じく労いに来てた提督の方へ行ってしまった

まあ、金剛にとっては提督に褒めてもらう方が、労いになるだろうし、ま、いっか

 

タラップから水上打撃部隊の面々が降りてくる

 

「お疲れ様、みんな!」

 

「ありがとう、司令官

でも、ごめんね、大した戦果挙げられなくて…」

 

「すみません、司令官…」

 

旗艦を務めた2人が申し訳なさそうに謝る

心做しか僚艦も落ち込んでいるように見える

 

「確かに戦果は挙げられなかったかもしれないけど、水上打撃部隊のみんなが駆逐艦を減らしてくれたお陰で夜戦部隊の突入も成功したんだと思う

感謝しているよ!」

 

2人とも少し気が晴れたのか、一言二言言葉を交わすと入渠しにドックへ向かった

 

「さて、俺達も執務室に行こうか

聞きたいことも幾つかあるし」

 

タラップを片付けた四万十と石狩に別れを告げ、ドラム缶の周りで会話に会話に花を咲かせる艦娘達に挨拶すると本棟に入る

談笑しながら歩いていると不意に後ろから声を掛けられる

 

「司令官!」

 

駆けてきたのか、息を切らしながら俺に要件を伝える

 

「工廠妖精さんからの言伝だよ…!

大鳳の艤装のことで相談したいんだって…」

 

「わかった、今すぐ行こう

吹雪も翔鶴もいいかな?」

 

「はい!」

「問題ありません」

 

「んじゃ、行こうか

時雨はどうする?」

 

「僕も一緒に行くよ」

 

物寂しそうに時雨は返事をする

 

工廠に着くと妖精さんが出迎えてくれる

 

「こんにちはしれーかん!」

 

「こんにちは!」

 

ベッドには大鳳が眠っている

 

「彼女の艤装はオーバーホールしないと使い物にならない程ボロボロですが、多分直せます!

ただ…」

 

妖精さんは1枚の紙を手渡しする

そこには資材の量が書かれていた

 

「これだけの資源が必要ですー」

 

「了解した

追加で必要だったら、遠慮なく言ってくれ!」

 

「分かりました!」

 

俺はひとつ質問があったので、訊いてみる

 

「ところで、大鳳はいつ起きそうだ?」

 

「んー、明日の朝には目を覚ますかも知れませんが保証は出来ないですー」

 

「わかった…

明日、また来てみるよ」

 

「その時にはお菓子お願いしますね!」

 

「ああ、分かったよ」

 

俺は指切りげんまんを妖精さんとすると工廠を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

執務が終わり、食堂に行くと既に多くの艦娘達が席に着いてテレビを見たり、話をしている

 

「ほぼ、全員入渠終わったみたいだな!」

 

「そうですね!

 

あ、あそこ席空いてますよ!」

 

俺達4人が席に着くと、丁度年越しそばが配られる

いい匂いだ…

 

配り終わると青葉がマイクを渡してくる

どうやら宴会前に挨拶をしろとのことらしい

 

パシャパシャと青葉写真を取っている中、俺は少し緊張しながら挨拶をする

 

「今回の作戦は轟沈を1人も出さずに成功させたことに嬉しく思う

来年も轟沈する子がいないよう、皆で力を合わせが頑張ろう!

いただきます!」

 

『いただきます!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年越しそばを堪能したあとは、皆で年越しまでのんびり過ごしていた

 

テレビでは都内の有名なお寺に人がごった返している様子を映している

 

その様子を見て凄いなぁとか人多いねとか口々に艦娘達は話している

 

そして、テレビがカウントダウンを始める

 

10…9…8…

7…6…5…4…

3…2…1




最後まで読んで頂きありがとうございます!

明日は投稿できるかな…
分からないけど頑張ってみます

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