独学で執筆したので、読みにくい可能性が高いと思います。
もし良ければ感想でこういう書き方にした方がいい、○○は減らす、増やした方がいいなどの意見を書いて頂ければ幸いです。
あと、今回のお話はちょっぴりしんみりとしたものです
さぁさぁと心地よい風で木々が揺れるの音が聞こえる。
目を閉じている状態なのか、何も見えない。オレは、何処にいるのだろうか。確かいつも通りにマシュと訓練をして、取り留めのない会話をして、別れた後、自分の部屋に帰ってきて、ベッドに、それで……
あぁ、これは夢か。
カルデアに来てからの不思議な夢については、ドクターから色々教えてもらった。その英霊の軌跡、平たくいえば、その人の歩んできた人生をサーヴァントのマスターは夢として見ることができる。
数回、そんな夢を見た。
人を裏切る立場へ堕ちてしまった魔女の物語。決して挫けることなく、戦場を駆け、死に立ち向かった天使の物語。竜と人の愛を育んだ聖女の物語。他には、スパルタな夢も。どの夢もしっかりとは記憶に残ってはいない。ただぼんやりと覚えているだけ。
今回は何かが違うと思った。いつもならフワフワとした、自分を確立できていない意識の中で見ていた夢。けど今はどうだろうか。しっかりと自らの足で立っている感覚がある。いつもの服を着ている感覚はあり、靴は寝る前に脱いだのが理由か分からないけど靴下を履いている。そして、森独特の匂いが仄かにする。
ふと、目を開けてみる。
そこは暗い闇の中であった。しかし、幾本の光の筋が天井の穴から差しており、その穴からは小さな星々と一つの大きな満月が鎮座しているのが見える。
月の光のお陰で視界は悪いが見えないことは無い。分かったのは、木で作られた古い廊下の様な場所。そして、そこには誰かが争ったのか、酷くボロボロで至るところに穴が空いていたり、表面の赤漆が剥がれてた。
「いや、何処だよ!」
思わず声が出てしまった。そんな声に反応したのか不意に、ボッ、と目の前に小さな炎が現れた。その朱色の炎は廊下を明るく照らしながらゆらゆらと動き、廊下の奥へと進んでいく。そんな動きをじっと目で追っていると、唐突に炎はその歩みを止めた。付いて来い、ということなのか。その炎が進んだ方向に足を進めると、炎は一定の距離を保ちつつまた進んでいく。
廊下を少し進んだら炎は部屋らしき所に入った。そこもかなり荒らされたのか、壁や天井、よく分からない壺なんかの調度品が壊され、潰され、まるで部屋の中で嵐が起きたのかと見間違うぐらい酷い様子だった。けれど、炎は関係ないとばかりにどんどんと進んでいく。
部屋を抜けると次は縁側の様な廊下に出る。先程の廊下と違い、天井に穴はなく、右側には荒された部屋、左側は綺麗な夜空の景色だけが写し出されていた。そんな廊下を進んでいくと炎はまた動きを止める。そこには赤漆の盃がぽつん、とひとつ置いてあった。近づくと、炎は盃の上でくるくると回り始めた。明らかにこれを取れと指示している。しかし、罠かと思って見守っていたら炎が不機嫌?になったのか微妙に赤くなっている様な……
やっぱり、この盃を取らないと先に進まなさそうだ。
手のひらに収まるぐらいの盃を拾い上げると、色を戻した炎が今度は上下に運動し始めた。
恐らく、座れということだろう。大人しく足を外に出し、腰を掛けると、炎は徐々に小さくなり消えてしまった。残ったのは雲一つない空に小さく輝く星と澄んだ月だけ。月と星、たったそれだけでその景色は一つの絵画として成立しているように見える。そしてその光景はなんとも幻想的で、何も考えず、ずっと見ていられるという一種の麻薬にも似た代物だった。
「人間、そこから見る月はどうだ?」
背後から声が聞こえた気がした。妙に色っぽい女性のもので、聞くだけでその人が美人だと分かる、そんな声が。
「はい、とても綺麗です」
「そうか、それは良かった」
振り返らずに答えるとまた声が聞こえた。背後には何時から居たのか分からないが、誰かが座っている気配を感じる。後ろにいる誰かはそこから何も喋らなかった。そして再び訪れた静寂。しかし、このままという訳にはいかない。ずっと月を眺めていたいという欲求を押さえ込み、後ろにいる人物に問いかける。
「貴方は、この景色を見せるためにオレを呼んだのですか?」
「如何にも。ここに汝を呼んだのは吾だ。だが、月を見せたのは
確かに、こんな景色があるならば自慢したくなる気持ちも少し分かる気がする。出来れば唯々この景色を楽しみたい。けれど忘れてはならない。現在、後ろにいる存在は高確率で超越者。つまり、自分という一般人など容易く殺すことが出来るのだ。生き残る為には、現状を出来るだけ詳しく知る必要がある。
「そうですか。では、貴方の目的は?それと貴方は何者ですか?」
「なに、そう
目的は分かったが正体は不明。目的はいい、対話が目的ならすぐに攻撃されることは無い。一方、正体は全く分からない。が、恐らくかなりの年数を生きた人なのだろう。言葉に余裕を感じる。かの影の国の女王もこのような感じだった。妖艶な声も、全てを見通したような雰囲気も似たようなものだ。
後ろを振り向けば容姿が分かりある程度ヒントは得られる。
それに、声は聞き覚えのあるような無いような。そんな感じに後ろにいる人物の正体を解明しようと必死に足掻いていると、コトリと隣から音が聞こえてきた。確認するとそれは白い容器の
「あの、これは……徳利ですよね」
徳利とは一種の酒器であるくらいは知っている。つまり、中身はお酒。しかし自分はまだ未成年だ。外国の法律では知らないが、日本の法律では普通にアウト。一部のサーヴァント達は勧めてくるが、カルデアでもマシュと共に飲酒厳禁である。
「そうだが?まぁ、昔は
明らかに二十歳は越えていないであろう人に、なんの気兼ねもなく酒を勧める。
「すみません、未成年……ええと、大人じゃないからお酒は飲んでは駄目と、何度も注意されているので」
「……そうか。汝はまだ子供か。故に酒は飲めんと」
「はい、そういうことに……なります」
未成年という言葉を変え、何とか説得してみたものの……。果たしてこれで通じたのだろうか。大抵の場合は誰も見ていないと大丈夫と、飲ませようとしてくる。こちらも出来るだけ抗うつもりだけど、最終的に殺されるなら飲む覚悟は出来ているつもりだ。
「ふふ、別に飲めない事を気にするな。それにしても子供か。そうだな、それがいい」
どうやら納得してくれた。してくれたはずなのだが……、後ろでクククと笑うのは止めてくれませんか。物凄く不安になるので。
「汝には色々と聞きたいことがあった。汝の好きな物、嫌いな物。今は何を考え、何をしたいのか。欲しいもの、或いは捨ててしまいたいもの。惚れた相手は、殺してしまいたい相手は、など些末な問い掛け。
鬼と人との関係はどうあるべきか、
後ろの人物は一度言葉を区切る。
――刹那、激しい頭痛が襲いかかってきた。視界は歪んで、四肢はろくに力が入らなくなっていく。座っているのか立っているのか、全てが曖昧になってきた。
「『子供は
あぁ、次の
せめて、どんな姿しているのかだけでも。体の力はすでに殆ど無く、前に倒れそうになる。働かない思考の中で、なんとか体を捻ろうとする。残念な事にハッキリとは見えなかったが、視界の端にギリギリその姿を映すことは叶った。
黄色の着物を着崩し肩を出した、髪の長い金髪の女性がこちらに背を向けている、そんな後ろ姿が。
次の話は明日の正午に起承転結の『承』『転』投稿します。
4話目の『結』は明日の夜に投稿したいなって思ってます。