とあるカルデアに茨木童子が召喚されたようです   作:九蛇

7 / 8
お前の次の台詞は『ただのダイレクトマーケティングだ、これ!』と言う!


という訳で続けて投稿です。
書いてて今更分かった。マンガ的表現はマンガだからこそ出来るのだと。


子供と大人・転

 

「それでは、早速始めていきましょう!出張版教えてFGOのコーナーです!ネットにある公式スピンオフ漫画、作者は津留崎優様、タイトルは『教えてFGO!偉人と神話のぐらんどおーだー』という作品のパ――リスペクトかつ、内容を少々拝借していこうと思っています。

今回のお話は、この小説を読む前、若しくは後にそちらを読むことを強くをおすすめします。こちらも出来る限り分かるようにしますが、やはり公式の力は偉大。あちらの方が非常に分かりやすく面白いです。そして、四月八日に単行本が発売されます。私はもう予約しました。いつもの事ながら、無許可ですが多分大丈夫なはず。もしもの時は謝って消せばいいんです。これもいつも通りです。

という訳で、今日の内容は大江山の首魁こと『茨木童子』さんです!」

 

「ますたーますたー」

「どうかした?」

 

(まれ)魔酒(ましゅ)の言っている事が分からん時があるんだが。(なれ)はどうだ?」

 

「んー?あんまり気にしたら駄目だよー」

 

「何故そんな棒読み臭いのか……」

 

 

 何事も気にしすぎては駄目だ。寛大な態度で全てを受け入れようとすることが重要なのだ。

 そして、そんな微妙に呆れた顔の茨木童子は未だ吊るされたままである。

 

 

「ではまず、基本事項からいきましょう。平安時代に大江山を拠点に京都の都を荒らし回ったとされる『鬼』の一人、それが茨木童子という鬼です。さらに、茨木さんは大江山で四天王を率いていたらしいですよ」

 

 

 四天王!また四天王キタ!でもここで興奮したらマシュの講義が途絶えてしまう。我慢だ、オレ!

 

 

「そして、そんな大江山のに来た客分としてやってきたのは酒呑童子さんです。因みに、御伽草子等では大江山の鬼の頭領は酒呑童子さんで、茨木さんはその腹心とされていたんですよ」

 

「へぇー」

 

「あぁ、そうだ。酒呑は吾が食客として呼んだのだ。鬼を志す者としては、あれ程鬼として完成されている者居らぬよ。故に頭領の立場を一度譲ったのだが……。面倒だからと言い、また吾に返したのだ。恐らく、そこら辺が話をややこしくしているのであろうな」

 

「確かにややこしいな」

 

「はい、ややこしいです。さらに付け加えるなら、茨木童子という鬼は男性説、女性説の二つもあり、酒呑童子とは親子関係だったり、恋人関係だった説も存在しているんですよ」

 

 

 流石は変化Aのスキルを持っているだけあるなぁ。あぁ、噂があり過ぎて頭がこんがらがってきた。

 

 

「さて、ここでおさらいです。以前、坂田金時さんと一緒に酒呑童子退治についての勉強をしました。先輩は何か覚えていることはありますか?」

 

「確か、頼光さんが頼光四天王と共にリアルRPGをして、受け取ったお酒で酒呑童子を酔わせて討ち取ったっていう話だった気がする」

 

 

 それに、頼光さんは山に乗り込む時に山伏(やまぶし)の格好をしてたんだっけ。見てみたいなぁ、頼光さんの山伏のコスプレ。

 

 

「はい、大体あってます。それで酒呑童子さんがその時居た山、それが大江山だったのです。」

 

「ん、あれ?ということは酒呑童子が討たれた時、茨木童子はその場に居たんじゃ?」

 

「はい、居ました。しかし、茨木さんはその襲撃の中、唯一生き残った鬼なのです」

 

「唯一生き残りって、()()頼光さんから逃げ切ったってこと!?」

 

「はい、()()頼光さんから逃げ切ったのです。その時茨木童子以外の鬼は全員退治されたらしいですけど」

 

「あぁ、そうだ。頼光め、毒入りの酒など卑怯な真似をしなければ仲間と共に返り討ちにしてやったのに。思い出しただけでも忌々しい。やはり源氏にはろくでもない奴しかおらんな」

 

 

 確かに、羅生門や鬼ヶ島の時の逃走は見事なものだった。何度も追いかけたのは今ではいい思い出だ。

 

 

「それで、逃げた後はどうしたの?」

 

「はい、茨木童子が逃げた後には様々な諸説があって今回はその内の一つ、羅生門とについて私が書いた絵を交えて説明させて頂きます」

 

 

 するとマシュは赤い2階建ての門の様な建物の絵を取り出した。

 

 

「マシュの絵って……うお!何だかすごく上手くなってる!」

 

「ダヴィンチちゃんとの修行の末、背景画の技術を上達させました。二次創作なので基本やりたい放題です」

 

「まぁ、例え上達したとしてもこれは漫画じゃなくて小説だからね。絵が上手くなったとしても全く伝わらないよ」

 

「先輩、それは言っちゃいけません!取り敢えず、話を戻します。命からがら逃げ切ったその後、茨木童子は怨みを晴らそうと、平安京にある一つの楼門『羅生門』に棲みつき、反撃の機会を伺っていました」

 

 

 次にマシュが取り出した絵は、人の形をした余白に名前が書いてあるだけだった。そこら辺は全然成長してない――寧ろ退化しているような。

 

 

「一方その頃、大江山の鬼退治が終わってしばらくの時間が経過し、源頼光以下四天王たちが集った酒宴の席で、近頃羅生門に鬼が出るという話になりました。ここで頼光四天王が戯れで肝試しをしようということになり、四天王の一人、渡辺綱という人物が一番手で羅生門に向かいます。しかしそこには鬼は居らず、ただ若い美女がただ一人佇んでいるだけでした。」

 

「ということは、その美女が茨木童子っていうこと?」

 

「はい、渡辺綱が話しかけると美女は(たちま)ち姿を変え、鬼となり襲いかかります。そして格闘の末、渡辺綱は鬼の腕を斬り落とすことに成功し、鬼は何処かへ逃走したのです」

 

 

 鬼の腕を斬るって昔の武士は一体どうなっていたんだろう……。皆、筋肉お化けとか。いやでも頼光さんは余り筋肉とか無さそうだしな。

 マシュは、次の絵に変える。

 

 

「その後、腕を拾った渡辺綱は源頼光を通じ、知り合いの陰陽師——安倍晴明という説があります——に相談します。すると陰陽師は彼にこう進言しました。『必ず鬼が腕を取り返しにやって来るから、七日の間家に閉じこもり物忌みをし、その間は誰も家の中に入れないように』と。

渡辺綱は忠言通りに、貰った護符を家中に貼って物忌み、つまり厄払いのための清貧と自宅謹慎を決行。腕を取り返しに来た茨木童子と七日七晩の根比べに突入します。それから数日間、茨木童子はあらゆる手を用いて渡辺綱の屋敷へ侵入しようとしますが、渡辺綱の唱える仁王経や護符の力によって入ることは叶いませんでした。」

 

 

 何日も襲撃を仕掛けるのもすごいけど、それをじっと耐える人間も忍耐力が大分おかしいな。

 またマシュの絵が変わる。これは多分、お婆ちゃんの絵かな?

 

 

「そして、七日目の晩。渡辺綱の養母、或いは伯母が突然彼の屋敷に訪問してきます。彼は事情を話し決して彼女を屋敷に入れようとしませんでしたが、彼女は「幼いころ大切に育てた報いがこの仕打ちか」と嘆き悲しみました。それを聞いてしまった渡辺綱は、親子の情に勝てず、言いつけを破り屋敷に上げてしまいます。

鬼を討ったと噂を聞き付け、心配してやって来たと言う彼女は、彼が切り取ったと言う鬼の腕を見たいと申し出ます。そして、唐櫃という箱に封印されている鬼の片腕を彼女に渡しました。彼女がそれを手にとってじっくり見ていると、彼女の体が突然、鬼の姿へと変化します。なんとその姿は羅生門の時に会った鬼、茨木童子だったのです」

 

 

 なるほど、親族にまで化けるとは。変化Aを持っているのは、色々な説があるだけでなくこんな事まであったからか。

 

 

「そして茨木童子は自らの腕を持ったまま飛び上がり、そのまま空の彼方に消えてしまいます。以後、茨木童子が人前に出たという伝承はありません」

 

「え!これで終わりなの?」

 

「はい、摂津の民話では実家に帰ったという説もありますが、基本はこれでおしまいです」

 

 

オレはてっきり、『テメェー等全員ぶっ殺すまで吾は絶対止まらねーぜ、ヒャッハー!』状態になると思ったけど襲撃したのは1人だけだったんだ。

 

 

「どうした、(なれ)?まるで何故もっと暴れなかったのか?という疑問に満ちた顔だな。

それにしても、これは煎餅か。煎餅は別段不味くは無いがやはり菓子とは甘くないとな。ん!?この雪の里という煎餅……、煎餅なのに甘い!何これ!」

 

「うーん、やっぱり顔に出やすいのかな……。って、いつの間にか脱出してる!!」

 

「はっ!すっかり忘れていました。鬼は元々盗賊だったという諸説があります。そして本人曰く、鍵開けと音消しは鬼の中でも右に出るものはいないらしいです。拘束状態からの脱出も容易だったのですね」

 

 

 さっきから喋ってなかったと思ったら、そんな事をしていたのか!

 それに、机の上に置いてあったお菓子の山が無くなってるし、茨木童子の傍には所々お菓子がはみ出て、パンパンに膨らんだ風呂敷がある。その風呂敷も何処にあったんだよ!

 

 

「ダヴィンチちゃんが隠し置いてあるであろうお菓子の棚が悲惨な状況になっています!しかも、お菓子以外の物が積み上がって今にも崩れそうな程不安定です!私はこちらを対処しますので先輩は茨木さんを!」

 

 

 哀れ、ダヴィンチちゃん。でもよく人のお菓子を食べていたからな……。うん、自業自得という事にしておこう。でも、一応注意だけはしないとな、ってまた居ない!

 

 

「くはは!貰うものは貰ったし、吾はもう行くとしよう。魔酒(ましゅ)!ついでにますたー!良き昔話だったぞ、褒美として金平糖を十個やろう。仲良く分け合うが良い。

何?数が少ない?そんなことない、汝等にはこれで十分だ!ひもじい思いをしながら泣き喚くがいいわ!くくく、あーはっはっは!!」

 

 

 机を見ると丁寧に積み重ねられた金平糖の本当に小さな小山が会った。そして、もう用はないとばかりに茨木童子は部屋を出ようとする。立ち去っていく彼女のその小さな背中に違和感をあるような気がして、オレは――――

 

 

「茨木童子!子供が大人になるにはどうすればいいと思う?」

 

 

 茨木童子の動きが止まる。そして、ゆっくりと振り返った彼女の表情は面倒くさそうな、非常に呆れたものだった。

 

 

「そんなもの、知ったことか。吾に聞くな。そもそもその問の答えを聞こうとする奴など、死ぬまで子供であろうよ」

 

 

 彼女はそれ以上何も言わず、去っていってしまった。茨木童子は全く質問に答えてくれなかったけど、オレには十分すぎるくらい、今夜どうすればいいか教えてくれた。

 だから、もうこれ以上は深く考えない。それよりも、この手元にある十個の金平糖をどうするか。マシュと相談しないといけないな。

 

 

今日もきっと平和だ。

 

 




マシュ「ところで茨木さんはこの贋作聖杯、置いていって行きましたね」

マスター「本来の目的を完全に忘れてるね」




後書き

表現力とそれを文字に起こす言語力が欲しい、ただそれだけ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。