君と俺と私の名前 ~YOUR NAME is ULTRA〜 作:ドンフライ
「なるほどね……流石テッシーや」
『俺もまだまだ三葉の友達には敵わないよ……』
瀧くんには瀧くんの良さがある、と宥めつつも、スマホを手に当て続ける三葉もほぼ同じ意見だった。あの日――彼女の記憶の中でずっと閉じ込められていた、忌まわしきティアマト彗星の日にも、テッシーやその幼馴染であるサヤちんが、自分の身を顧みず懸命に人々の命を助けるために尽力してくれたのだ。良き理解者に恵まれた瀧くんがそう言うのも無理はない、と彼女は誇らしくなった。とはいえそう思っている三葉の体は今、その立花瀧の姿なのだが。
そして三葉は、スマホから聞こえる自分の声を真剣に聞き、自分たちが『怪獣』や『ウルトラマン』が普通にいるという世界に迷い込んだ可能性が高い、という仮説に大いに賛同した。それ以外にこの事態を説明する事は出来なかったからだ。
ただ、まだ疑問は残っていた。それならばどうして自分たちはこの「世界」にやって来てしまったのだろうか、と。
『確か、昔の入れ替わりは……』
「うん、ティアマト彗星から皆を、私を守るために……」
あの時、何度もなんども入れ替わる中手間過去と未来が文字通り結ばれる事で、2人は途轍もない奇跡を生み出す事に成功したのだ。その代償として、長い間その記憶は閉じ込められてしまったのだが、今はその事を思い出す番ではない、と三葉も瀧も気持ちを入れ替えた。
「あの入れ替わりにも意味があるとしたら……今回も?」
『だけど全然分からないぜ……そもそも別の世界にわざわざ行く用事なんて無いよな?』
「うんうん、別に他所の世界に忘れ物なんてしとらんし」
能天気な例えに双方くすりと笑った後、2人は取り敢えず今後も現状維持に努めよう、と約束しあった。いつ元の世界に戻れるかと言う事が分からない以上、あの時のように様々な情報を集めながらこの世界に馴染んでいくしか無さそうだ、と考えたのである。そして、その中で三葉にある思いが浮かんだ。もしかしたら今のようにこの別の世界の中でも双方の入れ替わりが頻発するのは、この「情報収集」をし易くするためのボーナスなのでは無いか、と。
『ぼ、ボーナスって……三葉はそうかもしれないが俺はまだ大変なんだがな……』
「ま、まあ今のところは大丈夫なんやろ?この機会に、私が学んでる分の専門講義をじっくり受けてみたら?」
そうすれば、元の世界に戻れた時に何か良いアイデアの素になるかもしれない、と三葉は前向きな考えを示した。勿論、瀧はそのアドバイスをありがたく頂戴する事にした。
そして、互いに眠くなり、ぐっすり寝る事にした、その時だった。カーテンを閉め忘れた部屋の窓をふと見た三葉は、夜空の遥か彼方を何かが飛び、それを別の何かが追っている事に気がついた。
『……どうした、三葉?』
「ううん、何でもない……」
よく分からないけど、気にするほどの事態ではないだろう――そう考え、ゆっくり眠りについた三葉。だが翌日、元の体に戻った彼女は、スマホを見た途端唖然とした。あの飛行物体は些細なものだったどころか、下手すればこの街に途轍もない災害を巻き起こしかねないものだったからである。
幸い、Xioやウルトラマンの活躍により、遥か遠くにあるアンデス山脈から光輝く都心を襲おうとしていた怪獣ザンバは無事退治され、『スパークドールズ』として確保されたようだが……。