モモンガさんとファーマー忍者(仮)   作:茶色い黒猫

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月末前に帰省予定です。
それまでにもう一話上げたいところ(汗


第11話

 ユリとペパロニが玉座の間から退出するのを見送った二人は、途中になっていた話の続きをする。

 

「で、なんでしたっけ? 指輪がどうとか?」

 

「そうです。彗星の指輪の能力が変わっていたと言っていたので、詳しく聞きたいと思いまして」

 

 モモンガの問いに、ゲームの時との違いを説明するピメント。話を聞いたモモンガは、自分達が危うい状況にいるのではないかと危惧し、険しい声を出す。

 

「まずいですね。指輪だけじゃなく〈腹話術〉などの効果も変わっていましたし、自分達の能力がゲームと変化していないか調べる必要があります」

 

 モモンガの提案にピメントも頷き賛同する。

 

「ですね。さっきのジャンプで人間だった時とは段違いの性能なのは分かりましたが、ここの世界の生き物の強さを知る前に自分の強さを確認しないと、判断に困る」

 

 二人の脳裏には、ギルドきっての策士であるぷにっと萌えも言っていた『敵を知り、己を知れば百戦危うからず』の言葉が思い出されていた。

 

「交渉するにも戦うにも情報は必須ですからね。交渉出来る生物が存在している事が前提ですが」

 

「交渉事はモモンガさんに任せていい? 二人で多数決も無いですから。余程の事がない限りはモモンガさんの決めた事に反対はしないです」

 

 思わぬ提案にモモンガは難色を示す。ギルドが出来てから今までギルドの方針は多数決で決めてきたのだ。ゲームと違い、本当の生死が懸かるかもしれない異世界で、自分の一存で判断するのは重すぎる。

 

「私だけの判断で決めるのは重すぎます。ピメントさんの命を預かるって事ですよ?」

 

 その反論に、ピメントは真剣ながらもあっけらかんとした態度で返す。

 

「預けますよ。さすがに死ねとか確実に死ぬのは断りますが、モモンガさんがそんな交渉に乗らないのは分かってます。――それに」

 

 髑髏に灯る赤い炎を獣の眼で見ると、様々な決意を強い口調に変えて告げる。

 

「最後まで“ここ”に残るのはモモンガさんです。助言や思った事は伝えますが、決めるのはモモンガさんじゃないと駄目だ」

 

 いつか訪れるかもしれない“別れ”を含ませた友人の言葉に、モモンガの無いはずの心臓が締め付けられる。だが、帰還を応援すると決め、そしてまだ別れが確定した訳では無い、と気持ちを鼓舞したモモンガは、友人の言葉を受け入れる。

 

「分かりました。ですが相談には乗ってくださいね」

 

「当たり前ですよ。物理的に乗られるのは嫌ですが。骨だし」

 

 自分を抱いてイヤイヤと身をくねらせる猫耳獣人の姿は、正体さえ知らなければ欲情を呼び起こすものだったが、正体を知る友人には神経を逆撫でする効果しかなかった。

 

「……〈火球〉」

 

 理由の有る魔法攻撃がピメントを襲う。

 

「あつぅい!? 乙女の柔肌になんて事すんですか!」

 

「〈火球〉くらい顔面で受け止めても何ともないでしょう」

 

「いやぁ、ゲームだとダメージ無しです済みますが、リアルになると火傷する程じゃ無くても熱は感じますね。これ斬撃とか刺突耐性で刃物防いでも、鈍器になるかも」

 

「ふむ……その辺りも要検証ですね」

 

 思わぬ形で検証する事が増えたところで、モモンガは装備品の事を思い出す。

 

「そう言えば、ピメントさんが使っていた装備品は宝物庫に置いてありますが、取りに行きますか?」

 

「え? 売ってなかったの?」

 

「好きにしてくれ、と渡されたので、いつ戻っても良いように取ってありますよ。武器と防具は神器級で、他も伝説級でしたよね」

 

 ギルドマスターの気持ちがありがたかったが、かつての装備品の外装を思い出したピメントは、今の身体に装備した姿を想像して難しい顔をする。

 

「確かに性能は良いんですけど…… 前は身体の中に取り込んで性能を発揮する。って形だったので外装微妙なんですよね……」

 

 装備した物がアバターの見た目に反映される事がユグドラシルの人気の一翼を担っていた中で、ピメントはガスの塊の様なアバターをしており、装備品が見た目に反映されなかったのだ。

 武器で直接攻撃すれば、身体から武器が出てきて見えはするが、後衛職でアシストがメインのピメントが直接武器を振るう事は稀であり、手間と金を使ってまで外装を弄る事はしなかったのである。

 

「武器は見た目が魔女っ娘ステッキですし、防具は真っ黒なロングコートでチグハグ感が半端ないんですよね」

 

 防具であるロングコートは、所謂ナポレオンコートと言われる、二列のボタンが並ぶシンプルなコートであり何の問題も無さそうだが、ピメントの所持するインナー防具で使えるのが鎖帷子しかなく、合わせて着た姿は、ドイツ語を素直に格好いいと言えるピメントでさえ精神的にツラい物があった。素肌コートは女体になった事を除いても論外だ。

 

 ただ、インナー防具は遺産級や聖遺物級になるがペパロニのクローゼットや、収集癖のあるモモンガが適当な物を持っているだろうから借りる事で解決するが、問題は武器の方である。

 

 

 

 魔法少女達が主役の人気ゲームがTVアニメ化されるにあたり、ユグドラシルで期間限定のタイアップイベントがあり、イベントポイント上位者に配布された限定武器が、この魔女っ娘ステッキだ。

 

 個々の装備品が既に完成されていたアインズ・ウール・ゴウンの面々は、初級から中級者向けのイベントだった事もあり参加するメリットが無かった為、イベント自体をスルーする予定だったが、一人だけそれでは気が収まらない人物がいた。ぶくぶく茶釜である。

 

 実はアニメ化されたゲームは元が十八禁であり、ぶくぶく茶釜も主役級のキャラで出演していた――エロゲー好きのペロロンチーノが姉が出演しているのを知り落ち込む日常があった――のだが、アニメ版では声優の一部変更があり、それにぶくぶく茶釜も含まれていた。

 それ自体はよくある事なので、腹は立つものの受け入れていたぶくぶく茶釜だったが、それを知った時に弟であるペロロンチーノの「ざまぁw」の一声が事件の引き金になった。

 

 ゲーム中でペロロンチーノを九割殺しにしたぶくぶく茶釜がイベント参加を提案し、ペロロンチーノの惨状を目にしたギルドメンバー達の賛成多数でギルドでの参加が決定した。

 

 結果、ユグドラシル上位ギルドの本気でイベントランカーを総ナメにして賞品をほぼ独占し、アインズ・ウール・ゴウンのDQNさを更に知らしめた。

 だが、賞品自体はメンバーに必要とされなかったので、ギルド内の生産職のメンバーに素材として譲渡しようとしたのだが、原作ゲーム知識を持つペロロンチーノが、

 

「六本のステッキを掛け合わせたら、究極のステッキになったりして」

 

 と冗談めかして言った事で、やってみようとなり実際に出来てしまった。

 イベント上位十名にしか配布されない武器が六本必要と、ふざけた設定に全員が運営に憤る一幕もあったが、神器級になり性能もレアリティに相応しい物になったステッキが完成した事と、世界に一つだけの武器という事で達成感を感じていたが――その扱いには困っていた。

 

 各々が拘りの武器を既に所持しており、ついでに異形種が揃うギルドメンバーには可愛らしい見た目が敬遠された。

 更に、肖像権が生きている作品のデザインを模した武器はBANの対象になる中で、問題なく所持しているのを見られた場合に、話題になって狩りの対象になる可能性が高い。

 そんなこんなで、お蔵入りになるところだったのを、ぷにっと萌えが、

 

「ピメントさんに持たせましょう。彼なら装備しても見えませんし、武器を振るう事もほぼありません。不要になればペパロニに譲ってしまえば無駄になりませんし」

 

 と言った事がギルドの総意になり、ピメントに押し付けられた。

「すぐにペパロニちゃんに渡してもOK! 魔女っ娘衣装も用意する!」

 などと興奮したバードマンもいたが、肉体言語で黙らされた。

 

 

 

 

 

「うーん、武器は有りますしステッキはペパロニに渡して、コートと装飾品だけ使いますかね。で、何かインナー貸してくれませんか? インナーこれしかなくて」

 

 ピメントがお腹の部分の鎖帷子を引っ張りながら主張する。それを見たモモンガは苦笑しながらアイテムボックスを探り、女性用のYシャツを見付けて手渡した。

 

「何かのガチャのハズレですがどうぞ。私は着れませんから差し上げますよ」

 

 渡されたYシャツを拡げたピメントは、Yシャツとモモンガを交互に見る。その仕草に何かを感じたモモンガは、

 

「捨てられなかっただけです。あえて取っていた訳じゃありません」

 

 と言い訳するが、ピメントからは斜め上の台詞が飛び出した。

 

「それは分かってます。そうじゃなくて、出来ればブラみたいなのもください。動くと揺れるし擦れて違和感が……」

 

 それを聞いて、持っていないと反論したかったモモンガであったが、性的な事に厳しいはずのユグドラシルが、何故か下着は許容どころか、男性用女性用共に種類が豊富に用意され、デザインも出来る仕様だった。

 考えてみれば、PVPでズボンやスカート等の装備をドロップしてしまった場合に、裸はまずいとの判断だろうが、拘りが暴走しているとも言えた。

 

「女性に下着をプレゼントする日が来るとは思いませんでした…… しかも、それがピメントさんだとは……」

 

 心にダメージを受けたせいで抑揚の無い声を出し、これもハズレガチャのビスチェセットを渡したモモンガに、更に追い討ちがくる。

 

「さんきゅー、モモンガさん…… これファスナーじゃないみたい、フック留めるの手伝ってー。考えてみたら妹と同じ顔したペパロニに着替えを手伝ってもらうのは恥ずかしい」

 

 言いながら胸に巻く布を外そうとするピメントの姿に、慌てて背を向けたモモンガが大声で抗議した。

 

「こ、ここで脱がないで! 他の一般メイドに手伝わせてください!」

 

 モモンガの言葉に、長い入院生活で着替えを手伝ってもらう事に慣れていたピメントは「それもそうか」と受け入れたのだが、自室で他のメイドに着替えを手伝わせ、自分は手伝わせてもらえないペパロニが泣いて拗ね、ピメントは簡単に折れる事になる。

 ナザリックの一室で、恥ずかしげな猫耳女性の着替えを嬉々として手伝う少女メイドの図が出来上がるのは間も無くであった。




ステッキと言えば、築地野うな○ちゃんの『ムーンストライクメガトンアタック』ですよね(・∀・)え?知らない?
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