グンマーとトチギスの境界に住む博麗霊夢は、いつもにも増して強い異変の兆候を感じ、国道122号線上を吹っ飛ばしていた。
大理石の柱をぶち折り、ぶん投げて、空飛ぶ柱に飛び乗って腕組みをしての仁王立ちだ。
世が世ならアンゴルモアの大王といった豪胆ぶりである。
しかも飛んでいるカメラに逐一流し目を入れる余裕っぷりは世紀末民をあざ笑うかのようだ。
そして大理石の柱の持ち主は毎度のことながら、涙で枕を濡らすのである。
「やっかいな吸血鬼が1体。いや2体か? 頭が悪そうなのが救いかな… あと邪な魔法使いが2体。どちらも性格が悪そうね… そして、まな板のメイドが1体。これはこれは…ご愁傷さまねぇ」
トチギスの名産であるいちごの赤と、かんぴょうの白をイメージした巫女の衣装、大きな赤のリボンをのせた、ふるゆわロングな黒髪を、グンマー名物「からっ風」になびかせながら、霊夢は対象が放つ妖気を探っていた。
ふと見下ろぜば、信号機は赤青黄色の色別タイプのものから、赤城、榛名、妙義と文字別タイプのものに変わっていた。
すでにここはグンマーの深淵だ。
「霊夢、心のフンドシをキュッと締めるのよ」
自分に語り掛ける。
全身に気が巡り、まつ毛がピーンと先までのびた。
異郷のモノども排除のため、不毛の荒野を翔け抜ける、他人の家の柱に乗って。
薄情の巫女、出撃す。
――――――――――
フランちゃんはグンマーの大自然を彼女なりのやり方で堪能していた。
太陽光を体中に浴びながらアラレちゃんのキーンなスタイルで走り回って遊んでいた。
「吸血鬼は太陽光に弱いって? 残念でした。咲夜から貰った紫外線クリームを塗りたくったからちゃんちゃら平気よ!」
フランちゃんがカメラに向かってビシッと解説をいれてくれる。
「紫外線クリームって相当危険なシロモノよね…」
「日焼け止めクリームだろうに」
喫茶店のイジワル魔女さんチームのつっこみが入る。
ちなみに彼女たちのオーダーは「キャラメルペペロンチーノ」である。
店員さん達は、飲み物をだすべきか…スパゲティをだすべきか…
困ってしまい全員集まっての臨時会議中だ。
「あ、やべぇ。紫外線クリーム塗るの忘れてた」
カリスマグンマーちゃんが何か言っている。
そういえばこのグンマーちゃん。焦げ臭い。
茶色いしっぽから煙が上がっている。
カリスマグンマーちゃんは、このまま太陽光を浴び続ければ燃えて灰になってしまうだろう。
「レミリアお嬢様の危機ならば、仕方ありません。時よ止まれぃ」
謎の豊胸美女が、両腕両足を肩幅超に開き、能力を発現させる。
なんと、このメイドさんは時を止められるらしい。
静止した世界で、グンマーちゃんに日焼け止めクリームを塗りたくった。
「そして、時は動き出す…」
謎の美女は、ズレた偽乳のあんまんPADを直しながら、能力を解除した。
~何かしらの強い力を持ったヤツが国道122号線上を西進中!
野生のトラを追いかけまわして遊んでいたフランちゃんだったが、村内放送を聞いてトラへのチョークスリーパーを解除して逃がしてあげる。
トラは涙ながらにお礼を言って草むらへと消えた。
「じゃあねー花子。また今度遊んであげるねー」
フランちゃんはすんごい笑顔で手をブンブン振ってトラを見送る。
ちなみに花子はフランちゃんが勝手につけた名前で、そしてこのトラはオスである。
「強い奴はどこだー?」
フランちゃんは右手を額に当て、周囲の様子を伺う。
近くで見守っていたカリスマグンマーちゃんが、東の空からの異変に気付く。
東を指差しして、フランちゃんとを交互に見て、腕をフリフリ、おしりをフリフリ。
それで気づいたあんまん美女も、がに股百裂拳で東の空をあべしする。
そんな二人を見て、フランちゃんは負けじとハレ晴れダンスを踊りだす。
グンマーちゃんとあんまんさんの伝えたいことは1ミリもフランちゃんには伝わっていない。
「やっぱこいつら馬鹿だな」
黒白魔理沙は、頬杖をつきながら唐辛子入りのキャラメルペペロンチーノコーヒーを飲んでいた。
「とりまツベにうp完了」
貧血パチュさんも、同じ変な飲み物を両手でふうふうしながら飲み始める。
3人の暗黒舞踊の動画は少し話題になった。
店員がツイに上げた珍妙な飲み物を飲んでいる2人の画像はとても話題になった。