怪人バッタ男 THE FIRST   作:トライアルドーパント

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初めてハーメルンに投稿してから早くも二年。最初に始めた作品の筆が中々進まず、気分転換に書いた作品の筆が妙に乗っているこの状況。二年前の自分に見られたら「どうしてこうなった?」とか言われそうな気がします。

そして、今まで完成した作品を一気に投稿するスタンスをとっていましたが、今回初の予約投稿に挑戦。今回完成したのは合計4話。その全てが『刃牙』ネタが満載の『刃牙祭り』状態で、いつも以上に「ッ」が多い気がします。
それらを今日から一週間、一日おきに正午の12時に投稿していくこの試み。今までと今回と、どちらが良いのかアンケートを取って、今後の投稿の参考にしたいと思います。

今回のタイトルの元ネタは『仮面ライダー(初代)』の「危うしライダー! イソギンジャガーの地獄罠」。しかし、ショッカーを筆頭とした悪の組織の怪人達って、その思考回路が人知を遙かに超越している所為なのか、それとも脳改造された影響で改造前よりアホになっているのか、よく分からない感じの作戦が多々ありますよねぇ……。

2018/5/21 誤字報告より誤字を修正しました。報告ありがとうございます。

2020/10/26 誤字報告より誤字を修正しました。報告ありがとうございます。


第16話 危うしデク! 心操人使の地獄罠

全身の皮膚が溶け落ち、血の滴る鮮やかな深紅の肉体を晒しながらも、気絶した八百万をリカバリーガールの元に運び込む事に成功した俺は、扉を開けた途端に度肝を抜いた様子のリカバリーガールから、「“個性”の特性上から受ける事はまず無いだろう」と思っていた、噂に名高いナマナマしい治療を受ける羽目に陥っていた。

 

「CHUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUUU!!!」

 

「GIYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

 

俺の肉体は八百万のトラロックに蝕まれた所為か、怪我を負うと必ず発動するハズの「超回復能力」が発動しなかった為、リカバリーガールの“個性”『癒し』によって、強制的に治癒力を活性化して貰って対応する事にした。

 

そして、ありのままに起こった事を話そう。

 

リカバリーガールの恐るべき施術が終わったと思ったら、俺の肉体は二週間前のガリガリに痩せこけた時と同じ様な幽鬼の如き姿となり、治療中の全ての記憶が失われていた。

何を言っているのかワカらねーと思うが、俺も何が起こったのかワカらなかった。ただ、これは超スピードとか、催眠術とか、そんなチャチなモンじゃ断じてねぇ。もっとオゾマシイ、「施術の模様は、全患者の記憶から消え去る」と噂される、リカバリーガールにまつわる『雄英七不思議』の片鱗を味わった気がするぜ。

 

「取り敢えず、解毒はコレで何とかなったろう。だけど、代わりに根こそぎ体力を持っていかれたね。そんな状態でこれから戦えるのかい?」

 

「可能な限り体力を回復させようとは思います。兎に角、何か補給しないと……」

 

「無理なら棄権しな。棄権したってアンタの凄さは充分に知れ渡ってるよ。何でもネットじゃあ『雄英最恐の生物』とか言われてるみたいだね」

 

「……それは、喜んでいい内容なんですかね?」

 

「………」

 

「何か言って下さい」

 

「……まあ、『悪名は無名に勝る』って言うからね」

 

その言葉を聞いて俺は二回戦の出場を決意した。人は「過去を無かった事」にする事は出来ない。しかし「印象の上書き」は可能だ。その為には一刻も早く、この憔悴した肉体を回復させる必要がある。

俺はイナゴ怪人共にテレパシーで命令を下すと、ゆっくりと選手控え室に向けて歩き出した。そしていざ控え室に辿り着くと、中には第2試合に向けて闘志を漲らせている切島がいた。

 

「………」

 

「……えっと……」

 

「……俺は呉島新だ」

 

「いや、知ってっから!」

 

「……済まんが、少し此処に居させてくれ。邪魔なら廊下に出るが……」

 

「いや、俺はそろそろ出番だし、別に此処に居ても良いケドよ……大丈夫なのか、ソレ?」

 

「安心しろ。これから大丈夫にする」

 

「大丈夫に“する”?」

 

切島が怪訝な様子を見せた直後、控え室の扉が開くとイナゴ怪人達がおおよそ5~6人前の料理を運んできた。どうやら命令通りに、ちゃんと食堂から飯を買ってきてくれたようだ。

 

「さ、食うのだ、王よ」

 

言われなくても、元々俺の金で買った飯なんだから遠慮無く食うぞ。手始めにこの熱々の湯気が立っている卵焼きからいくか。頬張った瞬間、口一杯に広がる卵の甘さと、ふんわり食感が、実にうンめェ~。

食堂のおじさん事、ランチラッシュの業前に感嘆しつつ、八百万戦で負った怪我の治療で失った体力を回復させる為、只ひたすらに飯を口に運んだ。そして、イナゴ怪人達が持ってきた飯を食い終えたとき、イナゴ怪人1号があるモノを取り出した。

 

「食った様だな……それではデザートだ」

 

「……何だ、ソレは」

 

「イナゴジュースだ。全部で10リットルある。しかし、このままでは不完全だ。だから、コイツを混ぜる」

 

「『果糖』……。果実を精製した純粋な甘味料か」

 

「然り。コレを約4㎏。量は多いが、吸収率は無類だ」

 

そう言いながらイナゴ怪人1号は、バケツ一杯のイナゴジュースに、壺一杯の果糖を投入すると、それらをバシャバシャと素手でかき混ぜ始めた。衛生的に大丈夫なのかと大いに疑問が残るが、そうこうしている内に合計14㎏のイナゴカクテルが完成し、それが俺にバケツごとズイッと差し出させた。

 

「飲むのだ王よ。奇跡が起こる」

 

不思議な事なら既に幾度となく起こっているが……まあ、いい。不思議な事が起こるのには慣れっこだ。両手でバケツを抱え、少しずつ喉を鳴らしてイナゴカクテルを飲み込み、胃袋に流し込んでいく。

 

「おいおい、本当に大丈夫なのかよ」

 

「……猛毒に侵され、衰弱しきった王の肉体。其処へ闘争による更なる負担が加わり、人体最後のエネルギー貯蔵庫である、肝臓のグリコーゲンさえも底をついた。

闘争に加え、酷使に次ぐ酷使により、破壊され尽くした筋肉細胞達……。『細胞達【彼等】』は……復讐を誓っていたッ! 次なる酷使に対する復讐ッ! 今後もし同じ事態が起こったなら、必ず……必ず独力で乗り越えてみせるとッ!!」

 

そして、俺が14㎏のイナゴカクテルを飲み尽くした時、不思議な事が起こった。体の奥底から膨大な熱量が生みだされ、まるで加湿器の様に全身から水蒸気が噴き出し始めたのだ。

 

「……スゲェ」

 

「人ならぬ神の創造り給うた王の肉体ッ! 神の誓いし復讐に……『誤り【ミス】』は有り得ないッ!! 王は今ッ、トラロックを超えたッッ!!! 次のステージに立つッッ!!!」

 

捻りの効いたイナゴ怪人1号の言葉を即座に肯定できる程に、俺は確かに予感していた。空前絶後の……超回復をッ!!

 

「所で、烈怒頼雄斗よ。こんな所でのんびりして大丈夫か?」

 

「……あ! ヤベッ!」

 

急いで控え室を飛び出した切島を他所に、俺は全身の力を抜いてリラックスし、床に寝転がって休息を開始した。床は冷たいが、気にしない。

 

しかし、この超回復は二回戦が始まるまでに、ちゃんと間に合うのだろうか? そして何より、他の一回戦の試合を見る事が出来ないのは非常に痛い。そこで俺はイナゴ怪人達にある事を命令してから、ゆっくりと意識を手放した。

 

 

○○○

 

 

色々な意味で衝撃的な第一試合が終わり、切島が少々遅れて登場してから始まった第二試合は、お互いの“個性”が似通っている者同士の戦いと言う事もあって、第一試合とは別の意味で注目された一戦だった。

その試合内容は「互いに“個性”を使用して殴り合い、どちらかが倒れるまでソレを続ける」と言う、絵面としては大変地味だが、純粋に体力と精神力が試されるモノであった。

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」

 

「セイヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

『またもや相打ちィイーーーーーーーッ!! とても人間を殴ったとは思えない、まるで分厚い鉄の扉に流れ弾が当たったかの様な音が、再びスタジアムに響き渡るゥ~~~~~~~~ッ!!』

 

『そんな音聞いたことあるのか、お前』

 

『正に一進一退の攻防ッ! 実力伯仲のこの試合ッ! 勝利の女神が微笑むのは、一体ドッチだぁーーーーーーーッ!!』

 

『無視か』

 

イナゴ怪人V3の実況を他所に、“個性”で強化した拳を武器に、壮絶に打ち合う両雄。試合は思いの他長引いていたが、ダメージは確実に蓄積されていき、精神も次第に摩耗していった事で、お互いに限界が近づいていた。

 

「「ウゴォオッッ!!」」

 

そして切島の拳が鉄哲の頬を、鉄哲の拳が切島の頬を捉え、両者の脳が激しく揺れる。足の力が抜けていく中、切島の脳裏に浮かんだのは、限界を超えて戦い続ける事が出来る理由を語るクラスメイトの言葉と、自分が憧れたヒーローの言葉だった。

 

『あん? 別にそんな大した事じゃ無いぞ? 俺が目指すヒーロー像。俺がそうなりたいと思った「原点【オリジン】」。ソイツが限界を超えて俺の体を突き動かした……ただそれだけのハナシだ』

 

「(俺の……『原点【オリジン】』……)」

 

『タイマンてなぁ、「技術【ワザ】」じゃねぇんだよ! タイマンはよ、性根でやるモンだ! つまりは度胸と根性よ! ならタイマンなんぞ、カンタンなモンよ! 度胸と根性出しゃいいんだからよおッッ!!!』

 

「……ッッ!! おうるぁああああッッ!!!」

 

切島がそうなりたいと思い、心から目指したヒーロー像。それに背中を押された事で、切島は無理矢理足を動かし、辛うじてその場に踏み止まる事が出来た。

対する鉄哲は仰向けに倒れており、発動していた“個性”『スティール』が解け、肌が銀色から肌色に戻っていた。

 

「鉄哲君、戦闘不能ッ!! 二回戦進出、切島君ッ!!」

 

『勝負ありッ!! 運命の悪戯としか思えない、同じ特性を持つ“個性”の対決を制したのはッッ、「烈怒頼雄斗【レッドライオット】」切島選手だぁ~~~~~~~~~~~~ッ!!』

 

『執念だな。もしくは、勝利への渇望。それが勝負を決めたな』

 

「………」

 

イナゴ怪人V3の実況と相澤の感想の後、意識を失った鉄哲がハンソーロボに運ばれるが、勝利者である切島は動くこと無く沈黙を保っていた。それを不可解に思ったミッドナイトが切島の元に近づくと、彼女は驚くべき事に気がついた。

 

「! ハンソーロボをもう一台! コッチも気絶してるわ!」

 

『な、なんとッッ!! 切島選手ッ、立ったまま意識を失っていたッッ!! 勝利によって張り詰めていた緊張の糸が切れてしまったかッ!! しかし、それだけにッ! それだけにこの試合はッ、紙一重の勝負だったと言う事でしょうッッ!!!』

 

第二試合は結果的に、両者とも気絶し戦闘不能。しかし、決着が付いている以上、切島の勝ちは揺るぎ無い。そんな勝負をA組の観客席から見届けたイナゴマンは、ボソリと感想を漏らした。

 

「オ・ト・コ・ダ・チ……見事な」

 

「おとこだち?」

 

「立ち往生じゃなくて?」

 

「うむ。烈怒頼雄斗よ……立派な『漢立ち』であったぞ」

 

たった一度と心を込めて、一度で決める筈の拳。

 

鋼の拳と相まみえ、たった一度の大勝負。

 

幾度と五体を砕かれて、一歩も引かぬ“漢立ち【おとこだち】”。

 

とうに精根尽き果てて、されど倒れぬ“漢立ち【おとこだち】”。

 

とうに精根尽き果てて、男一代“漢立ち【おとこだち】”

 

――イナゴマン

 

「……所で、イナゴマンちゃん。シンちゃんと百ちゃんは?」

 

「案ずるな。二人とも大事ない」

 

どこからともなく取り出した色紙に、切島の活躍を詩にして遺すイナゴマン。そんなイナゴマンからこの場に居ないクラスメイトの無事を聞いて、蛙吹梅雨は安堵した。

 

 

○○○

 

 

Aブロック第三試合。その戦いは、試合開始前から既に始まっていた。

 

『青龍の方角ッ! ヒーロー科、緑谷出久ッ!! 白虎の方角ッ! 普通科、心操人使ッ!!』

 

「……なあ、緑谷出久。この戦いが何を意味するのか……分かるかい?」

 

「?」

 

「いや、アンタは分かる筈だ。これは『心の強さ』を問われる戦い……。強く思う“将来【ビジョン】”があるなら、形振り構ってちゃいられない。それこそあの怪人の様に……そうだろう?」

 

「………」

 

出久は返答に窮した。

 

この体育祭はヒーロー科の生徒にとっては年に一度しかない、将来を切り開く為のチャンスを掴む場であり、どんな形でもプロに見込まれなければ話にならない。

そしてプロに見込まれる為には、何が何でも活躍する必要があり、その活躍の機会は勝つ事でしか得る事が出来ない。だからこそ、自分の幼馴染みは勝利を……それも1位と言う他者を圧倒する戦果を求め、形振り構わず戦っていたのだから。

 

「あの猿はプライドがどうとか言ってたけど……」

 

『第三試合……開始めいッ!!』

 

「チャンスをドブに捨てるなんて、馬鹿だと思わないか?」

 

「―――!! 何て事を言うんだッッ!!!」

 

それは見え透いた挑発であったが、その内容は出久の心を揺さぶり、冷静さを奪うには十分過ぎる破壊力を持っていた。そしてそれは、心操にとって狙い通りの結果をもたらす事となる。

 

「………」

 

「俺の……勝ちだ」

 

『けけけけけ、決着ゥ~~~~~~~!? 早くも決着ゥゥゥッッ!? 心操選手ッ、緑谷選手に対して、あまりにも早いッ!! 早過ぎる決着だァ~~~~~~~ッッ!!』

 

「は!? け、決着って……どう言う事!?」

 

「どう言う事も何も、イナゴ怪人の言う通り、ヤツの“個性”の仕業だ。あああ、せっかく忠告したってのに!!」

 

「ほう……。一応、ヤツの“個性”の対策は出来ていたのか」

 

「……え!? お前等、ヤツの“個性”を知ってたのか?」

 

「うむ。恐らくヤツの“個性”は、対象者に質問をし、質問に答える事で発動する『精神支配系』。或いは『洗脳系』の能力だろう。そしてこの手の“個性”の最も厄介な所は、相手の戦闘力に関わらず、問答無用で戦闘不能に追い込む事が出来る事だ。アレはある意味、『最強の“個性”』の一つと言えるだろう」

 

「「「「「「「「「「さ、『最強の“個性”』ッ!?」」」」」」」」」」

 

自分達と同じように、しれっと試合を観戦しているイナゴマンの口から語られる心操の“個性”の詳細を聞いて、A組の大多数が驚愕の声を上げた。

 

この超人社会に於いて、ヒーローを志す者なら誰もが、一生の内に一度は必ず「『最強の“個性”』とは何か?」と考える。そして、その答えの一つが今、目の前に存在しているとなれば、そうなるのも無理は無い話だろう。

 

「おいおいおい! 普通科にそんなヤバい奴が居たのかよ!」

 

「つーか、下手したら轟や爆豪にだって勝てるんじゃねぇか、アイツ!!」

 

「いや、俺がヤツの“個性”受けた感じだと、初見殺しで万能ってワケじゃ無い。ヤツの質問に答えさえしなければ、洗脳される事は無い筈だ」

 

「うむ。強力な“個性”には、リスキーな条件や制限が課せられている場合が多く、それをクリアしない限り“個性”が発動しないと言うケースは多々ある。

だが、あの男が我々に宣戦布告した時の口ぶりから察するに、元々ヤツはヒーロー科志望だったと予想できる。ならば、自分の“個性”の制限や、対策を取られる事は承知の上だろう。つまり、デクとバニシング・モンキーがヤツの対策を練っていたのと同時に、ヤツもその対策を練っていたワケだ。それ故に、デクはヤツの術中に嵌ったのだろう」

 

「つまり、対策の対策?」

 

「そうだ。まあ、プロヒーローになる以上、ヴィランに“個性”が割れるのは大前提だ。対策を取って取られてのいたちごっこは避けられん」

 

「あ~、何か頭使う感じか……」

 

そうこうしている内にも試合は続いていく、心操の術中に嵌ってしまった出久は回れ右をし、場外に向かって真っ直ぐに歩いて行く。

 

「デクくん……ッ!」

 

「何か無いのか!? あの“個性”を打ち破る方法は!?」

 

「ある程度の衝撃を受けると解ける。さっきもそれで解けた。だけど……」

 

「うむ。正確には『一定以上の物理的、もしくは精神的な刺激で解ける』と言った所だ。しかし、一対一の形式を取るこの試合において、それはまず期待出来ん。もはやこの勝負は決したも同然だ」

 

「一定以上の物理的か精神的な刺激……なら、自己暗示はどうだ!? 緑谷君! 頭の中の声に耳を傾けるんだ!! ほら……こんな風に……ッッ!!」

 

アドバイスを送った直後、精神的にトリップして独自の脳内世界へと旅立った飯田が提案した洗脳対策を、出久が実践しているのかどうかは分からない。分からないが、出久が場外に向かって、その歩みを止める事は無かった。

 

「(畜生!! こんなッ!! あっけなくッ!! 皆!! 託してくれたのにッ!! こんな、所で――)」

 

肉体は全く言う事を聞いてくれない。だが、それでも出久は心の中で必死に心操の支配に抗った。そんな出久が場外ラインを超えようとした刹那、不思議な事が起こった。

 

「(!? 何っっっっっだ……これッッ!!!)」

 

肉体を『洗脳』によって支配されていた出久は、指一本さえ動かせない筈だった。しかし、その時にゲートの中に潜む9人の幻影が見えた瞬きの間、出久は僅かに指を動かし、“個性”を暴発させる事で、心操の支配下から完全に脱出した。

 

「ッ……!!! ハア! ハア……!」

 

『何だぁーーーーーーーーーーーーーッ!! 緑谷選手ッ、『洗脳』を解いて踏み止まったぁあーーーーーーーーッ!! しかし、不思議ですッ!! 指先一つさえ動かせない状態であった筈なのにッ!! 何故、指を動かせたのかッ!! 不思議ですッ!! 実に不思議ですッ!!』

 

「(! そうだ……体の自由はきかない筈だ。それなのに指を動かした。もし『洗脳』が解けていたなら、あんな風に暴発させる必要なんて無い筈だ)……どうなってんだ!? 何したんだ!?」

 

心操は混乱していた。事実、今まで自力で『洗脳』の支配下から逃れる事が出来た人間は皆無であり、発動しさえすれば勝利確定な能力であったが故に、心操は目の前で起こった事が俄には信じられなかった。

 

「………」

 

「……!! (答えない……。ネタ割れたか……いや、最初からあの猿のヤツに聞いていた筈なんだ。また口開かせるしか――)」

 

勝負は振り出しに戻った。しかし、今の出久に一切の油断も、微塵の隙も無い。しっかりと口を閉ざし、二度と質問に答えない腹積もりである。

 

「何とか言えよ」

 

「………」

 

「指動かすだけでそんな威力か。羨ましいよ」

 

「………」

 

「俺はこんな“個性”のお陰でスタートから遅れちまったよ。恵まれた人間にはワカんないだろ」

 

「………」

 

無言のまま心操に近づいていく出久。もはや試合の流れは、完全に心操から出久に移っていた。

 

しかし、ここであろうことか心操は攻め口を変えた。それも出久にとってはある意味、最も効果的な方法に。

 

「~~~ッ! 変な髪型しやがって! このオタク野郎ッ!! クラスの女子がキモイって言ってたぞッ!!」

 

「~~~~~~~~~~~ッッ!?!?!?」

 

「言ってない、言ってない!!」

 

「戦いに集中して!!」

 

その台詞は正に抜群の効果を発揮した。そして耳郎は兎も角として、麗日に限って言うなら、その言葉に説得力は全く無なかった。

何故なら出久は知っているのだ。麗日が雄英高校の入試における実技試験の後で、プレゼントマイクに直談判している時の一部始終を。

 

『あのお……頭もっさもさの人……そばかすのあった……。分かりますか? っと~~地味めの~~。何て言うかその……美少女ゲームとか好きそうな……。アイドル馬鹿にされると急にマジギレしてくる感じの……。そうです。漫画も保存用に二冊買ってそうな……』

 

この映像を見た後に、出久は新にこの映像を見せ、「正直に言って。僕ってこんな感じなの?」と涙目で聞いた。それに対して新は、満面の笑みを浮かべて「そんな訳無いだろう」と間髪入れずにフォローしたが、この事は出久のピュアなハートに「ちょっと仲良くなったと思った可愛い女の子に、エロゲとアイドル好きなオタクだと思われていた」と言う、途轍もなく歪な楔を確かに打ち込んでいた。

 

「~~~~~~~~~ッッ!!!」

 

「!? 何だ、押し出す気か!? ふざけた事を……お前が出ろよ!!」

 

「んぬぁああああああああああああああッッ!!!」

 

心の中に渦巻く、ありとあらゆる葛藤を振り払いながら、出久は心操に掴みかかり、場外へと押し出そうとする。それに抵抗するべく心操が出久を突き返すが、出久はその突き返した腕を掴んで心操を背負い投げ、心操の両足を場外ラインの外へと送り込んだ。

 

「心操君、場外ッ!! 緑谷君、二回戦進出ッ!!」

 

『勝負ありッ!! 一体何をやって自力では解けない筈の精神支配から逃れたのかッ。そのカラクリは全く分からなかったがッ! 兎に角、緑谷出久選手ッ! 二回戦進出、オメデトォオオオオオオオッ!!』

 

『解説になってねぇぞ……(まあ、確かに不思議ではあるな……)』

 

「ハァ……ハァ……」

 

「………」

 

イナゴマン曰く、『最強の“個性”』に打ち勝った出久に降り注ぐ、万雷の拍手と喝采。しかし、試合中に心操が語った言葉が、どうしようもなく出久を笑顔にする事を許さなかった。……二つの意味で。

 

 

○○○

 

 

地に背を付けて敗北を悟った心操は、自分の過去を振り返っていた。

 

人は誰でも、自分の“個性”を選んで生まれる事は出来ない。

 

だから、自分自身でさえ、他人が持っていたら悪用を真っ先に思いつく“個性”を持って生まれたが故に、「仕方ない」と妥協するしかなかった。周囲の人間から、間接的にヴィラン呼ばわりされる事にも、無理矢理慣れていくしかなかった。

 

……しかし、見たのだ。

 

明らかに自分以上に周囲からヴィランの様に見られ、ヴィランの様に扱われてきたと容易く想像できる怪人が、ヒーローとなった瞬間を。

コスチュームを身に纏い、華麗に必殺技を決めて対戦者を倒したその姿は、正に自分の理想を体現したような光景だった。だから……。

 

「(俺も……なれるかも知れねぇ。ヒーローに。そう思ったんだ……)」

 

「……心操君は、何でヒーローに……」

 

「……憧れちまったモンは仕方ないだろ」

 

「………!!」

 

掛ける言葉見つからない出久に背を向け、自身の足で舞台を降りる心操。そんな心操を迎えたのは、同じ普通科に通うクラスメイトと、プロヒーロー達の称賛だった。

 

「カッコ良かったぞ、心操!」

 

「正直ビビったよ!」

 

「俺等、普通科の星だな!」

 

「この“個性”対ヴィランに関しちゃ、かなり有用だぜ。欲しいな……」

 

「雄英も馬鹿だなー。あれ普通科か」

 

「戦闘経験の差はなーー、どうしても出ちまうモンな……。もったいねぇ」

 

「聞こえるか心操。お前、スゲェぞ」

 

「………」

 

人は時として、言葉を交わさずとも、その人間の本質を理解する事がある。

 

クラスメイトとプロヒーローの称賛を聞きながら思うのは、勝利者でありながら称賛の声が無かった一人の怪人。

敗北して尚、自分の事を讃える声に、ほんの少しだけ救われた様な思いがこみ上げるが故に、勝ち続けながら嫌悪され続ける怪人の事を考えさせられた。

 

否定されて平気な訳が無い。嫌われて平気な訳が無い。認められなくて平気な訳が無い。それなのに、どうしてヒーローを目指し続けることができるのだろう……。

 

そんな事を考える心操の頭にふと、第一試合におけるイナゴ怪人V3の実況が再生された。

 

――無知な人間には決して辿り着けぬ境地がある――

 

――「自らが勝利し続ける事で、新たな希望を生み出す」と言う狂気を孕んだ信仰が数々の暴挙を生みッ!! 数々の暴挙のみが……一つの奇跡を生むッ!!!――

 

「………」

 

心操は言葉でなく、心でソレを理解した。

 

なるほど。それは生半可な覚悟では辿り着く事が出来ない極地なのだろう。それは時に自分が深く傷つき、決して後戻りの出来ない暗闇に足を踏み入れる事と同義なのだろう。

 

……しかし、それでも尚、諦めを踏破し、信じる道を進む事が出来たなら。

 

「……結果によっちゃ、ヒーロー科編入も検討して貰える。覚えとけよ? 今回駄目だったとしても……絶対に諦めない。ヒーロー科入って、資格取得して、絶対お前等より立派にヒーローやってやる……ッ!」

 

「! ――うんッ!!」

 

「……フッ。それなら、さっきみたいにすぐに足を掬われる様な、みっともない負け方だけはしないでくれよ」

 

「っうん……」

 

「………」

 

心操人使。幾度目かになる敗北の帰路。

 

しかし、その五体には新たな希望と、得体の知れぬ満足感が行き渡っていた。

 

 

○○○

 

 

『次はいよいよ、Aブロック最後となる第四試合ッ!! 白虎の方角ッ! ヒーロー科、瀬呂範太ッ!!』

 

「なぁ~んか、嫌なモン見ちゃったなぁ……」

 

『青龍の方角ッ! ヒーロー科、轟焦凍ッ!!』

 

「………」

 

『開始めぃッ!!』

 

「正直テンション上がらねぇし、勝てる気もしねーんだけど……」

 

「………」

 

何か嫌なことでもあったのか、試合開始前から一人ごちる瀬呂。一方で轟は無言で厳しい視線を瀬呂に向けており、それが何時もの轟と違う、何処か不気味な雰囲気を醸し出していた。

 

そんな二人の試合で先手を取ったのは瀬呂。両肘からテープを勢いよく射出し、瞬時に轟をグルグル巻きにして拘束した。

 

「負ける気もねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

お互いに“個性”が割れているが故に、瀬呂が選んだ戦法は不意打ちによる速攻。攻撃力に優れる轟を相手に真っ向勝負では分が悪いと判断し、一気に場外へ押し出す事を狙ったのだ。

 

『出たーーーーーーーッ!! テープアームだぁーーーーーーーーーーーッ!! これは予測できなかったか、轟選手ッッ!! そして瀬呂選手が勝利目前ッッッ、これは奇跡だぁーーーーーーーーーーーッッ!!!』

 

「ひでぇ!」

 

『なるほど、確かに最善手だろうが……俺ならあんなに長い時間、轟に触れたりはしないな』

 

「え?」

 

担任である相澤の感想を聞いて、思わず戸惑う瀬呂。正直、対轟戦において、瀬呂が取れる手段はこれ位しかないのは事実である。

しかし、肘から射出されるテープを轟に巻き付けていると言う事は、瀬呂と轟が一本のテープで繋がっていると言う事であり、それは見方を変えれば、轟の氷結攻撃をテープと言うラインによって回避する事が出来なくなってしまうと言う事でもある。もっとも……。

 

「悪ィな」

 

場外へ押し出される前に、轟は彼等の予想を遥かに上回るモノを、誰かに見せつけるかの様に繰り出した。

 

『………』

 

『……スゴいね。氷結』

 

轟が『氷結』で創り出したのは、スタジアムの天井を超える程の高さを誇る巨大な氷山。その麓に瀬呂は捕らえられ、完全に動きを封じられていた。

 

「……瀬呂君、動ける?」

 

「動ける筈ないでしょ……痛ぇ……」

 

「瀬呂君、行動不能ッ!! 轟君、二回戦進出ッ!!」

 

『勝負ありッ!! 何と言うレベルの違いだぁーーーーーーーーッ!! 恐るべし轟選手ッッ! 一方的なッッ、同じヒーロー科とは思えぬ程に一方的なッッ!! 一方的な展開となりましたッ!!』

 

「ど……どんまい……」

 

「どんまーい……」

 

「どーんまい」

 

「どーんまい!」

 

勝利者への祝福では無く、敗北者への励ましが観客席から自然とわき起こり、もはや合唱の様相を呈していたソレは、瀬呂が氷山から解放されるまで続いた。

 

「………」

 

そんな中、出久の目には勝利した筈の轟が、何かを耐えている様で、何処かが苦しそうにしている様で、何故か酷く悲しそうに見えた。

 

 

○○○

 

 

一回戦・Aブロック全ての試合が終わり、轟の手によって創り出された氷山が跡形も無く消え去ると、いよいよ後半となるBブロックの試合が開始された。

 

『白虎の方角ッ! ヒーロー科、塩崎茨ッ!! 青龍の方角ッ! ヒーロー科、上鳴電気ッ!!』

 

Bブロック最初の試合はA組とB組の対決。しかし、今回は“個性”の特性が被っていると言う事は無く、塩崎と上鳴を見つめる観客達の視線は、「切島VS鉄哲」戦の時とは異なっている。

そして、相手は運も絡んでいるとは言え、まがなりにも本選の舞台まで勝ち上がった強者。決して油断して良い相手ではない……のだが、対戦相手である塩崎の容姿を見て、上鳴の悪い癖が出た。

 

「(どんぐりまなこでキレイな面してっけど、実力はガチっぽいな……つーか、キレイっっつーかカワイイ系も入ってね? これもうお茶するしかなくね? ……よぉーしッ!!)」

 

そう、ナンパ癖である。美女・美少女を見ると「とりあえず、声を掛けてお茶!」と言う特殊な思考回路を持つ上鳴にとって、これは必然の行動であった。

 

「コレ終わったら飯とかどうよ? 俺で良けりゃ慰めるよ?」

 

「……?」

 

「多分この勝負、一瞬で終わっからッ!!」

 

『前代未聞の勝利宣言だァーーーーーーーーーーッッ!! なんとッ! なんとここに来て、まさかのナンパッ!! 上鳴選手、試合開始を前にして対戦相手を口説きに掛かりッ、「この試合は俺の勝利でキマっている」と断言する、その根拠は一体何なんだァーーーーーーーーーーッ!!』

 

『なっちゃいねぇなぁ……』

 

『一気に会場の注目を集めた上鳴選手ッ! 果たして宣言通りに、試合を瞬殺で飾れるのかッ!? キョーミがありますッ! 実にキョーミがありますッ!! そんなBブロック第1試合……開始めいッ!!』

 

「無差別放電ッッ、130万Vォオオオオオオオッッ!!!」

 

「………」

 

試合開始直後、上鳴は全力全開の電撃を塩崎に放った。対する塩崎だが、彼女はくるりと上鳴に背を向けると、茨状になっている頭髪を切り離して壁を作り、上鳴の放電攻撃を完璧に防いでいた。

 

「ウェッ!?」

 

全力全開の攻撃をいとも簡単に防がれ、後先考えていなかった事もあって激しく動揺する上鳴。しかし、塩崎のターンはまだ終わっていない。思考回路がショートした上鳴に向かって、無数のツルがセメントを砕きながら地下から迫ると、もはや為す術の無い上鳴はあっさりと体を縛り上げられて無力化されてしまった。

 

「ウェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!?」

 

『敗れたりィイイイイイイイイ!! 上鳴電気、敗れたりィイイイイイイ!! 勝ち組“個性”が敗れたぁああああああ!! 恐るべきは、塩崎茨ァアアアアアアアアアアアアア!! 当たり中の当たりとも言える電気系“個性”をッッ、真っ向から打ち破りましたぁーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!』

 

「二回戦進出ッ! 塩崎さんッ!!」

 

『勝負ありッッ!! 上鳴選手が喫したよもやの返り討ちッッ!! これほどの差を一体、誰が予測し得たでしょう!! 惜しむらくは上鳴選手ッ、本当になっちゃいなかったッッ!!! 上鳴選手はこの大舞台でこそ、イレイザー・ヘッドのこの言葉を心に刻むべきだったのですッ!! そう、「一芸だけではヒーローは勤まらない」ッッ!!!』

 

「V3ちゃん……基本中の基本に触れたわね」

 

「「「「「「「「「「うんうん」」」」」」」」」」

 

蛙吹の言葉に、A組の面々は心の底から同意した。

 

上鳴としては、色々と考えた末に放った全力攻撃だったのだが、自分の“個性”が轟と同じタイプだと思っている事と、先の試合のイメージから開幕直後に全力の放電攻撃を用いれば、轟の様に一気に勝負を決められると思ったのが悪かった。

 

そんな自らが逆に瞬殺されると言う、公約破りの屈辱的敗北を喫した上鳴に、対戦者である塩崎が話しかけてきた。

 

「『この試合が終わったら食事でもどうか? 自分で良ければ慰める』……貴方は確かにそうおっしゃいましたね?」

 

「ウェ~~~~イ」

 

「しかしながら上鳴さん。そもそも私が雄英高校の進学を希望したのは、決して邪な考えからではなく、より多くの人々を救済したいと思ったからであり……殿方と親密になる為にヒーロー科に来たワケではありません。何より……」

 

「ウェエエ……?」

 

「貴方の様なタイプの殿方は……私の好みではありませんッッ!!」

 

「ウ゛ェ゛エ゛ッ!?」

 

「従って、現時点で私が貴方の誘いに乗ることは、絶対に有り得ません」

 

「ウェ……」

 

「開始直後に全力を持って勝負に出た、その思い切りの良さだけは評価しましょう」

 

そう言って上鳴に背を向けて歩き出した塩崎は、もはや上鳴を一瞥もすること無く、悠々とステージから降りていった。

 

『完全決ッちゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~くッ!!!』

 

「……ウ……ェ……」

 

もはや自分の雄英体育祭が終わった事を悟り、上鳴電気は考えるのを止めた。




キャラクタァ~紹介&解説

呉島新
 毒を毒で裏返す事なく、BBAの接吻で超回復を強制発動させて、無理矢理解毒と治療を成し遂げた驚異の怪人。トラロックを克服したことで、もはや殺虫剤の類は効かない。しかし小説『仮面ライダー 1971-1973』に登場した「細胞を活性化させる薬」……もとい、「“個性”をブーストさせる薬」なら効くと思う。ネタ的に使いたいと言う意味でも。

切島鋭児郎VS鉄哲徹鐵
 試合展開は原作通りだが、根性によって切島が辛うじて勝利を納める結果に。作中で語られた「漢気ヒーロー『紅頼雄斗』」の台詞は、『グラップラー刃牙』の「最大トーナメント」における柴千春が元ネタ。実際に紅頼雄斗は、原作でこんな事は言ってないのだが、言いそうだと思ったので採用してみた次第。
 しかし、考えてみたら『紅頼雄斗』と言うヒーロー名自体、かなり暴走族っぽいネーミングなので、柴千春のネタを使っても、作者としてはあまり違和感が無かった。

緑谷出久VS心操人使
 おおよそ原作通りの試合展開。だが、二人ともシンさんの存在によって、原作と比べると心境にちょっとした変化がある。心操に関しては、当初はシンさんやデク君ともっと絡ませる予定だったのが、最終的には所謂「背中で語る」的な、「実際には絡まない絡み」と言う、ちょっと変わった話の展開に挑戦してみた次第。
 また、恒例の『すまっしゅ!!』ネタを入れた所為で、シリアスとギャグを妙なタイミングで行ったり来たりしており、かなりカオスな展開になったような気がする。

轟焦凍VS瀬呂範太
 こちらは完全に原作通り。しかし、現実問題として『氷結』だけでは通用せず、『炎』を使わなければ勝てない相手と既に相まみえてしまっている為、エンデヴァーが言う所の「限界が来た状態」になっているのがキツイ所。それでも轟は『炎』を否定し、『氷結』のみで勝ち上がろうとするが……。
 尚、作中で瀬呂が見たと言う「嫌なモノ」については、次回の話で判明するので、お楽しみに。

上鳴電気VS塩崎茨
 やっぱり完全に原作通り。作者としては、上鳴が塩崎に瞬殺された理由として、作中で語られる様に「自分の“個性”が轟と同じタイプの発動系で、直前の試合で轟が全力攻撃で瀬呂を瞬殺したイメージが強かった」からか、「単純に相澤の話を聞いていなかった」のどちらか、或いはその両方と推測している。
もっとも、「轟と同じ」と言うのはUSJ編における上鳴の自称であり、実際には轟が『氷結』に関しては、かなり繊細なコントロールを可能にしている点を考えると、「轟と上鳴が同じタイプ」だとは、到底言い難い様な気がする。



イナゴカクテル
 禁断の回復アイテム。生のミュータントバッタを生きたまま磨り潰して作った10リットルのイナゴジュースに、4㎏の果糖を混ぜる事で完成する。効果はシンさんだからと言う点が多分に含まれている為、常人がコレを飲んで上手い具合に回復するとは限らない。



後書き

これにて、今日の投稿分である1話目が終了です。2話目は11月21日(火)の正午12時に投稿される予定です。

活動報告で投稿方法について、以前のような「出来た話を一気に投稿するパターン」と、今回の様な「出来た話を予約投稿で時間をおいて投稿するパターン」のどちらが良いのかで、アンケートを取っていますので、興味のある方はアンケートの方も宜しくお願いします

それでは、次回「発目明の恐怖の本性?」を、ご期待下さい。

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