怪人バッタ男 THE FIRST   作:トライアルドーパント

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三話連続投稿の二話目。この話は一か月位前には完成していたので、先月中に投稿する事も出来たのですが、作者はハーメルンで作品を読む際、本編ではなく番外編が投稿されていると「あ~~~~……」と思うタイプなので、本編と番外編を同時に投稿するスタンスを取っています。つまりは……全部、私の執筆スピードの遅さの所為だッ!!

タイトルの元ネタは『鎧武』の「ベルトを開発した男」。実際にシンさんと発目の関係性は、将来的にも貴虎ニーサンと戦極凌馬のソレに非常に近くなる気がする。


第36.5話② バナナを開発した女

イナゴ怪人1号が扮した“赤い通り魔”による、「必殺技のオンパレード」と言う名のオーバーキルで、物の見事に土左衛門と化した勝己が切島に回収され、轟が岩山を覆っていた氷を溶かした事でアトラクション会場は元通りになった。

とは言え……だ。結果的に色んな意味で目立ってしまった為、勝己の身内である出久達はいたたまれなくなってしまい、そそくさとアトラクション会場を後にした。

 

それを見た俺は「アピールチャンスだ」とわめく発目を『スパイダースーツ』の手首から射出したネットで拘束し、抵抗する発目を抱えながら出久達を追いかけ、何食わぬ顔で合流した。まあ、見た目が何時もと違うので少々驚かれたが。

 

『GAME START!』

 

『さあ、呉島さん! まずは戦闘開始の決め台詞をお願いします!』

 

そんな我々が挑む次なるアトラクションは、ホログラム機能を用いた仮想ヴィランを倒す戦闘アトラクションだ。先程の「ヴィラン・アタック」の仮想ヴィランは完全に「動かない的」だったが、此方のアトラクションの仮想ヴィランは普通に動いている分、クリア難易度はさっきのアトラクションより高い。

 

「俺は地獄からの使者! キャプテン・デッドプールッ!」

 

『見た目は似てますが、それは別人です! そして、どうして東映版なんですか!?』

 

『スマンな。この私が台詞をすり替えておいた。いや、「冷却のトラップマスター スパイダークーラー」の方が良かったか?』

 

外野が無線を通して騒いでいるが、既にゲームは始まっている。手始めに右手首から伸ばしたネットでザコキャラ的な仮想ヴィランの一体を縛り上げると、そのままハンマーの如く振り回して周囲のザコキャラを攻撃。周囲のザコキャラを一掃すると、ネットで縛り上げていたザコキャラにオーバーヘッドキックを叩き込む。

ホログラムなのに糸で掴め取れたり、ホログラムの敵同士が当たってもダメージを受けたりする妙なリアル志向と完成度の高さは、「流石はI・アイランドの科学力」と言った所だろう。

 

「行くぞ! スパイダーフィニッシュ! チャオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

『そこは「イェエエエエイ!」でしょう!? 英語かイタリア語に統一して下さい!』

 

『スマンな。必殺技の台詞も私がすり替えた』

 

最後は大ボスっぽいキャラとの一騎打ちとなり、高速で大ボスの周囲を移動しながら糸でグルグル巻きにして拘束。最後に背中から展開した四本のアームで止めを刺した。

 

イナゴ怪人1号の暗躍によって発目がやたらと五月蠅いが、クモをモチーフにド派手且つ鮮やかな赤を基調とした『スパイダースーツ』の性能を世に知らしめると言う意味では、我ながら中々どうしてイイ感じのアクションでアピールする事が出来たと思う。

 

「……と、言う訳でだな。我々としては何としてでも、あの女をこの島へ永久に封印したい。だから、貴様等もトリップギア・ターボのように協力しろ。嫌ならそれでも構わんが、最低でもヤツを讃える声と拍手を上げろ。第三者の称賛は価値観を変質させるからな」

 

「グリッドビィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーームッ!!」

 

「「「「「「………」」」」」」

 

そして、『スパイダースーツ』を脱ぎ、別のコスチュームに着替えて出久達と合流した所、イナゴ怪人1号が出久達に事情を説明し、体育祭と同様に発目の口八丁手八丁によってあっさりと籠絡されたらしい飯田が、発目の造った『グリッドスーツ』なるコスチュームを身に纏い、仮想ヴィラン相手に八面六臂の大活躍を見せていた。

腕から発射されるビーム攻撃で仮想ヴィランが次々撃破されていく様は、絵面的にやたらド派手。しかし、刀剣のサポートアイテムは左腕の後遺症の影響もあって使いづらいのか、最後の一体を仕留める時だけ使っていた。何だかんだでサポートアイテムを全部使う所に、飯田の律儀な性格が垣間見える。

 

ちなみに、出久が勝己をボコボコにした“赤い通り魔”……もとい、赤いヒーローの正体を何時もの調子でブツブツ言いながらスマホで調べて周りがドン引きしていたので、俺の口から「赤いヒーローの正体は、発目の造ったコスチュームを着たイナゴ怪人1号だ」と暴露しておいた。

これには発目の協力があったとは言え、勝己に対してはやられ役のイメージが強いイナゴ怪人が勝己を倒したと言う事実に、出久は元より他の皆も仰天していた。

 

『では、呉島さん! 今度の台詞はアドリブでお願いします!』

 

「アドリブ? えっと……」

 

そして、再び俺の番となった訳だが、今回俺が纏っているのは、行きの飛行機で説明された色物コスチュームの一つである『アレススーツ』。名前は結構カッコイイのだが、装着する鎧のデザインが可変するフルーツと言う、色々な意味で発目の趣味が爆発したと思われる代物だ。

 

『GAME START!』

 

『行きますッ!!』

 

「駄目ですッ!!」

 

前回の失敗から、渡した取扱説明書に書いた口上が当てにならないと判断したらしい発目の無茶ぶりに戸惑うのも束の間、巨大なオレンジの形をした金属の塊が上空から俺に向かって落下し、俺の首と肩に凄まじい衝撃が襲った。そして、「やはりこれは常人が使う様なコスチュームではない」と、俺の体が悲鳴と激痛を以て訴えている。

 

『カモン! オレンジアームズ! 花道・オンステージ!』

 

しかし、生みの親である発目も、そのベイビーであるこのコスチュームも、俺の首と肩の都合など聞きはしない。頭部をスッポリと覆った巨大オレンジが流れる煽り文句に合せて展開し、その身を守る鎧に変化すると、同時に出現したオレンジを模した刀を握って俺は叫んだ。

 

「フルーツジュースにしてやるぜぇーーーーッ!?」

 

「「「「ダサッ!!」」」」

 

もはや、やけくそである。動き回るザコキャラを片っ端から斬り伏せ、出来ればこのままゲームクリアと行きたいが、コスチュームの性能をアピールする為、発目のリクエストで最低でも一回は鎧を換装しなければならない。

 

「おりゃああああああああああああああああああああ!!」

 

仕方なしに、コスチュームを操作して鎧を巨大なオレンジの形態に戻すと、体を大きく回して機械仕掛けのオレンジを前方に吹っ飛ばす。ジャイロ回転する巨大オレンジが、ボーリングのピン如くザコキャラを蹴散らすのは爽快だが、間髪入れずに発目が次の鎧を射出していた。

 

『カモン! バナナアームズ! ナイト・オブ・スピアー!』

 

「バナ!? バナ!? バナナぁあッ!?!?」

 

「はい、バナナですッ!!」

 

そして、再び首と肩を襲う衝撃に「俺でなければ絶対にヤベー事になってるぞ」と思いつつ、巨大バナナが展開されて鎧になるのを待つ……が、独特の口上が流れきったにも関わらず、一向に頭部を覆うバナナが展開しない。

外野からすれば、今の俺は巨大なバナナを被った、胴体部分が完全に無防備な怪人物。一発でも攻撃を食らったらアウトの上、視界は闇に閉ざされており完全に0%である。

 

だが、この呉島新を侮って貰っては困る。如何なるアクシデントに見舞われようとも、堂々と嵐の中に飛び込んでいく者だけが、真にヒーローを名乗る事が出来るのだ。

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

「「「「えええええええええええええええええええええええええええええッ!?」」」」

 

何処からどう見ても「怪人バナナ男」としか言いようのない独特なフォルムを維持しながら、皮を剥いたバナナの如き槍を手に、ホログラムの仮想ヴィランを手当たり次第に叩きのめす。

余りにも的確に迷い無く攻撃する様は、第三者が見れば「本当は見えているんじゃないか?」と思わせる程だろうが、実際に周りはちゃんと見えている。テレパシーによる感覚共有を使い、イナゴ怪人1号の視点から仮想ヴィランの位置を把握しているのだ。

 

『カモン! バナナ・スカッシュ!』

 

「オオオオオオオオオッ!! セイヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

最後に、構えた槍が凶悪なまでに雄々しく反り返った極太バナナと化し、ボスキャラが勢いよく巨大なバナナに貫かれると言う、ありとあらゆる意味でインパクト抜群な、ド派手にも程が有り過ぎる必殺技でフィニッシュだ。

それと同時に、何か取り返しはつかないし、後戻りも許されない運命を選択してしまった様な気がするが……まあ、気のせいだろう。多分。

 

「おかしいですねぇ。学校でテストした時は、ちゃんと鎧の形に展開したんですが……まあ、結果的に此方の方が色々とオイシイと言えばオイシイので、結果オーライです!」

 

「いや、確かに色々とオイシイだろうけど……」

 

「バナナだけに?」

 

「バナナだけに」

 

「なるほど。サポートアイテムが破損してもすぐに交換できる上に、相手に対して有効な武器を臨機応変に使い分ける事も出来る訳か。スゴイと言えばスゴイけど、鎧を換装する時の隙は大きいし、その間に攻撃されたら致命傷だから、換装する時にヴィランから攻撃を受けないような立ち回りが必要になってくる。そうなると必然的に……」

 

「フフフ……雄英高校って、とっても楽しそうな所ね!」

 

「……まあ、少なくとも退屈はしてないですわね」

 

「「タシカニ」」

 

所で、この場には発目、イナゴ怪人1号、出久、飯田、麗日、八百万、耳郎の他に、見慣れぬ金髪のお姉さんが一人居るのだが、この人はアメリカを拠点に活動していた頃のオールマイトの元サイドキックにして、世界的に有名な科学者であるデヴィット・シールド博士の娘さんなのだそうだ。

 

彼女の名前はメリッサ・シールド。この『I・アイランド』のアカデミーに在籍し、父親であるデヴィット・シールド博士の様な、ヒーローのコスチュームやサポートアイテムを開発する科学者を目指している学生さんである。

そんなメリッサさんからすれば、発目の造ったコスチュームとサポートアイテムは彼女の琴線に触れるモノだったらしく、発目がコスチュームを作る上で参考にしたと言う『強化服・一式』と『強化服・弐式』についても興味津々の様子だった。

 

『GAME START!』

 

「生の執着がある限り、十分な戦いは出来ない。だが、俺は死を背負って戦っているッ!!」

 

「いや、何度でも蘇るじゃん。不死身じゃん」

 

「今、イナゴ怪人1号さんが装着している『ジェネレーションスーツ』は、演算によって相手の動きを予測します。戦えば戦うほど演算の精度が上がる仕様で、最終的にその演算は“予測”の域を超えて“予知”のレベルに到達します。尤も、その真価を発揮する為には、装着者に予測に答えられるだけの戦闘能力が求められる訳で……」

 

「ふむふむ……」

 

イナゴ怪人1号の口上に耳郎がツッコミを入れる一方、発目がメリッサさんにコスチュームの性能を説明している光景は、傍から見れば同じ夢と目標を持つ者同士が意気投合し、和気藹々と親交を深めている様に見えるだろう。

しかし、メリッサさんの相手はあの発目である。少なくとも、メリッサさんの父親の名前を知った時の野獣の様な眼光から察するに、間違いなく発目は良からぬ事を考えていると断言出来る。

 

「しゃぁあああああああああああああああああああああああああッ!!」

 

『GAME CLEAR!』

 

「ふむ。では、そろそろ次のアトラクションに向かいましょう! お話の続きはレセプションパーティーでと言う事で!」

 

「ええ、パーティー会場で会いましょう!」

 

「……じゃ、後でな」

 

「う、うん……」

 

そうこうする内にイナゴ怪人1号が、コスチュームに付属したミサイルを乱射してボスキャラを撃破し、此処でやることは終わったらしい発目の後ろを着いて行く俺だが、メリッサさんに背を向けた瞬間、年相応の可愛らしい笑顔から、「計画通り」と言わんばかりの邪悪な笑みに変化した発目に戦慄する。

その後、俺と発目とイナゴ怪人1号の三人は、出久達と別れた後もI・アイランドのアトラクションを幾つもハシゴし、それは閉園のアナウンスが聞こえるまで続いた。

 

『本日は18時で閉園になります。ご来場ありがとう御座いました』

 

「終わった……」

 

「終わりましたねぇ。正直、まだまだアピールし足りない感じがしますが、デヴィット・シールド博士の娘さんに接触する事が出来たので良しとしましょう! 此処からは第二局面です! デヴィッド・シールドの娘さんの友人と言う立場を利用し、強力なコネを作りますよ!」

 

「貴様の裏表の無い性格と欲望に正直な所は、認めたくないが称賛に値するな。まあ、流石にこれ以上は手伝わんが」

 

やはり、禄でもない事を考えていたか。しかし、発目の言う事もあながち間違いではない。人間が社会生活を営む上で、人と人との繋がりと言うは結構重要だ。現に俺は『雄英体育祭』が終わった後の『職場体験』において、Mt.レディの知り合いだったからこそ、彼女から指名を貰っている。

 

つまりは、コネである。そうした自身の経験と経緯の所為もあり、俺は発目のやる事を非難する訳にはいかないのだ。

そして、コネ作りに関してイナゴ怪人1号は「手伝わん」のではなく、「手伝えん」のではないかと思うのは気のせいか?

 

かくして、一度発目と別れて正装に着替えると、俺は待ち合わせ場所であるセントラルタワーの七番ロビーで、飯田、轟、上鳴、峰田の男四人と合流し、出久、勝己、切島の男三人と、女子組全員の到着を待っていた。

 

「遅いッ! 皆、団体行動をなんだと思っているんだッ!!」

 

「……まあ、俺達男子は兎も角、女子はどうしても支度に時間が掛かるだろう。他はどうか知らないが、少なくとも俺と一緒だった発目は、飯田からメールを受け取ってから約30分で身支度を整えて此処に集合ってのは、ちょっと無理な話だったかも知れん」

 

「む……そうか、女性陣に対する配慮が欠けていたか……」

 

「オイラはエロけりゃ何でも良いッ!!」

 

「………」

 

しかし、飯田と轟は分かるが、何故この場に上鳴と峰田がいるのだろうか? 二人の恰好が正装ではなく、ウェイターの制服の様な服装の上にジャケットを着ている事を考えると、何らかの理由で急きょパーティーに参加できるようになったと言った感じだろうか?

 

「呉島さん、お待たせしました! ……アレ? メリッサさんはいないんですか? レセプションパーティーでは彼女の友人と言う立場を利用して、存分にコネを作るつもりなのですが?」

 

「君は本当に遠慮が無いな! そして、友情を私利私欲の為に利用するのは止めたまえ!」

 

「むしろ、こう言う時に遠慮してどうするんですか。人生には総じて『潮時』と言うモノがあってですね、潮がさしたとみたらそれに乗らないと成功する事なんて出来ないんですよ?」

 

「………」

 

堂々とメリッサさんとの友情を有効活用する事を宣言し、それを諫める飯田に対して独自の人生論を展開する発目だが、その格好は意外と言うか何と言うか、これでも発目は心得ているらしく、割とまともで可愛らしくも大胆なデザインのドレスを着こなしていた。何処とは言わんが、結構立派なモノを持っている。

 

「ところで、呉島さん! 今の私を見てどう思いますか!? すっごいでしょう!? 最っ高でしょう!? ドッ可愛いでしょう!?」

 

「ドッ可愛いのは認めるが、ちょっとあざとい感じがする」

 

「良いんですよ! ちょっとあざとい位が、記憶に残って丁度良いんです!」

 

「……ちなみに、このコーディネートは自分で考えたのか?」

 

「いえ、サポート科の三年生に、二年連続で雄英文化祭のミスコンで優勝している絢爛崎美々美先輩と言う方がおりまして、その方に色々と教えて貰いました!」

 

「お前にそう言う事を相談できる先輩がいた事に、俺は驚きを禁じ得ないぞ」

 

発目の着ているパーティードレスの真実と共に、発目のコミュ力が俺より上である事が証明されてしまい、地味に精神的ダメージを受けるが、考えてみればA組の中に「親しい先輩がいる奴」って居るのだろうか?

期末試験の前にB組の拳藤は「試験内容を先輩から聞いた」って話をしていたが、俺達の方は……イカン、記憶する限り誰も居ないぞ。この事はあまり考えない方が良いかも知れん。

 

この後、出久、麗日、八百万、耳郎、メリッサさんの順でロビーに到着したのだが、勝己と切島の二人は一向にやってこなかった。飯田が言うには俺達と同じく、メールで集合場所と集合時間を伝えたらしいのだが……。

 

「……駄目だ。爆豪君、切島君のどちらのケータイに掛けても電話に出ない」

 

「勝己は前に電話で『パーティーに参加するのか?』って聞いたら、『参加しない』って言ってたからな……もしかしたら、切島はボイコットした勝己に付き合ってるのかも知れんぞ?」

 

「いや、切島君から『爆豪君と二人でパーティーに参加する』と言う旨の返事が来たから、必ず此処に来る筈だ。仮にパーティーへの出席を取りやめたとしても、切島君なら必ず欠席の連絡を入れるだろう」

 

「それもそうだな。そうなると、何らかのトラブルか……単純に二人とも手元にケータイが無いかだな」

 

「爆豪が絡んだトラブルとか、余り考えたくないんだけど……」

 

耳郎の言いたい事も分からんでは無い。何せ、昼間のアトラクションでさえアレだったのだ。例え勝己に非が無かったとしても、売り言葉に買い言葉でトラブルをより激化させ、悪化させるのが目に浮かぶ。

いずれにせよ、「雄英の恥部」と称される歩くダイナマイトを野放しにし、別行動でレセプションパーティーに参加するのは不味い。現在、二人がどうしているのかを確認しない事には、此方も下手に動けない。どうしたものかと皆で頭を悩ませていると、突如予想だにしない館内放送が流れた。

 

『I・アイランド管理システムよりお知らせします。警備システムにより、I・エキスポエリアに爆発物が仕掛けられたと言う情報を入手しました。I・アイランドは現時刻をもって、厳重警戒モードに移行します』

 

「爆発物?」

 

「マジか!?」

 

『島内に住んでいる方は自宅、または宿泊施設に。遠方からお越しの方は、近くの指定避難施設に入り待機して下さい。今から10分後以降の外出者は、警告なく身柄を拘束されます。くれぐれも外出は控えて下さい。また、主な主要施設は警備システムによって強制的に封鎖されます』

 

緊急事態を告げる放送の内容に皆が狼狽える中、防火シャッターが次々と作動し、あっと言う間に俺達が通ってきたセントラルタワーの入り口は完全に封鎖された。

 

「ケータイが圏外だ。情報関係は全て遮断されちまったらしい」

 

「マジかよ……」

 

「エレベーターも反応無いよ」

 

「マジかよぉぉぉ」

 

もはや、先程までのレセプションパーティーに対する期待や、楽しい思い出を作ろうと言った意気込みは何処にも無い。あるのは不測の事態による戸惑いと不安。そして、だからこそ冷静に勤めようとする、ヒーロー候補生としての気概だけだ。

 

「……今、ホテルで待機していたイナゴ怪人1号を通して確認したが、ホテルのテレビや電話、それにネットも使えない状態だ。テレビではずっと緊急事態を告げる画面が映っている」

 

「でも、爆発物が設置されただけで、警備システムが厳戒モードに入るなんて……」

 

「そもそも、このI・アイランドに爆発物を設置するなんて、一体どうやってやったんですかね? 爆弾をそのまま持ち込む事はまず不可能でしょうし、誰かの“個性”による物と考えるのが妥当でしょうか?」

 

「爆発物に関係する“個性”……?」

 

「まさか、爆豪が!?」

 

「いや、流石にそれは無い。幼馴染みとして断言する」

 

確かに「爆発に関する“個性”」と言われれば、A組全員が真っ先に思いつくデンジャラス・パーソンであるが、勝己は粗暴で暴力的な面が際立つ一方で、結構みみっちい性格をしている男である。

故に、“個性”を使って個人(主に俺)をボコろうとしたり、荒々しい口調でいちゃもんを付ける事はあっても、不特定多数を巻き込むような所謂『事件』レベルの惨事を起こす事は無い。悪い言い方をするなら、「事件を起こす程の度胸は無い」のである。まあ、普段の行動と言動がアレなので、疑われても仕方ない気はするが。

 

「……飯田君。パーティー会場に行こう」

 

「? 何故だ?」

 

「会場にはオールマイトが来てるんだ」

 

「オールマイトが!?」

 

「何だ、それなら心配いらねーな」

 

「メリッサさん。どうにか会場まで行けませんか?」

 

「非常階段を使えば、会場の近くに行けると思うけど……」

 

「案内お願いします!」

 

取り敢えず、「雄英の教師でもあるオールマイトに頼ろう」と言う出久の案に全員が賛同し、メリッサさんの案内の元、出久が耳郎を連れてパーティー会場の様子見に向かった。

これは、警戒モードが作動したことでパーティー会場に入れなくとも、耳郎の“個性”ならパーティー会場の外から何らかの情報を得られると期待しての事だろう。

 

だが、様子見から帰ってきた二人から告げられたのは、「ヴィランがこの島の警備システムを掌握し、オールマイトを含めたパーティー会場内のプロヒーローが軒並み拘束され、島中の人間が人質になっている」と言う、想像を遙かに超えた悪い情報だった。

 

そして、オールマイトが俺達に出した指示は一つ。「此処から逃げろ」……である。

 

「オールマイトからのメッセージは受け取った。俺は雄英校教師であるオールマイトの言葉に従い、此処から脱出する事を提案する」

 

「飯田さんの意見に賛同しますわ。私達はまだ学生。ヒーロー免許も無いのに、ヴィランと戦うわけには……」

 

「なら、脱出して他のヒーローに……」

 

「脱出は困難だと思う。此処はヴィラン犯罪者を収容するタルタロスと同レベルの防災設計で立てられているから……」

 

「仮に首尾良く脱出できたとしても、先程の放送で外には誰もいないでしょうね。『外出した者は警告無く身柄を拘束される』と言ってましたし、此処から何処に居るか分からないプロヒーローが居る場所まで辿り着くのは、かなり難しいかと」

 

オールマイトが俺達にタワーからの脱出を指示し、それに従う姿勢を見せているのは飯田と八百万の二人。委員長と副委員長と言うクラスメイトを率いる立場にある事もあり、その仕草は堂に入っている。

一方で、此処から脱出して助けを呼ぶ事を提案した上鳴に対し、否定的な意見を告げたのはメリッサさんと発目の二人。I・アイランドに在住するメリッサさんと、色んな意味で機械に強い発目の発言である為か、言葉に異様な説得力がある。

 

そもそも、今パーティー会場で拘束されているのが、世界各国でもトップクラスの実力を持つプロヒーロー達である。

また、発目の言う様にセントラルタワーの外に居る他のプロヒーローの居場所は全く分からないし、仮に居たとしても“カイジュウヒーロー『ゴジロ』”の様に、色んな意味で不向きなヒーローである場合もあるだろう。口から吐く放射火炎で、どうやってこの事件を解決すると言うのか。

 

「じゃあ、助けがくるまで大人しく待つしか……」

 

「……上鳴、それで良いワケ?」

 

「どう言う意味だよ?」

 

「助けに行こうとか思わないの?」

 

「しかし、流石に人質の数が多過ぎる。人質がパーティー会場の人間だけならまだしも、島中の人間となれば十人や二十人減った所で、ヴィランは痛くも痒くも無い。ヴィランの性格にもよるが、最悪俺達の行動がヴィラン側にバレた事で、見せしめに罪のない人間の命が失われる危険がある。それこそ、ボタン一つ押す程度の手間暇で、あっさりとな」

 

「う……」

 

ヒーロー候補生と言う立場で言うなら、耳郎の言う事は至極正しい。しかし、如何せん状況が厳し過ぎる上に、途轍もなく此方の分が悪過ぎる。圧倒的な逆境に皆が口を閉ざし途方に暮れる中、重苦しい沈黙を破ったのは、左手を見つめ続ける轟だった。

 

「俺達はヒーローを目指してる……」

 

「ですから、私達はヒーロー活動を……」

 

「だからって、大勢の人間の命が危険に晒されていると知って、何もしないで良いのか?」

 

「それは……」

 

八百万と轟の会話を聞いて、皆が一層険しい表情を浮かべていた。言いたい事は分かる。だが、未熟者の自分達が下手に動けば、事態が好転する所か、より悪化してしまう恐れだってある。

 

「……救けたい」

 

「デクくん?」

 

「――救けに行きたい」

 

――しかし、しかしだ。リスクを恐れて何もしない人間に、果たして『ヒーロー』を名乗る資格があるのだろうか? いや、ある筈が無い。

それをこの場にいる誰もが分かっているからこそ、出久が思わず口にした一言は、一度挫けた心を奮い立たせるトリガーとなった。

 

「おいおい、ヴィランと戦う気か!? USJで懲りて無いのかよ、緑谷!!」

 

「違うよ、峰田君。僕は考えてるんだ、ヴィランと戦わずに、オールマイト達を、皆を救ける方法を……」

 

「気持ちは分かるけど、そんな都合の良い事……」

 

「それでも探したいんだ! 今の僕達に出来る最善の方法を探して、皆を救けに行きたい!」

 

「デクくん……」

 

「……I・アイランドの警備システムは、このタワーの最上階にあるわ。ヴィランが警備システムを掌握しているなら、認証プロテクトやパスワードの類いは解除されている筈。私達にもシステムの再変更は出来る。ヴィランの監視を逃れ、最上階まで行く事が出来れば……誰一人傷つける事無く、皆を助けられるかも知れない」

 

そんな出久の熱意にあてられたのか、この中でI・アイランドに最も詳しいメリッサさんが、現状を好転させる為の策を提案した。しかも、その策は出久の言う「ヴィランと戦わずに、オールマイト達を救ける」と言う条件を満たしている。

 

「メリッサさん……」

 

「でも、監視を逃れるって、どうやって?」

 

「現時点で私達に実害は無いわ。ヴィラン達は警備システムの扱いに慣れてないと思う」

 

「戦いを回避してシステムを元に戻す……か。なるほど」

 

「それなら、イケんじゃね?」

 

「だよね!」

 

「しかし、最上階にはヴィランが待ち構えていますわ……」

 

「戦う必要は無いんだ! 警備システムを元に戻せば、人質やオールマイト達が解放される! そうなれば、一気に状況は逆転する筈!」

 

現時点で最善と思われる策を授けられ、出久の説明で理想が現実味を帯びてきた事で、暗かった皆の表情が徐々に明るく、そしてやる気に満ち溢れていくのを感じる。

 

――しかし、それは言い換えれば「狂躁」や「狂奔」と言う感情であり、俺はその危険性を或る人物から、耳にたこが出来る程叩き込まれていた。

 

『いいか。他人の熱意に当てられ、一見して良さそうなアイディアに飛びつき、すぐに腹をくくるのは未熟者のする事だ。それは「勝つか負けるか分からない」……そんな不安や葛藤が長く続くことに、心が耐えきれないからこその行動だ。

どんな分野であれ、物事に精通したプロほど、思いついたアイディアを深く吟味する。疑い続け、考え続け、努力を続ける。その事を常に頭に、そして強く肝に銘じろ。そんな状況になった時、貴様が周りの人間を犬死にさせたくないのならな』

 

『………』

 

先日、リカバリーガールとの病院巡りの帰りにバッタリ出会ったリーマンヒーローに絡まれ、喫茶店で茶をしばきながら受けた有り難い教えを思い出した俺は、どこからともなく櫛を取り出して髪を七三分けにすると、メガネを掛けた上で人を殺さんばかりに目力を強め、この独特の熱気の発生源である出久に向かってこう言った。

 

「……オールマイトを馬鹿にしているのか?」

 

「え……?」

 

「シン君!?」

 

「貴様、その『トムとジェリー』に出てくるチーズの様に穴だらけな作戦を、本気で実行するつもりか? 『ヴィランに奪取されたモノを奪還する』と言うこのシチュエーションは、オールマイトが担当した最初のヒーロー基礎学でやった事と同じではないか。

オールマイトから『ヴィランの思考を学ぶように』と言われたあの訓練で、貴様は何も学んでいないのか? 戦闘皆無の奪還だと? 轟以外でそれが出来た人間は此処に一人もいないが、まさかコントロールルームをヴィランごと氷漬けにでもするつもりか? 学びの場で出来ない事が実戦でイキナリ出来ると思っているとは、随分と傲慢な考え方をしているじゃあないか」

 

「呉島……?」

 

「呉島さん?」

 

「志だけで救けられるほど、世の中は甘くない。そして、助けたいと言う気持ちだけで突っ走り、助けたいと思った時に助けられる程、貴様は特別な存在じゃあない。

まずは相手を観察し、何をしたいかを予測し、分析を重ねた上で万全の準備を整え、救けられる可能性を100%に近づける努力をしろ。誰もが皆、オールマイトの様なヒーローになれる訳ではない……」

 

「……あ、あっちゃん?」

 

「なんだ?」

 

「それってもしかして……サー・ナイトアイの真似?」

 

「……正解。あと、この表情維持するの、スッゲェ辛い」

 

流石は出久だ。俺がすぐに誰の真似をしたのか分かるとは、正に自他共に認める重度のヒーローオタクの面目躍如である。

 

一方、俺にとても実戦的な教えを授けてくれたサー・ナイトアイの真似は予想以上の効果を発揮し、先程までの行け行けゴーゴーな空気は完全に霧散していた。

ある意味では狙い通りの展開だが、流石に「助けたい」と言う熱意まで失って貰っては困るので、此処で俺からも皆に献策して場を盛り上げたいと思う。

 

「まず、出久の言う『ヴィランと戦わずに、皆を救ける方法』はある。外に居るイナゴ怪人1号をセントラルタワーの空気供給管から侵入させ、『ローカスト・エスケープ』で俺達をセントラルタワーから脱出させる。

そして、俺達が安全地帯に避難したら、今度はイナゴ怪人1号を同様の手口で最上階にある警備システムのコントロールルームへ送り込み、『ローカスト・エスケープ』で占拠したヴィランをセントラルタワーの外に転送して、コントロールルームを制圧。最後に警備システムを再変更すれば、人質もオールマイト達も解放される」

 

「おおッ!!」

 

「良いじゃん! 良いじゃん!」

 

「いや、だったら早くそれを言えよ! 何で今まで黙ってた!?」

 

「この作戦には一つ重大な欠点がある。イナゴ怪人1号がコントロールルームを制圧する事は出来ても、警備システムを再変更する事が出来ない。テレパシーで感覚を共有できる俺も同じだ。そもそも、この中に『警備システムを再変更できる人間』は何人居る?」

 

「「「「「「あ……」」」」」」

 

そう。単純に「コントロールルームを制圧するだけ」なら、普段から雄英で訓練を積んでいる事もあって、イナゴ怪人1号を使わずとも出来る可能性はある。

しかし、肝心要の警備システムを再変更できるスキルを持った人間がいないと、人質やヒーロー達を解放する事が出来ない。ケータイなどの通信手段が使えない以上、最悪島中からそれが出来る人間を虱潰しに探す事になるだろう。

 

「だったら、私に任せて。コントロールルームに辿り着きさえすれば、私にも警備システムの再変更は出来ると思う」

 

「……ちょっと待って。それじゃあ、メリッサさんをコントロールルームに連れて行かないと、警備システムを元に戻すことは出来ないって事?」

 

「それなら、僕達がメリッサさんを護衛して、コントロールルームに行けば……」

 

「いや、外に脱出する術があるのなら、その時に適当なプロヒーローに助けを求めて、メリッサさんを護衛して貰えば良い。資格を持たない俺達が出しゃばる必要は無い」

 

「この一刻を争う事態に、何処に居るかも分からねぇプロヒーローを探す様な余裕はあるのか? だったら、此処に居る俺達で行動した方が良いんじゃねぇか?」

 

「しかし、オールマイトは我々に『逃げろ』と仰った! その手段があると分かった以上、我々はオールマイトの意見に従うべきだ!」

 

「……呉島、お前はどう思う?」

 

「……そうだな。結局の所、全ては呉島君次第だ。意見を聞こう!」

 

事態の早期解決の為に、自分達がやるべきだと主張する轟と、資格を持たない自分達が必要以上に危険を冒す事は無いと断言する飯田。しかし、此処を脱出するにせよ、警備システムを奪還するにせよ、イナゴ怪人1号を操る俺が必要だ。その事に気づいた二人は俺に意見を求め、全員の視線が俺に集中する。

 

パッと見た感じだと、轟の意見に賛成なのは出久、麗日、耳郎、上鳴、メリッサさんの5人で、飯田の意見に賛成なのは八百万と峰田の2人と言った所か。ちなみに、発目は俺の後ろに居て、どちらにも着いていない。

 

「……俺としては、やりたい奴はやって、やりたくない奴はやらなきゃいいと思う。何も全員が同じ行動をする必要は無い。勿論、俺はやる」

 

「し、しかし、私達は……」

 

「仮に俺が強制的に全員を此処から脱出させたとして、それで出久や轟が諦めると思っているなら、ちょっと考えが甘い。むしろ、『これでオールマイトへの義理は果たした』とか言って、心置きなくコイツ等はセントラルタワーに再突入する。違うか?」

 

「「………」」

 

図星か。やはり、コイツ等は目が離せんな。

 

出久と轟の二人は共通して『№1ヒーロー』を目指している訳だが、どちらも何処か「“ヒーロー”と言う手段以外で、自分は人の役には立たない」と律している節があり、だからこそと言える危うさを持っている。

これは、エンデヴァーによって叩き込まれた英才教育と言う名の壮絶な過去や、もはや神の如く敬愛するオールマイトに“平和の象徴”の後継者として選ばれた事実が、二人をそうさせているのかも知れん。

 

「しかし、警備システムを奪還するとなると、まず頭に入れなければならない事が幾つかある」

 

「? 何だソレは?」

 

「……俺は一つ危惧している事がある。もし俺の予想が正しければ、この事件は単なる人質籠城事件では無い。場合によっては、これからI・アイランド史上最悪の事態を迎える事になるだろう」

 

「I・アイランド史上最悪の事態!?」

 

「な、何だよ、それ!?」

 

「では、此処でクエスチョン。どうしてヴィランはヒーローと人質を分けず、拘束したヒーローを生かしておいているのか? さぁ、皆で考えよう」




キャラクタァ~紹介&解説

呉島新
 名前の元ネタになったメロンニーサンの如く、マッドな女の試作品を使い続ける怪人。レセプションパーティーの時の服装はまんま「ネクタイをしたメロンニーサン」。この時の服装の候補には『W』の尻彦も挙がっていたりする。
 原作でデク君がオールマイトの顔芸をするなら、シンさんはサー・ナイトアイの顔芸をするべきと言う作者の思いつきによって、「シンさん・ナイトアイフォーム(只の物真似)」が誕生。これにグラントリノとオールマイトの要素が加われば、「シンさん・トリニティフォーム」がオーマの日に誕生する(超大嘘)。

発目明
 色々と想定外の事態はあったが、結果的には注目を集める事に成功したマッドな女。レセプションパーティーに出席する為に用意したドレスは、作中で語った通り「雄英文化祭編」で登場した、ミスコンの覇者である三年生の絢爛崎美々美パイセンからアドバイスを貰っていると言う設定。目的の為なら手段を選ばない女だが、だからと言って常識が無いと言う訳ではないのだ。

緑谷出久
 赤い通り魔の出現によりコエーイ事になっていた原作主人公。今回は幼馴染みの唐突なモノマネと言う名の豹変にビビっていたが、すぐさまサー・ナイトアイの真似だと気付いた。まあ、オールマイトの元サイドキックだから、気付いて当然と言うべきか?
 ぶっちゃけた話、イナゴ怪人1号の『ローカスト・エスケープ』が凶悪な性能を誇る為、デク君の計画通りに事を進める必要が全く無い。ちゅーか、作者としては劇場版のデク君には色々と不満があり、そうした部分を解消するのも二次小説の楽しみだと思うの。

イナゴ怪人1号
 発目のアトラクションには全て付き合ったが、レセプションパーティーのコネ作りは手伝えないと判断していた怪人。「今日は一日頑張ったな~」とばかりに、ホテルでテレビを見ながら缶ビールを片手に飲み食いしていたら、突如緊急事態が発生。作戦の要として期待されているが、何時もと違って残機ゼロの状態なので、一度でも死んだら復活出来ない。ノーコンテニューでクリアするしかねぇ!

サー・ナイトアイ
 未来を変えようと試行錯誤するリーマンヒーロー。地味に教育の成果が現われているが、本人の目的は未だ達成されていない。シンさん・ナイトアイフォームに関しては、「私にこんなシワは無い」とか、物真似のクオリティについて熱く語ってくるだろう。



スパイダースーツ
 装着者はシンさん。東映が誇る地獄からの使者だったり、『ビルド』の未登場なベストマッチフォームだったり、エボルトの兄貴が変身したライダーの必殺技を使ったりと、ここぞとばかりに組み込んだネタは豊富。

グリッドスーツ
 装着者は飯田。見た目はアニメ版の第一話と第二話に登場した「最適化前」の姿をベースに、インゲニウムの要素が混じっている感じをイメージしている。一応、「合体形態」なるモノもあったらしい。

アレススーツ
 装着者はシンさん。見た目は『鎧武』の仮面ライダーマルスが、オレンジアームズやバナナアームズを使っている感じをイメージしている。但し、空から振ってくる巨大な金属の塊を受け止めて換装を行うので、使用には強靱な肉体が必須となる。

ジェネレーションスーツ
 装着者はイナゴ怪人1号。見た目と各種装備が『アギト』のG4システムそのものなのだが、予知能力者を部品として組み込む事による“未来予知”ではなく、高度な演算による“予測”で敵の行動を先読みする。流石にナイトアイを組み込むのは不可能だと思っての変更であるが、その所為で元ネタより遙かに健全になると言うのは、割と希有なパターンかも知れない。

作戦会議:さぁ、皆で考えよう
 ハリボテの核から警備システムに変わっているが、ヒーロー基礎学の戦闘訓練と似た様なシチュエーションであるにも関わらず、デク君が「戦闘皆無の奪還」を可能だと思っているのは、どう考えても無理だと思うのは作者だけだろうか? だって基礎訓練も一切やってない学生ですら、ハリボテの核の周りに罠を張ったり、バリケードを造ったり、ハリボテの核の近くでヒーロー組を待ち構えていたりするんだぜ?
 そんな劇場版の不可解な流れを粉砕すべく、この世界ではシンさん・ナイトアイフォームが誕生。おのれ、シンさん! 貴様の所為でデク君の見せ場が破壊されてしまった! でも、「分析と予測に優れている」と言うキャラ設定が、バトル以外で全然活かせてないのはちょっとなぁ……。

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