Fate/Grand Mahabharata 幕間 作:ましまし
レイシフトに失敗し、漂着した場所は無人島!?
カルデアには連絡が取れず、頼りになるのは共に辿り着いたサーヴァントたちだけ!
衣食住の保証がない、いつ連絡が取れるかもわからない危険な状況!
しかし! 目の前に広がる青い海、白い砂浜! これらを目の前にして遊ばないなんてそんな選択しあるか!? ――否!!
それぞれ水着に――ついでにクラスも――着替えてはしゃぐ女性サーヴァントたち! ~スカサハ師匠が一瞬でやってくれました~
無人島を開拓しつつ、脱出を目指しつつ、さあ、この光輝く海へと飛び込もうじゃないか!!
カルデアサマーメモリー~癒しのホワイトビーチ~
近日発売予定! ※人理焼却の進み具合によって遅れることもあります
「――なんだって?」
「あ、先輩! 目を覚ましましたか!?」
視界に入ったのは、ほっとした顔でオレを覗き込む可愛い後輩。
ぼんやりする頭で周りを見渡すと、木々のすき間からこぼれる太陽の光と、それに照らされてキラキラ光る川。
その川の中でじっと、まるで戦場にいるかのように水面を見つめる、守護の英雄――。
「……え、なんで?」
「む。目を覚ましたのか、マスター」
「うわっ」
突然後ろから聞こえてきた声に、驚いて振り向けば川に入っている英霊の兄と弟がいた。何故かボロボロだけど。
「カルナ、アルジュナ……。まって。これどういう状況?」
「覚えていないんですか、マスター?」
え? とアルジュナの言葉に首を傾げると気まずそうに目を逸らすインドの大英雄×2。
「あ、マスター。起きましたか。ちょうどよかった。魚も大量に取れたので一緒に食べましょう」
ぷらすもう1人。
「ごめん、マシュ。説明してくれるかな?」
「はい、先輩。実は――」
「あ、カルナ。ここなら沐浴できそうです」
「そうだな」
無人島に飛ばされサバイバル生活を強制されている状況だが、割と馴染んでいる英雄も多く、この兄妹も例外ではなかった。
むしろ、生前に食料を確保するためにあちこち走り回ってた分、慣れている方だった。
そんな2人がわざわざ海ではなく、川に来た目的は沐浴だった。
カルナの「沐浴がしたい」という呟きを拾ったスラクシャが、ならできる場所をと探し出したのだ。
別に開拓で作った風呂に文句があるわけではない。
ただ、サーヴァントが大勢いる中、余り長湯をしては迷惑だろうとゆっくりすることはできない。
沐浴が趣味の兄には物足りないのでは? と思った矢先にカルナの発言。スラクシャは動くのに1秒のためらいもなかった。
クー・フーリンから川があることを聞いていたため森へ入り、さらになるべく人目に付く事が無いよう上流の方へと進み、見つけたのがこの場所である。
いい場所を見つけたと道筋を覚え、カルナの手を引いてきたのがここだ。
「では、ごゆっくり。私は、誰か人が来ないか見張っておきます」
「一緒に入るぞ」
「へ?」
念のために言っておくが、カルナは純粋に好意で言っている。
今の言葉を詳しく訳すと「オレのために川を探して汗もかいただろう。ついでにここで汗を流していくといい」といったところだ。
兄の言葉を正しく理解する妹は「では、お言葉に甘えて」と一緒に沐浴することにした。
「おっけー。とりあえずスラクシャは恥じらいを覚えよう」
「恥じらうもなにも……。生前も一緒に入ってましたよ? ほら、性別誤魔化さないといけなかったですし」
「うーん、そういわれると……」
「いまでもたまにですが、一緒に寝ますもんね」
「マシュ。カルデアに戻ったらスラクシャを女子ライダー部屋に移すよ」
「分かりました」
「!?」
「で、アルジュナはなんで?」
「それが――」
チラリ、とマシュがアルジュナに目を向ける。その様子に観念したかのように弓兵はため息を吐いた。
「誤解です」
「は?」
「マスター。想像してみてください。兄妹とはいえ男女が、服を脱いで、こんないつ誰が来るともわからない川で沐浴をしている――」
「わかった。それ以上言わなくていい」
それ以上はオレの精神上よくない。最初は男だと思ってたけど、改めて知らされると、スラクシャは確かに女の子だ。そして俺は健全な男子。良くない、これは非常によくない。清姫に焼かれる。
「でも、せめて事情くらいは聞いてもいいだろう」
「……腰を引き寄せ、抱き着くような体勢でいてもですか」
「……カルナ」
「スラクシャが滑りかけたのでな。咄嗟に支えたのだが……」
つまり兄妹とはいえ、嫌いな兄と慕っている姉が沐浴をして、しかも傍から見たら映画のラブシーンのようなツーショットを目撃してプッチーンとキれ、そのまま戦闘に入ったところでたまたま来たオレとマシュが巻き込まれたと。
気絶したのは、多分、流れ弾てきなのにでも当たったか、インドの大英雄が遠慮なく魔力を持って行って貧血でも起こしたと。
「なるほど……。でもなんでスラクシャは無傷で、2人はボロボロなの?」
なんだか起きてから質問ばかりだなあ。でも、ここまでやり合うなら本気で編成考えないといけないし。
「それは私のせいです、マスター」
「スラクシャが?」
「ええとですね、スラクシャさんは最初、ポカンとしながらお2人の戦闘を見ていらしたんです。でも、私達が来て先輩が流れ弾で気絶してしまったのを見て、その……」
「すいません。つい、宝具を」
解放しちゃったのかー。どっちでやったのかはわからないけど、どうりでカルナもアルジュナもボロボロなわけだ。
そしてオレの気絶した理由は流れ弾だけど、このだるさは魔力不足による貧血らしい。
「マスター。お詫びにはなりませんが、魚を獲りましたので焼いて食べましょう。丁度昼時ですし」
「ありがとう。でもよくこんなに捕まえたね」
「慣れてますので」
「慣れてるんだ」
「はい。幼少期は養父たちが用意してくれるもの以外に、自分たちでも何とかしないと足りませんでしたから」
確かに、昔のインドの生活水準はよくわからないけど、余り裕福ではなさそうだし。育ち盛りの子供2人にはキツそうだ。
「安心しろマスター。スラクシャの食料を調達する技量は、宝具と言っても差し支えないほどだ。兄であるオレよりも先に飛び出す姿はまるで猟犬の様だった」
「女性に向かって猟犬はないだろう。これだから貴様は……デリカシーをしらんのか」
「兄上より先にいっぱい獲って置かないと、兄上が持っていたら他の人に強請られた時に何の見返りもなくあっさり渡しちゃうじゃないですか」
言いたかったことを全部言ってくれた。宝具レベルの食料調達能力って。そういえばカルデアから持ってきた食料とかがあったとはいえ、あの人数の食料が数日持つのはおかしい。あのアルトリアだっているんだし。
もしかして?
「次からはオレも呼べ。お前と一緒に過ごしたのだ、多少なりとも役に立つ」
「カルナ……。……因みに、もし食料を持っているときに腹を空かせた動物が、物欲しそうにそれを見ていたらどうします?」
「そうだな……。もしや、その動物の主食かもしれん。置いていくだろう」
「…………………………」
あ、スラクシャが頭抱えた。あ、アルジュナが慰めるみたいに頭撫でた。あ、カルナの手で叩き落された。
「スラクシャさんはどちらとも仲が良いのに……」
「初めてあの2人を召喚した時はクッションになると思ったんだけどね」
いや、なってはいるんだけど。別のところに於いては悪化しているというかなんというか。
「……とりあえず、お腹すいたなあ」