オカモト。
エランテルのとある工房より
「イビルアイさん。ポーションはもっと必要ですか」
金髪の少年に声をかけらた吸血鬼は結論を出してしまう。
「万全を尽くすならもう少し欲しいな」
「なら、もう少し待ってもらっても」
「当然だな。素材なども手配しておこう」
筋肉を大量に蓄えた戦士が室内に入り込んでくる。急いでいたのだろうか、扉を蹴破ってしまった。
「イビルアイ。この辺には強いゴブリンはいないよな」
ゴブリンだと。まさかとは思うがガガーランがゴブリン如きに負けてしまったというのか。あんな知性の欠片も存在しない亜人如きに。
「負けたのか」
「負けちゃいねぇーがよ。エンリを調べていたらゴブリンが警護していてよ、思わず戦っちまったら案外強くてよ」
「難易度はどれ位とみる」
「恐らくだが30前後だな。まぁそいつらの所為でエンリを逃してしまったがな。まぁお前との約束があるから傷つけない手筈にはなっているから安心しな」
「30かやはりモモンガの部下だったな」
「その様だな。だったら早くエンリを解放してやろうぜ」
「そうだな。では帰ろうか」
「じゃーなー」
蒼の薔薇が消えた室内に一人の少年しか人間は残っていなかった。
「エンリ、エンリ、エンリ、エンリ。僕がアンデットの支配から解き放ってあげるからね」
「僕は何て優しい人なのだろうか。悪からプリンセスを救うなんて、吟遊詩人が語る物語の主人公じゃないか」
「早く、早く、早く。ポーションを作らなくちゃ」
「モモンガだがなんだか知らないけど、あんなクソヤローなんかに、僕の物を渡す訳ないだろうが」
「エンリの体は僕の物。エンリの心は僕の物。エンリは僕の為に存在するだけの存在なんだ」
「早く、モモンガをぶっ殺さないとなぁぁぁぁぁ」
室内には嫉妬に狂った一人の少年の笑い声がこだましている。この家の主たる老人は計画の邪魔になると判断した為に、蒼の薔薇がぶち殺してドブの森に捨ててしまっている。
発表した内容は病死だったのだか。
一方、蒼の薔薇のメンバーは先程の話について人前では話せない本当の作戦を語りだす。
「エンリは殺すんだろ」
「当たり前だろ。アンデットに協力する人間など万死に値する」
「だったらンフィーも殺すのか」
「殺しはしないが、あの様子だとエンリを殺すと発狂するだろうな」
「だったらどうするんだよ。あの能力は使えると思うぜ」
「簡単だ。私が持つ秘術で精神をぶち壊し、人形にしてしまうのだ」
「最高だな。裏切られる心配もなくなるしな」
正義の味方を語るガガーランは、自分の好きな事にしか行動をせず目的の為なら何でも壊す様な女だった。
現在進んでいる作戦に於いても、積極的にンフィーを協力者に連れ込んだり、過去に救った亜人に協力を結び。その結果、街ごと戦争に導こうとする事は気づきもしなかった。
「ところでよ。モモンガが持っているアイテムは凄い価値があるんだろう」
イビルアイは先日目撃したモモンガについて思い出していた。
「凄い価値はあると断言出来るな」
「楽しみだなぁ。いい事をして手に入るアイテムはよぉ」
「そうだなぁ。そういえばティナ達は何処に行ったんだろうな」
「ああ。フィリップという大貴族の奴隷になったらしいぞ」
「へぇ、何でそんな事になったんだ」
「何でも、過去にやった事がばれて一度だけ、身体を許したら魔法の首輪を掛けられて二人共の奴隷になったそうだぞ」
「別に良いか。あいつらはアンデット討伐に反対だっだしな」
「今は幸せそうに暮らしているしな」
〇〇〇〇
フィリップ邸
やはり忍者は最高だな。俺の欲求を全て満たしてくれるしな。
せっかくならラキュースもセットで欲しかったが高望みしすぎかな。
「お前達。私の奴隷になれて幸せか」
「はい、幸せでございますフィリップ様」
「そうか、そうか。だったら不変の指輪をつけるが良い」
忍者達はフィリップから与えられた指輪を眺めながら、疑問を投げかけるとフィリップはご機嫌よくアイテムについて語りだす。
「このアイテムは何でございますか」
「このアイテムを使用すると、見た目が死ぬまで変わらない存在にするアイテムだ」
忍者達はこの後どうなるか気づいてしまった。自分達は若い見た目のまま、死ぬまでフィリップに飼われていく幸せな人生に。
「ありがとうございます。末永くよろしくお願い致します」
「当たり前だろ。お前達」
〇〇〇〇
交差する運命の中で幸せを謳歌する者は、モモンガの味方のみであり、敵対する存在に未来はないだろう。