双六で人生を変えられた男~100年後の君へ~ 作:武御雷参型
プロローグ
俺はこのIS学園を無事に卒業する事が出来た。そして、これからは本格的に暗部の仕事が待っている。親父は親父で絶賛妹達の事を溺愛している。反対に姫無と簪は若干鬱陶しそうにしているが、それでも嬉しそうにしている。どっちなんだろうな?
まぁ、家に帰ったら妹達の面倒も見るか。
「ただいまぁ~」
「「お帰りなさい」」
玄関先には長女の更識姫無と次女の簪が出迎えてくれる。
「おう、ただいま。母さんと親父は何処にいる?」
「お母さんは台所、お父さんは部屋で篭ってる。何でも大切な話があるって………」
「そうか、なら俺は親父の方に行くな。その後に一緒に遊ぼう」
「「やったぁーッ!!」」
二人は喜んで母の元に飛んでいく。
「親父、ただいま帰ったぞ」
俺はそう言って親父がいる部屋の扉を開ける。
「帰ってきたか。さて、帰ってきて早々すまないが明日に出てもらう」
「それは良いが、何処に行くんだ?」
「行き先はある組織がなんかヤバイ実験を繰り返しているそうで、周りに少しながら被害が出ている」
「それに行けと………日本の中じゃないんだろ? なら俺達暗部が出る幕は無いはずだ。どうして俺達が出ないといけない」
俺はそう言うが、親父の顔には真剣さが出ている。いつものようにチャラけて言っている様ではない。
「その組織は亡国企業だからだ。それに、お前だって関係ない話じゃない。そうだろう? 男では絶対に動かないとされていたISを動かした一人目の男と言われた者が」
「ッ!!?」
そうだ、俺はある意味で全世界から狙われた存在だ。なら亡国企業だって狙っているはずだ。
「了解した。なら明日の朝に出発したら良いんだな?」
「ああ。頼んだぞ」
「了解」
俺はそう言うと親父に部屋から出て行く。
「さて、今度は何をしてくれるのかな?亡霊さんよ………」
俺の呟きに答える者はいない―――――
それから俺は姫無と簪と一緒に遊び、次の日となった。
「では、気をつけて行って来い」
「ああ。行って来る」
そしてこの時、俺はまさかあんな展開になってしまうとは夢にも思っていなかった。
「楯無様。もう少しで亡霊の拠点に到着します。ご準備を」
更識家ご用達のヘリにて亡国企業の拠点に置いてある場所に到着しようとしていた。
「判った。すまないな。さていつものを着ますか」
長年愛用している黒いスーツを身に纏う。何と無くだが今回の事件は嫌な予感がしてならない。
「何時でも行けます。お気をつけて、楯無様」
「おう。また帰りの時も頼む」
俺はそう言ってヘリから降下していく。そして、下では今更に気が付いたのか、対空防御を開始してくるが…………薄いな。
「そんな薄々な防御で俺をとめられるとでも思っているのか? ムダムダァ!!」
俺はそう言って全ての武装を破壊していく。だが、本当に薄いな。何か裏でもあるのか………。
「此処から先は行かせない!!」
「そうか、ならやってみろよ」
「ハァァァァァッ!!」
すると、相手のISは俺に向かってくる。だが、俺には一方通行(アクセラレーター)のベクトル操作がある。これぐらいの攻撃でやられるか。
「ノロいな。これならまだ織村の方がまだ強い。いや、ナターシャの方が強いな」
「なんだとっ!」
そう言うと相手のISラファール・リヴァイヴは突撃砲で攻撃してくるが、全てベクトル操作で弾いていく。
「そんな………」
「さてそろそろ終わりにするか」
俺はそう言うと、両手を挙げて空気を圧縮してプラズマを発生させる。
「それって………もしかしてっ!?」
相手のパイロットは何やら逃げようとしているが、無理だ。さて、これで終わりだ。
ズガァァァン!!
プラズマが落ちた場所には直径10m近いクレーターが出来上がってしまった。
「ちょっとやりすぎたかな? まぁいいや。さて、この施設内部に突入しますか………」
そう言うと俺は施設の入り口であろう場所を蹴飛ばす。
「チワース、三河屋です。貴方方に豚箱というチケットをお渡しに来ました。大人しく貰って下さい」
俺がぶち抜いた先では白衣を着た男や黒い服を着た男、ISスーツを着た女が沢山いた。
「はい、では今から皆様にチケットを渡して行きますので、動かないで下さいね?」
俺がそう言うと、男達や女達は銃火器を出したり打鉄やラファール・リヴァイヴを展開させたりして反撃をしてくるが、俺はベクトル操作を使って全て弾いていく。
俺の周りには男女が山になって積み重なっていた。
「本当に弱いな。もう少し骨のある奴はいるかと思ったが、これぞ骨折り損の草臥れ儲けだな………いや、違うか?」
そして、ジャマな男共や女共を黙らせながら進んでいくが……。
「これで漸く最終地点か………じゃあ、逝きますか」
俺はそう言うと、最終地点であろう入り口をまたもや蹴飛ばす。そして、さっきと同じ言葉を言う。
「ども、三河屋です~。貴方方に豚箱というチケットをお渡しに来ました。大人しく貰って下さい」
俺が入ると、そこには何やら機械が設置されて忙しそうに動いていた男達はピタッと止まって、こちらを凝視して、直ぐに逃げようとしていたが………
「逃がすかよ。オラオラオラ!!」
俺は殺さない程度で殴っていく。しかし、そこで油断してしまった。俺が誰も居ないと思いベクトル操作を解除してしまった。それが俺のミスで、打鉄を纏った女が瞬間加速(イグニッション・ブースト)で俺に近づき機械の方に押してくる。そして………一人分が入れる場所に俺が入ってしまうと、逃げていた男達が急に集まって機械を操作していく。そして、俺はそこで意識を失ってしまった。
そして、ふと気がついた。目の前に広がるこの光景は、一体何処だろうか。上空に広がる青空は俺がこれまでに目にしてきたものと全く変わりない。よって問題はそこではない。問題なのは、青空の元に広がる俺が一切目にしたことのない世界だ。
縦横無尽に走り回るのは車ではない。車輪のない車に似た何か。その下に敷かれているのは道路だけではなく、歩道橋の高さ程には幾重にもその道路が重力に逆らうかのように最小限の支えのみで広がっている。
聳え立つのは見知ったビルなどではなく、全く見覚えのない建造物の数々。
これは可笑しい。明らかに可笑しい。
目の前の理解出来ない光景に開いた口が塞がらない。何で俺の目の前には見たこともないようなSFみたいな光景が広がっているんだ。ついさっきまで俺は亡国企業(ファントム・タスク)との戦いで変な機械の中に入れられて………いや、今はそんなことはどうでもいい。重要なのは俺がどうしてスクランブル交差点のど真ん中に制服姿で突っ立っているのかということだ。(いつの間にか黒執事は解除されていた………)
行き交う人たちの視線がどこか気まずい。明らかにこの制服を見ているのだが、これそんなに目立つんだろうか。周囲には俺よりも明らかにパンクなファッションしている奴がいるんだが。
「……つうか、まじでここドコ?」
夢なら一刻も早く醒めてくれ。じゃないと続きが読めないじゃないか。残り僅かな希望を込めて、俺は自分の右頬を全力で抓ってみた。うん、痛いです。ということで、これが夢ではないということが残念ながら確定してしまった。まだ明晰夢という可能性もなくはないが、生憎俺はこれまでそんな経験をしたことはない。それに今聞こえる音や見える景色は、夢である筈がないようにリアルで紛れもなく現実だった。
そんな訳で未だに理解不明な現状だが、とにもかくにも此処がどこなのか確認しなくては始まらない。幸いなことに周囲には大勢の人間が居るし、会話している声や近くにある表示版などを見てもここが外国ではなく日本であることがわかったので、情報を得るのにそこまで苦労はしなさそうだ。
俺はとりあえず周囲の表示版に視線を移す。
「渋谷……」
渋谷。シブヤ。しぶや。SHIBUYA。
どう読んでも渋谷だ。しかしながら変だ。俺の知っている渋谷というのは、もっとこう若者が多くて賑わっているイメージだったんだが。確かに人は多いが、その年齢層は明らかに若者ではなく会社員やそれ以上の人間だ。それに周囲に立ち並ぶ建物も何処か近未来的だ。俺がIS学園にいる間にこんなにも都市化が進んでたのか、などと考えては見たが、どう考えても数年で進歩できるレベルではない。
車輪のない車なんて噂ですら聞かなかったものが目の前を平然と走り去る光景にまたもや言葉を失う。
いかん、本格的に頭が混乱してきた。とりあえず誰かに連絡を取ろう、そう思い、俺はポケットに入ったままだった携帯を取り出し、電話帳を呼び出す。そこで織斑千冬の名前を選択し、直ぐ様通話ボタンを押した。
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
「……なんで?」
千冬はつい先月機種変更したばかりの筈だ。それについ昨日電話した。繋がらない筈がない。電波が悪いのかとも思ったが、画面を見れば電波状態は極めて良好だった。
晃甫先生より指摘がありましたので書き直していますが、どうでしょうか?まだ可笑しいところがあれば言って下さい。
指摘がありましたので書き直しています。まだまだ指摘があったり矛盾しているところがありましたらドシドシ送ってください。よろしくお願いします。
7月20日にて亡国機業を正式に『亡国企業』に統一します。