双六で人生を変えられた男~100年後の君へ~ 作:武御雷参型
「でも、私には諦める事はできない」
水無はそう言うと顔を上げる。その顔には決意が見られるほどであった。
「君の決意には賛同したい。しかし、最低スペックである白龍を動かせないとなるともう君には打つ手が無い状態なのだぞ? それでも君は諦めたくないと言うのか?」
「はい」
俊輔の質問に水無はしっかりと答える。
「………正直、君はまだこの世界の裏の事まで知る必要性は無いと思う。これは君のお父上もそう願っているのではないか?」
俊輔はそう言うと楯無の方を見る。楯無は一切の乱れも無く頷く。
「判っています。しかし、我々一族は色んな意味で衰退してしまいました。ですが、私はもう何も出来ずにただ指を咥えて見ている事が出来ないのです!!」
その悲痛の叫びを聞いた形無達は黙ってしまう。
「はぁ~、しゃぁないか。判りました。裏技を使えばあなたでも白龍を使えれるようにしましょう」
「ホントですか!!」
「ああ、だが。一つだけ約束して欲しい」
俊輔はそう言うと真剣な顔をする。
「君は無理をしようと考えている筈だ。だが、それは君にとっても、楯無さんでも形無さんでも悲しむ。だから、決して無理をしないと約束をして欲しい。これは此処にいる人達に聞いてもらっている。この約束を破った場合は、直ぐにでも白龍を取り上げる。良いね?」
「…………はい」
俊輔の言葉に水無は肯定で答えた。
「なら、少しだけ時間をくれないか? 少し準備が必要なんだ」
「判りました」
「それと、少し席を外してくれないか? 今度は楯無さんと形無さんと話しをしたいから」
「…………判りました」
そう言うと水無は部屋を出て行く。それを見送ると俊輔は真剣な表情に変わる。
「さて、今度はこっちの話ですね。スペックに関してはお伝えしたとおりです。白龍は正直に言うと低スペックな機体ではあるのですが、パイロットの腕次第で高スペックな機体と同様な力を得ます。特に、機体の特徴は………」
俊輔の講義は、夜通しで行われるのであった。
その翌日、俊輔に呼ばれた水無は庭にきていた。
「あのう、俊輔さん。如何して私、呼ばれたんですか?」
「すまない。機体の調整でな」
「は~………って、昨日話したばかりですよね!? もう出来たんですか!!」
「まぁ、間違ってはいないけど……………そろそろだな」
俊輔はそう言うと、腕時計を見つめる。そして、丁度、8時を指した瞬間、庭に丸い円形の物が現れる。
「な、なんですか!! これッ!!」
「なに、ただの魔方陣だ」
俊輔達の前に魔法陣が展開され、その上に二機のISが鎮座しており、後方に一つのパッケージが置かれていた。
「この機体が白龍だ」
鎮座していたISの名前は白龍。型式は「VS-101白龍」既にミッドチルダでは量産体制に入っている最新型機である。もう一機は初代打鉄に似た機体。型式は「MIS-X002疾鉄」であった。この機体もミッドチルダでは既に正式採用機である。
「この機体を私にですか?」
「そうだ。まぁ、少し設定を弄るがな。それとこの疾鉄には形無さんが搭乗してください」
「待て、俺はISには……」
「大丈夫です。そこは何とかしていますから」
水無の言葉に俊輔は答えた。そして、俊輔はおもむろにホログラムのキーボードを展開すると、高速でキーボードを操作していく。それは百年前にISをこの世に産み出した篠ノ乃束博士の様な早さである。また、形無はISに乗る事が出来ないが、それを補う為のMISである。この機体は、リンカーコアを持たない人間でも搭乗できる様に設計された篠ノ乃束の作品である。
「設定はこれぐらいで良いだろう。さて、水無。これに搭乗してくれ」
俊輔は水無に白龍に搭乗するように言う。
「少し試運転がしたいな。形無さん。少し相手をしてくれませんか? それにその機体の試運転にもなりますし」
「俺で良いのか?」
「はい」
「良かろう」
俊輔の提案に形無も賛同してくれることになり、白龍の試運転を行うことになった。しかし、このまま試運転をしてしまうと、IS学園から要らないものが来る可能性が高いため、俊輔は結界を張ることにした。
「では、これより白龍vs疾鉄による模擬戦闘を開始する。この試合は、白龍の調整の試運転を兼ねているので、両名ともにそれを忘れないでほしい。また、こちらで白龍も停止コードを所有している。場合によっては使用する可能性もあるので、悪しからずに。では、両名。位置へ」
俊輔がそう言うと、白龍と疾鉄は設定された位置に着いた。
「試合、開始っ‼」
俊輔の号令で、試合が開始されるのであった。
先に仕掛けたのは白龍であった。ビームライフルで疾鉄に攻撃をする、だが、疾鉄を纏う形無は攻撃を反射で方向を変えて攻撃を凌ぐ。
反撃とばかりに形無は一気に距離を詰めると、反射攻撃として掌を白龍に触れさせると白龍を吹き飛ばした。だが、それだけで攻撃を終わらせる程、形無は甘くは無かった。再度、距離を詰めると足蹴りで白龍を上空に上げると、踵落としで白龍を地面に叩き付け、ダメージを与え、シールドエネルギーを消し飛ばすのであった。
「試合終了‼ 勝者、疾鉄、形無‼」
白龍を纏っていた水無は悔しさの余り涙を目尻に溜めている。
「まだまだ、調整をする必要性があるな……それにパッケージの運用も考えないとな」
俊輔は今後の調整を考えるのであった。
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すみません。こちらの不手際がありましたので最後の所のみ編集を行っています。