Infinite Stratos=Evolution Of Hybrid= 作:凜悟
こちらではこの作品が処女作となります、ご了承下さい。
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俺は今、突然振ってきた土砂降りの雨の中をやや早足で歩いている。近くのスーパーで赤卵や惣菜などの特売セールがもうすぐ開催されるからだ。
こんなチャンスを、逃すわけには行かない。
そのために前日特売セールの広告から欲しい物と買い足すもののリストまで作り、行くまでの道にある銀行で稼いだ給料を引き出して準備した。
(赤卵は最低でも4つ確保して、あとは緋音たちの弁当のおかずだな…。春巻とポテトサラダは入れるとして、あとは考えながら買えばいいか……)
通っている大学――桜坂学院の学生服を着てはいるが、生憎と傘を忘れてきたせいでびしょ濡れになってしまっている。雨のせいで中に着ているカッターシャツが張り付いて、鬱陶しいことこの上ない。
交差点を右へ左へと曲がりながら進んでいく。
『あと少s――』
次の交差点を曲がれば目的地のスーパーにたどり着けると、そう思った。
……が、俺は実際に起こっている現実を目の当たりにし言葉を失ってしまった。
赤信号になり横断歩道を子供たちが渡っているというのに、大型トラックが信号を無視しこちらに突っ込んできているのだ。しかも子供はそのことに気づくそぶりが全くない。
立ち尽くしている間にも刻一刻とトラックは子供へと迫っているというのに、どういう訳か身体が言うことを聞いてくれなくなってしまった。
『なっ…!オイオイ…、嘘じゃねーのかよ!?
なんだってこんな大事な時に…クソッ、動けよ…!』
動こうとしない身体に鞭を打ち勇気を無理やり奮い立たせ、咄嗟に手に持っていた鞄をそこら辺に投げ捨てて今にも轢かれそうになっている子供の元へと全速力で走る。
(間に合え、間に合え、間に合ってくれ……っ!)
まるでスローモーションのように動いている中で、目の前で人が死ぬことだけはさせまいと子供を少し乱暴に突き飛ばし避難させる。
そこまでは良かったが、助けられたことに安心しきっていたのか俺は目の前にまで迫っていたトラックに気づくことが出来なかった。
『やば――――』
そこで俺の視界は暗転し、意識を一度手放した。
サアアァァ……。
――雨の音が妙にゆっくり聞こえる。雨が降り終わってから音が聞こえてくるような、そんな感覚がする。
あー…、くそ。きっと頭を強く打ち過ぎたんだろうなぁ…。さっきから頭が痛くて痛くてしょうがない。
自分に何が起こったのか確認しようと身を起こそうとしたが……身体は少しも動かず、意思に反してただ寝転がっているだけだった。
こりゃ全身強打に複雑骨折どころの怪我じゃ済まないだろうな…。
けれど左腕だけはかろうじて動いたので、自分の頭を触ってみた。
手を見てみると、真っ赤な血で染まっていた。それは事故の相手のものではなく、紛れも無い自分自身の『それ』だった。
分かったのはそれくらいで、自分が事故に遭い瀕死の重傷を負ったなんて感覚すらもうなかった。
『(そういや、俺…大型トラックに轢かれそうだった子供を助けて、自分が代わりに轢かれ意識飛ばして、地面をかなりの距離転がって今に至る、と。
ハハッ…冗談じゃねぇよ。
絡んでくる奴らは全員病院送りにしたし、不良だって何人もしばいてきた。だけど悪事だけは働かず人のために生きてきたってのに、最期は理由のない事故死か!ふざけんじゃねえ!)』
今更文句を言っても仕方がないが、これは流石に言わずにはいられない。
何か喋ろうとすると血が喉に上がってくるのでしばらくそのままの状態でいると、けたたましいサイレンの音と共に何台かのパトカーと救急車がやってきた。
『(…今頃やってきたって、助からない怪我負ってるんだから意味ないじゃねえか。喧嘩売ってんのかこいつら?)』
文句を言うようにそんなことを考えていると、さっきまで気づかなかった声が聞こえる。
いかんせん身体の自由が効かない状態なので視線だけを声の方向に向けると、一人の女子が俺の隣で跪いていた。
俺と同じくらいの歳か少し下の子で、茶髪の髪を肩辺りまで伸ばしている。きっと彼女がいち早く道路で倒れている俺に気づいて通報してくれたんだろう。
……そういや、確か弓道部に入りたいって新人がいたな。こいつのことだったっけか。
色々と弓道の極意とか教えてやりたかったが、こんなんじゃ教えられそうにないな。悪かったな、部長との初めての出会いがこんな形になっちまってよ。
その子は今にも泣きそうな顔で俺の名前を叫ぶ。
声が枯れてこようがお構い無しに、気を失わせまいとひたすら俺の名前を呼ぶ。
「……先輩、しっかりしてください!もうすぐ救急車が来ますから!!
弓道の極意とか教えてくれるんじゃなかったんですか!?」
と。涙を流しながら必死にそう訴える。
俺は僅かに動く左手で彼女の涙をふき取ると、
「俺のことはいいから、もう泣くな……せっかくのきれいな顔が台無しじゃねえか……」という思いを込めてその子の頬に軽く触れる。
その手をしっかりと握ったまま彼女は大粒の涙を流し、そこから動こうとはしなかった。
俺の意識はそこで途切れ、握られていた手が力なく地面に落ちた。
その後すぐに、彼女の泣いている声を聞いた気がする。
―???side out
にじファンに書いていたものを修正&加筆しながら投稿していくので、もしかしたら(もしかしなくても)かなり不定期更新になると思いますが、どうぞ生暖かい目で見守ってくれると嬉しい限りです。