Infinite Stratos=Evolution Of Hybrid= 作:凜悟
幼稚園で頭のおかしい奴(恐らく俺とは別の転生者)から千冬と束を助けたら何故か懐かれるし、自力で設立し運営していた「世界統合経済活性促進連盟」、通称『統経連』がいつの間にか世界有数の巨大企業になっていたり、頭のおかしい奴との勝負をフェニックス・ゼロ(鳳凰・零式)だけで完勝したり……
俺は倉持技研と統経連が共同で新たに作り出した第3世代型IS――「舞風」の試運転に駆り出されていた。こういうことを避けるために専用機である「雪月華」を持っているんだが……。
というか、最近倉持技研の設備がかなり良くなっていたな。だから「真打」「紅蓮」「蒼穹」の製作も時間を取らなかったのか。
『(久しぶりに「統経連」のCEOとして出勤して主任の目がめずらしく輝いていると思った先がこれだ…。
何が「最高速度を更新してきてね!」だ、こんちくしょう。
俺が本気を出して飛んだらISが邪魔になって思いっきり飛べないんだよ、いい加減分かれっての……)』
流石の俺でも言われたことに怒りを覚え、「帰ったら絶対〆てやろう」という憤りを胸にしまいながらも敢えてテストパイロットを買ってでた。
そんなこんなで、今は空気抵抗をガン無視しながら飛行実験をおこなっている。ISはそんなのを気にしなくても大丈夫だろう、パワードスーツなんだし。
時折、旋回、急加速・急停止、上昇や降下などの基本操作を織り混ぜつつ飛び続ける。やっぱり空を飛ぶのは気持ちがいいな。
どうやってシメてやろうか考えながら飛行していると、ヨーロッパあたりの国境に差し掛かった。
よくよく見渡してみると、そこは以前見たことのある土地に似ている。
『(ここは、もしかしてドイツか?)
はは……まさか、な。アイツのいる所が飛行コースと被っていたとは……』
その真偽を確かめるため、俺は一旦「舞風」を解除し
『GGP-Ex0000 ヴァンガード、不知火白夜!出撃する!!』
そしてすぐさま鳥型へと変形し、加速を開始した。
加速を開始してすぐ亜光速に到達した気がするけど、気のせいだよな……うん。
そうだよな、絶対そうに違いない。
◆◇◆◇◆◇
一方、ドイツの軍事基地では、以前よりも大掛かりな軍事演習をおこなっていた。
演習後の片付けをしようとしたその時、突然けたたましいサイレン音が響きだす。
「何事だ!」
「12時の方向、未確認飛行物体を確認!高速でこちらに接近してきます!
速度…………、っ!じ、時速100,000kmをオーバー!なおも加速中!これ以上は計測できません!!」
管制官から告げられたことがあまりに現実離れしていて、軍の上官も顔を顰める。
「(何だと…!現代の科学力でそこまでの速度を出せるわけがない……!!)
迎撃部隊を出せ!そいつに警告し、応答、また意思表示なき場合は撃墜しろ!!」
「了解!管制室から各迎撃部隊へ、アンノウンがこちらに高速で接近している!至急迎撃にあたられたし!
繰り返す、アンノウンがこちらに高速で接近している!至急迎撃にあたられたし!」
そうして、白夜を撃ち落とすべく沢山の迎撃部隊が出撃した。
〈(ピピッ)……7時の方向、マーク25アルファより敵影が接近。距離16000、数40。
ドイツ軍の迎撃部隊のようです。加速を続ければこのまま振り切れますが、撃墜しますか?〉
自身に組み込んでおいた補助用プログラム―「アプロディア」からの通知を受け 、初めて敵が接近してきていることに気がついた。
『もちろん、全員撃ち落とすさ。
神様にもらったこの命と身体、存分に試してみたいからな』
〈了解、臨戦体勢へ移行します。〉
VPS装甲とハイパーナノスキンが同時展開、その後NT-Dのセットアップが終わり、臨戦態勢 に移行したことを知らせる。
それが確認できてから変形を解除して人型へ戻り、予め格納されていたGNソードVI、GNソードビットⅡ、ツインバスターライフル、高威力ビームライフル、複合型防盾システム「トリケロスⅡ」を展開し、そして望遠可能型高性能メインカメラで敵の位置と数などを把握した。
はっきり言うとこの身体はまだ性能面で安定していない、この先で事故らなければいいが ……。
そしてひととおり武装を展開し終わった後、ドイツ軍の部隊に向けてこう言ってやった。
『…貴様らに見せてやろう、極限の進化を!!』と。
今思えばとんでもない悪役発言だよな、今度から気を付けないと。
白夜side out
一般兵side
アンノウンが高速接近しているらしいので迎撃にあたっていると、ある地点でおかしな恰好をしたIS(?)が特徴的な数々の武器を携え鎮座していた。
「攻撃目標を視認、これより……
?……オープンチャンネルで通信?」
〈ピッ〉
気になったので回線を開いてみる。
『…貴様らに見せてやろう、極限の進化を!!』
アンノウンから発せられた機械的な音声を聞いた途端、身体中の神経が「逃げろ、アイツと戦っても勝ち目はない!」と訴えてくる。実際そんな気がしてならないし、さっきから出ている冷や汗も一向に止まる気配がない。
「(……それほどまでに、あいつは危険な奴なのか。
見た目的にはまだまだ幼いが、油断は禁物だな)
さあて、そろそろおっ始めるぞ!スイーパー1、これより目標への攻撃を開始する!!各機、俺に続け!!」
そして俺は、ミサイル発射用のボタンを押した。
一般兵side out
白夜side
…はっきり言って、戦況はこちらにとって芳しくなかった。
いくら人外バンザイなこの身体でも、一度に沢山の攻撃を受け続ければいつかは修復が追い付かなくなる。
現に、
〈ハイパーナノスキンの修復……微量、効果は期待できず。
VPS装甲……7割を損傷。ExPS・UPS装甲……使用不能。
NT-D発動可能まで……残り30分。
残り疑似アーマーエネルギー……31%。〉
という結果が出ているのだ。流石にNT-Dを発動できないというのは辛かった。
敵は常に小隊を組み、傷ついている、又は修復の遅れているところをピンポイントで何度も攻撃してきた。それに比べて、俺は性能面で安定していないとはいえ一機も撃墜できていないなんて……腕が衰えているにも程がある。
『ライフルビットとフィン・ファンネルは製作中、ツインバスターライフルもEN切れ、……そうか!』
俺は転生される前に神様に言われていたことを思いだし、プログラムに「ある命令(コマンド)」を送り込んだ。
『(アプロディア、換装の準備をしておいてくれ)』
<換装まで一切の武装が使えなくなりますが、よろしいですか?>
『(…そんなもん、とっくに分かっているさ)』
<了解、換装中…しばらくお待ちください。>
『……っ!あ゛あ゛ああぁぁ!!』
突如身体の内側から引き裂かれるような痛みが走り、思わずその場に踞る。
敵もその様子に驚いていたのか、その間に攻撃されることはなかった。武器が使えないうちに攻撃されるなんてたまったもんじゃない。
『あ゛あ゛あ゛■■■■■■――――!!』
それまでの身体が消え、新たに別の
外見こそフェニックスに似ているが全身が淡い藤色に包まれ、背中に砲門としての機能も搭載した12枚の翼を持つ身体。
生前俺がよく遊んでいた「SDガンダム GGENERATION WORLD」とその次回作である「GGNERATION OVERWORLD」に出現する超強力ユニット、俺の全戦力をもってしても1ターンで撃墜できなかった「GGV-000 バルバトス」だ。
コイツなら自動でアーマーエネルギーを回復できるし、火力や射程距離も申し分ない。何よりもフェニックス系列の上位機であり、俺自身がコイツを好んでいるからだ。
『……まさか、自分がコイツになる日が来るとはな』
そう言って俺は試しに手を握って開いたり準備運動してみる。もちろん翼の可動範囲なども確認しておく。
どうやら異常はないらしい、無事に『変身』できたようだ。
その構成が終わった頃、ラファエルから通信が入ってきた。
「(驚いた……、まさか『適合率が400%を超える』なんてね。
貴方って本当に元人間?)」
『お前が直接魔改造したこの身体をくれたのに、ずいぶん…失礼なんだな。
何か、…問題でも、あるのか?』
まだ身体に残る痛みと疲労感から息が絶え絶えになるが、構わず問い返す。
「(普通の転生者ならせいぜい70%とかそこら辺で止まるの。
まあ、貴方なら例外でしょうけど。
そうそう、願い事の能力と武装のデータを送っておいたわよ)」
願い事の能力と武装データの転送、そして会話中に入ってきたENとアーマーエネルギーの回復、並びに武装の製造完了という知らせは、(いくら油断していたとはいえ)数の暴力に押されていた俺を元気にするには充分すぎる内容だった。
『……分かった。後で、確認しておく。
さあて……、そろそろ反撃開始と行きますか!!』
搭載された翼を広げ、俺は反撃の意思を露にした。
『アプロディア、全能力のリミッターを限定的に解除しろ。一気にカタを付ける!』
<了解…、全リミッターを限定的に解除しました。TRANS-AM、使用可能です。>
『この力にどれだけ耐えられるかな!?いくぞ、
その言葉と共に俺の身体のあらゆる隙間から白銀の粒子が放出され、機体の性能が格段に上昇していく。
『テウルギア・ゲーティア!』
翼の一部を楔として投擲し、更に12本の高出力ビームで追撃する必殺技を戦闘機のエンジン部に放ち、一機、また一機と撃墜する。そこでようやく反撃に出たと理解したのか、少々乱れつつあった陣形をすぐに立て直し同じように攻撃を加えてくる。
『二度も同じ戦法がなぁ、通じる訳ねぇだろおぉ!!』
某御大将のような台詞を言いつつ単調的なペースで放たれるミサイルの嵐を紙一重で全てかわし、お返しと言わんばかりに『HARO・フォーム』を浴びせる。…今思ったが、俺が使った場合の最高ロック数が4桁を余裕で越しているってどういうことだ。
それでもまだ半分ほど残っているということは、部隊の指揮官がいち早く回避を命令しておいたんだろう。かなり有能な指揮官らしいな。
そうこうしているうちに、また別の戦闘機が35口径マシンガンを乱射しながら接近してくる。
『甘い!』
そのマシンガンの弾を自分の周囲に浮いていた対物理シールドで全て防ぐ。そしてシールドに取り付けられているハイ・メガ・キャノンで撃ち落とした。
『あと何機だ!?』