艦隊これくしょん〜左遷提督、抜錨します!〜   作:なめろうP

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お久しぶりでございます。遅れに遅れてこの量...許してヒヤシンス...。さてさて、今回はようやく鋼鉄の咆哮要素が出ます。乞うご期待!


モルモット

~side新高~

「いやぁ、さすが武田少将。あれはもう惚れるね!」

俺は今、呉行きの輸送船に乗っている。時刻は22時をまわったあたりだろうか。明日の朝には呉に着くらしい。夜になって上がってきたテンションに任せ、元上官を褒めまくる。左遷させられると沈んでいたのはついこの間までの話。まさかこんなに手厚くしてもらえるとは思わなかった。さすが武田少将!

「そうでありますな...。」

この話を始めてからのあきつ丸はずっとこの調子だが。

「なんだよ、元気ねえなお前。何かあったのか?」

「...いえ、新高殿。世の中には知らないほうが良いこともあるのであります。」

なんだろう、この背筋の寒気は。ま、まあ見ず知らずの海軍へ行くともなれば、少しは緊張して当たり前か。

「ところであきつ丸。艦娘ってのはどういう存在なんだ?」

これは前々から俺が興味を持っていたことだ。いくら深海棲艦が強大な敵であるとはいえ、いきなり出現した艦娘を軍がすぐに味方とみなして共闘するとは思えない。敵の敵は味方理論なのだろうか。まあ機密扱いだろうしそんなに有力な情報は得られないと____

「新高殿、まさかご存知ないのでありますか?艦娘は海軍が作り出した対深海棲艦用の人型兵器であります。最も、実際に建造に携わるのは人間ではなく、妖精と呼ばれる小人でありますが。明日向かう予定の呉で主に建造されているはずであります。」

なるほど。海軍が作り出したのか。道理ですぐに戦場に送れるわけだ。なるほどなるほど。

「はぁ?」

思わず声が出る。俺が、というより一般に知られている艦娘の存在は、教科書に載っている『突如出現した』というものなのだ。海軍が開発したという話は全く知らない。機密保持の為に、ということなのだろうか。

「本当に知らないとは驚きであります。大恥かくところでありましたな。あ、ちなみに自分は陸軍製であります。」

「よく海軍が技術提供してくれたな。あれか、金の力か。」

「いや、陸軍の連中が必死にスパイ活動をした成果であります。何人かは捕まったりもしているようで…。」

同じ国の軍隊でスパイ行為をせねばならないとは、つくづく情けない。だが、艦娘について興味がわいてきたぞ。

「あきつ丸。俺はもっとお前について知りたい。夜はまだ長いし、いろいろと教えてほしい。…なんだ、顔が赤いぞ。」

「ににに新高殿、そういうことには順序があってでありましてな、自分も心の準備というか、初対面でそれはいきなりすぎるというか…。でもまあ、命令とあらば仕方ないでありますな!」

「おい待てなぜ脱ごうとする。ちょ、いやストップストップ!そういうことじゃねえ!」

なぜか妙にノリノリなあきつ丸を必死に抑えて部屋に帰したころには、時計はすでに1時を過ぎたあたりだった。

 

~翌日~

「ここが呉か...凄いな。」

いくつもの巨大な鉄塊が、港に所狭しと浮かんでいる。わが国でも最大級の軍港である『呉軍港』では、多くの兵器が開発されている。もちろん、俺がモルモットになる装備も。新型兵器の実験台というものは、成功すれば面白いんだろうが、欠陥があったときにどんな死に方をするのかと考えるとやはりいい気分ではない。...しかし俺も男だ。覚悟を決めて、進むしかない!

「おはようであります新高殿、昨日は激しかったでありますな...///」

「台無し!お前のせいで全部台無しだわ!ええい頬を赤らめるな!部屋に送り返しただけだろうが!」

「あのう、新高少佐ですか...?」

「なに寝ぼけたこと言ってんだお前。」

「自分は何も言ってないであります!」

「ほかに誰が言うんだよ...って誰!?」

「こっちです!こっち!」

声の方向には何も見えない...いや、いた。手のひらほどの小さな人間である。

「あらかわいい」

「新高殿、妖精に欲情するのでありますか...?」

「はーい何も聞こえませんねー!ちょ、妖精さん引かないで!そんな趣味ないから!」

ふむ、これがあきつ丸が言っていた妖精なのだろうか。なんだか思っていたよりも、

「小さいな」

「溶鉱炉に叩き込みますよ?」

どうやら禁句らしい。以後気をつけよう。

「まったく...これだから陸軍の連中は...。新高少佐ですね?早速ですが、試作兵器の所まで案内します。」

「ご苦労であります。ところで歩幅が違いすぎるので案内が難しいと思うのでありますが...。」

「あ?」

「なんでもないであります。」

結局妖精を肩に乗せ、指示に従って工廠へと向かうこととなった。

 

「到着です。こちらが例の兵器...試製人用艤装『上総(かずさ)』です。」

そこにあったのは、艦娘が付けている艤装となんら変わりのない兵器であった。腰周りに作られた甲板を模した台座の上には、砲塔の他にもロケット砲のようなものまで見受けられる。

「戦艦タイプの艦娘を参考に作ってあるので、80cm2連装3基、15,5cm3連装副砲6基と大火力ですよ。さらに対潜攻撃を可能にするため、対潜ミサイルも付けています。さらにですね...」

果たしてこれは人間が使える代物なんだろうか。いくら鍛えた軍人といえども、これを背中に背負って海上を進むというのは至難の業だろう。

「これは...なかなか厄介な兵器でありますな...。」

艦娘であるあきつ丸からもこんな感想なのだ、予想より厳しいテストになると覚悟を決めねばならんだろう。

「他にも、圧倒的な対空弾幕形成のため、対空兵装も充実!見てくださいこの機銃の数!どれだけ航空機が来ても無駄無駄無駄ァ!...聞いてます?」

「ん?聞いてた聞いてた!凄いなぁ!なぁあきつ丸!」

「もちろんであります!無駄無駄無駄ァ!あたりからしっかりと覚えているであります!」

「聞いてなかったんですね...。まあ、使えばわかります。では、艤装を付けて海へ出てください。早速ですが今から試験を始めます。」

 

ドォン、と。腹に響くどころか、腹を直接振られるような音がなり、射撃目標が消し飛ぶ。

「こんなものかな。」

「さすがでありますな新高殿。短時間でここまでとは...さては前世は艦娘...?」

そんなこんなで早速試験に駆り出されているわけなのだが、思いのほか体に馴染んでいる気がしなくもない。移動は陸を歩くのと大して変わらず、射撃も申し分ないだろう。この分には慣れるのもそう遠くは無さそうだ。

「陸軍のくせにやりますね。では次は海面を移動しながら____」

突如、轟音が響く。

『敵襲!総員戦闘配置!』

『哨戒艦隊との通信途絶!強襲です!』

『敵艦隊見ゆ!なんじゃありゃ?!』

「新高少佐とあきつ丸さんも防衛にあたってください。いきなりの実戦ですが...。」

「マジかよ...まあ、やるけどさぁ...。」

「新高殿、ご武運を!」

「いや話聞いてた?お前も防衛に参加するんだよ?」

「自分は揚陸艦でありますから...。」

「2人とも!話してないで準備してください____敵艦隊接近!1時!」

妖精が指さす方向に目を向ける。

「うわぁ...。」

そこには、20隻を超えるであろう戦艦型の深海棲艦と、親玉であろう戦艦の姿があった。




いかがでしたでせうか。鋼鉄の咆哮要素なんて少ししかなかったんや...。次話は一応一月後を予定しています。というかそれをめざして頑張りますので、よろしくお願いします。
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