3+4=   作:けーおー

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衝動のままに書きました。
もしかしたら続くかもしれないです。


記念日 in_Their_Love_Nest.

 第三次世界大戦から早数年。

 全世界を巻き込んだいくつもの騒乱を乗り越えた学園都市は、様々な混乱や問題があったものの、無事存続していた。

 

 近未来的な街で、学校へと登校する学生たちの明るい声が木霊する中、とあるマンションの一室で目覚めた女性が二人。

 二人は一糸纏わぬ姿を薄く白いシーツで隠しながら、揃って気だるそうな息を漏らす。

 

 

「……ちょっと、煙草やめてよ。二人でいるときはやめてって、いつも言ってるでしょ?」

 

 

「まったく、まだまだお子様ね……大人になれば、この匂いも味も分かるようになるわよ」

 

 

「はいはい、おばさんにならないと分からないってわけね」

 

 

「なるほど、寝起き早々にぶっ殺されたいのかにゃーん?」

 

 

 ベッドの上でうつ伏せになりながら、少し体を起こして不機嫌そうに告げる学園都市第三位『超電磁砲』、御坂美琴。

 その隣で上体を起こし、長い茶髪をかき上げ、咥えた煙草に火をつけて紫煙を燻らせるのは、学園都市第四位『原子崩し』、麦野沈利。

 

 

「平日にこんな大寝坊かましちゃっていいのかにゃん? み・さ・か・さ・ま?」

 

 

「怒るわよ。そっちが言い出したんでしょ? 今日は記念日だから一緒にいる、って……」

 

 

 時には敵対して命を懸け戦った麦野と御坂だったが、意中の男性と結ばれなかった境遇や、学園都市トップクラスの能力者であるが故の悩みなど、重なる部分がいくつもあった二人は自然と惹かれ合った。

 恋人らしい関係になるまでには、学園都市の裏も表も巻き込んだ大騒動があったのだがそれはまた別の話。

 

 二人は、御坂が常盤台中学を卒業し高校に通うようになってから、家賃を折半してマンションの一室で同棲していた。

 同棲が始まってちょうど2年の記念日を祝うということで、麦野のからかうような言葉に、高校をずる休みした御坂が苛立ちつつ答える。

 

 

「ちょっとからかっただけよ。私だって仕事休んだんだし、今日一日は完全オフ」

 

 

「……なんかずるいわ。大人の余裕を見せつけられてる感じ」

 

 

「はいはい……、拗ねないの、お嬢様。お詫びに、今日は美琴のプランに従ってあげるから。なかなか魅力的でしょ?」

 

 

 御坂が注意を諦めた煙草の火をさりげなく消した麦野が、優しく御坂の頭を撫でながら楽しげに表情を緩めつつ、自身も研究職の仕事を休んだことを告げる。

 いつも通り手玉に取られているように感じた御坂が頬を軽く膨らませるも、麦野の提案に矛を収め、麦野と同様に体を起こす。

 

 すると、シーツが身体からずり落ちているために露わになっている、麦野の抜群のプロポーションが御坂の目に飛び込む。

 

 

「……えいっ」

 

 

「なっ、ちょっ……、朝から早速ヤるってわけ? 昨日もあんなにやったってのに、大人しい顔してアンタもなかなか絶倫よね」

 

 

 度重なる戦いの果てに半義体化した麦野の身体は、紆余曲折を得て、以前の生身の物に戻っていた。

 

 口にするものは好物の鮭弁当がほとんどで、自己管理などほとんど気を使っていない麦野が美しい体つきを誇っていることに納得いかない御坂。

 隣の麦野の胸元に顔をダイブさせ、豊かな双球に顔を埋めると、不意の御坂の行動に戸惑いつつも受け止めた麦野が茶化すように答える。

 

 やるかたない嫉妬の感情はまだ心の中に燻っているものの、一瞬でも困惑した麦野の表情を見た御坂が満足し顔を離すと、苦笑しつつため息を漏らす麦野がベッドから立ち上がり、窓へと裸体のまま歩み寄る。

 マンションの高層階からは、楽しげに談笑しつつ登校する学生たちの姿が小さく見え、平和な日常を象徴するような光景に麦野は目を細める。

 

 

「……私も、一歩踏み外さなければ……あんな生活を送れたのかしらね」

 

 

 羨望や嫉妬の色は感じられない。

 しかし、後悔を滲ませ過去を振り返るような麦野の呟きが、二人暮らしにしては広すぎるマンションの一室に虚しく響く。

 

 思わぬ言葉に御坂が目を丸くしつつ麦野の背を見つめると、平和な光景に手を伸ばすように、麦野は透明なガラスにそっと触れる。

 いつも憎らしいほど頼もしい麦野の背中が、御坂の瞳には小さく儚いものに映る。

 

 

「後悔、してるわけ? まったく、アンタらしくない」

 

 

 御坂もベッドから降りると、麦野の後ろから御坂が歩み寄る姿が窓ガラスに映る。

 呆れたような御坂の声色の中には、労わるような優しさが含まれているのを麦野が感じ取っていると、御坂は麦野の背を包み込むように後ろからそっと抱き締める。

 

 

「ふっ……中坊の時のまな板からはだいぶ成長したじゃない。昨日も、揉み心地良かったわよ?」

 

 

「うるさい。まったく、珍しくシリアスモード全開のところを励ましてやってるってのに」

 

 

 麦野の言葉通り、成長した御坂のボリューム十分な双球が麦野の背に押し当てられ形を変えていると、麦野のからかいに青筋を浮かべつつ御坂が答える。

 麦野の引き締まった腹部に腕を回した御坂は、自分の体温を麦野に伝え、自らも麦野の体温を感じるようにさらに身体を強く押し付け、頬を麦野の後ろ首に当てる。

 

 

「もし……、あの時こうしてたら……なんて、考えてたらキリがないわ。私だって考えないわけじゃない」

 

 

 自分がもっと素直になれていたら……、恋心をもっと早くに自覚していたら……、かつての思い人だった正義のヒーローと結ばれていたのだろうか、と御坂はかつての自分に思いを馳せ、自分と麦野の両方に言い聞かせるように言葉を慎重にまとめて紡いでいく。

 

 

「でも、私は後悔しない。したくない。過去の自分が全部正解を叩き出した結果のベストエンドなんて糞食らえよ。今、沈利とこうして一緒にいられる……、それが私の最高の今なんだから」

 

 

「……沈利さん、でしょ? まったく、ガキが一丁前に生意気な……」

 

 

 率直で嘘偽りのない御坂な言葉が、ささくれだった麦野の心に染み込んでいく。

 御坂が既に答えを出していたことに自分がグチグチとこだわっていたという事実を認めたくない麦野が、後ろを振り返り、御坂の額を軽く小突く。

 

 軽口を叩きいつもの調子を取り戻した様子の麦野に、御坂がほっと安堵したような表情を浮かべていると、麦野が自分の手をそっと解く。

 正面から麦野に抱き寄せられた御坂の瞳に、ゆっくりと迫ってくる麦野の整った顔が迫ってくるのが映ったかと思うと、そのまま麦野と御坂の唇が重なる。

 

 

「んっ、あ……、は、っ……ん……」

 

 

 二人の甘く熱い吐息と、舌を絡め合う淫らな水音が室内に響く。

 互いを求め合う本能を解放した二人は、身体をくねらせながら強く抱き締め合い、時間を忘れるほど長く互いの口中を貪り合った。

 

 

「ん、あ……、いきなりは、反則でしょ……」

 

 

「美琴だって嫌がってなかったでしょ? 私の最高の恋人を味わいたかったのよ」

 

 

 御坂の言葉を引用してにやにやと笑いながら告げる麦野の顔は、変わらず御坂の鼻先にあった。

 相変わらず茶化すような麦野の言葉だったが、自分を大切に思ってくれている気持ちは御坂に十分すぎるほど伝わり、怒るに怒れない御坂はムッとした表情のまま顔を背ける。

 

 

「もう……、二度と励ましてなんかやんないんだから! 勝手にシリアスになって、勝手に落ち込んでなさい!」

 

 

「はいはい、そんなに怒らないでよ。まだ、さっきの約束は有効なんだから」

 

 

 いつものように簡単に手玉に取られた御坂を、楽しげになだめる麦野。

 御坂の希望通りに共に休日を過ごす約束を思い出させるように麦野が告げると、御坂は麦野を抱き締める力を強め、一度麦野の乳房に強く顔を埋めてから顔をゆっくりと上げる。

 

 

「……今日の食事は、全部沈利のおごり。それで許してあげる。もちろん、鮭弁なんかじゃなくて、高くて美味しいやつね?」

 

 

「あぁん!? 鮭弁を馬鹿にすんのか? ……まだまだ、お子様には早い味ってことかしらね」

 

 

「お子様扱い禁止!!」

 

 

 好物への侮辱に一度は自我を失いかける麦野だったが、軽くからかうような麦野の言葉であっさりと形勢は逆転する。

 麦野が御坂に顔を寄せ、軽く唇が触れ合うだけの口付けを交わすと、麦野が御坂の明るい色の髪をくしゃくしゃに撫でる。

 

 

「どんな店だろうと連れてってあげるけど、まずはシャワーね。すっきりしたいし」

 

 

「別にいいけど……、勝手に盛らないでよ? まだちょっと疲れ残ってるし」

 

 

「それは美琴次第。……まあ、たぶん襲っちゃうけど」

 

 

「はあ!? ちょっと、待……、え、ホントに……?」

 

 

 軽口を叩き合いながら浴室へとともに向かう二人。

 御坂の心配は見事に的中し、浴室に辿り着く間もなく二人の身体の距離はゼロになり、優しく激しく絡み始める。

 

 そのまま浴室へと流れ込んだ麦野と御坂は、時間が経つのを忘れて激しく絡み合い、食事もロクに取らず、愛欲にまみれて一日を過ごしてしまったのは、また別の話……

 

 

 

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